「定義も理論もあったらいいけど、それ以上に大切なものもある」
例えば食後のチョコレートとかな前置き。
えー、今回はKIJI-N-CHI(きじんち)(kiji)さんところのフリーゲーム「怪盗ドルチェのゲーム」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ウディタ製、短編連作風に章立てされているノベル寄りの謎解き探索ゲー。
端々までオシャレと惚気とチョコレートがたっぷりつまった、満足感のある一作でした~!
というわけでさっそく良かった点など。
憧れの大人で洒落た世界観
もうね、何よりもまずあの圧倒的な求心力のあるOPですよ!
果たして何が起こるのだろうかと期待するプレイヤーをまず静かに舞台へ立たせて、そしてガッと魅力で掴んでくれるあのプロローグ! もうすっごくすっごくかっこよくて!
BGMの入り、読んでわからせる筆力、打ち鳴らされるヒールの音まで聞こえてきそうなあのオシャレな画面、いやぁたまりませんよね……。
公式の宣伝PVもあるのでリンクを貼りますね!
各章のタイトルもそれだけで書き留めたくなる素敵な響きなんですよ。
中でも私は「1ビット・ショコラ」が好きです。不思議と字面は噛み合う感じがするのに、何が起こるのか想像がつかなくてドキドキしました。
黒と赤が映えるベルベット風なゲーム画面
PVを見て頂けたなら伝わるかと思いますが、画面全体が黒いシルエットとベルベットな背景で構成されています。これがまたハイセンスなんだなあ。
で、しかもこの画面を静止画で終わらせないところがポイントなんですよ。
作中では背景をプレイヤーがスライドさせて、あちこちクリックして楽しむ自由行動パートがあります。キャラやカーソルが動くのではなく、背景自体が動いていくことで、一緒に歩いている感じが楽しめるこのプレイ感。最高! ウディタの可能性は広いですねぇ。
ゲームを進めることで行ける場所が広がったり、それまでのお話にまつわる戦利品が増えたりと、どこまでもわくわくを残してくれる姿勢も素敵です。
あちこちで聞ける二人の幸せな会話
この作品の醍醐味は、主人公のチョコ大好きな怪盗・ドルチェと、そのパートナーである女性型アンドロイドのカノンの、すっごく微笑ましい会話です。
カノンがすぐ本音を顔に出しちゃう(文字通りの意味で!)ところがすっごくにやにやしちゃうんですよねぇ。いわゆる恋愛ノベルとは違って二人の掛け合いは文字だけで流れていくんですが、どれも情景が想像できるようなじゃれ合いっこでとってもかわいかったです。
前述した自由行動パートでも、二人の会話は盛りだくさん。進行度によってどんどんセリフが変わっていくので、あちこちお散歩するのが楽しかったです。
ランダム変化する会話ポイントも多いんですよね。カノンとの会話は基本5パターン以上ありますし、カフェやブティックでの会話を通してカノンの色の好みがわかるのも嬉しくって。NPCには二回話しかけちゃうタイプの私にとっては実に盛り上がりました。
探索ポイント自体も数多く、カーソル変化ですぐにポイントがわかるところもプレイヤーに優しくて好印象です。
なかなか苦く、けれどしっくりくる謎解き
ほんわか可愛い会話も魅力ですが、やっぱり二人は“怪盗”なわけでして。
本編ともいえる事件パートでは、かなり難しめの謎解きがドルチェ達およびプレイヤーを待ち受けています。
傾向としては閃きや視点の変化が必要なものと、論理パズル的なものの二つに分かれていた印象ですねぇ。ググってポンと解決するものはほとんどありません。がっつりメモも必要です。
が、ここでありがたいのがウディタのシステム。ウディタってPrtScrボタン押すだけでそのフォルダにスクショが楽々生成されるんですよ。なのでメモ嫌いな貴方もぽちっと一指で、なんとか、頑張ってほしい! 私のように!
公式にヒントもあります。大変助けられました。ありがとうございました!
凝っている謎が多いぶん、解けたときのスッキリ感はひとしおです。
そして何より、謎解き自体がお話の謎や伏線に直結しているパターンが非常に多い! ここもかなり良点として挙げたい注目ポイントでした~。
クリア後のおたのしみ
詳しくは秘密ですが、最後までどころかその先もたっぷり味わえる、素敵な作品です。
とまあ、こんな感じで。
謎解き、人間と機械、探索ポイントたっぷり、怪盗、チョコレート、なゲームに惹かれる方へおススメです。
追記ではネタバレ込みの感想をちょっとだけ。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ネタバレ注意!
最終章どころかその先のことも全部ネタバレしているので、ご了承ください。
怪盗ドルチェのゲーム
いや、もう、タイトルが秀逸ですよね!!
なるほどなーって叫びながら震えましたよ。なるほどなぁ!!!
こういった作品にはつきもので、カノンが機械であること、機械に心はあるのか云々の話で切り込んでいくだろうことは想定していたんですよ。で、カノンの「愛されたことがあるロボットってまるで……」っていう発言も含めて、もうカノンは人間だよねってところに帰結するんだろうと思ってたんですね。
それを悠々を越えていく!
その!センスが!好き!!
人間と機械、どっちがいいとかどっちが優れているとかどちらかになってほしいとかじゃなくて、どっちでも関係ないって結論にきてくれたことが私はとても嬉しかった! ありがとう! 夢中にさせてくれてありがとう! そんな感じです!!!
機械的に育てられた過去話を経て、機械と人間の境目が曖昧になったところでさらに高次元のメタ展開を叩き込み、何もかもが混ぜ物になったうえであの結論を叩きこんでくる……もうね、構成力が高すぎますよ。本当に説得力がありました。
そしてメタという枷を正当な形で外した彼らが、見せてくれるエクストラ。二人がああいうセリフを言えるのも本編やタイトルを踏まえたらとっても納得でした。
二人にできることが増えて、プレイヤーも二人の輪の中に入れてもらえる感じも楽しかったですね! クリア後の自由行動パートで二人がひそひそ話するイベントも、してやられた感じがあって、くそうと歯噛みしながらにやにやしてしまいました。健やかに幸せに過ごしてくれ!
そんなわけで、上記の荒ぶりっぷりから伝わるとおりとっても心を揺さぶられて明るい方向へまとめてくれる、にやにや&オシャレな楽しいゲームでした~!
なおこの記事を書いている現在ではすでに2が産まれています。ありがとう! 待ってろよ! またそちらもプレイしたら記事をあげますね!
(追記:上げました! こっちもよろしく↓)