うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「終わり逝く星のクドリャフカ」感想

「守る側が守られては無力を痛感するばかり」

どちらも愛するあなたのためになりたいだけの前置き。

 

 

 

えー、今回は嫌気性ネオテニーさんところのフリーゲーム「終わり逝く星のクドリャフカ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

数時間くらいの短編RPG、分岐なし一本道、隠しボスはあり。戦争で崩壊した終末世界と、壊れたロボットと、夢見るおじさんの話。

 

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

ロボットが人間型である必要性

 

やっぱりグッと来たのは、ストーリーでしたね~……! 無機質なシェルターの物置から始まり、一転、ラストではグッと広い輝きを見せてくれます。OPからガツンと用意される暗い過去、頑なに人の愛を拒むオズマ、君が宇宙へ飛び立ったということ……。

物語の導線がとても丁寧なので、感情移入もガッツリできてとても良かったです。

エンディングはボロボロ泣いちゃったなあ……。

 

作中では、ロボットを人間のように扱う事についての話もちらほらと出てきます。が、ここはあくまで副題。一番はやっぱり、壊れたロボット・オズマはどうするかというお話だったなあと……。訴えかけてくるものはあれど、スケールが等身大で、すんなりと受け入れられました。

同作者様の他作、『非行兄妹と後日談のアリア』もそうでしたが、「物語を終えてしまった人たちのこれからのお話」をとても魅力的に書いてくださる作者様だなあと感じます。

 

 

 

 

ダンジョン攻略を通じて伝わる伏線と世界観

 

マップの雰囲気はもちろんのこと、全体的に終末世界・SF感をがっつり浴びれる世界観も楽しかったです。戦闘画面のデザインや、敵をアナライズした時の分析結果もガチガチにメカメカしくてかっこいい! 敵シンボルの無機質さや、ワープした時の効果音もさりげなく雰囲気出てて素敵でしたね~。

 

メカ一辺倒ではなく、敵もマップも進むと一工夫入っていくところにも注目。順番に世界が開けていく感じがして、プレイしていて、世界観に馴染みやすいんですよねえ。レベルデザインっていうのかな、短編でも丁寧にプレイヤーをゲームへ入れ込ませてくれる感じがして楽しかったです。

 

 

 

チャージ式でスキルを発動するバトル

 

特徴的なのはバトルシステム。

技を使うにはMPの代わりに、毎回バトルでターンを消費してAPを溜める必要があります。装備で補うこともできはしますが、初手で強技をバンバン出すといった戦い方は少なくともできそうにないかと。だからこそ、雑魚戦でも気を抜けない戦いが楽しめました!

 

また、特徴的なのが低確率で出現する強敵が用意されているところ。

中でも初めのダンジョンの強敵は、ドロップ品と説明文の皮肉がすさまじくてゾクゾクしました。こういうところでさりげなくエピソードを見せてくれるの好きだなあ。

なお、事前準備なしでの強敵戦となるので、普段からHP管理はしっかりしておくのがポイントです。その点、宿屋に行くと補充されるライフポットシステムは、良調整だな―と感じます。

 

システムと言えば、ステータス割り振りも良かったですね~。十ポイント一気に貰えるので幅が効かせられるのも楽しかったし、多少のお金がいるとはいえ振り直しができるのも助かりました。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

切ない展開、ロボットと人間の愛、SFな世界観に惹かれる方におススメ。

 

 

追記では少しだけネタバレ感想。

 

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

ネタバレ注意!

 

 

 

 

・ストーリー関係

 

追記する前にも書きましたが、上手いな~!と思ったのが、ダンジョンを通じて伝わるストーリーの伏線でした。

 

まずは、OPの「野良犬に噛まれた」。

これが悪党などの比喩ではなく本当に「野良犬」であるとわかるのが次のダンジョン。そして「野良の動物」はいないが辛うじて「自然」はあり世界が再起する余地があるとわかるのが最後のダンジョン。そして、この半端な土壌でどう暮らしていくのかがというEDに繋がっていく──。

この、全部繋がってる感じがすごく気持ち良かったです!

 

続いて、ラスボス。

これも初めのダンジョンで死兵の人工知能について明かされるのが効きますよね~! ダンジョン内の本棚に在るボスのヒントも秀逸。「10代女性の脳を使った影響か……」みたいなあれ。あの文章、あれだけでもかなりエグイ世界観が表現されていて好きだったんですが、それがさらにラストへ繋がるところにもう感服でした。元の脳の持ち主の思考が出る、あのラストにものすごく説得力が出てくれるんですよね……。

 

 

もうこの二つが自分としてはかなり大きくて、エンディングの感動や没入感がぐっとましたなあと思います。

 

 

 

 

・エンディング

 

オズマを人として扱うことをカミオカ自身が残酷だったと感じていて尚、エンドでそれでも「力を貸してくれ」と人扱いするところが好きでした。それの答えが「手伝う」なのも好きで、「使う」といった道具を思わせるやり取りではなかったところに、ジンと響くものを感じます……。

一方で、エンドロールにはタカクラの姿もあって、道具扱いされる側もそれはそれで滅ぼされるわけではないところに安心を覚えました。極端じゃなくて、色んな考えがあるところが好き。

 

あとBGMも好きなんだよな~! 辛くて苦しい展開から一転、パッと光の方へと開けていく結末がとても力強くて素敵でした。

 

 

 

 

他にも、レア装備がこっそり隠れていたりNPCとのミニイベントがあったりと、RPG好きの心をくすぐるギミックが各所に用意されていて、短編でギュギュっと濃密に楽しい一作でした!

ばいばいサマー!