「誘惑しないで、されないで、瀬戸際で震える君が見てたいの」
イイ性格しちゃった前置き。
えー、今回は時と木と(きゆのき)さんところのフリーゲーム「異世界イケメンに血を飲まれるだけのゲーム(いいちだ)」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
エンド分岐有、攻略対象二人、1ルート数十分くらいの短編ノベル乙女ゲーム。タイトル通り、流血描写あり。
不穏でときめく乙女ゲーをお探しの方に全力でオススメしたい作品でした~!
というわけで、良かった点など。
導入はさくっと、ポイントは濃厚に
異世界にいる吸血鬼双子に召喚され、血を飲まれるというのがざっくりしたあらすじ。まずありがたかったのは話の手早さです。異世界の行き来もヒロインの困惑もすっと描写されて、説明も簡明、特殊な用語もなくすぐに世界に入れる感じ。
一方で、吸血シーンや想いの葛藤、グッとときめく描写はしっかりガッツリです。文量自体はそこまで違わないはずなんですが……。なんでだろうな、動きの表現が丁寧だからかな?
彼がどう触れて、どこに指を、舌を這わせて、ヒロインの身体がどう反応するのか……みたいなところの描写がハッキリしていて、濃厚に感じました。うっとり。
短編らしく要所に絞られた尺で、プレイしててすごく楽だったように思います!
ちょろいけどそこに惹かれる理由も感じるヒロイン
話の早さと言えばヒロインもそうですね。属性としては善人系の流されヒロインになるのかな?
シンスルートはまだ、相手がすごくためらってるので同情しちゃうのもわかるんですが。直前まで言い合ってたピスムにまでころっと情を見せちゃうシーンなどはすごく……言ってしまえばちょろくて! 「だだだ大丈夫!?」とうっかり保護者面をしてしまいました。へへへ。
といっても、だからこそ二人が惹かれるところもあるんだろうなあとも思いまして。
本編の選択肢もそうでしたが、相手を心配させまいと無理をするタイプで、すごくいじらしいんですよね……。そのわりにモノローグは俗っぽいしツッコミもするので、なんか、もうほんと普通に「どこかにいそうな良い子」なんですよ。作り物めいた聖女感がなくて。
んで、それをそのまんまピスムが作中で「平凡」と称してるんですよね。ここに納得があってすごく好きでした。
葛藤を描くのが上手い!
ピスムは兄としての立場、シンスは吸血行為へのためらい……。どちらのルートも、スパイスのように葛藤が添えられています。
この、グラグラする感じ!
振り切れてぞくぞくっとするのも良し、揺れ動く美形吸血鬼たちをときめきながら見つめるもよし!!
実においしかったです……。
もともとこういう、「食べたいのに食べちゃダメ」みたいなシチュエーション私大好きなんですよね。食欲的にも、恋愛的にも。なので心行くまで味わえてとても幸せでした……!
また、おまけでは二人の意外性にもそれぞれ触れられていて、どこまでもギャップやときめきを感じさせてくれる話でした。
仄暗い恍惚描写にくらくら
あと、血の表現がしっかり艶めかしい! グロではないんです、艶めかしいんです。ここ伝わって欲しい。
目のハイライト消えるところもそうなんですが、まさに「魔が射す」描写がとても上手かったです。へへへ……。雰囲気作りがたまんねえんだ……。
そのぶん、明るい方のエンドではBGMの様変わりっぷりに驚きましたが。こっちはラブコメな雰囲気ですよと一瞬でわかるのは便利でもありますね。こちらの心の準備的に。
シンスとピスムどっちが好き?と言われれば、まあもちろんどっちもと答えたくなるのですが。3人婚になれないからこそ輝く二人だな~とも思います。にこにこ。
とまあ、こんな感じで。
とにもかくにも、タイトル通り! そして期待通り、求めたものを違うことなくしっかり出してくださる信頼感。ツボを押さえたときめきを感じさせてくれる良作でした~!
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