「総菜パックで終わらせないだけ尊厳は残っている」
卵を焼くのも面倒になる仕事終わりな前置き。
えー、今回は禁飼育さんところのフリーゲーム「昭和シンデレラ」「煮込みシンデレラ」「残業シンデレラ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
どれもドット絵でのんびりテイストな全年齢ゲー。
私はついつい、この作者様の他ゲーで見られる鬱要素や厭世的な女の子がなんだかんだで楽観的だったばかりに追い詰められてしまう感じの展開に注目してしまうのですが……。
ここで紹介する作品の面々は基本、ほのぼの仕様です。あの独特のパワーがある文体は全年齢ゲーでこそてらいなく楽しめる気もするんですよねぇ。
まだ本編にあたるはずの『蛇とシンデレラ』自体はプレイしていないのですが、『ちぎみちゃん』と『処女失格』みたいな関係なんでしょうか。楽しみです。
ともあれ、各作品について。
『昭和シンデレラ』
[概要]
公式曰く1日で作った短編ノベルゲー。
エイプリルに公開されたのもあって(時期限定公開かと勘違いしていた)(恒常公開ありがとうございます土下座)、シンデレラシリーズにここから入りましたが、すんなり読み進められるのんびり短編でした。
[感想]
まったりだらだら読み進める系かと思いきや、ふっと、不思議な話で締めるこの感じが面白かったです。なんだろう、平和なはずなのに妙な気持ちだけが残るというか。世にも奇妙な物語というか。
結局どうなったんだろう、何があったんだろう? 想いを馳せずにはいられないけど、寝て起きたら忘れちゃうこの塩梅がまたリアル。
詳細は伏せるとして私もその手の、「なんだったんだろう?」を感じる経験が実は1回あるもので、シンパシーを感じる作品でした。
[一言]
たいやきはカスタード、実に同感であります。
『煮込みシンデレラ』
[概要]
上記作品から原点を辿って、一作目。
煮込みって単語とシンデレラって単語の不協和音すごくいいですよね。
[感想]
テレビ画面がさりげなく放送事故ってて笑いました。
寂しくわびしい独身女のところに、明るくもどことなく同じ寂しさを抱える男がやってくる……というそれだけの話ですが、どことなくほんわかとした心地になります。世の中を斜めから見つつも、素直に嬉しいものは嬉しい感じ。
なのでreadmeを試してびっくりしましたが。
ある意味この作者様らしい、ゲス黒い余韻でした。
[一言]
独りでハッピーハロウィンする気力もないあなたへ。
『残業シンデレラ』
[概要]
続いて二作目。胃の痛くなるタイトルですが、内容はやっぱり黒い癒し系です。
[感想]
ごかくさん!ごかくさんではないですか!
普段の彼の外面の良さを感じられて思わぬところで興奮しました。できる人なんだよなあ実際、ちょっとこじれてるだけで……。
テレビ画面やカレンダーのお遊びの代わりに、間を挟む酸ノ宮さんやチャレンジャーなお味の差し入れでぶふっと笑ってしまいました。
そしてクリア後の展開、予想はしていましたがおまえー!おまえー!でもあとがきの一枚絵の左下が面白かったので許します。真夜中に耳元でキーボードカチャカチャッターンッってしてやるからな……(根に持っている)。
[一言]
辛い残業を力と金に変えるため生きていこうと思います。
とまあ、こんな感じで。
今にして思うと昭和シンデレラはクリア後ギミックがないんですね。ないんですよね? そのぶん、なんとも奇妙な余韻が残り続ける後味が濃厚でした。
お仕事あるある、独身喪女あるあるな展開に共感したい方や、かわいく不穏な男でもやっと締めくくる展開が好きな人に。さくっとクリアできる短編でした。
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