うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「鳥籠」感想

「選ばれし者を選ぶのは誰か?」

残念、神が人型とは限らない前置き。

 

 

えー、今回はDREAM of DREAMさんところのフリーゲーム鳥籠」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

復讐や解放に燃える男女を厨二文体でお送りする、鬱々とした短編RPG。クリアまでだいたい数時間くらい。

この時代にこういった展開と世界観を全力で浴びれることが私は嬉しい!! 誤解なきよう、わかりやすさ重視で厨二と述べますが私はこの単語を全力で褒め言葉として使用しています。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

難読上等の厨二病全開っぷり

 

OPの会話から早くも察せられる、圧倒的な文体。回りくどかったり熟語ばかりだったり斜に構えていたり、苦手な方は開始数秒で終了をクリックするところでしょう。

しかし、だからこそ好きな人間にとっては垂涎ものです!

どこまでも徹底して日寄らない、こういった作風を馬鹿にしたり壊したりしない、全力でこのセカイを魅せてくれる! これ自体がまずもってもう貴重なんですよ……。

主要キャラのみならず、NPCのセリフも基本的に皮肉や厭世が取り混ぜてあります。ストーリーが進むごとに変わっていくんですが、ワープポイントなどが充実&NPCの数が少なめのため、差分は楽しめてかつ拘泥せずに済むちょうどよい塩梅でした……。

 

何より注目したいのがスキルや装備品の説明文!! もう、これ読んでるだけで気持ち良くなれるくらいあちこちにセンスが冴え渡っていて好きでした……! 

「ヘクセシルト」は特に、スキル使用可能なった時の描写もあいまって、めちゃくちゃ興奮しましたね!! あと「ベグラーベン」だけ説明がなかったので調べたんですが、

「begraben:埋葬する」とのことでした。

さりげなく名前の元ネタの解説になっているところも好きです。あの世界における再翻訳って感じ。

 

 

 

べたつかずドライなキャラクター

 

主要人物の掛け合いはかーなーりドライです。思想を語り、突っぱね、時に鼻で笑い、常にほんのりとギスギスした雰囲気が漂います。

一方で根っこのところでは、互いを分かり合っている、比喩や皮肉が当然通じ合うといった関係も感じられます。決して仲良しこよしではありませんが……別種の信頼。喧嘩をするのではなくただお互いの傷を抉り合うだけ、という、乾き切った雰囲気が逆に好みでした。「慰めなんてくそくらえ」「端からする気もないけどね」みたいな感じ。

 

印象的な台詞は多々ありますが、その中でも一つ強烈なのがビリアル。彼の、それでも友達だから好きみたいなセリフが大好きでした。エンディングでもう一度これを、違った味わいで引っ張ってくるところも惚れ惚れしました。やられた……!!

 

 

 

誰も幸せになれない?

 

先んじて言えば鬱展開です。というより、登場人物たちがそもそも「幸せ」というぼんやりとして生暖かくて光に満ちたようなものを求めていなさなそうです。

代わりに叩きつけられるのは、まさに愛憎。まずは、概念的で祝福をうけた上位存在にしかおそらく理解できないであろう、「愛」。次に、自己満足で八つ当たりでだからこそ当人しか理解できないであろう、復讐という名の「憎悪」この二つをキーとしてストーリーが展開されていきます。

 

ただの復讐話であれば話はシンプルに鬱展開なんです。実際、ストーリーも暗く暗く幕を閉じます。でも、鬱ゲーと言い切るのを個人的に躊躇ってしまうのは、ここに「」の要素が加わってるからなんですよね。むしろそれが主軸であることで独特の満足感が出ているなあと感じました。

要は、作品のボリュームや私怨という動機に対して、根幹のスケールがでかくて気持ちいい! 作中で求める大空、自由の広さを実際に肌身で感じさせてくれました。

 

 

 

バトルの属性

 

バトルにおける属性は四つ。現・幻・宵・暁。

このネーミングだけでもうウキウキしませんか!?

各キャラにそれぞれ主要属性が割り振られていますが、装備するスキルによって別の属性も扱えるので、ある程度プレイヤー側で調整することもできます。さらにはかなりダメージ量が変わるので、その分敵も固めに設定されている印象でした。

MPチャージ式で雑魚戦では常に全力で戦ってOKというシステムも好き。ツクール製でエンカウント率はそこそこあったと思うんですが、バトルが楽しくできたのはここの功績が大きいと思います。

一応、ラスボス撃破時はレベル12。時間をかけてのレベリングはなくとも、道中の雑魚をきっちり倒していけばクリアできる塩梅かと!

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

他にも、特にラスダンマップの美しさや、フィールドマップの画面構成など、グラフィックもしっかりしていて素敵でした。

 

鬱々とした雰囲気や、シニカルな文体をこよなく愛するプレイヤーに強くおススメします。

 

 

 

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