うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「送電塔のミメイ」感想

「常に健全と前を向き恐れを斬ればそこに君」

幸福は此処に在りやな前置き。

 

 

えー、今回は里見しばさんところのフリーゲーム送電塔のミメイ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

和風で一本道、恋愛要素もバトルシーンもあり。でも根っこの部分は感動と穏やかさが引き立つ作品でした。

 

というわけで、良かった点など。

 

主人公ミメイの描かれ方

 

厳密には夜刀とW主人公だと思っていますが、物語の中心はミメイだと思うのでこのような書き方にて。

ミメイは雑に括ると天然キャラです。人を守り鬼を断つ、そんなシーンではきりりとした姿を見せてくれますが、日常パートではどことなく少しズレた台詞が見え隠れします。

感銘を受けたのが、その天然具合の描写について!

わざとらしさが全くないんですよ。アピールして笑いを取りに行くための天然ボケではなく、あまりにも自然なんです。ただ彼女の中にそういう世間ずれしてないところがあるだけで、良いように解釈する人もいれば呆れて心配する人もいる感じ。

キャラ属性じゃないんですよね。ああ彼女はこういう人なんだなあ、ってすんなりと肌身に受ける感じ。鈍いとよく評される彼女ですが、そののんびりとした気質はむしろ周跨ぎを苦としない穏やかさを感じました。

うん。素敵な女の子です。

 

 

夜刀との自然な距離感

 

プロローグは斬り合いから。化け物退治を巡って夜刀とミメイにひと悶着起きるシーンから物語が転がり出します。

で、てっきりケンカップル的な話が始まるのかしらんと思っていたんですね。ところがどっこい、かなり初期から二人の相性の良さはよくよく伝わるように描かれています。ツンケンとして見える夜刀の面倒見の良さ、超然として見えるミメイの懐の深さ。夜刀のキツイことを言う癖はミメイの鈍い性質で包まれて、ミメイのズレた言動はすかさず夜刀が鋭くカバーする、この関係性がとてもあたたかで素敵でした。

物語終盤にもなるとさらに彼らの関係は変わります。言葉で描写される部分以外にも、行間や章と章を挟んで、見えない部分での距離感の変化を強く感じましたねー。

 

 

人の恐怖を写し取るコゴリ鬼

 

主題はざっくり言えば化け物退治。もちろん切った張ったの大活劇もありますが、静かに話が展開し、すとんと消え失せていくような回もあります。

この退治対象であるコゴリ鬼ですが、憑かれた者の恐れるものに姿を変える、という設定でありながら、怖がらせることが主眼ではないのだと伝わってくる描かれ方が好きでした。ホラーを意識させる描写はあるものの、プレイヤーを驚かせたり精神的に削ったりするようなやり方はされません。ここ、作品の本質に誠実で好きです。

内的な恐怖と向き合うと言えばいいのか……。

見て見ぬふりをしていたこと、成長の妨げになっていた思い出、ずっとしこりとして残っていたけれど何ともできなかったこと。そういった小さく深い棘を抜いていくお話だったなあと思います。

余談として、符や式を編む時の詠唱シーンがとても好き。

 

 

色鮮やかな数の式

 

主人公ミメイは未来を見るという能力を持っています。

この能力の描写がすっごく好きなんですよ!! 時にはファンタジーの様に千里眼めいた描写をされる一方、地に足付けて着実に演算として描かれる時もあり、いやあ俗に言ってしまえば実にカッコよかったです。

もちろん魅力的な面のみならず、持つ者の苦労も重荷も歯がゆさも、しっかり見せてくれます。それでもくじけず歪まず、先に進もうとする真っ当さがとても眩しいお話です。

また、文章だけでなくグラフィックにも注目したいところ。最序盤から幾度も表示される、あの赤く美しい折り鶴と幾何学めいた模様のあれです。あの色彩が濃くなる演出も、魔法陣が力を受けて活性化するみたいなイメージが膨らんでとても惚れ惚れしました。

 

 

スチルとセンスで魅せる一枚背景

 

立ち絵のタッチはどことなく柔らかで女性的。風に揺れる髪のさらさらとした感触が伝わってくるような感じの絵柄です。これがまた本編の穏やかな雰囲気とよく合うんですよねえ。感動的なシーンではスチルが使われることも多いんですが、なんていうのかな、光源の使い方が上手いなあと感じます。溢れて、本当に眩しい。

一方で、戦闘シーンは剣閃や鋭い眼光も交えつつ、ハッと目を引く演出になっています。バトルシーンのBGMも大好きなんですよ!! あの和風の盛り上がりと、詠唱や斬り合いが重なる感じがもう熱くて好き。

 

章初めの、プロローグみたいな文字だけの演出も好きです。

フォントの特色かもしれないんですが漢字の大きさなど諸々の配置がすごく巧みで、文字だけでも目を引いてくれます。トレーラー画像みたい。プレイ後に気付いたんですが、あれ、背景が千羽鶴の折り方?なんですねえ。

ともあれ、あの印象的なセンテンスも魅せ方もすごく素敵でした。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

00年代作品ですが、未だにファンも根強い作品です。ツイッターで先んじて呟いていた時も反応の多さに驚かされました。何年経っても名作は語り継がれていくんだなあ。

 

公式サイトでは夜刀とミメイの一枚絵も見られます。あの雰囲気の柔らかさ、本当に陽だまりを感じるイラストでとても美しいんですよね……。

二人の関係性がお好きな方はお見逃しなく!

 

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com