「話し相手の存在は潤沢な物資以上に心強い」
心が折れれば身体も折れてしまうものな前置き。
えー、今回はPixel_Note(三條)さんところのフリーゲーム「ナントカ三術将2.5 ジーンと夢の島」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
この作者様恒例、前作セーブデータの引継ぎシステムもあるので、未プレイの方は是非シリーズ通してのプレイをおススメします。
本記事も、1・2の既プレイ前提でお送りしますね。
過去作品の感想記事はこちら↓
というわけで、良かった点など。
何が起こるかや軽い展開のネタバレはしておりますので、未プレイの方はご注意ください。
1に原点回帰するようなシステム
ガチャに似た形式でエレメントを召喚して、どんどんアイテムを集めていくというのが本作のおおまかな流れ。2.5と銘打たれてはいますが、プレイ感は1に近かったです。
ラストだけは運に左右される部分は大きくあるものの、プレイヤー側で効率を引き上げる「強化」というシステムも導入され、グッと遊びやすくなりました。
基本的にはポチポチしてかわいいエレメント達にキャッキャしつつ、ジーンとエリスの行く末を見届ける感じになります。
コレクションをコンプリートはしなくてもエンディングは見れますし、クリア後も集め損ねの回収はできるのでご心配なく。
一周目は確定バッドエンド
本作は周回プレイと言う概念はありません。が、いったんは確定でバッドエンドに突入してから、セーブロードのような形でトゥルーエンドに辿り着くような構成をしています。
正直言えば、初めはこの展開にすごくもやもやしていました。選択肢で回収するという形なら、私は迷わずバッドから見るタイプではあるんですよ。なので、そういう引っ掛かりではなく……心構え?なのかなあ……うーん、はっきりと理由が言語化できないのですが、とにかくもやもや。
ただ!
改めて思うとああいうバッドエンドな展開に強制で突っ込むのは、なんか、すごくこの作品らしいなあとも思うんですよ。シリーズ通して、三術将ってキャラの短所もガンガン魅せていく作風だと思うんですよね。だから、あのバッドエンドはジーンの弱さ、短所の表現でもあって、そこはもうプレイヤーが介入できないくらいに決まってることなのかなあと……。
さらに言えば、「もっかいやり直す」が許されるのも「夢の島」らしいのかなー、なんて。
いつまでも眺めていたいデフォルメエレメント
今回特に注目したいのは、コレクションのアイコンの可愛さ!
今までの、全身画像?でも十分に個性的で可愛かった彼らですが、今作はぎゅぎゅっとミニキャラになって図鑑のページにきゅむっと収まってくれています。もうこれが、もう、かわいい!!
なんだろうな、食玩とかフィギュアとかにされたのを並べて拝みたくなりました。
さらに嬉しいのが、セーブデータのアイコンに召喚したエレメントを設定できること!!! アイコンもウィンドウカラーもそうですが、ちょっとしたオプションがすごく豪華なの、ありがたいし嬉しいです……。しみじみ……。
図鑑の文量は今回も健在
本作恒例、図鑑に載ったエピソード!
もちろん今回も、エレメントとアイテム、どちらにもちょっとしたミニストーリーが付いています。
アイテム側はキャラクターのエピソード、エレメント側は世界観や魔物の生態など、内容が分かれているのも良かったですね~。書き手がジーン故の微笑ましさもあって、読んでいてとっても楽しかったです! ここは詳しくは追記にて。
とまあ、こんな感じで。
シリーズ愛好家には嬉しいスピンオフでした!
追記では全力ネタバレ感想。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ネタバレ注意!
エンディングについて
あの結末には正直驚かされて、「えっそれアリなの……?」と呆然としました。
1のジーンのシャドウにしてもそうですが、たまーにものすごくドライですよね、このシリーズ。それでもある意味、神様ならではのスケールの大きさ、価値観の違いが表現されていて良かったです。
1・2が少年漫画や人間ドラマな雰囲気だった分、今作はけっこう雰囲気が違ってたかなーという印象。熱さよりも、弱さと向き合う感じを受けました。
コレクション
さすがに全部は難しいので、印象に残ったもののみ。
アイテム
・目覚めのハーブ
説明文が「眠れなくなる」じゃなくて「寂しい夜を過ごす」なのがすごく好きです。私的かつ光景が目に見えるようで好き。
・傘
イグニスの謙虚さと、我が強いように見えて「イグニスに似合う色を」とコーディネイトを優先させるジーンの誠実さ、両方が感じられて素敵なエピソードでした。
・タル
ドグレ大暴走回。守影術ってすごく独特な設定なのでそれ関係の話ってだけでも面白かったし、もっかいやり直す魔王様にもほのぼの。
ドグレが片手落ちなところも「優秀になり切れない」部分がよく出てて皮肉が効いてますよねえ……。
エレメント
・コート
「砂を蹴った」のオチがシンプルに笑いを誘ってくれて好きです。光景が目に見えるシリーズその2。
・ナッソ
「フフ……」にこっちがフフっとなっちゃう。書き手がはっきりジーンだなあとわかるエレメント解説文が好きなのかもなー、とふと思いました。
・スパッキー
ジーンの「大丈夫かなあ」がどんどん膨らんで「こうだったらいいなあ」のめくるめくドラマになっていくのがすごくほのぼのしました。かわいい。
・マダリット
この考え、まさに三術将にも通じますよね。好きな考え方です。
と、こんな感じで!
やっぱり舞台や世界設定、生態系などが面白い作品だなーと改めて感じました!