「夜も寒さも怖くない、だって君によく似てる」
朝の眩しさに目を細める前置き。
えー、今回はSpace not farさんところのフリーゲーム「雪のガラドリエル」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
女の子二人で星を見に行く、百合っと短編RPG。ラストで選択肢はありますがエンド分岐はなく一本道、クリアまで1時間くらい。
別名のシェアウェア「泥のガラドリエル」という作品もありますが、本作だけでもすんなりと進められます。
というわけで良かった点など。
前後隊列がくるくる入れ替わるオリジナルバトル
特徴はやっぱり、隊列を利用したバトルシステム!
前後で使えるスキルが変わってくるので、どう立ち回らせるか常に悩むこの感じが楽しかったです。敵は常に前列を狙ってくるので、HPが減ってきたら隊列を入れ替えて庇ったり、あるいは強制入れ替えに右往左往したり。移動しながら使えるスキルがあるのも、戦略の幅が広がって悩みがいがありました。
リエルは前列だと物理、後列だと魔法の火力・回復。
ラナは前列だと盾、後列だと物理。
習得できるスキルを見るに、こんな感じの振り分けになってるのかな?
ラナの隊列移動技が楽しくて、基本魔法を放ちながらくるくる入れ替わって戦ってました。セットできる行動が三つだけなのと、連続で同じ行動はできないところも良い制限。
パーティメンバーが二人で固定だからこそできる、本作ならではのシステムでした。
雑魚も強敵、ただし逃走も確実な難易度
この作者様の作品だけあって、難易度はけっこう高め。無策のパンチ連打だと雑魚敵にもころっと全滅させられます。
ただありがたいことに、本作で全滅のデメリットはありません。挙げるならゲーム終了時にプレイ履歴となるレコードが出力されるので、そこに記載されるくらいかな。
ゲームオーバーすらなく、むしろ強化アイテムまでもらえたうえでリトライできるというとても優しい仕様です。中には負けた時にアドバイス的な会話が発生することも。この辺りの設計から、「自分に合う難易度でプレイして欲しい」というようなメッセージ性も感じました。
戦闘後に全回復するので、常に全力で戦えるのも楽しい!
というわけで、この作者様のゲームに慣れている方であればむしろ難易度は易しいと感じる作品かもしれません。血沸き肉躍る難易度の作品多いですからねぇ。
本作はプレイヤーにとってちょうど良いバランスを追及されていると思います。
星と雪がおしまいを締めくくるストーリー
さて、ストーリー面はとてもシンプル。
公式の説明文も端的で、力強く、全てを表してくれています。大好きなので引用してしまいますが……。
「夜が明ける前に。雪が溶ける前に!」
わくわくしません?
してくれる人はきっと、合います。
本当にこの通りのゲームです。
そんなわけで小難しい背景事情は後回し、仲良し二人で星を見に行きましょう。
基本的に明るくテンポの良い掛け合いで進んでいくんですが、最後の最後にはっとさせられるところも大好きでした。色々な設定がパチリパチリと組み合わさって、最後の最後でようやく意味がわかり、タイトル画面で裏付けられるこの流れ。最高です。
明るくメタく、時に切なく
直接的にどうこうがあるわけではないんですが、二人できゃっきゃする感じの会話が多いので百合的に萌えた作品でした。
二人の関係性も微笑ましいんですよね。明るく元気いっぱいなリエルと、むすっとしながらもなんだかんだで付き合ってくれるラナ。突き放すような言い回しや、グイグイ引っ張る描写にも、二人が気の置けない関係であることを感じさせてくれてほのぼのします。
面白いのはやっぱりメニュー画面ですよね!
メニュー画面を開くたびにさりげなく二人が会話してくれるんですよー! これがまたかわいいの笑えるの。パターンもかなり多く、アドバイスからメタな宣伝、時事ネタまで多岐にわたります。
というか字数も少ない一言コメントでここまで掛け合いできるのすごすぎません? 震えます。ベタベタではなくじゃれ合いっぽい感じなのがまた和みました。
さりげなく何かが察せられる会話を混ぜ込んであるのも上手いなー、なんて。
最後に一点、合わなかったところ。
会話シーンでのカメラ移動の仕方。話すキャラの方へ視点が寄るので微妙に酔いがちでした。まあそんな長くもないので、あくまで気になった程度のポイントです。
と、こんな感じで。
ほのぼの切ない展開、褐色三つ編みっ子と仏頂面メイドの百合、テンポのよいオリジナルバトル、短編一本道RPGをお求めの方にオススメです。
追記にはネタバレありの感想や、自分のプレイレコードなど。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ネタバレ注意。
プレイログ
当方のRekord(誤字ではない)はこんな感じ。
★雪のガラドリエル Ver1.01
18.12.15 19:55:59
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【総プレイ時間】1時間2分47秒
【戦闘回数】54回
【勝利回数】48回
【逃走回数】1回
【全滅回数】5回
【ひらめき回数】14回
【ふっとばし回数】30回
★アイスソードを手に入れた
★流れ星を見た
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【リエル】HP101 / 攻撃力40 / 防御力19 / 敏捷35
ハイウェイスター
英雄羽織
《アイスジャベリン》
《ケア》
《プチボム》
【ラナ】HP85 / 攻撃力39 / 防御力26 / 敏捷21
赤の盾
早足のブーツ
《ブレードダンス》
《プリヴェント》
《Mイレイザー》
お察しの通り、リエルがひたすら魔法を唱えながらラナを盾にする戦い方でした。クリア後にツイッター検索してみたところ、リエルとラナが二人とも物理で殴るパーティをけっこう見かけてちょっと意外でしたねー。
でもラスボスが魔法耐性ありっぽいので、自然と言えば自然なのかな? 道中は魔法使ってたって人も多い、気が、します。
エンディング
最後にストーリー面ちょこっと。
言ってしまうと蛇足ですが……。
タイトル画面とラナの耐性、それからあのエンド直前のセリフでラナの性質に気付けるところがほんと上手かったですね……。OP見直したらここでも同じセリフ言ってるんですよ。美しかったなあ……。
笑顔が嫌いっていうのは、雪だるまがたいてい笑顔で作られてるからかなあ。
暖炉を調べるとばっと飛び退く動作が挟まれるんですが、あれラナ限定かと思って試した覚えがあります。どちらを前衛にしても変わりませんでしたw そりゃそうか。
まだ泥のガラドリエルのほうはプレイしていないんですが、泥人形を生成するというシステムから察するに、リエルは自然物質から生命体を生み出す魔法を使える種族?なんでしょうかね。楽しみだな。