「砂のお城の作り方なんて誰も教えてくれなかった」
好きなように作りなさいというそこに自由はあるのかな前置き。
えー、今回はローゼンクロイツさんところのフリーゲーム「Nocturne else...」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
VIPRPG。使用されているのはモナーキャラですが、モナーや2chネタを知らなくても楽しめます。
内容は、ぶっちゃけメガテン。らしいのですが、私がやったことあるのってデビサバとデビチルだけなのでどのあたりまでが元ネタ準拠なのかわかっていません。その点ご了承のうえでどうぞ。
というわけで、良かった点など。
終末感が際立つ山形県
ゲーム開始早々、世界が滅びます。メガテンなので。
当然、達観している人はほんの一握り。大半のキャラが動揺し、混乱し、どんどん狂っていき、終盤には阿鼻叫喚の狂乱が待ち構えています。この容赦のなさ、終末の描き方がまずとても好きでした。狂った一般人の台詞の、勢いとテンポの良さに中毒です。
マネカタが時々プレイヤーを励ましてくれるのがまた、えげつないんですよね……。人外の価値観で褒めるから、逆に傷つく時もあるという。茨道を歩く険しさ。
悪魔と人間の倫理が交錯して、混ざりあう感じが好きでした。
各自の理想をぶつける分岐
エンドは5つ。一周すればどういう分岐になっているかはおのずとわかるかと思います。これを察せる作りがまず素晴らしいんですよ! 各キャラが自分の理想を見つけていくんですが、そこに至るまでの思考の書き方がとても丁寧なんです。どのキャラの視点に立っても共感したくなるし、仮に頷けない理論であっても理解はできるように描写されています。
どれか一つの思想に染まって走り抜けてもよし、何も選ばず流されるもよし。全員と寄り添いたいのに全部は選べない、じゃあどうするか、なんて思考もエンドの一つとして組み込まれています。
キレッキレのモブ台詞
なにせ創世がメインになるので、舞台はどんどん神憑りの終末となっていきます。それに伴い、モブの台詞も狂気に当てられていき、最終的にまともな話ができる相手はぐっと少なくなっていきます。
ただこの狂気がなんていうか、すごい、アッパーなんですよね。もうキレッキレ。初めは悪魔側だけがこういう言動をするんだと思ってたんですが、どんどん人のタガも外れていって、勢いよく罵声と狂気が飛び出てすさまじいことになっていきます。
パワーワードに惹かれる方にオススメしたい気持ち。
見切りをつけやすい悪魔のレベル
モンスター合体系のゲーム、私の場合だと終わりが見えないプレイをしちゃうんですよ。その場で作れる仲魔は全員作らないと気が済まないし、枠が無限だといっぱい集めたくなっちゃう。
その点今作は柵を作ってくれています。同じ仲間は1体だけ、作れる仲魔の種類も多すぎず少なすぎず。道中で初めて見る悪魔を集めたらちょうどいいくらいのバランスでした。
技の継承もたぶんランダム、かな? ある程度やり直して厳選もできますし、あまり深く考えず進めてもアイテムさえきっちり使っていけば勝てる印象。悪魔のレベルが一定なので執着せずに済むところも助かりました。
ある程度はプレイヤーに親切設計
ダンジョン内のギミックはかなり豊富。動く床やライトオンオフなど、凝った演出が多めです。それでいて基本はゴールにたどり着きやすくなっている他、一部ではアクションギミックをスキップできる救済機能も用意されています。
また、どこでもセーブができない代わりにセーブポイントが多めに置いてあったり、移動にひと手間かかるぶん目的地がわかりやすくなっていたり。リスペクト元のゲームの雰囲気を残しつつ、プレイヤーのプレイしやすさも考慮されている印象でした。
ただトゥルーエンド後の報酬がすぐには使えない(周回プレイをある程度進める必要がある)ところは不便かな。演出等は多少まったりテンポです。
とまあ、こんな感じで。
まとめると、アトラス! でも最後に一雫の切なさと達成感を残して終わるところは、この作者様らしい味が出ていて嬉しかったです。
君も悪魔合体で最強のアリスを作ろう!
追記ではネタバレ感想。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
フリーゲーム「すでに私たちは地獄のまっただ中でした。」「さよなら、モナーRPG。」感想
ネタバレ注意。
ラスダンで出てくる敵キャラが「プレイヤー」って言われてるのも好きなんですよね。あくまで私はヒトナリを操作するプレイヤーだけど、敵として出てくるなもなきモブたちもヒトナリになれる可能性はあったのかなあとか。なんだろう、上手く言えないんだけど……。
どれだけ思い悩んで狂って強い思想を抱いたところで、神様からすれば全員が駒でありモブであり可能性であり盤上から眺め見るだけの存在。みたいな冷たさを感じて好きでした。
序盤から絡んでくるマトカの二人組の終わり方がすごく、刺さりました。あのイベント気づいてない方もいそう。キチジョウを倒した後に道を戻って話しかけようとすると見れます。何も言わずシンプルに終わるのが、絶望の強さを表しているようで、しんどくて好きでした。
初めにコトヒラルート(ヨスガ)に入ったので、他ルートでもキャラ全員倒していくんだと思っていたんですが、倒すのはあくまでコトヒラさんだけでした。力こそ正義のルートだから当たり前かもだけど、改めて考えるとすごく一貫してて好きです。頂点は二つもいらぬ!!のあのノリすごい潔くて好き。
キャラとして好きなのはコトヒラさんで、共感したいのはキチジョウなんですが、思考の一貫性といえばハスヤが一番響きました。
初手からずっとハスヤって優しい奴なんですよね……。あいつらは使い物にならないといいながらも、自分が前に立つってことは守ってやるってことなんだろうし。終盤の台詞もすごく思いやりがあって良い。好きです。ハスヤのルート(ドクガ)に行った時も、ずーっと、お前がいてくれてよかったみたいなこと言ってくれるんですよね。独りだけど触れ合わずに皆を救う、無理やりじゃない寄り添う優しさみたいなのをずっと感じるキャラで、とても好きでした。
全エンド見ましたが、BADとヨスガが二強で好きです。この終末世界観だからこそできるエンドな気がする……。
特にBADはカグツチの罵声とゴモリーの全肯定が絶妙なまでに効きました。鞭の後の飴は依存を呼び込むってわかんだね。あと、ヨスガはコトヒラが退場する流れにすごく説得力があって好きでした。
トゥルーは全ての線が繋がるものの、次の戦いへのプロローグという側面もあるので、打ち切り感をやや感じます。
次作は本作と繋がってるのかなあ。確かめるべく、なにより単純に作者様のファンとして、次作もDLを始めようと思います。