「いいから媚びて好きって言ってろ豚共!」
萌えの数だけ消費されていく前置き。
えー、今回はLakrisさんところのフリーゲーム「きらめきの君 ~毒村腐美変~」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
どうしてもネタバレを匂わせる文になってしまいますので、察しの良い方はご注意ください。
オタクが巻き起こすパンチの効いた超展開
ある意味テンプレと言ってもいいほどのオタクらしいオタクが街に繰り出すところから話は動きだします。
一通りストーリーを読み終えると納得がいくんですが、プレイし始めの時は「とにかくパンチの効いた作品」だなあと思いながら読んでいました。強烈な第一印象を残すネーミングや外見しかり、毒舌暴言迷惑行為で絡んでくるヒロインしかり。さらには予感や伏線は一切抜きでドカンと超展開が混ざり込むので、初めは動揺して前の選択肢まで戻ってしまいました。正規ルートでした。あってた。
こんな感じなので、序盤でふるい落とされて読むのをやめてしまう方も居そうな気はします。が、私としては最後まで見れて良かったです。
さて、こんな大暴れのお話をどう畳むのかという点について、詳しくはプレイしてもらうとして。とにかく想像もしない綺麗な終わり方をして、読後感はかなり爽快でした。
名は体を表すツン(ガチ)ヒロイン
この作品を楽しめるかどうかは、ヒロインを許容できるかどうかにかかっていると思います。
顔合わせたとたんに暴言! やっちゃいけない指サイン! 物の強奪・棄損!
いやこうやって書くと本当酷いですね。正直、私は初めのうちはめちゃくちゃこの子嫌いでした。けれども先が気になるのと、素直でイケメンで微笑ましいジョンが好みだったので手を止めずにプレイ。
するとどうでしょう、いや意外にも、あっと驚く展開を経て、このとんでもない美少女ヒロインが可愛く見えてくるんです。くるんですよ。私も自分で驚きました。
終章の熱く切ない展開はとても忘れられません。「ばいばーい」には泣かされました。あれはずるい。泣くしかない。
そんなわけで、彼女を大いに嫌っても最後には好きになれるか、あるいは初めから惚れ込めるかが、この作品を楽しめるかどうかのカギになってくると思います。
美しいスチルBGM、エンドロールの回帰性
そしてスチルやBGMにも注目したいところ。この急展開なストーリーを見事描写しきる手腕はまさにあっぱれの一言です。細かいことは投げ捨て、勢いに飲まれていいのだと教えてくれます。BGMがオリジナルというのも良いですよね。
八分咲きにはやられました。次の展開でさらにやられました。あれはずるい。
また、プレイ中「あのキャラのエピソードは無くても良かったのでは…?」と思わされるシーンが複数あったのですが、いやいやとんでもなかったです。最後までプレイし終わると、どの要素もきっちり噛み合い見せ場を作ってくれていることに気付けました。
と、ここまで書いておいて何ですが最後に気になった点として。
終盤に挟まれるメタ要素
ここは私の中で賛否両論があがりました。
が、ネタバレ必須なので詳しくは追記にて。
よくよく考えると良い点としてあげるべきなんだろうけど、なあ!という感じです。
ともあれ、全ての要素が見事に噛み合う、超展開に見せかけた緻密なギャグホラー感動ノベルでした。
これから挑む人には、合えば良いかなくらいのゆるいスタイルでプレイすることをオススメします。
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追記ではぼかしたところの内容など。
ネタバレ注意!
はい、メタ要素についての云々です。
実を言うとクリア時直後の時にはこのメタ部分がちょっと不満でした。せっかく意外性がある展開で終わらせてくれたのに、エピローグでよくあるメタ物の流れを組んでしまうと新鮮味が半減してしまうなあと。
しかし、よくよく考えるとこの作品におけるメタってめちゃくちゃ重要なんですよね。
二次元から三次元への昇華、つまり腐美ちゃんの顕現をまず作中でやってのけて。そして太郎の行動を握るプレイヤーを改めて認識させることで、三次元から四次元への昇華がされている、と。
冷静に考えれば腐美も太郎も二次元でプレイヤーは三次元なんですが、あえて彼らに差をつけることでプレイヤーを疑似的に壱次元上へ押し上げているというか。
なんだか書いていてわからなくなってきているな?
つまり、腐美の事件はプレイヤーの世界でも起こり得ることなんだぞ、という深読みもできるのかなと思いました。それでそのためにメタ要素を取り入れているのかなー、なんて。
そう考えるとありっちゃありだなと思いもします。
ここまで書いておいて見当違いなら見る目も当てられないんですがね!はっはっは!
ちなみに私は最後の選択肢だけミスしてトゥルーエンドに辿りつけなかったんですが、ノーミスでトゥルーに入れた人はいるんでしょうか。それによってあのメタなエピローグの説得力も変わってくる気はします。
とにかく、こうやってちょっとした要素も深読みしたくなるほど、まとまりよく綺麗に完結している一作でした。