うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「僕でいい?僕でいいよね?僕がいいよね?僕でいいの?僕にする?僕にしとく?」感想

「大丈夫、絶対に僕がいいって言ってくれるから」

言わせるわけじゃないところがキモな前置き。

 

 

えー、今回はcholianさんところのフリーゲーム僕でいい?僕でいいよね?僕がいいよね?僕でいいの?僕にする?僕にしとく?」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

選択肢無し一本道の乙女ゲー。公式のジャンル名が「僕ノベル」とあることや、この勢いと圧に満ち満ちて思わず口に出したくなるタイトル名と言い、どことなくヤバイ予感を感じさせてくれる最高の一作です。

 

 

というわけでさっそく良かった点など。

 

 

まさに浮気を楽しめるドキドキゲー

 

本作はなんと初めから恋人がいます。

文系で草食系なタイプ、決まった時に決まった通りの場所で会うスタイル。「優しい人がタイプ」という人にとって理想の彼氏――――

と、思うのですが。全く別のタイプであるカイトさんに出会ってから、お話はどんどん危なっかしい方向へと進んでいきます。

この、別の味を知ったとたんに前までの味の違和感に気付くみたいな書き方がとても巧みなんですよ! ヒロインの気持ちが揺らぐのも当然だなと思えてしまう、丁寧さと説得力がすさまじかったです。

 

 

真面目過ぎる流されヒロイン

 

巧みだと思ったのはヒロイン像もですね。紹介サイトでは「尻軽ヒロイン」とも書かれていますが、蓋を開けてみれば流されやすいだけの内気な子の印象でした。周りに合わせなきゃ、理想の子にならなきゃ、と頑張る様は痛々しくてとてもツボです。

で、抑圧された真面目ちゃんがうっかり危ない世界へ手を出してしまう感じが本当に良いスパイスになってるなあと思います。

“いつもと違うこと”をするドキドキ感が、見事につり橋効果を生み出してくれてるんですよ! 

 

アキ君は予定通りにきっちり進むタイプなのでなおさら、スリルと秘密が浮気を盛り上がらせてくれます。

明確に二股するのではなく、決して裏切ってはいないけどやましいことをしているというこの境界線もたまらなくって…………もうドキドキがとまりませんでした!

 

 

あまりに自然なカイトの口説き文句

 

女を口説くのが上手いんです。フィクションなキザっぽさも交えてあるのに、何故かあまりにリアルに感じられてしまうんです。喋り声が脳内再生できそうなくらいです。なんて上手いんだ……!

前述のヒロイン像にも絡みますが、内気で真面目な子って押せ押せで口説かれた時の返し言葉をあまり持ってない印象があるんですよね。だからこそ流されちゃうのもわかるし、カイトさんが踏み込み過ぎないからこそこっちから行きたくなる気持ちも駆り立てられるし、どこまでも巧みです。自然とそうしたくなってしまう話術よ……。

 

 

スタイリッシュに動いてコミカルにポップする画面

 

そしてテキスト面だけでなくグラフィックも秀逸です。

立ち絵がカッコイイというのも勿論そうですが、私が注目したいのはやっぱり演出面。立ち絵以外の小物や吹き出しでの表現がとても面白いんですよね。

遠景でぼやけていた彼の姿がスマホの画面でぱっと鮮明に見えるあれとか。あの演出、クリアした後だとかなり思うところがあって最高なんです!

 

他にも、場所やシーン転換を演出する文字の出し方とか、かなりあちこち動きがあってとにかく常に画面が新鮮です。カフェで流れてそうなオシャレBGMにああいうスタイリッシュな動作を合わせてくれるの、見てて本当気持ちいいんですよね。

“ゲーム”してる感じを味わえるノベルゲって大好きです。

 

ただ挙げるなら、回想シーンや吹き出し演出シーンではオートモードが止まってしまうのはやや不便だったかな、なんて。でもあの演出自体は重ね重ね好きです。

何よりも起動画面の禍々しさが曲込みで最高でした。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

短編の乙女ゲーながら鮮烈な印象が残りました。

本来なら浮気ゲーというべきところですが、やっぱり私はカイトさんの印象が強いので、女を落とすのが雰囲気作りセリフ共にうますぎる至高の一作と言いたいです。

 

追記ではネタバレありの感想をちょこっと!

すごく語りたくなる作品ですよね!!

 

 

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明るめヤンデレノベルフリゲ感想(『バレンタインの正しいしつけ』)

 

 

 

 

 

ネタバレ注意

 

 

オチまで書いてしまいますがこのオチこそがめちゃくちゃ気持ちいい作品で、未プレイだと本当にもったいないのでネタバレ注意です!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイトル

 

タイトル、もう、巧み過ぎませんか!?

パンチと求心力に長け、クリア後には真の意味がわかる、タイトルセンスですよ!!! 公式の略称もしっかり用意されていますが私は文字数が許す限り正式名称で呼び続けたいですね。そのくらい大好きです。

 

確かにね、初めはタイトルが丁度六分割できることもあって、アキ君とカイトさんが交互にタイトルを言ってくれるような展開が起こるんだろうなと思っていたんですよ。

そしてある程度進めてから疑問も出たんですよ。カイトは俺だなあって。

もう、こんな、気持ちいい伏線回収ってありますか!?

興奮しました!!

 

タイトル解釈としては、アキ君があらゆる彼に成り代わってあらゆる僕になって、どの僕の時でも「僕でいい?」と来てくれるってことなんだろうなーと思っているんですけれども。もう、“見える”んですよね……ヒロインを中心として見た目もキャラも異なる男性が六人並んでる(なお全員僕)の構図が……。

端的に言えば最高でした。

 

 

 

演出

 

あと、スチルやグラフィック関係だと最後に見れるスチルのガチっぷりが良かったですね。あの一枚絵があるのとないのとでは、成り代わりに関わる説得力が段違いになると思います。素晴らしい……!

 

今にして思えば、スマホをかざす前は彼の姿がぼんやりして見えるのも、アキ君が誰にだってなれることや近寄る男性は全てアキ君である可能性の示唆だったんでしょうかね。

黒い画面枠がぐっとこちらへ近づいてくる演出と言い、視野の狭さ・知らない間は幸せ、といった言外の意味を受信できてとてもゾクゾクしました。

 

 

 

 

もう……近年まれにみるツボっぷりでしたね……。

浮気ゲーの楽しみも感じられたうえに、一途両想い推奨の私に優しいオチでもあって、とてもとても幸せでした。ときめいたうえに潤った! ありがとうございました!!