うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「AIAIAIAI」感想

「一手間かければなおいっそう美味しく愛おしく」

そして時々このやろうな前置き。

 

えー、今回はKIJI-N-CHI(きじんち)(kiji)さんさんところのフリーゲームAIAIAIAI」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

選択肢を選ぶのではなく、タイピングで会話をしながら姿形の無いAIを育てていく、ノベルゲーです。ある意味でタイピングゲー? ウディタ製。

 

というわけで良かった点など。

 

ネットスラング万歳AI

 

やっぱり私はけっこうテンプレな人間なので、AIと聞いたらクールだったり知的だったりお堅かったりするイメージが強いんですよ。

いやあ、本作は脱帽でしたね! もとい脱力でしたね! 良いと思います!

こんなすちゃらかAIがどうなるのか、ということで先が気になるパワーもありましたし、導入の力強さがとても素敵です。後からネラー時代のAIをおちょくるのが大好きでした。

欲を言うなら何も変わらないAIルートも見たかったかなー、なんて。でもそしたらCATの末路が後味悪くなっちゃうか……。

 

 

AIと“会話”する

 

良いなあと思ったのが、選択肢で分岐するのではなく、その選択肢をタイピングするという発想です。

やってることは他の選択式ノベルゲームと同じなはずなのに、感情移入度が段違いなんですよ。会話が通じた、と錯覚することも多々ありました。

プレイヤーの動きに返してくれるという意味で、ここまで“ゲーム”の媒体を上手く活用した作品はなかなかないと思います。発想の勝利!

 

 

変わる背景と膨大な会話で魅せてくれる展開

 

言ってしまえば立ち絵無し顔グラなしのシンプルなタイピングゲーなんですが、視覚的な演出はなかなか工夫されていて、キャラの画像だけがゲームグラフィックの全てじゃないんだなあと気づかされました。

時折背景が変わることで、日常の中でいつもCATと話しているんだなということが自然と伝わってきますし。背景画像に重ねて浮き上がっている模様もオシャレ。

 

また、“会話”を売りにしているだけあって、会話パターンもかなりのもの。エンドが確定するとさらに特殊会話が増えるのも楽しかったです。クリア後はいくらでも会話し続けるモードもあったりして、その手の分岐が好きな方には垂涎ものの一作です。

 

 

難点

 

難点としてはやっぱり、手入力の文字の長さとレベルアップまでの時間の長さでしょうか。

タイピングして会話するというのを強く意識されているであろうことは、あとがきを拝見したら伝わる通りなのでそこは良しとして。

同じ会話が続くとだんだん「反応してもらえる楽しさ」よりも「作業ゲー感」が際立ってしまうんですよね。

たくさんの豆知識を披露してもらえるルートは会話がものすごく楽しくて、エンドを見た後もおまけモードでいくつか会話していたくらいなので、他ルートでも分岐が多かったら言うことなしだったかなあと。でも、分岐を求める=手間がかかりすぎる、というジレンマも察しはするので、うーんうーん。

成長前を1段階削るくらいでも良かったんじゃないかな、とは感じます。

 

 

とまあ、こんな感じで。

会話するからこその一手間はあるものの、どんどん変化していくCATの成長が楽しい作品でした。

追記ではネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

 

ネタバレ注意。

 

 

 

 

エンドについて

たどり着いた順。

 

ED4

 

初めに辿り着いたのは賢い子なエンド。豆知識の知識量が本当に膨大で、純粋に読み物として黙々と楽しんでしまいました。狸寝入りが一番驚きだったかも。

頑張り屋さんなCATはどんどん応援したくなっていたので、主人公に感情移入しがたいところもありましたが、だからこそあの一枚絵の美しさに感銘を受けて奮起する主人公がいたわけで、これもこれで面白かったです。

謎の単語がいっぱい出てきて、調べまくったのもいい思い出。まさにAIなSF用語があってクスッとなりました。

 

 

ED2

 

CATの軽口に乗りまくる軽薄な感じでプレイしていったところ、何故かお堅く哲学なエンドに辿り着いて驚いた覚えがあります。

夢の話がものすごく好き。私自身が夢日記を長くつけていた人間なので、何かと思うところがありました。電気羊の夢……。

弱いAIと強いAIの概念も興味深く、ある意味でED1よりもずっと考え込んだエンドのような気がしています。あちらが知識ならこちらは思索という印象。

 

 

ED1

 

これ乙女ゲーだ!?

というのが第一感想。なんだろう、セーブ画面のグラフィックの関係かCATは無機物という意識がとても強かったので、まさかの受肉(肉じゃないけど)な展開が目から鱗でした。

うっかりED4やED2に行くことが多くて、一番苦労した思い出……なのですが後から作者様の攻略ヒントを覗いたところ簡単扱いでした。あれー!

 

 

ED3

 

「特訓」「人間なんだから、僕よりずっと感情あるでしょ!」がツボです。

スパルタアイドル。

こう、ボーカロイド全盛期やらVTuberやら見ている身としては、やっぱり王道展開ってここだよなあという納得感が生まれました。

曲をスキップできない仕様が演出重視でよき。

 

 

一通り辿り着いた感想としては、やっぱりED4が好きですねぇ。テンションはED1に近いのに、「機械だから生み出すことはできない」という一点で大きく隔てられているのも興味深かったです。

 

 

余談。

こういうところを突っ込むの良くないだろうと思ってはいるんですが、ゲームタイトルが「ウルファールのサンプルゲーム」でほのぼのしました。確かあれ、後から変えられないんですよね(?)。すごいゲームを作ってる方々も同じ人種なんだなあと思ってちょっとほっこりしました。