「着慣れた制服で久しぶりの君を迎えよう」
あの頃の君に囚われたままの前置き。
えー、今回は海底囚人さんところのフリーゲーム「Mogeko Castle」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
不思議なお城に迷い込んだ女子高生の、マルチエンドホラゲー。もとい、公式曰くバイオレンスギャグゲー。エログロリョナ要素有。公式サイト自体が15歳以上推奨。
実は記事書こうかどうか悩みました。
規約がゲーム同梱になった現在(20181219)は言及されていませんが、過去実況プレイが一律禁止だったことや作風的に、表立って取り上げるより密やかにアングラで愛でるほうがいいのかなあ等々……。
まあでも、当ブログがそこそこアングラ嗜好なことはいつも見てくださっている方なら周知の事実でしょうし、何より備忘録として書き残したいのでやっぱりいつも通り記事にします。
言い訳終わり!
ただ本作は、予期せぬところから衝撃を受ける楽しさがあるので、いつも以上の量を追記に伏せますね。
ネタバレ抜きで語れるところは一点、追いかけっこ要素やゲームオーバーについて。
基本的にゲームオーバーがエンド回収みたいなものですし、直後にコンティニューして再開できるのでかなり易しい仕様です。追いかけっこも、終盤の総当たりはやっぱり苦労しましたが、コンティニュー機能のおかげでやり直しに抵抗はありませんでした。
なのでアクションを懸念してる方は安心してプレイしてください。
残りは追記にぎっしり。
既プレイの方はどうぞ。
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では改めて良かった点など。
バンバンネタバレ飛び出ます。
容赦なく劣情と破壊欲を叩きつけてくる展開
そこそこフリゲしててそこそこ暗い作風が好きな自分だと、やっぱりこの作者様のお名前って自然と耳に入ってくるんですよね。で、絵柄など踏まえてぼんやり、ほのぼの切ない感じの鬱展開を描かれる方なのかなーと思っていたのですが……。
いやあ、嬉しい方向に予想外でした!
一言でいえば、かわいい絵柄でリョナい傾向です。誤解されがちなほうの意味ではなく、元の字義通りリョナが捗る感じの作風。
切ない作品を摂取する気持ちで挑んだので、やっぱり初めはぐさっと死角から刺されるような気持ちでしたし、ショックも大きかったですけれども。そうと理解してからは心のギアを入れ替えて、生理的嫌悪感と性欲と演出力を楽しませて頂きました。
えげつないんですよ! 褒め言葉です!!
お兄ちゃんを慕うみたいなふんわりかわいい描写を出してきたり、ほっと一息つける場所を作ってくれたり、話の通じる人と出会えたりした、直後に血飛沫ですからね。緩急が上手い。素晴らしかったです。
強・輪・虫・近親相・勢揃いのラインナップ
バッドエンド各種が性的でえげつなくて実に興奮しました。
音声入ってるの良いですよね! 確かに直接的な描写はないので年齢制限自体は妥当だと思うんですが、それ以上のエロスを感じます。暗転して水音出てたらとりあえず濡れ場みたいなあれ。
虫関係多いの嬉しかったですね~。苗床系と寄生系、どっちも網羅してくれてるのが実にありがたい。「キャア」っていう可愛い感じの悲鳴だけじゃなくて、「ぐげ」って感じの濁音悲鳴がちらほら見られたのもグッドでした。よく理解してらっしゃる!
襲い掛かってくるのが、ブーン系AAっぽい謎の生き物なところも良いなあと思うんですよ。モブおじさんならエロゲになってしまうし、いかついクリーチャーなら蹂躙要素が際立つと思いますし。得体の知れない何か。
最悪殴れば勝てそうな雰囲気で、隙があるところも良い。この得体の知れなさが生理的嫌悪感を煽ってくれるんですよね。たいそう良かったです。
顔グラ歩行グラ変化と豊富なスチル
要所要所のスチル、奇天烈なものからかわいいもの、ムラっとくるものまで多種多様。おまけ部屋で回想できるのすっごく嬉しかったです! お着替えがあるのも楽しかったな~。中学生制服が好き。
で、やっぱり見どころはストーリー進行によって変化する顔グラと歩行グラフィックですよ。終盤で一気に解放されるので、メニュー画面開くたびにわくわくしました。
さりげなく口元がにやついているなど、細かい変化から、がらっと雰囲気が変わるものまで種類も豊富。タイトル画面に近い感じの差分が一番好きです。
エンドを気にせず好き放題できる収集要素
エンドに影響しない要素があちこちに散らばっているところに遊び心を感じました。
アイテム収集が代表ですね。あちこちにアイテムが落ちていて、無限回集ポイントもあるし、取得時期が限定的なレアアイテムもある……けれど、エンドには全く関係ないという。むしろ絵を見て愛でるため? あるいは笑うため? 実用性皆無だけどあると嬉しいコレクション要素でした。
特にレアアイテム、もげ子とヨナカの違いが実によき。やっぱヨナカの下着は子どもっぽくないとね! もふもふの本もさりげなく吹き出しました。
アイテムのみならず、行動関係もそうですね。生ハム取り上げるかどうかとか、牢屋のスイッチ破壊するかどうかとか。
ちなみに私は牢屋のスイッチ破壊したうえで誰も殺さず、餓死に怯えるさまを鑑賞してニタニタしてからお部屋を出たんですが、直後に異端モゲコさんに「うわっ」って言われてちょっと罪悪感が湧きました。ロードしたら何やってもうわって言うらしい?のである意味安心しましたが。
逆に生ハムは一度も奪わなかったです。なんでなの。わからない……。
兄さんともげ子ちゃん
二人とも大好きなんですよ。
初対面のインパクトはもげ子ちゃん、根源的なCP萌えおよび性癖は兄さんです。
もげ子ちゃんから!
あれが一目惚れですよね……。見た目がほんと好きなんですよ。で、直後の表情変化百面相でもう好きなんですよ。性格がすがすがしく自己愛なところも大好き。
基本的に、理不尽で嵐に近い暴力とエゴの権化のようなキャラが大好きなんですよね。最高だなって思いました。彼女のエンドは本当ご褒美だと思います。
この作品は「言うからには絶対やる」という凄みがあるので、拷問予告や脅し文句全てにおいて、説得力があるのも良かったです。
続いて、兄さん。
公式で兄×妹CPなのありがたすぎんよ~って気持ちです。拝みました。ありがとう。二人には何かありそうだなと思いつつも、異端モゲコさんのエンドがあれだけロマンティックだったからには兄さんとの恋愛は起こらないんだろうなとぼんやり思っていたので、まさかの理想のエンドに震えました。バッドもハッピーもそう。すごい、報われました。
特にバッドは本当興奮して、震えが止まらなくって翌日の夢に見たくらい最高でした。だって追われるんですよ? 最高じゃん……。攻略対象にフリではなく心の底から脅されたいんですよこちとら。言葉が通じそうで通じない、どうしようもなく絶望しかないところも好き……。あのスチル絶対入ってますよね。嬉しかったなあ。
解釈・考察
で、ここからは全クリしてのぼんやりした考察まがいな解釈です。公式かどうかとか多数派かどうかとかは脇に置きます。いつものことです。
あのモゲコキャッスル含む夢ワールドは全部兄さんの欲の象徴だったのかなーと思うんですよね。
この発想は、おまけ部屋のプロフから始まりまして。
以下思考羅列。
もげ子ちゃんとヨナカって身長同じなんだ~
↓
もげ子ちゃんは元々モゲコの欲の解消のために生み出された&敵モゲコはヨナカの名前を知ってた&味方モゲコはヨナカを知らなかった
↓
モゲコ達はヨナカを元々狙っていた
七人のモゲコ達は異端、モゲコの本来のアイデンティティを揺らがす存在、モゲコのあるべき姿に縛られない。その彼らがヨナカを知らなかったということはモゲコのアイデンティティの中心はヨナカ。
↓
つまりモゲコ達はヨナカを凌辱するために生まれた存在
↓
もげ子ちゃんは元々ヨナカの代用品として産まれる予定だった?
↓
モゲコの欲望は兄の欲望そのものでは?
エンド名「虚構の真実」とは「虚構(現実世界にいるはずのない生物=モゲコ達)」がヨナカを犯し続けてきた理由が兄でしたという「真実(種明かし)」では?
↓
もげ子ちゃんは兄の欲望(モゲコ達)が現実のヨナカに手を出さないためのものだった?
もげ子ちゃんが予定通り疑似ヨナカとして産まれていれば、あのモゲコキャッスルでもげ子ちゃんは延々と犯され続けるはずだった?
↓
このもげ子ちゃん凌辱ルートこそが王様の語り聞かせていたお話の内容、本来想定されていたエログロ話だったのでは。しかしもげ子ちゃんがコンクリート製になってしまったため、もげ子の本来担うべき役割をヨナカ本人が行うことになり本末転倒化したのでは……。
↓
兄がヨナカから離れたのは自分の欲望が解放されるせい?
ヨナカが傍にいることで兄の道しるべになる、みたいな回想シーンは、ヨナカが兄の抑止力として機能していたという意味?
みたいな感じで頭がぐるっと一回転しました。
結論言うと、モゲコも異端モゲコもモゲコキャッスルもぜーーーんぶシンヤの内的欲望が形になったものではないかな、ということです。
虫エンドも輪×エンドもぜーんぶシンヤ兄さん! ハーレムだよやったねヨナカちゃん! みたいな。尊敬している大好きな兄さんはあんなふうに生々しくてグロテスクでエロティックな欲を君に向けていたんだよ! みたいな。
ただし前述のとおり、異端モゲコさんはシンヤの欲望から離れてしまった存在なので、ある意味であのエンドはヨナカが兄さんラブを忘れてしまう切ないエンドともいえるのでしょう。兄さんの抱えていた欲望と向き合うことをやめて逃げ出したエンド。
一方ハッピーエンドでは、兄さんの欲望と向き合う決心をします。なので、兄さんの欲望がたっぷりと現れたモゲコキャッスルへ再送されます。こっちが虚構の路なのもすごく味わい深いんですよね。兄さんが正気に戻ってもオチがあの、ああいう、どん底に叩きのめす形だったことから、あの正気に戻った兄さんこそが虚構だったんじゃないのかなあ。
前述した「虚構の真実」と違って、ヨナカの心は「虚構(正気に戻った大好きな兄という夢)」に取り残され、肉体は「虚構(モゲコ達の皮を被った兄さんのエログロ欲)」から逃れられないという意味だと解釈してます。
どうあがいてもお兄ちゃんルート! やったね!
楽園ルートも兄と向き合う流れを挟みますが、兄をコロコロすることで兄の欲望世界を乗っ取り、兄の楽園を自分の楽園に仕立て上げてしまうという形で、こっちは比較的わかりやすく解釈できるかなーと思います。
別路線としてはシンヤとヨナカが同一人物で別人格ということも考えはしたんですが、惨殺するだけでなく犯すことに違和感があったのでやめました。
……まあ。
予告があれなので言うて何一つわからないんですが。
そう、ここだけ不満だったんですよね……。あの世界は結局何だったのとか、シンヤが失踪したのはどうしてだったのとか、明言されないかつ考察に足りる材料もないままふわっと終わってしまったので。作品内の謎は作品内で解決して欲しかった気持ちが残りました。
まあでも、冒頭から夢であることは明言されていますし、悪辣な展開を輝かせることに長けているのは本編を見れば承知の通りですし。なんでもできるリョナワールドで好きな展開を全部詰め込む、みたいな形で作られたのかもなー、なんて。
はあー語った語った。
まとめると、伏線回収の仕方は消化不良ながらも、リョナが捗るしキャラグラフィック可愛いし演出えげつなくて好きだし深読みしてムラムラできる良作でした。