「なんでも映す素敵な鏡はその言葉も本音だとわからせる」
誉め言葉は世辞じゃなく素直に受け取っておいた方が得な前置き。
えー、今回はつくりてっく(パルソニック)さんところのフリーゲーム「鏡のマジョリティア」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ルールのまったくわからないカードゲームを解読しながら突き進む、友情物語。
私は11時間でクリア。公式の想定プレイ時間は8~10時間とのことなので、私はけっこうまったりプレイヤー寄りですね。
それでも本当に時間を忘れて、なんならゲームから離れているときも「もしかしてあれは……!」と考えて込んでしまうくらいには夢中になった作品です!
というわけで、良かった点など。
何なんだこのゲームは……!
カードゲーム(以下TCG)、マジョリティア。
主人公TAIGAが、タイガの影武者としてマジョリティアでデュエルしていく、というのが主な導入です。
プレイヤーも主人公もルールがさっぱりわからない中、デュエルを進めていく……。果たしてTAIGAは正体を隠し通すことができるのか。そもそもデュエルってなんだっけ!?
実に興味をそそられますね! そそられた結果がこの記事です! わはは!
面白いのは、TCGでありながらミステリ×ループものの文脈も加わっているところ。
プレイヤーは、見よう見まね・推理・推測・ハッタリ・知ったかぶりなど、ありとあらゆる手で挑むことになります。デュエルに勝つことは大事ですが、まずデュエルを成り立たせねば話が進まないのです。
まさに暗中模索、試行錯誤。とっても楽しかったです!
無理難題……いや?
驚かされるのが、開始5分で「無理ゲー!」と叫んでいたはずなのに、その数分後には「いや、意外といけるな……?」と思えていたこと。
ヒントの出し方が絶妙なんですよね。顔グラ差分が多く、セリフのニュアンスが汲み取りやすいというのもあるかも。
章ごとに答え合わせがあるので、少しずつ達成感を得られるのも嬉しいです。学校の勉強と同じで、「わかる」が少しでも積み重なるとすごく面白く感じるんですよね……。わからない用語も保留していいよ、とプレイヤーの肩ひじを和らげてくれる良い構成でした。
また、各種遊びやすいシステムがたくさん用意されているのも大きいです!
知らない用語は自動でストックされて、メモと色分けが可能。会話は全て回想出来て、特定の用語が出てくる部分だけ抽出できます。
この手の推理ゲーで紙とペンを用意することなく画面内でメモが完結するの、ほんっとうに遊びやすくてありがたかったです! 視野のブレは思考のブレにつながりますからね……。
まとめると、無茶苦茶振りゲーに見えて実はユーザーフレンドリーな作品です。ご安心あれ!
カードをめくる面白さ
ただの用語を解読するだけではありません。
カードを触って動かすのもまた、TCGの大きな楽しさです。
そう、本作はカード操作も自分でやらなければいけないのです! 当たり前だよなあ!
もちろんどのカードをどこに置くかなんてのは、見て学ぶもの。ここは特に“ゲーム”でしか表現できない面白さでしたね~。
ちなみにカードをたっぷり味わった後は、一部操作の省略もできるようになります。デジタルの楽さと、アナログの面白さ、両方の良いとこどり。
難しい推理や試行錯誤を要求されるからこそ、本筋でない部分や慣れてきた部分はシステムがカバーして、どんどんフォローも手厚くなっていくのを感じました。信頼できるつくりのゲームだ……!!
むにむにかわいい絵柄
TCGと言えばカードの絵柄やフレーバーテキストによる物語性も楽しみの一つ。絵アド(グラフィックの魅力によるアドバンテージ)といった言葉も存在するほど。
その点、本作はグラフィックも良い!
それこそ私は起動してすぐ、タイトル画面の鏡の魔女のもちもちほっぺ具合に、かわいい~!とメロメロになってしまいました。
絵柄自体はキュートなんですが、シリアスもかわいいも老若男女も全部描けているのがすごいところ。
また、図解という意味でも卓越しているグラフィックが多くみられます。このイラストはこういう状況なんだな、というのが一目でわかる……。地縛霊シリーズの鬱展開っぷりが大好きです。
総じて、画力が高い!
性癖が滲み出ている展開
ストーリー自体は一本道でエンディングも1つ。
ですが、道中ではつい選びたくなるネタ選択肢が用意されていたり、デュエルの勝ち方自体は複数あったりと、枝葉までガッツリ遊びつくせる作品でもあります。
かく言う私もつい2周目を遊んでしまったり……。オートセーブでもセーブスロットが複数あるの、嬉しいですよね! クリアデータはそのままでニューゲームできるのってとても貴重……。
ちなみに、同作者様の他フリーゲームを遊んでいると察せられるんですが、幼女への劣情が漏れ出ている作品でもあります。おしりぺんぺんとか、かわいそう展開とか。
私はそうと知らずに遊んだので、予期せぬところで仄暗いシチュエーションが飛び出してきて思わずテンションがぶち上がりました。好きなもので……恐縮ですが……。
といっても、明るく元気で笑えるシーンの方がずっと多かったので、苦手な方もご安心を。あくまでここを需要とする方へのプラスアルファとして書き添えておきますね。
決め台詞やタイトル回収が気持ち良い
全体的にカードゲームアニメのノリを感じました。
友情パワーでみんな仲良し、みたいな。いっぺんしっかりシリアスを組み込んでダークサイドに堕ちかけるところもそんな感じ。
観戦者が「なにっあのカードは……!」ってざわつくノリとか、私大好きなんですよね。普通のTCGではプレイヤーと対戦相手が1対1で向き合うだけになりますが、本作は周りの声もしっかり聞こえてくる表現がされるので、盛り上がりがひとしおでした。
お決まりのセリフや各話ごとのタイトルコールなど、アツイ要素がたくさん! 伏線がそのまま演出にもなっていて、とっても楽しかったです!
とまあ、こんな感じで。
カードゲームが好きな方も、グラフィックにひかれた方も、ちょっと風変わりなミステリやループものを遊びたい方も。是非、マジョリティアを知ってくれたら嬉しいです!
追記ではネタバレ感想。
印象に残ったデュエルや好きなキャラ語りなどをガッツリしていきますので、よろしければ「続きを読む」でお付き合いください~!
攻略面でもストーリー面でもネタバレ注意!
印象に残ったデュエル
1日目
開幕からドンッで用語が溢れるの爆笑過ぎませんこと!?
あの勢いとTAIGAの反応が最高すぎて、ケラケラ笑ってプレイを中断しちゃいました。面白すぎる~!
ゆったりじっくり1つずつ解説していくゆるめのゲームも遊びやすいですが、プレイヤー側が全力を出して挑みかかれると信頼させてくれるゲームも良いものですね! さあかかってこいと腹をさらけ出されているような、強者の貫録を感じました。神ゲーの予感しかない!
3日目ホーグル戦・風の魔女
あとがきの通り、序盤最大の壁。
私はver104の時に遊んだんですが、プロンちゃまのアドバイスを受けてもなおその状況をどう導けばいいかわからず、かなり悩んだ覚えがあります。
今はもうちょっとヒントが増えているとのこと。細やかな調整に頭が下がります……!
余談ですが、ホーグルは片メカクレ・ギザ歯・苦労人な過去があり、と属性盛り盛りでコアな人気が出そうなキャラだなあと思っています。アニメ化したらホーグル回でファンアートがすごく増えそう。
ベルマ戦・水の魔女
無口忠臣キャラとか好き好き大好きに決まってます!
マジック回数カウントしてくれるの優しくて好き。謝罪を入れるところもそうですが、理不尽な人ではないんだよ~と察せられるセリフが光りますよね。
デュエル自体は刺さるカードがわかればあっさりなタイプ。
7日目1戦目・愛の魔女
終盤最大の壁でした。
どうあがいてもギシアンが阻まれる~!と暴れ回った覚えがあります。しまいにはSNSで泣きついて、通りすがりのマナフリーなライセンサーに助けて頂きました。ありクイ……!
バックスペラされたソウルはもうスペラできないと思い込んでしまっていたのが主な敗因。また、ここで初めて相手のジェムがエンチャントされているかを意識してミラーソウルやミラーマジックを警戒することを覚えました。
ここにきてまだ学ぶことがある、すごいゲームだ……!
7日目2戦目・時の魔女
回答はわかるがタイミングがわからない!
スクショを撮りながら相手の動きを見つめる試合が多かったです。
最期のトリデが出てきたときは、「そりゃ対抗策考えてくるよね!!」と歯噛みすると同時に、トリデのまさかの結末に熱くなったのを覚えています。試合そっちのけでカードのストーリーを見返してしまっていました。わはは。
7日目3戦目・無の魔女
裏マナダウンでクリア。
あとがきを見て、むしろあれはちょっとイレギュラーな勝ち方だったんだとわかって驚きました。
前2戦と比べてかなり楽だった印象です。カプ厨としては彼がプロンちゃんと戦うためかなー、とか妄想しつつ、ライセンサーが手を抜くなんてありえないだろと自らを叱咤しつつ。
解法が多い分攻略しやすい形になっているのかもしれません。ラスボスもこの後に待ち構えてるしね……。
7日目ラスト・雷の魔女
初手リッチは基本戦法になっていたので、初戦からイイ反応をもらえてギョッとした覚えがあります。不公平な女神様も同じく。真の意味がわかったのはマナダウンで敗北してから。
また、アンラブの答え合わせがてらセイキンをスペラしたら見事にダメっ子扱いなご反応を頂いてときめきました。えへへ。えへへへへ。
状況を失念したんですが、お相手が「幸せな地縛霊」に「ナリカワリ」をスペラしてくれたことがあって、特殊反応がかわいらしかったです。ただ基本的には余力があってもこちらからのスペラを最小限にして、ララを防ぐことに注力しました。
私はスペラアウトで勝利。これも別解寄りっぽいことがあとがきで察せられて面白かったです。そういえばこっちからアタックする発想は抜けてたなあ……。
エピローグ
ラストのカタルシスをどうつけるのかなあと気になっていたんですよ。
ミステリのお約束って、最後に探偵役が推理を開示して全部が明らかになってウオオ気持ちいい!の流れだと思ってるんですね。実際、同作者様の他作品『消えたリリーと呪いの館』はまさにそんな感じでした。
一方、本作は用語の答え合わせがエピソードごとに行われるので、最後にでけえ花火を打ち上げることができない。さあどうくるのかと……。
ドキドキしていたところに、あの選手スピーチですよ!!
もう、最高! さすが! 想定される懸念に対応策を用意するのがTCGですもんね!!
畳みかけられる用語は、プロローグで愛の魔女がシャッフルされた時の「ダンッ!(メモに枠に羅列されるカタカナの数々)」を思い出して、なんだか懐かしさにじんと来てしまいました。
あのスピーチが読めるようになっている。
デュエルを重ね、メモを書いては消し、頭をフル回転させたからこそ。
経験を積んで強くなっている。
とっても“ゲーム”らしくて、大好きなエンディングです!
書ききれなかったこまごま
ネタバレになるので表に書けない好きだった点など。
タイガ周り
タイガくんのあのスチルだーいすき! あの赤と黒のTHE強者のスチル。ホラーではないはずなのに出てきたとき震えあがりましたからね。最高でした!
彼は広くとらえれば闇堕ちショタなのかもしれないんですが、理性的ですし、楽しいを突き詰めた結果の中毒者という感もあって、なかなか絶妙な塩梅だなあと感じています。
お母さんとタイガの確執がまだ残っていそうなのは気がかりですが……。
父から受け継いだ鏡の魔女で、母が手掛けたTAIGAがタイガを破った構図は、ある意味で両親が道に迷ったタイガを救ったと言えなくもないのかな、と解釈してみたり。
いやまあ、一番は私とTAIGAとお友達のみんなによるものなんですけどね! ふんすふんす。
タイガくんがお友達と遊んでいる普段のシーンも見てみたいですね! 当時は大人びたお兄さん役のポジションだったのかなー、なんて。
それこそマジョリティア2とかあったらやってみたいんですが、ゲームコンセプト的に難しいと思うので、アニメ鏡のマジョリティア2期の妄想をしておくことにします。いやーベルマのスパチャがあんなところで繋がるとはなあ(幻覚)。
チータとプロン
チータとプロンちゃんのおにロリ関係が大好き!
チータさん側からすると、マナフリーな会話をフリフリしたら変な顔するでもなくコンコンしてくれるプロンちゃんの存在はとっても嬉しかったのではないかなあ。通じ合えるってコニコだよね。
モッキーとベルマ
本作のリョナ(軽微)要員。
熱血友情アニメな展開だと思っていたので、まさか少女の嘔吐が見られるとは思っても見ず、不覚にも立ち上がってしまいました。なんと……!
モッキーを追い詰めたベルマが、淡々としていたのも好きポイントの一つです。やってやるぜ~みたいな厭さがないので、モッキー側の異常が際立って良い。むしろあのシーンのベルマはどう思ってたんだろう……。
直前までのモッキーはちょっとおませさんな雰囲気でTAIGAにグイグイ来るのが少し苦手だったんですが、恐怖失禁やストレス嘔吐シーンなどのおかげで受け入れやすくなりました。
……こう書くと私がとんでもない外道だな!? 好き勝手やる明るいだけの子じゃなくてその裏に一生懸命な事情などがあるとわかって良かった……いや性癖に刺さる点もあったんですが……みたいな……はい……。
魔女たち
魔女側のエピソードでも一本作れそうな骨太さですよね。
こっちもこっちでおいしい関係性がいっぱいでニヤニヤしてしまいました。光の魔女×闇の魔女は絶対みんな好きになっちゃうやつじゃん……!
「ギューのひらめき」にキャッとなってしまったのも良い思い出。加えて単眼好きなので、ラストバトルで単眼キャラの百合が見れたのにもテンションが上がりました。端から端まで私の嗜好に優しい作品だあ……!
総括
こうしてデュエルを見返してみると、やっぱり直近で勝てた戦法を試していくスタイルになっているのが見て取れますね。人間は学ぶ生き物であり、初心を忘れる生き物でもある……。
別解があると試したくなりますし、再戦ができるのも嬉しかったです!
マジョリティア。誰も知らなかったはずのこの名前を、今はSNSでスペラするだけでリアクションしに来てくださる方がいらっしゃるのは、なんだかコニコですね。みんな、解読してここまで来たんだな……。
この記事もマジョリティアを愛する方々や、まだ見ぬスペラ―の方に届くことを願って!