「ボタン一つ押させるだけでも、そこに罪悪感が生まれてしまう」
直接手を下させるって大切な前置き。
えー、今回はCOTOLIAさんところのフリーゲーム「アイするキミの居場所」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
コンプまで数時間かかるくらいの乙女ゲー。
いや~~~これはネタバレ禁止!
これはネタバレ禁止を掲げたくなるゲームでしたね!!!
とはいえそれだと需要に届かなくなるのがもったいないのも確か。とりあえず公式にある通り、ヤンデレ・ダーク路線です。で、個人的にポイント高いのは「お願いしたらちゃんと言うことを聞いてくれる」タイプなところ。お願いしたらね。
行き過ぎてるけど理不尽じゃない、おかしいけど話が通じる気がしてしまう、むしろ愛されてるんだしいいんじゃない? でもやっぱり……。このバランスが絶妙、揺れ動く感じが楽しい作品でした!
あとは全て追記に格納します!
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ネタバレ注意大丈夫でしょうか!
驚かされるのが面白い作品でしたので、事故でネタバレ踏むことのないようにだけご注意下さい!
というわけで、良かった点など。
初手のインパクトだけで終わらせない構図
まず初回、そりゃ驚きますよね、そりゃね!!
で、この作品で最も評価したいのは、この初回で驚きが終わらないところです。
途中の???エンドフラグと言い、コンプリートスチル見るためのイベントと言い、いや~最後まで飽きさせない!
あっと驚かせる発想で満足しちゃうんじゃなくて、さらにその先へ行く感じがすごかったです。
あと関連して語りたいのが、バッドエンド! なんで高校生が薬を?とか、そもそも何の薬とは言ってないよねとか、プレイヤーも気づくじゃないですか。それを逆手に取ったあのオチがめちゃくちゃ上手かったです!!
こう、策略系ヤンデレで難しいのって「先が読める」展開になると相手がダサくみえちゃうところだと思うんですよね。かといって、何一つ読ませずに進めようとすると伏線皆無の超展開になりがち。
本作はここを上手く解決して、「先が読める」うえに「物語としても楽しい」かつ「仄暗い乙女ゲー」として成り立たせているという!! ここが!!! 心底感服でした……!
SNSを使いこなす演出
合わせてえぐいくらい上手いなと思ったのが、作中で出てくるSNS、ブルーマーの使い方について。いやもうすごいリアルに「女子高生」なんですよね!!
たとえば自分なんかの場合は旧式のオタクなので、ある程度守ってるゾーンがあるわけですよ。身バレしないように学校情報や周辺地域の写真は写さないとか、どっか行くときは時間をずらして投稿するとか。そういう危機管理が無くて全部駄々洩れなとこが、あ~~今どきの女子高生~~!って感じで、リアルで好きでした。
よつばの危険性に気付いてブロックしちゃうところもそう! 荒らしや炎上慣れしてると、ブロックしたら逆に気づいてるってアピールすることになっちゃうから危ないなーって思うんですが、そこまでひねくれて考えない素直な子だからこそああなる(トゥルーエンド)んだろうなあという感じがして楽しかったです。
また、スマホを弄る指やパスワード入力をさせる演出によって、没入感がグッと高まっているところも好きでした! パス間違った時に直後に答えがわかるようになってるのも親切設計で素敵です……。
悪く言えば事なかれ、優しく言えば善人
ヒロインが弟にすごく甘いのも特徴的だな~と思います。
いやあ、シークの時点で縁を切るレベルに不気味だと思うんですよ、あの行動! でも追求しないのって、優しい以上に怖いってのがある気がするんですよね。現実を直視したくないから確定させたくない、みたいな。
きっちり叱るし関係は良好に見えるんだけど、弟に舐められがちなのも、本当にきついことは言うに言えない臆病肌が察せられてるからなのかなーとか考えたり。
そもそも槙君との関係からしてそうですよね。核心をついて平穏が壊れるのをめちゃくちゃ怖がる感じ? 何もないままでいられるならこのままにしよう、みたいな、小市民っぽさが興味深かったです。超人じゃなくて、ほんと年相応のヒロインって感じ。保守的。
だからこそメリバエンドの堕ちっぷりが映えましたね……。へへ……。一番好きだ……。
一途でギャップ萌えで純朴でチャラい
せっかくだから攻略対象のことも語っておこうかな!
記事の表でも語りましたが、自分の行動を「ヒロインのせい」にあんまりしないところが好きなんですよー! どこだったかな、俺がやりたいからやってるんだ言い訳にしちゃだめだみたいな語りがあった気がして、そこで「あっ好みのタイプのヤンデレだ」って思ったんですよね。
で、しかも、ヒロインが嫌って言ったらちゃんと止めてくれるっていう。まあ言わせないように誘導する賢いところはあるでしょうけど……。なんだろうなあ、なんだかんだ言ってもヒロインが第一で大切っていう、ピュアな恋心が根っこにずぅっと埋まってる感じがして、一途でかわいかったです。
ヒロインが押せ押せサバサバ系ならたぶんここまでこじれなかったんだろうなあと思いつつ、そしたら今度は槙君が惚れる機会もなかったかな、とかとか……。色々と考えたくなりますね……。
イメチェン前も、見た目は草食系のオタク君っぽいけど話し方はすごくリアルにいそうな男子中学生って感じで、このギャップがまた好きでした。なんだろうなあ、属性で生きてるんじゃなくて槙君っていう人間が生きてる感じがするんだよな……。
恋愛の過程は薄め、という注意書きが公式にありましたが、そのぶん病む過程が丁寧に描写されていたので当方としては大満足です。
とりあえず、顔傾けてにこーって笑いかけてくれるあの無邪気そうな笑顔が好き!
とまあ、こんな感じで。
いや~~~、意外性、ゲーム的な驚き、濃厚なヤンデレと一対一で延々と向き合い続ける圧迫感と幸福感と不安定さ、などなど。色々なものが味わえて楽しかったです!
遠慮なく「ヤンデレゲー!」と謳いたい良作でした!