うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

合同フリーゲーム「シュトラールと少女」感想

「親善大使たるもの不眠にも異文化にも負けず立ち向かうのです!」

せめてマイホームは残して欲しい前置き。

 

 

えー、今回はhalfさん主催の合同フリーゲームシュトラールと少女」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

男女恋愛ノベル、各ルート一本道。豪華乙女ゲー製作者様方による、合同誌ならぬ合同ゲー。共同制作というのとも少し異なり、各自の短編がより集まって中編のボリュームになっているという、アンソロジー的な作品です。

 

というわけで良かった点など。

まずは共通で言えるところから挙げていきますね。

 

 

登場キャラが全員異種族

 

人型なので人外というと語弊があるかもしれませんが、羽根・耳・尻尾・ウロコなどなど、その手の趣味の方にはたまらない作品かと思います。

異世界トリップなオープニングから始まり、色々な文化の違いや感覚の違いが感じられるのも興味深いところ。しかも書き手様が複数人なので、色々な設定を幅広く楽しめました。

意外なキャラ同士が仲良しだったり、ルート外での彼らの生活がほんのりと感じられるのも面白いところ。それぞれの個性をどう生かすかという試みを感じられた気がします。

 

 

共通の背景と基本設定

 

そのうえで、どのルートにも共通して統一感を感じられたのは、やはり背景画像やBGMのおかげかなと思います。中には「この方と言えばこれ」と言いたくなるような個性のある作者様もいらっしゃるのですが、突飛なルートはなく、どれも持ち味を最大限に出しつつも調和のとれた短編集に仕上がっているなあと感じました。

プロローグとエピローグが共通で、ある程度方向性が定まっているおかげかもしれません。過去、人間と妖精たちは戦争をしていたというハードな設定もありますが、基本的にはほのぼので前向きな話が多かったかなーと思います。

 

 

各ルート4話、スチル1枚構成

 

だいたいの骨組みも共通で、番外編等の違いはあるものの、大筋は4話でスチルが1枚ついてくる構成となっています。このスチルの使いどころにもまた個性がありましたねぇ。

シーン区切りで一話が終わるルートがほとんどなので、ちょこちょこ中断しながら隙間時間でプレイする派の私にはとってもありがたい構成でした。

ただ難点、今何話目なのかがわからないのがちょっと不便。常に画面表示で何話目か表示してくれたらより有難かったかなーと思います。それこそスチルも1枚だけだから表示されていても画面の邪魔にならない、はず。

 

 

 

と、共通する点はこんな感じ。

初めから作者名は開示されているので、興味のある方のルートだけ拾い読みすることもできはします。

が、私自身作者様を知らなかったけれどすっかり惚れてしまって以降ファンになったルートもあるので、個人的にはやっぱり全クリをおススメしたいところ。

 

 

追記ではネタバレがっつりで、各ルートの感想を書いていきますね。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事は、おそらくありすぎるので割愛。ご興味ある方は、(PCの場合)右柱の検索窓から作者様のサイト名でご検索くださいませ。

 

では、以下はネタバレ。

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意と共に、

複数人の参加作品だからこそ気を使うべきなのだろうとは思うのですが、やっぱり合う合わないがあり、当たり障りなくとどめようとすると逆にベタ褒めが浮いて妙に胡散臭い文章になってしまったのでもう正直に書いてます。この時点で嫌な予感がした方は避けたほうがいいかも……。

 

とりあえず先におススメどころだけ書いておくと、

 

  • とにかく萌えてときめいて大好き! → ダフネ
  • ヒロインとのCP関係が一番好き → ルキ
  • 万人向けでまずおススメしたい → キロク、タミア
  • ラストにプレイして良かった → フラン

 

という感じです。

 

 

以下、ルートごとの感想。

とりあえずプレイ順ではなく種族順で書いていきますね。

 

 

 

 

有角族

 

 

<ルキ>

 

二人の互いの距離の詰め方が微笑ましくて、読んでいて応援したくなるルートでした!

これからの話についてはご想像にお任せ、という塩梅も素敵です。二人が互いを大事にしながらスローペースで仲良くなっていっているのは読んでいれば伝わるので、結論を急がず、彼ららしい長さの良いところで区切ってくれたなあと思います。

 

あくまでルキは人嫌いではなく言葉をぱっと出すのが苦手なだけということや、心根はとても優しい男の子であるということが早期に明かされていたのもグッド。

後になって言いたかったことをまとめてきてくれたシーンがすごく好きなんですよ。誠実で良い子なんだなあっていうのが行動で伝わってくる感じ! 

ルキのことがどんどん好きになれるような構成だったなあと思います。

 

あと、あのスチル。これはときめきます、そりゃ惚れます。

ずるい!ずるくはない!好き!

爺様のくだりはややトントン拍子すぎて違和感がありましたが、そっちが本筋でないことは理解できるのでよく考えればそこも良い尺の取り方だったかも。

 

 

 

<アマギ>

 

随所のシーンは良いものの、流れが合わなかったです。

というのも、私は人外や異世界ものにおいて「相互理解」「違うもの同士がひかれあう姿」みたいなところに萌えを感じるタイプなのに対し、このルートは終始ヒロインが自分の価値観を押し付けて駆け出してご都合的に終わるので合いませんでした。

アマギ側からもう少し、一人が自分も嫌だというアピールがあればすんなりと受け入れられたのかもしれません。

逆に言えば、周囲の反対にも負けず愛の手を伸ばして見事結ばれるロマンティックストーリーが好きな方はめちゃくちゃ合うはず。

 

あと、初めての友達がアマギだから~という台詞があったんですが、他ルートのキャラクターとも親しくしている描写が多くあったので、やや主人公の原動力の理由としては欠けるなあと思いました。序盤の積極的にいこうと決意するシーンとは繋がる流れだと思うので、このルートこそ同作者様の他キャラであるサリーみたいに攻略対象とヒロインの一対一で向き合わせてあげたほうが良かったのではないかなと思います。

 

この世界観だと子どもの姿で長命なんていうのも普通に起こり得るかと思っていたのですが、無難に子ども、というか幼体? でしたねぇ。

成長のギャップとか、大人になるとちょっと強気でしかも独占気質っていうのは良かったです。スチルも恐怖と美しさが両方感じられるもので、そういったポイントは好きでした。

うん、スチルはこのルートが一番好きだなあ。幻想的に怖くて、素敵。

 

 

 

<キロク>

 

乙女ゲーをしている……!と強く感じたルートです。攻略対象が積極的にこっちに来てくれて全体的に糖度高め、ヒロインも前向きで隙が無い。

ヒロインの書かれ方がすごく好きなんですよ。プロローグから違和感なく繋がって、アムが癒し系だけど実用性はない点にも触れてくれるおかげでプレイヤーの代弁もしてくれて、ある程度翻弄されつつも見定める時にはきっちり言うこと言っていく。序盤にアムを下げたぶん、ラストでちゃんと迎えに来てくれて株を持ち直してある辺りも丁寧ですよね。

また、最後にヒロインの目的へお話が戻ってくることで、次のキャラを攻略しにいくモチベもあがるなあと思いました。このルートのヒロインはキロクと結ばれるんだぞ、と暗に示して終えてくれるのも嬉しいところ。

 

キロク本人については、なんかもう照れ顔が可愛かったです。同じように近い距離になっても、顔グラの違いやちょっとした反応でヨミとキロクがかなり「別人」なんだと感じさせてくれるところが上手いですよねぇ。この後ヨミがどうなるのかという点だけは気になりますが、あくまでヨミのアピールはキロクの本心ということで主体がブレなかったのはとても良かったです。

とにかく誰にでも受け入れやすく読みやすい構成で書かれているなあと思いました。

 

 

 

精霊

 

<プロローグ>

一応、公式のアムの扱いは精霊のようなのでこの枠で。

批判的に書きます。

くどい! 本題までが迂遠! 不要なあいづちを減らすだけでも尺は半分で済んだと思います。メインは中身とはいえ、第一印象となるからこそ惜しいところ。

妖精たちにわいわい騒がれるシーンは、世界設定が感じられたので良かったです。

 

 

<ヤ・トトゥカン>

 

名前の響きがすごく好き。

こういう異世界的というか、架空言語風の響きって良いですよね。

それに見た目もめちゃくちゃツボです。瞳の色が変わったり、前髪の辺りは月夜みたいなのに根元は太陽みたいなグラデーションがかかっていたりするところも、神秘的ですよねぇ。なかなかお目にかかれない拘束衣なのも嬉しいところ。

元々アークのルートを通っていたというのもあるかもしれませんが、このルートではゲストキャラもシナリオと干渉せず、かつそのキャラらしい動きをしてくれていて好印象でした。ただの賑やかしじゃなくてキャラの個性が見えると、ルートのキャラもゲストキャラも両方好きになれちゃいますよね。

ちょこちょこヒロインの素の毒舌が見え隠れしますが、トトもトトでマイペースに振り回すタイプなので、二人とも対等で良かったのかもなー、なんて。

 

 

 

<シェル>

 

「うわぁ……」から「おお……!」という変化が面白いルート。

ヒロインがまっとうに帰還条件をクリアしたルートをここで初めて読みました。舞台装置だけで終わらず前提条件をやり遂げてしかも恋愛の盛り上がりに組み込む手腕が凄いなあと思います。

 

加えて、シェルもヒロインも共に成長していくのが見ていてとても微笑ましかったですね! ヒロインが皆と仲良くなる≒信頼される、というところから、初めは胡散臭い印象だったシェルの話に繋がっていくのも読みやすかったんですよ。本当にこう、“お互いに”を感じるルートでした。

 

このままだと友愛で収まりそうだな、と思ったタイミングでハグイベントが起こったのも驚きでした。ちょっとしたシーンで男性を意識させるの、もう、終始上手いんですよねえ。シェルは性別を感じさせないタイプの美人さんに見えるので、なおさらグッときました。

 

あと、キャラの一つの個性が色んな側面から見えるのも良ポイントだなあと思います。ナルシストなのも、色々知ったあとだと他の面での自信のなさからくるものかなとぼんやり感じられますし。

立ち絵だと照れ顔がやっぱり好き!

 

 

 

<ダフネ>

 

見た目がまず大本命です。メカクレわぁい。喋り出すとあの立ち絵のポーズもなおいっそうしっくりきて、ますます惚れてしまいました。

初めは妖精の話を聞いて、不老不死な時点で人を避けるのは当たり前だろうと思ってたんですよ。むしろ賢いなあと思うくらいだったので、感情移入するのも完全にダフネ寄りでした。ヒロインを偽善と感じてしまっていたところも……。

 

でも、最終章でガラッと感じ方が変わりました! 

ヒロインがああいう性格だからこそ、でしたね! 

 

最終章のあの問いかけ、なぜ優しさを隠すのかという疑問の回答がシンプルなたった一言、「救えないから」なのが本当に好きなんですよ。あなたの気づかいだから、なんて甘いことを言ってくれそうなヒロインが、あのシーンでバッサリと本質を突いてくれるところ。迷いなく言い切る姿が胸に来ました。

それで、最終話に来てようやく、ダフネの諦観を壊すというテーマが届いてくれて。やっとやりたいことが分かった感じが、すごく嬉しかったんです。ヒロインは自分を押し付けて救済しようとしているんじゃなくて、ダフネの否定ではなく肯定として彼を救おうとしてるんだなあと……。わかって改めて振り返ると、確かに今までの流れにも一貫性が感じられていっそう好きになれました。一本筋通ってる話、大好きです。

 

後日談もとい番外編も大好きなんですよ!

「それ、僕の」惚れるに決まってるんですよ!!

あとものすごくピンポイントなんですが私不老不死兵みたいな設定が大好きで、どういう戦い方をしてたか、過酷な状況があのキレッキレのひねくれ節で聞けたのもすごく嬉しかったです……!

まとめるとダフネがすごく好き。

 

 

 

獣人

 

<サリー>

 

初めに攻略しました。

見た目がけっこう異色に見えたのと、ダークっぽい雰囲気だったのでお試しで。

悪魔的な見た目とは裏腹に、展開は糖度高め。この辺りのギャップも、彼が受けている扱いを印象付けるためのものかもしれません。

 

合わなかったところとしては、初対面がマイナスなイベントから始まるのにヒロインからサリーへの好感度が高いのに違和感があった点と、番外編で語られているとはいえご都合主義に見えた点。サリーが過去話をしたところで、主人公にも思い出せないような辛いような~みたいなモノローグがあれば良い伏線になっただろうになと思います。

 

良かったところはシナリオの単語選び。

寺院、修行僧を意識づける言葉遣いが多いんですよね。女人とか。邪眼にまつわる設定も興味深かったです。あと首に下げた鐘が鳴る演出自体は良いなあと思いますが、特に序盤は賑やかすぎたかなー、なんて。

 

 

 

<タミア>

 

他ルートと比べると恋愛というよりは友愛寄りかな?

プロローグな部分に焦点を当てて、二人の出会いやタミアを知っていく流れをじっくりやってくれた印象です。起承転結!という感じではなく、穏やかな時間が過ごせるまったり系のルートでしたねぇ。ドレスを作ったり姫抱っこされたりする流れもあるけれど、それでもときめきよりほのぼの和む気持ちが大きいのは、やっぱりタミアの人好きする無邪気そうな性格のおかげなのかなー。

 

あとね、絵柄が全体的にふわふわくるくるしてて可愛いんですよ! スチルがまるで絵本の一頁みたいでかわいくって! あの一枚がタミアルートの全てを表してる、良いイラストだなあと思います。

テキストはやや説明調で「先導を歩く」等々の悪文はあるものの、ほのぼのしている雰囲気のおかげで気にはならない感じ。種族特有の風習など、異世界や人外ものならではの要素を拾ってくれているのも嬉しいところでした。

 

 

 

<ロト>

 

俺敬語ですよ!好きです!やったあ!

好感度が初期から高めのキャラが多い中、ここまで冷たく叩き落としにくるキャラは新鮮でしたねぇ。ツン9比。エンドでのデレもこう、ツンデレというより執着要素が濃い目に感じられて最後までドキドキできました。特に1話と2話は先がどうなるのか全く想像がつかず、さらにこちらが秘密を抱えている関係でかなり先が気になりました。

 

彼の中の好意が行動でわかるのも上手いなあと思います。彼の中で気持ちが揺らぐのを、彼視点のモノローグ等で語るのではなく、あくまで描写は抑えめだからこそこちらが察することができてなお深みを感じました。

 

ヒロイン像も独特ですよね。いや、属性に当てはめればピタリとハマるんですが、よくここまで吹っ切れてくれたなあと。さんざん虐められまくってなおアタックしにいく姿はまさにメンタルオリハルコン。聖女は多少頑固でなんぼ、ある意味爽快で良いですね。

そして、何より一番主張したいのがあの立ち絵の差分!

視線を横に逃がしてちょっとうんざりって雰囲気を出してるあの目つき!

最高でした。ありがとうございました。

 

 

 

人魚

 

<メラルダ>

 

ヒロインがかなりネガティブで驚きました。が、メンタルよりも先に異世界との環境の違いという身体的なものから不調が始まり、釣られて心も弱気に……という流れ自体は納得。舞台装置ではなくしっかりと異世界に向き合っているのかなとも思います。

 

メラルダは立ち絵が中性的に見えたので、可愛い系なのかなーとぼんやり予想していたのですが、繊細ながらも一途かつ全力でヒロインを想ってくれる男らしいところもありました。私の嗜好の都合上、こういうほんわかして見えて芯のある子はどうしてもギャップを見たがってしまうので、怒った顔やバッドエンドも見たいなあという気持ちが悶々と。仮にエンド後にまたヒロインとメラルダが引き離されるとしても、彼はかなり本気でヒロインを抱きしめにきてくれそうな気がするので、妄想が捗ります。

 

いわゆる当て馬ポジであるメーサは見ていて不憫なところもありましたが……人魚姫をうっすらとなぞりつつ、絵本という単語を出してプレイヤーにピンと来させるところが上手かったなあと思います。あと、従者の設定、良いですよね。

あとはそうだなあ、ラストが王道ゆえよく効く演出だなーと感じました。

 

 

 

<カノン>

 

好きではないルートです。

実質ルート詐欺、カノンはサブキャラな扱いでした。

甘えん坊のカノンが自立していき……というストーリーラインかと思いきや、ここも消化不良。保護者の立ち位置にヒロインが入り込むようなモノローグのせいで、結局彼の消えた意味がないというか。カノンの成長は所詮一過性だと見て取れるので、根本のテーマが薄くなってしまっているんですよねぇ。一転共依存まではっちゃけてくれるんなら見直しますが、ギャグとシリアスで方向性もブレて、笑いあり涙ありというよりは思い付きを詰め込んだような感じ。いっそ半裸を逆に利用して伏線にしてやるくらいの気概は見たかったです。

カノンのギザ歯など、キャラデザへのモチーフの入れ方は良いので惜しまれます。

 

 

 

翼人

 

 

<ディクス>

 

デレ多めのツンデレさん。

このくらいのデレ比率だと安心してほのぼのときめけて良いですよねぇ。

 

元々このルートの作者様のファンだったので、持ち味のヤンデレ要素もほんのりと感じられて嬉しかったです。あくまでも少しだけ断りづらい雰囲気に……の流れで思わず笑ってしまいました。そういうところだぞ!w 

狭く深く、の言い方にしても、それらしく響いているけどその実たっぷり濃厚独占欲が感じられてほのぼのにこにこしながら読みました。好きです。

 

初めちゃんと仲良くなる理由を隠していたヒロインがぽろっと明かしてしまったところはあまりの無造作っぷりに驚きましたが、そういう余計な気を遣わずにいられるくらいの距離感だと思えば逆にその無防備さが良いよなあとも。

返事は保留、で終わったところも、色々と妄想が捗って良かったです。

 

 

 

<アーク>

 

立ち絵の動きを使った演出が躍動感出てましたよね!

表情変化も多いし、全身で表現してくれるので見ていて楽しかったです。初対面からあの百面相な大慌てぶりを出してくれたのは本当にグッド! どういうキャラかが一目でわかるし、魅力もたっぷりでした!

 

合わなかったのはヒロインのキャラ付け。本編中でも指摘があったように、人様のもの(しかも笛!)を勝手に使って迷惑かけておいて、謝罪どころか蹴るわ責任転嫁するわで実に面の皮が厚いなあと。あと、別ルートのキャラクターがいっぱい出てくること自体は嬉しかったのですが、アークの失敗続きを強調するための登場だったので、極端に言えば悪人扱いに見えてしまう描写だったのが残念でした。

決めどころのBGMの選曲が好きです。

 

 

 

<エイヴィス>

 

印象に残っていたのは「ここではみんな、神様の子どもだよ」というセリフ。あのシーン自体がロマンチックですし、詩的に優しくて大好きです。

 

惜しまれたのは最終章、尺がもう少し欲しかったですねぇ。シリアス→甘々の展開に気持ちが追いつかなかったので、いったん落ち着いて二人きりにしてほしかったところはあるかも。いやでも上空で事を進めれば断るに断れないみたいな思惑も考えられなくもないですが。

かなり序盤からアムがフラグを立ててくれたり、不穏の気配を早めに主張してくれていたところは助かりました。こちらも心の準備ができるので。

 

エイヴィスが人を抱えて飛べたのも、君といると強くなれる、の証明ってことでいいのかな。ちょっと自信ないけれども……。それとエイヴィスの独断で翼人と人間の共存を決めちゃって大丈夫なのかなーと一瞬疑問だったんですが、そういえば様付けで呼ばれていましたし、種族のトップなのかも。

 

あとは、あの透明感のあるグラフィックかな。立ち絵もスチルも透き通るような美しさがあって見惚れました。

特に、萌え的な意味だと目を見開いて演技ではない照れを見せてくれる立ち絵がツボでした。これはときめく。あとがきのしれっと押せ押せな一枚絵もにやにやです。

 

 

 

<フラン>

 

彼を最後に攻略したんですが、いやあ、とっておいてよかったなあと思えるルートでした。どう転がすか難しい人間とシュトラールの住人との断絶に触れていて、かつ優しく終わってくれたルートでしたねぇ。

 

私ね、みんな一緒だとそれはそれで怖いみたいな、無理に統一しなくていいみたいな例のセリフの考え方がすっごく好きなんですよ。

種族混在のこの作品だからこそこのセリフを一番聞きたかったんです。

 

種族で人を見ないようにするっていうの、口では簡単だし、翼人ではなくあなただから惚れたって言えればそれでいいけどそれって嘘もちょっと混じってると思うんですよね。

だから、「フラン」が先に来るっていう言い方も本当、涙出るくらい、大好きなんです。翼もシュトラールの住人であることも無視できないけど、見ないふりするのではなく、見える順番が違うだけ。

こういうセリフがすっと出てくるのって、本当誠実だなあって思います。

前向きで清純系なヒロインだからこそ、こういったセリフも説得力が出ますよね。

 

前述の通りダフネがめちゃくちゃもう大好きなので、彼の姿も見れて嬉しかったり。ほどよくヒロインにちょっかいをかけられつつ避けつつ無下にはしすぎない、良い扱いでにこにこしました。あと、ヒロイン像がけっこう近しいので、フランとダフネのルートで同じヒロインと考えても違和感がなかったのもポイント高いなーと思います。

 

 

フラン視点ががっつり一話入ったのは驚きましたが、考えを出力せずに完結していく彼だからああいう形になったんだろうなあと。そんなフランがヒロインに疑問を投げてくれたというのも、すごく大きなことだったんだろうなあと改めて感じて、すごく嬉しくなりました。

 

うん、やっぱり最後に彼を攻略して良かった!

一番見たかった価値観を感じられて、嬉しかったです。

 

 

 

 

と、こんな感じで。

私にとっての好き・嫌いの差はあれど、それぞれ個性を凝らしてあって、どのルートにも絶対一か所は光るところがある出来栄えの良作でした!