うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「Reincarnation」感想

「本当のことはすでに知ってる、だから気づかせるだけでいい」

脳内会議は行う前に答えが出ている前置き。

 

 

えー、今回はRabbit☆Potion(らびっと☆ぽーしょん)さんところのフリーゲームReincarnation」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

仲間選択の分岐はあるものの、お話は一本道で周回必須なRPGキャラゲー寄りで、戦闘難易度はたぶんそこそこ、レベリングしてのゴリ押しは可能。

 

 

というわけでまずは良かった点から

 

 

水彩のようなグラデーションの美しさ

 

推したいのはグラフィック面。かなり多くの少女達が登場しますが、どの子もかわいく、立ち絵が魅力的です。敵ボスには複数の立ち絵を持つ子がいる他、公式サイトでクリア後限定頁として立ち絵が公開されています。

どの子もキャラデザがいいんですよね!

中でも、リオの†漆黒†な感じと、黄うさぎのもっふもっふ具合、アポロンヌのパンツルック、ヴァルネの道化師っぽい雰囲気が好きです。ヴァルネはマエストロだけど、まあまあ。

なお百合ゲーというわけではなく、基本はキャラ単体で完結しています。短い会話が二言三言ある程度。でもやっぱり分類するならキャラゲーになるかなあ。

 

 

 

固有の詩とBGM

 

ゲームを進めるごとに一人ずつ少女が仲間になり、それぞれの宝石に応じた詩とBGMが楽しめます。この詩がまた、こう、心をくすぐるんですよねぇ。そのキャラの性格や背景事情もぼんやりと伝わってくるし、言い回しが響くんです。それぞれテーマが設定されていそうなところも興味深いですね。

本編のテキストまでポエム調で真相が伝わりづらいのは難点でもありますが……統一感はありますし。人魚の2周目の戦闘前口上が好きです。

宝石ごとに背景やBGMが異なるのも凝っていて素敵。

ダンジョンでのBGMも特徴的で、戦闘に入っても雑魚戦ではBGMが継続し、地続きの世界観を感じられます。ボス戦はきっちり専用BGMになるところも良い盛り上がりでした。

 

 

 

皆の一言がじんわりと沁みるエンディング

 

具体的にはエンド後のクリア部屋ですが、ここが実に良かったです。

詳しくは語りませんが、創作活動に関わったことのある人なら特にグッとくるんじゃないかな。暗い要素もありますが、優しさに溢れているお話でした。

周回が想定されているつくりなだけあって、二周目以降でセリフが少し変わるところも見どころです。

 

 

 

 

続いて合わなかった点について。

 

 

多さに比べて一辺倒な仲間たち

 

仲間になるキャラは2周目以降のキャラも併せてなんと驚き24人。

これだけいれば戦略も自由自在――となりそうなところなんですが、実際にキャラを入れ替えながら使うことはほとんどありませんでした。

 

まず、どのキャラも加入した段階ではレベル1。仲間の加入は一人ずつ。初期スキルがない子もいて、試しに使ってみようという気になりづらかったのが一番の難点です。

経験値を多く持つボーナス敵がいたり、経験値増加アイテムがあったりしたら、もう少し印象は変わったんですが……これだとインフレも起こしてしまうので悩ましい。加入時のレベルをパーティメンバーと同レベルにしてもらえたら嬉しかったですね。

 

続いて、キャラのスキルの差別化が少ない、ギミック性のあるボスがいない点。

基本的に攻撃技と全体回復を放っているだけで戦闘が終わるので、そもそもキャラを入れ替えて試行錯誤しよう、という気が起こりませんでした。

キャラの技も共通しているものが多く、牡丹<エーリエルなど上位互換キャラがいることもしばしば。このキャラならではの戦い方! というのをあまり感じられなかったのも要因だと思います。それ以前にキャラ独自の戦い方を知るところまで至れなかったというべきかな……。

 

あと単純に、スキルの説明が少なめ。

例えば「おうえん」は選択した対象に何が起こるのかわかりませんし、カウンターが魔法攻撃に効かないなんて書いていない、そもそもどれが魔法でどれが物理かすら明記されていない。世界観を重視して説明を減らしているのかもしれませんが、うーん。

 

これらの要素は本来、バトルメインの作品に求めるべきだと感じています。そしてこの作品はキャラゲーだと思うので、バトルバランスを要求するのはちょっとお門違いな気もしています。

でも、これを書かずにいられない理由が次に繋がりまして。メインディッシュがあまりに遠すぎるのでその繋ぎとしてバトルを改善して欲しいんですよねぇ。

 

 

 

1周目の無味乾燥さ

 

真相がわかるようになるのは1周目クリア後から。

その前菜となる1周目がとにかく単調でした!

伏線や謎というよりは思わせぶりなポエムが置いてあるだけで、目立ったイベントも演出もなく、淡々とダンジョンに潜り適当に少女を選んで帰るだけ。ならストーリー以外がメインかと思いきや、戦闘も探索もシンプル過ぎる構成。

ここ、本当惜しかったです。

 

いっそバトルに全振りして色んな少女を使うような作りになっていれば、もっともっと少女達に愛着が持てたでしょうし。過去話や各少女の世界に触れるダンジョンやイベントがあれば、もっと彼女たちの物語を知りたいという原動力になったでしょう。

「先が気になる!」というよりは「何をしたいのかわからないまま進んでいる」印象でした。クリア後の部屋が実に良かっただけに、そこに至るまでの道のりが淡々とし過ぎているのがあまりにもったいなくてなりません。

 

 

 

移動の手間

 

終盤はダンジョンがかなり奥地まで広がるのに対して、ボス前ワープや便利スキップは一切なし。帰還アイテムはありますが、行きは徒歩なので有用性は半減します。せめて攻略済みのダンジョンは一発ワープさせて欲しかったなあ。

ボス前回復が置いてある辺りは優しいんですけどね。

 

 

 

どこまでが完全クリアかわからない

 

3周目になると隠しダンジョン等はどっと増えますが、メインダンジョンをクリアし切るといつでもエンドに行ける分、逆に「これでコンプした」という確信が持ちづらいです。あの短い会話のキラキラを全部集めれば完了だと思うのですが、その集まり具合を本編で確かめられないのがどうにも。ボスを倒して見逃しを確認してはロードして戻ってきてもう一度ボスを倒すというちょっと感動が台無しな事態になってしまいました。

 

でも、皆の会話を集めきって周回プレイをせず終わった時の、あの演出は、心から愛しています。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

グラフィックはとても良い、キャラクターもかわいい、でも肝心の中身に辿り着くまでが遠く味気ない。そんな、一歩惜しい印象がある作品でした。

 

追記では軽くネタバレ感想など。

 

 

 

 

 

ネタバレ注意

 

 

 

印象的なキャラ

 

イルガ

うさぎとの会話を見るに、俗に言えばADHDなんだと思いますが、そういうレッテル貼りをせず彼女は彼女として見たい気持ちもあります。彼女の宝石の間が背景とBGM両方併せて大好き。

 

牡丹

ポエムでぐっと来たのでスタメン入りしました。アンジェリカ、ロゼ、リオのパーティで進んでいたので、高火力が来てくれてすごく助かった思い出。こういう愛が重くて独りぼっちでじっとりとしているキャラ、好きです。

 

ヴァルネ

2周目になるとセリフが「独りぼっちの」から「共に」に変わるところが大好きでした。

 

ルナーリアとアポロン

二人ともセットで使いたくて、3周目でスタメン入り。ルナーリアは並みの魔法ならほぼノーダメージですし、アポロンヌは高いHPのおかげでほとんど落ちませんし、かなり安定して戦えました。トンファーキックが強かったなー。

2周目以降の「僕達は彼女を信じてるから黙ってここは通せないな!」のところ大好きで、涙出るくらい大好きです。