「私にはまだ私がないから、私を知るあなたを導きたい」
そしていつか掌の間で私を作っていきたい前置き。
えー、今回はYellowline(さふらん)さんところのフリーゲーム「UnderGarden chronicle 」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ラスト直前にエンド分岐ありの、基本は一本道なRPG。ほんのり百合含む。大筋だけだと1時間弱、おまけ要素やクリア後イベントなどを含めると3時間くらいかかりました。
というわけで、良かった点など。
外を目指す彼女たちの話
たった一人で目覚めた少女、アシュレイ。進むうちに色んな女の子たちと出会いながら、外を目指していく……というのがざっくりとしたあらすじ。
この「外を見たい」の動機付けがいい! というのも、まず何より「エリオットに見せてあげたいから」が先立つんですよ。アシュレイは記憶がないと諸々の展開上、アシュレイ自身が強く外を求めるっていうのはまた少し違う気がするので、そうでなくて、エリオットが理由になっているところがすごくしっくり来て好きでした!
初めて出会った子という愛着もありますし、そこから流れるように百合へ展開できる点も絶妙。そこからさらに、途中の闇堕ちや覚醒イベントにもつながっていく、実に導線の綺麗なストーリーラインでした。
他にも、ヴァディスのマスターに対する強い情念や、イゾルデがラストで叩きつけてくる想いなど、あちこちに「想い」を強く感じられる作品だったように思います。
モノローグ自体は淡々としているので、ドラマティックというよりは静かに燃える炎といった感じかな?
コンセプトがしっかりしたマップ
どの階層も統一感があって、決まったコンセプトを感じられます。下水道から始まり、岩窟を越えて草原へ、屋内を経てさらには……といった具合。上に行けば行くほど変貌していくマップに、次はどのテーマかとわくわくしました。
そして注目したいのが、テーマはマップの外観だけでなくギミックにも及ぶところ! 謎解きの手法が階層によってがらりと変わります。特に淑女のマップが楽しかったな~!
『箱』という異空間だからこそできる表現でもありますよね。
各マップ名がどれもすごくカッコイイ!! ここも推しポイントです!
セーブする時にマップ名が表示されるので、それでより印象に残るというのもありますね。しかもフロアごとにマップ名が違うので、そういう細やかなテキスト差分が好きな私、大歓喜でした。
使えるスキルも変わる装備品:換装
グラフィック面で言うと、戦闘中の味方キャラのグラフィック! こちらも、等身高め?なミニキャラで可愛かったです。普段のメニュー画面ではきりりとした立ち絵が見れるので、ギャップがまた良き。
しかも物語を進めていくと、「換装」とつくアイテムが手に入ります。これはなんと戦闘中のグラフィックまで変わってくれるという、着せ替え要素有りな装備品! もちろん、使えるスキルが増えたりパラメータがぐんと上がったり、ステータスとしてもしっかり良点があります。
1周目では一種類くらいですが、やり込み要素をクリアしていくとかなり色んな立ち絵とスキルが見られました! どの衣装もすごくかわいいし、意外性のあるお洋服もあって、雑魚戦やレベリングも楽しかったです。
ここが本番ハードモード
前述の通り、本作のエンドは3種類。一応最終戦前の選択肢をロードすればすぐに回収できはしますが、個人的には2周目のプレイを推奨します。
というのも、クリア後に開放されるハードモード限定イベントのボリュームがめちゃくちゃたっぷりあるからです!!
私は周回要素があると聞いていたので、道中にあるやり込みダンジョンも2周目のためにとっていたのですが、レベリングや難易度的にもこのやり方で進めてよかったな~としみじみしています。そんなわけで、未プレイの方はおまけダンジョンも後回しにしちゃっていいんじゃないかと。
ハードモードは、最序盤だけかなりきついかな……。でもそこで死をかいくぐり回復しながら壁を乗り越えられさえすれば、あとはとんとん拍子に進められるかと思います。仲間が増える=楽になる、ですしね!
ちなみに、クリア後は「全て引き継ぎ」できる簡単2周目モードと、「引継ぎは図鑑のみ&EXP倍&敵強化」のハードモードと、まるっと一からやり直す通常モードがあります。特に簡単2周目ことリターンモードは、分岐でセーブし忘れたり、魔物図鑑をどうしても埋めたかったりする方にも優しい仕様です。これがあるの嬉しいですよね~!
がっつりやり込み裏ダンジョン!
さて、一周目でも突入はできる裏ダンジョンについて。
こちらもかーなーり腕の鳴る難易度でした~! 特にメインストーリーの方は比較的進めやすい難易度だったので、ガラッと雰囲気が変わって驚かされましたねえ。「ここの敵は強いぞ!」と警告メッセージが出てくるあたり、納得の“ガチ”です。
一方で、中に仕込んであるイベントはどれもお祭り騒ぎで楽しいものばかり。キャラ崩壊と取るか意外な一面と取るかはプレイヤー次第ということで……。
とにかくひたすらに強きを求め、ボスラッシュにうきうきと胸が躍るプレイヤーの方には是非チャレンジして欲しい所存です。
とまあ、こんな感じで。
RPGとしても百合としてもストーリーとしても、どこか納得感のある一作でした。
追記ではネタバレ感想や攻略など。ちょっと長め。
ネタバレ注意!!
【ストーリーについて】
元凶かつ生みの親が「もういない」ところがものすごーーーく好きでした!!
なんだろうな、彼女達は一貫して外に出たかっただけで、自由になりたかっただけなんですよね。このテーマに即していたのがなんだかすごく好きだったんです。
あそこでマスターが立ちはだかってしまうと、それはなんか、勧善懲悪の話になるじゃないですか。でも、手記などを読んでいると私としては、人形たちを作り続けたマスターの気持ちを悪と断じてしまうのも、それが障害とされてしまうのもなんだかちょっと寂しいなあと思っていて……。一方で、じゃあマスターがああなった原因である戦争が悪いってなると、アシュレイ達からは遠すぎて感情移入のしがたいお話になってしまうと思うんですよ。
だから、マスターに責められるべき点はあったかもしれないけど、それが「防衛システム」という無機物に転化されてくれたのが、好きでした。妄執は壊す、でも想いは壊さない。優しい話だなーと感じます。
とか言いつつ、イゾルデエンドのほうもすごく好き!
あのエンドを見るか見ないかで本作の評価はまた大きく変わるように思いますね……。
彼女達がどうしようもなく「強者に振り回される側」だと感じさせられて好きでした。「ヴァディスはそんなにバカじゃないよ」というあの台詞が刺さるんですよね……。振り回される側だって、可哀想なばかりじゃなくて、それでも望んで振り回されることを選ぶ在り方があって良いと思うんですよ。そういう視点を持ってくれているんだなと感じられるあの台詞回しが好きです!
【攻略について】
ここからは主にハードモード限定の話です。
オリバーを仲間にした状態で入れるやり込みマップ「久遠の扉」を、以下では便宜上「裏ダンジョン」と書きます。
また、アシュレイの最強技のディストートアンビエンスについて。(おそらく)魔力も関係しているので、魔力アップのスキルをかけておくと威力が爆上がりします。オーヴァードライブ&物理↑&魔力↑で5桁ダメージもぽんぽん出せるはず。
【アイテムなど】
・魔物図鑑
コンプには3周必要。B2で選ぶパートナーによって、ラスボス手前の「ガーディアンシステム」の種類が変わるため。
・コレクション要素
裏ダンジョンの闘技場の右手にいるコレクション売り。本当にただのコレクション要素なので、買って何が起こるわけでもない。が、どうせクリアする頃にはお金も余るはずなので、ちょっとした満足感は味わえる。
・ヴァディスの換装
ヴァディスの家の台所(シンク?)を何回か調べると、会話イベントの後におたまが手に入る。そのまま家の中を探索すると割烹着を入手。
他の換装アイテムと違って敵や宝箱からドロップするわけではないので、一応記載。
【おまけダンジョンや裏ボスについて】
・素晴らしき~
裏ダンジョンの闘技場のラスボス。再戦可だが初戦は負けイベント。相手からの攻撃はなく、敵からの確死技までにどこまで大ダメージを与えられるかがポイント。エンゼルブローチで確死技を逃れたとしても、一定ターン立つとまた同じ技を打ってくるので、どうあがいても負けイベント。
ダメージ量によって台詞が変わるので、特定のアイテムを狙う場合はセリフの変わり目で判断するとよい。
・魔天のガーディアン
危うく見逃すところだった。メリルとアシュレイの入れ替わりイベントが終わった後、メリルたちのいるマップから奥に行って石碑を調べると出会えます。
~ここからエンゼルブローチがないと初見殺しされてキツイ~
エンゼルブローチは3人分くらいあるといいかも
要は初見殺し技の一撃全滅さえ防げればOK
ファントム化で耐えるのもありですが自分は使いませんでした
裏ダンジョンの闘技場。負けてもゲームオーバーにはならないが、勝ったら再戦不可。
とにかく敵の火力が高いので、耐久戦しようとすると死ぬ。なんなら敵へのデバフをかけるターンすら惜しい。バフをがっつりかけて、高火力出せるアシュレイやヴァディスでぶっ叩く。オリバーのウォールが入れれると少し楽かもしれないが、入れるターンがあるかどうかが問題。
・アニマ、およびその前のボスラッシュ
裏ダンジョン最上階最奥。
ボスラッシュ三戦目:サイドにいる小さい敵を倒すとカウントダウンが始まるので、それまでにある程度中央を削っておく必要がある。中央が絶対防御を使い始めたらサイドを倒すのが吉。
ボスラッシュ四戦目:飛行敵が2人いるので、ヴァディスをドロップアイテムで換装してしまうと「道を求める者」装備時限定のスキル「裂空旋」が使えなくて倒しづらくなる罠。
・異世界三人娘
アニマを倒した後、通常ダンジョンの10層(初めてゲームスタートした時にアシュレイがいたところ)に行くといる。負けてもゲームオーバーにはならず、再戦可能。
中央の凛を倒さないと両サイドの二人は蘇生されてしまうので注意。
オリバーのウォールが切れたら死ぬ。でもオリバーを常に場へ出していると火力が足りなくてMP不足になる。仲間を入れ替えながら、ウォールを切らさないことを意識しつつ、バフデバフを駆使して敵一人を集中狙いして倒すとよい。
中央→向かって左→右の順で倒すとやりやすいかも。
【総括】
自分が調べたり引っかかったりしたところはだいたいこんな感じ。
2周目ハードモードをクリアした段階ではアシュレイがレベル60、パーティ平均は55くらいでした。が、これだとちょっと上げ過ぎた気もしているので、きっちりスキルやパーティメンバーの入れ替えを活用できるなら、55~50くらいでもいける……かも。
中にはレベル1クリアやアシュレイ単騎クリアなどを試みている猛者もいるそうです。心が強すぎる。
ノーマルクリアした段階ではほのぼのと終わったので、まさかここまでバトルの熱い作品だとは思ってもみませんでした。ハードモード限定のイベントもがっつり多めですし、ボリュームも体感で1時間はゆうに超える量だったかと。
何より、エリオットの白の羽衣、ヴァディスの道を求める者、イゾルデの黒のローブの換装が最高に可愛いので大満足!!
気になる方は是非!