「只の数字をあなたの徴だと思うこと」
意味ばかりが増えていく前置き。
えー、今回は、マテンロウ計画さんところのフリーゲーム「機械仕掛けの夢」「イヴの日に死んでしまうアナタのための走馬灯機構」「lost brave」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
というわけで、順番に行ってみます。
(例の如く記事を書いた時期と公開時期にタイムラグがあるため、現在はDL出来ない作品が多数です。ご了承ください。
2019/03 再公開されました!!! やったーーー!!!)
『機械仕掛けの夢』
[概要]
エイプリル作品ということで、公式サイトでも末尾に文字のみでそっけなく置かれているのですが――だからと言ってスルーしてしまっていた自分を張り倒したい! とても好みな一作でした!
短編のノベル&育成ゲー。絡繰の世界にやってきた人間、ニナがブリキうさぎをお育てしながら自分のアイデンティティを考えるお話。とにかくストーリーとグラフィックの親和性が高く、あえて抑えた色調からもモノクロ絵本のような世界観が味わえます。
いまさらですが、同作者様の『停滞少女』やこの後感想を書く『イヴのための~』などは全部関連してたんですねぇ。停滞少女だけプレイして他に手をつけていなかった自分をこれまた張り飛ばしたい……もったいねぇことをしたもんだ。
[システム]
クリックで読み進め&操作をする、ツクール製ノベルADV。
この操作方法が良い感じに物語と絡んでくれるんですよね。ブリキうさぎをなでなでしたりねじまき巻いたり。ラストのねじまきにはついかなりの時間をかけてしまいました。操作することでこっちも覚悟を決めさせられるというか。システムと物語ががっちり合っているとそれだけでスタンディングオベーションしたくなります。
難易度は易しめ、というかおそらくプレイを続けてさえいれば必ずエンディング分岐には辿りつける、はず? でも、餌やりと機嫌の調整など、読むだけに収まらないゲーム性があって楽しかったです。何よりぽくぽくご飯食べてくれるブリキうさぎがかわいい!
街の人達の会話パターンが多めだったり、時々変化したりするのも楽しかったです。何も無さそうだなーと感じる日があっても、見逃すのがもったいなくてついつい毎日あちこち足を伸ばしてしまいましたw
[ストーリー]
お約束の掛け合いが後々効いてくるパターン、と書けば伝わるでしょうか。
・絡繰に心は必要か?
・僕らの存在意義ってなんだ?
そういう、人によっては小難しい議論に発展しそうなテーマを、心に響く一言でぽんと伝えてくれるストーリーでした。響いた言葉をあげよって言われたらありすぎて唸っちゃいそうです。
それでもやっぱりぐっときたのは394番とのあれこれかなあ。一回だけの要求だったけど明らかに変わってしまったことを悟って胸が痛くなりました。
肝心のところでキャラグラを出さず台詞に注目させるのも上手かったなあ。
「間。」もツボです。
[グラフィック]
立ち絵の代わりに一枚絵を使っている場面が多いです。そのどれもが安定して可愛く、何より好みな絵柄で嬉しかったですねぇ。そしてやっぱり394番の可愛さにときめきます。
キャラ絵だけでなく、ウィンドウや背景なども全て自作、のはず。おかげで視覚的に統一感があって、世界観構築に一役かってくれています。移動する時に出てくる、浮かぶ金魚やネジの道の背景が好きです。
[エンディング]
どちらにも思うところが残る、良いエンディングでした。ハッピーエンド的な意味でもべストは終焉のほうなんだろうけど……永遠のほうも管理者のもの悲しい優しさが伝わってきて大好きです。
一通りプレイし終わって、もう一度プロローグだけでもと思い見直したところ、意味がよりわかってじんと来ました。
[一言]
メルヘン、ロボットやアンドロイドと心の云々、哲学ふうの考えさせられる言い回し。
『イヴの日に死んでしまうアナタのための走馬灯機構』
[概要]
こちらは初めから『停滞少女』のスピンオフとして出された短編作品。先に停滞少女をプレイした人用のおまけもあり、ファンには嬉しい一作です。停滞少女のほうの記憶が新しい方なら、ウェンディとシヤのお話と書けば通じるでしょうかね。
ジャンルとしてはノンフィールドRPG、になるはず。オリジナルの戦闘システムで、死の国に来たウェンディの思い出を集めていくゲームです。
[システム]
一番独特なのはやはりバトルです。ストーリーの基盤になる“思い出”が召喚にもアイテムにも装備にも使えて、シンプルながらも幅広い遊び方ができます。
強い思い出が自動的に上にソートされたり、場や敵の属性が一目でわかったり、バトル前にメニューが開けたりと、かなり便利でプレイしやすい仕様になっているのも嬉しいですねぇ。
ぼんやり攻撃連打では勝てない、という意味では難易度もそこそこですが、じゃんけん理論さえわかればむしろ戦略を楽しみながらさくっとプレイできるかと思います。ゲームを始める時に難易度設定もできるので、オリジナルシステムに抵抗がある方もご安心。
行動するたびに刻限が進むと言うのも、まさに死の国らしい設定で良かったなーなんて。
[ストーリー]
まず、グリノアとのお話できるのが嬉しかったです。あの手の、ちょっと道化師っぽいキャラ好きなんですよねぇ。ヒント機能としてしっかり活躍しているし、世界観も深まって一キャラで二度おいしいです。覗き見に関するお話がお気に入り。
次、本編について。中ボスにもぐっと心が抉られるエピソードがついていて、つい停滞少女のほうをもう一度プレイしたくなりました。
エンドは2種類あって、やはりどちらも魅力的。ハッピーエンドの、日記の演出にはやられました。
単純にメッセージウィンドウに表示させるんじゃなくて、エンターキー分の間があるのがね、良いですね。
あれはなー、泣いちゃうなー。
パスワード入力で見れるおまけ会話では、グリノアのやるせなさがひしひしと伝わってきました。切ない。それにしても、もう一人が停滞の時と比べてわりと荒んでらっしゃっててちょっと意外でした。
[グラフィック]
顔グラがぼやけて見えるのはウィンドウサイズでプレイしていたせいでしょうか。これだけちょっと惜しかったです。
とはいえやっぱりマテンロウ計画さんところの女の子キャラは皆可愛いです。顔グラの表示場所がスライドするのは新鮮でしたねぇ。
特別な敵のドット絵も可愛いです。可愛いんですよ……(絶望)。
[一言]
停滞少女をプレイしたならこれもやるべき!と言い切っちゃっていいくらいの良作でした。
『lost brave』
[概要]
君の咎を確かめにいくRPG。で、いいんだろうか。メインキャラクターはクールな少女と妻子持ちのボロボロなイケメンです。
隠し要素まで回収してクリアまで1時間強くらいかかりました。
[システム]
自分でステータスの調整ができる上に、状態異常耐性まで操作できるキャラメイクシステムが一番の特徴だと思います。ステータス戻して振り直しがいつでもできるのも有難いです。
勿論、ジハードは力・ATは魔に全振りしました。極振りってロマンですよね! まあ隠しボスはさすがにそれだと厳しかったので耐性にも振りましたが……w
難易度選択ができるのもありがたかったですねー。ぬるゲーマーな自分は躊躇わずやさしいを選択しました。でもちょくちょくゲームオーバーになりました。ははっ。
あとは、バトルでMPがじわじわ回復するのも特徴でしょうか。じゅもんつかうなの方針だとすぐ死にますがガンガンいこうぜだと案外MPもきれずにさくさく進める感じです。普段MP節約気味の自分はそれに気付かず序盤でぽこじゃか死んでましたが、方針を変えたらすんなり進められるようになりました。死んでも復活、なんていうすさまじいパッシブスキルもあるので躊躇わずガンガン行きましょう。
マップの仕掛けもわかりやすく、宝箱を求めて歩くと全て練り歩けてすっきりしました。灯台のヒント機能には助けられましたし……だってスクショとったり覚えたりするのがどうにも面倒な性質なんですごめんなさい!
[ストーリー]
自身がおまけ部屋で語ってらっしゃるように、色々と明かされないまま終わるところもあるのは確かです。他の作品と関連しているところが多いみたいですし、作者さんなりの世界観がしっかりできているのはよくよくわかるのでとても気になりますねぇ。設定資料集的なもの欲しいなー。特に、どの作品にも出てくるティスカがどういう位置づけなのかが知りたいです。
それでも本筋のストーリーはしっかりしているので、プレイ後の気分はすっきり。もう一度OPに戻るとあれが誰の言葉だったのかもわかって素敵です。だからOPとEDがリンクする作品は総じて良作なんですよもう!
[グラフィック・BGM]
何よりもまず、ステータス画面の二人が可愛いです!キャラデザも好きだなあ、ジハードさんの見た目はぐっとくるものがありますね。あんなイケメンをおじさん呼ばわりできる少年少女、流石。
メニュー画面が自作らしいのも凄いです。説明や無駄な欄を削除してすっきりしたデザインで、始めたばかりの時はちょっと戸惑いましたが、慣れるとかなり便利でした。
BGMとしては一番初めの、地下水道の曲が好きです。
[一言]
『停滞少女』のファースデール精神病院が好きな自分には嬉しい一作でした!本当はこっちのほうが先なんですけどもね。
とまあ、こんな感じで。いやー、楽しかったです!
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