うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「ZENOの日常。」感想

「モラトリアムがいつ終わるかなんて誰も決めちゃくれない」

気づけばハサミで断たれている前置き。

 

 

えー、今回は丸得基地(旨味まづ)さんところのフリーゲーム「ZENOの日常。」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

フリーゲームZENO』の後日談。こちらはツクールMV製かつブラウザ版のみ。公式TwitterでBOOTHでのダウンロード版公開を検討するつぶやきがありますが、202401現在は無いようです。

 

plicy.net

 

通しでざっくり30分、全エンディングを見て1時間ほど。探索と軽い謎解きはありますが、ストーリーとキャラがメイン。いわゆる見るゲ寄りの作品。

 

ここからは『ZENO』のネタバレをがっつり含みますのでご注意を!

まだの方はこちらの記事をお先に是非↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

では、以下はがっつり『ZENO』本編のネタバレをしていきます。

 

なお、『ZENO』はリメイク版でプレイしたので「リメイク」、キャラは髪色で、ここからは表記させて頂きますね。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

 

ZENOリメイクの後に遊ぶ方向けの説明

 

リメイクと本作の大きな違いは、ブラウザゲーであること。

PLicyで公開されており、ユーザー登録しなくてもパソコン操作ならキャッシュ保存でセーブデータを15個作れました。

ツクールMV製なので、リメイクと違ってクリックやタップでもキャラが移動します。誤操作注意。特にセーブの上書き事故が起こりがちです。

 

システム面のほかには、顔グラですね。

リメイク前のものなのでどのキャラもかなりキュートな雰囲気。リメイクはクールでスタイリッシュな印象が強いので、ギャップに驚かされました。

なにせ5年前(のはず)なのであちこち違っていて当然だよなあとしみじみ。リメイク前後の違いが疑似的に楽しめて、そういう意味でも面白かったです!

「ZENOの日常。」で初めて出るキャラはリメイク後みたいなピクセルアート?だとどういうグラフィックになるんだろう……。

 

 

 

ややプレイしづらさはあり

 

遊び心地の良いリメイクを先に遊んでいるので、操作感にはちょっと難がありました。

エンディングの分岐フラグが初期なのでエンド回収がしづらい、無駄にうろつくと詰む箇所がある、など。

図書館の行き方(最左の1マスだけに移動判定アリ)と、バス停(調べたら移動できる)の仕様がわからず詰みかけました。わはは。

とはいえ公式でも「omake」として扱われているゲームなので、多くを求めるのも贅沢すぎるというもの。むしろ彼らの新たな一幕が見られただけで儲けものです。遊べてよかった!

 

 

 

コンセプトは日常の破壊

 

タイトルだけ見てほのぼの番外編かと思いきや、かなりシリアスで壮大なお話でした。わーお。

バッドエンドもありますし、リメイクほどではないにせよ血も死人も発生します。

そして風呂敷が広がって終わる、スピンオフらしい作品でもあります。俺たちの戦いはこれからだ! なので、ピリオドをつけて爽やかに終わりたい方にはオススメしづらいかも……。

でも、関連作品が遊べて情報量も増えて、ファンとして嬉しいのは確か! 彼らの日常生活が見れたり、赤と青の親御さんが登場したり、おいしい部分も多いです。

何より、コチ!! 本作で登場する新キャラのコチが私はもうたまらん大好きなので、色んな方にコチと出会ってほしくもあります!! 是非!!

 

 

 

変わらないはありえない

 

本作をざっくりまとめると、黒の自立の物語。

リメイクのEND・H(クリア後ルートでのトゥルーエンド)でも同様の描写はありましたが、あちらは黒の生活や人格の土台がきちんと出来上がったうえで、赤が旅立っていたように思います。

本作はその一歩手前。黒の土台が出来上がる過程の、折り合いの付け方や、ZENOを巡る騒動への決意について描くお話だったなあと感じました。

同じ黒の巣立ちや赤の自己犠牲精神からの解放を描くにしても、これほどにバリエーションがあるのかと、引き出しの多さに唸らされるばかりです。IFの可能性や分岐による反応差分を描くのが巧い……。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ZENOの可能性の一つとして、キャラ重視のファンに嬉しい作品でした。

 

 

追記では『ZENOの日常。』についてのネタバレ感想。

主に春埜コチについて

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

 

 

 

コチ“僕”

 

コチ~~~~~~~~!! 好きだ~~~~~!!!!

髪が真っ白なのは母親惨殺事件のショックからでしょうか……。

 

黒が教団内を探索するときにとあるモブが「コチが一緒に悩もうと言ってくれた」みたいなことを言うんですよ。これで私もう、コチが大好きになってしまいました。

イベント進行フラグの関係上もしかすると見逃しているプレイヤーさんもいらっしゃるんじゃないかと思うんですが……もしよかったら見てみてほしいな。

「なんとかする」とか「助ける」とかじゃなくて「一緒に悩もう」なのが大好きなんですよね……。できないことを言うんじゃなくて、できる範囲で精いっぱい寄り添ってくれる。本当にピュアで良い子で、好き。

 

 

 

コチ“私”

 

“私”も“私”で“僕”のことを大好きなのが本当にいじらしくて!!

どのエンドを通っても彼が死ぬ定めというのは、理屈としてそうならざるをえないとわかってはいつつも、すっっっっごく寂しかったですね……。二人が分裂して二人で幸せになる未来が欲しいよ……。でもないから尊いんだろうな……。

“私”も時折見せる口調や行動の動機は幼くて、大人びているわけではなく、やっぱりコチなんだなあと思うなどしました。口調は“僕”を装っているシーンもありますが。

人格交代が「どちらかはお部屋でお留守番」という表現になるのも、内面の幼さが表れていてグッと唇を噛み締めたくなります。好きなポイントが多いキャラです……。

 

 

 

 

エンディング

 

END4

 

反応が楽しすぎて序盤で電話をかけまくった結果、初手トゥルーエンドに。キャラが好きすぎる自分にちょっと笑っちゃいました。

素直にEND4が好きでした。

コチがフユに引き取られるとは思わず、驚くなど。赤がフユにコチの出自をどこまで明かしているかちょっと把握しきれていないんですが、フユは自分の親とのつながりを全力で絶ちたいタイプだと思っていたので……。

ある意味、ZENO研究のサンプルとしての価値があるとも見れますが。フユ自身はそう考えて自分を納得させてそうですが。でも端から見てもフユの本心はコチを見捨てるのが忍びないみたいな情を持っていそうだなー、なんて。

 

 

END3

 

シュールで面白かったです。総理と来たか!

賢く立ち回るならもっとやりようがあるとは思うんですが、カンライの根本にある子どもっぽさを考えると彼らしくはあるのかな。見た目は大人、頭脳は子ども、ただし頭の回転は天才級。なんて厄介なんだ……!

 

 

END2

 

正直に言えばあの予兆の先、黒の暴走が見たかったです……っ!

あそこで黒が良い子にならずに、赤と一緒にいたいと言えたらなあ。でも黒は頭がいいし理屈の通じる子だから、言えないんでしょうね……。

 

 

END1

 

赤を奮起させようと、ぎこちなく声をかける青が可愛いやらいじらしいやら虚しいやら……。あそこから立ち上がるのは難しいだろうなあ。

 

 

 

 

語りたいところはこんな感じ。

続編を匂わせるようなスピンオフではありますが、だからこそ、余白で妄想したり余韻を噛み締めたりできる作品でした。