「正攻法でも邪道でも勝てば官軍、酒池肉林!」
権力こそが人々を突き動かしていく前置き。
えー、今回はspice+さんところのフリーゲーム「999,victory」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ツクール製、魔王に監禁されちゃったのでぶん殴るために力を蓄える乙女ゲー。何を言っているのか伝わりづらいと思うのですが既プレイヤーさんなら頷いてくれますよね。
短編ゲーで、脱出ではなく、色々試行錯誤してできることを増やしていくシミュレーション?です。RPGらしくバトルもあります。そんな感じです。
というわけで良かった点など。
ざっくりとした内容やエンドの種類、ちょっとした隠し要素までは言及しているので、ぼかしてあってもネタバレを避けたい方はプレイ後にどうぞ。
作業ゲーにはさせない時短スキル
言ってしまえばこのゲームは実績解除が目的です。
タイトルからすでに想像がついている方もいらっしゃるかもですね。
条件自体は序盤だとけっこう時間がかかりそうに見えますが、ある程度進めると時短スキルが解放されたりできることが増えたりするので、実質さくさくプレイでした。
私はなでなでを最後に回したのですが、それでも1時間弱でクリアできたので、実績の解除順によってはもっともっとスピーディにプレイできると思います。
RTAにも向いてる乙女ゲーかもなー、なんて。
ともあれ、アイテムは躊躇わずに使っちゃうのが吉ですね!
例のあのかっこいいアイテムにも使い道があって笑ってしまいました。凝ってる!w
泣き寝入りなんてやってられない!
主人公ちゃんは悪い男に騙された過去を持つ修道女。
そう、修道女です。シスターです。好きですよそりゃもう。
控えめな性格かと思いきや、中身は乙女の本音もだだ漏れてくれる人間らしいキャラです。イケメンにうっかりときめいちゃったり、お酒もお金も人並みに嗜んだりね。
さらにはゲーム本編で脱法ハーブの摂取や悪徳商売の犠牲など過酷な状況を乗り越え、見事逞しい成長を見せてくれました。パワフルで見ていて元気が出るヒロインだったなあと思います。泣き寝入りする前にいったんぶん殴りに行ってやる精神、大事ですよね!
あと、プレイヤーこと私の心の声を代弁しているかのような台詞がちょこちょこあって、そういう意味でも楽しかったです。ハーブと勇者様のイベントとか本当そう。こんな~(中略)~見下ろしながら~のくだりが本当見事に心の声筒抜けで、笑いながらスクショしました。大好きですよもう。わかってらっしゃる。
業の深い乙女を直撃するバッドエンド
エンド数は全部で9つ。
そのうち半分以上が、鬱展開・悪堕ちになります。
最高ですよね? 最高でした!!
公式サイトだとプレイヤーさんのアンケートも拝見できまして、印象に残ったエンドがなるほど納得の1位でした。私もあれが一番好きです。好きに決まってるでしょう。前述の、主人公の性格も相まって、しっくりくるエンドが多かったな~と思います。
詳しくは追記に畳みますね。
圧倒的な美麗スチル
立ち絵や公式サイトを見て頂ければわかるとおり、グラフィックのクオリティがかなり高いです。ツクールの小さいウィンドウがもったいなくて思わず拡大してしまったくらいには、細かなところまでガン見したくなる完成度です。
あと、色々と、上手いんですよね! 魅せ方がね!
シスターだからこその生かし方とか、意外な展開に一目ぼれしそうになるあれとかそれとか。技量だけでなく演出も「わかってるけど惚れちゃう!」を心得てるなあと思います。デフォルメ絵もとってもかわいくて、どのエンドも必見でした。
とまあ、こんな感じで。
ガッツとアブナイ諸々で勝利と悪を掴んでいく、好みがぴったり合う作品でした。
追記ではネタバレ感想をちょこっと。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
フリーゲーム「999,Victory -Return-」感想
フリーゲーム「SweetSpiceSummoner! (すいーとすぱいすさもなー!)」感想
ネタバレ注意
エンドについて
王子関係
爽やか! 爽やかでしたね……!
脱法ハーブに塗れてもなお負けずに爽やかな笑みを見せられる王子の底力が熱かったです。そもそもゲーム開始時から牢屋に入れられてるっていうのが性癖をくすぐられます。
そんな爽やか王道王子だからこそ! だからこそあの悪堕ちエンドですよ!
年齢制限はないはず、なんですが、めちゃくちゃ色っぽくてどきどきしました。
ヘヴンエンドでの彼の扱いもこう、滾るものがありましたね。地位と魅力にあふれていてきっちり正道を進むからこそ、廃れたところを想像してゾクゾクくる的な。乙女のよくある欲望を満たしてくれるキャラでした。
従者関係
まさかの最高に好みな見た目で天を仰ぎました。
さらに続くセリフで参謀タイプ&滑らかな敬語タイプだとわかり拝みました。
好きですよそりゃ! ああー、もう、ありがとうございました。
いい具合に裏で操られながら過ごしたいものです……。そのうち使えないと判断されて見捨てられるも良し。たまりませんね!!
主人公単体、悲劇系
前向きに力強く進むエンドについては、パワフルさが出ててとっても良かったですし。疑似的に人形化されたり、悲劇のヒロインになったりするエンドは、あんなに表情豊かな修道女ちゃんが……という仄暗い好みを満たしてもらえましたし。
どっちの方面も楽しく堪能させて頂きました。ありがたや。
ハーブやガチャに抵抗を示していた彼女がすっかり身も心もズブズブになっていく様が素晴らしかったです。
その他
これは全体的に共通して言えるんですが、犯罪組織がどうこうとか領地獲得として魔族の権利を得ていくどうこうとか、ファンタジーで済ませずに土台の設定もさりげなく固めてあって上手かったですよねぇ。
強者を倒したものこそが強者、という脳筋で人の心を掴んだうえで、しっかり地盤の固さも見せてくれる……これで処女作だっていうんだから、もうおっそろしい。
そりゃファンも増えますよね!
私も今後追いかけていきたい所存でした~。