うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「最果てを目指す」感想

「やっぱやーめたが通る意思なんて紙クズ以下では?」

撤回なんてロボには通用しない前置き。

 

 

えー、今回はHuyumiさんところのフリーゲーム「最果てを目指す」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

前進のみノンフィールド、リソースが尽きないよう取捨選択しながら進むRPG。いわゆる雪道ゲー。クリアリザルトは1時間半でしたが、色々と歩き回ったり爆死したりしたので、実質は5時間くらい遊んでいたと思います。

ロボと少女、サバイバルやポストアポカリプス、心痺れるシニカルなテキストなどが好きな方に勧めたい一作です。

 

freegame-mugen.jp

 

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

こんなの無理……いや?

 

公式に「難易度厳しめ」と書かれているとおり、ゲームオーバーしてからが本番です。

ちなみに私はチュートリアルで1度ゲームオーバーしました。わはは!

ですが誤解なきよう、私の勇み足が大きな原因ですし、何より本作はかなりユーザーフレンドリーなシステムなのです。

 

  •  同梱ファイルに攻略情報あり
  •  同じアイテム使用でもショートカットコマンドと目で見て悩みながら選択できるコマンドの両方が用意されている
  •  ステ振りをミスってもある程度はやり直し可能
  •  戦闘条件やステージの特性が先に提示されている(作者とプレイヤーで誠実な駆け引きができる)

 

などなど。

他にもよく考えれば最強なアイテムがあったり、全てをひっくり返せるコマンドがあったりと、難しいように見えてとても調整の良い作品です。

 

 

 

『死は終わりではなく始まりに使いましょう。』

 

↑文は同梱ファイルからの引用です。どうですこのテキストの美しさといったら!

と、賛美はさておき。

私がプレイしていて嬉しかったのは、「ゲームオーバーが無意味にならない」ところです。物資はなくなっても、手に入れた装備は残り、選んだ選択肢はマークされ、ステージを突破していればより強くなった状態でスタートできる……。負けてもモチベが保てて、むしろ次こそはという気持ちになれました。

設定引継ぎやプロローグスキップなど、周回しやすいようにシステムが整えてあるのも嬉しいポイント。試行錯誤ゲーだからこそ、リトライのハードルが低いのはとてもプレイしやすかったです!

 

 

 

好奇心旺盛で可憐で力強い少女・ツキ

 

画面右端でずっとプレイヤーと共に歩き続ける存在。主人公でありヒロインとも言えるこの子、ツキもすごく魅力的でした!

過酷な環境を歩く中で、俯くことはあれど絶対に前を向いてやるというガッツがあふれ出ている子でもあります。膝をつくくらいなら歯を噛み締めて立ち上がるような。

年相応の可愛さがありつつも、いわゆる工作オタクのような一面もあり、時には暴走することも……。そこがまた微笑ましくて良き。

 

本作はリソース管理ゲーでもあり、彼女の空腹度や生命力も気にしながらゲームを進めていく必要があるのですが……。命を削りながらも決して足手まといには見せないような演出がそこかしこにあって、好感も持ちやすかったです。

もし本作が、ただ淡々と歩き続けるだけのゲームであれば、私は途中で手を止めてしまっていたかもしれません。そのくらいには良いモチベとなるキャラでした。

 

 

 

濃密で臨場感のあるイベント

 

時折起こるイベントでは、ゲームブックのようにノベル形式で情景描写が成され、選択肢によって結末が変わります。このテキストがまた良いんですよ!!

起こるイベントも、冒険味あふれるスリリングなものから、皮肉の効いた寓話的なものまで多種多様。ただでさえ選べるステージも多いのに、さらに固有のイベントが発生するという、膨大な分岐っぷりに驚かされました……。

砂漠での水不足解決方法にはウッと声を漏らしました。女の子でも容赦なくサバイバルしていて、シビアでかっこいい……。ロマンティックでポエミーなステージもあるのでなお、幅広さが際立ちます。

 

分岐パターンが知りたくてセーブロードを駆使した方や、クリア後も全ステージ踏破目指して周回プレイした方は私だけではない……はず!

イベントだけでなく、エンド分岐の多さも魅力の一つ。エンド回収も容易なので、二重の意味で嬉しかったです。

システムが凝っているのでついそちらに熱を入れてしまいますが、ストーリーの驚きや熱さも素晴らしいので……!

 

 

 

琴線にそっと触れるテキスト

 

遊んでて楽しかったのが、随所に出てくるフレーバーテキスト

アイテム、装備、ステージ選択、ゲームオーバー後、さらにはツキのセリフまで。ありとあらゆるところにグッとくる一文、あるいは一段落がガッツリと練り込まれます。活字中毒の方は大歓喜間違いなし!

メッセージウィンドウが小さめなのでそうとは感じませんが、実際にテキストで書き起こしてみると文量はものすごく多いことでしょう。バックログまで完備されているのはもう、ただただありがたいばかりです。

スキル「サバイバル」の説明文が好き。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

『寂しくないサバイバルノンフィールドRPG

クリア後は、この紹介文に深く頷いた良作でした。気になった方は是非、あなたの目で、最果てを確かめに行ってみてください。

 

余談ですが、ZIPフォルダ名にツキの名前が刻まれているところも好き!

 

 

 

 

追記ではネタバレ感想。

 

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

 

 

 

私の攻略

 

だいたい2回くらいゲームオーバーして、いくつか心装を手に入れてからは一気にクリアまで駆け抜けられました。仕様がわかった今だと、「少女の祈り」をいかに温存し、いかにためらいなく使うかが鍵だったように思います。

 

特に初回は、作品のテンポの良さが気持ち良すぎて、猪のごとく突っ込んでいたこともしばしば。「ドーパミンに負けずに頭使わないとダメなゲームだな!?」と改めていったん休憩を入れたのを覚えています。

必中を忘れて回避&祈りをしようとしちゃうんですよね。

銃声の効果音と画面演出がカッコよくてつい……へへ……。

 

なお、意思の力でステ振りリセットができるのを知ったのはラスボス戦でした。無自覚セルフ縛り! ツキ頑張ってくれたのにごめーん!

 

 

 

ステータスとスキル

 

ステータスが触れるゲームはやっぱりバランス型より極振りの方が強いですね~。

初めはDEF型にしていて、実際序盤は楽だったんですが、ステージ3辺りからにっちもさっちもいかなくなってしまいました。たぶん防御側のスキルがほとんど取れていなかったのもあるんでしょうね……。

ATKとSPDにほどよく振り分けると格段に攻略が楽になりました。妨害がSPD重視の都合上、スキルはSPD最優先。

イベント? 知らん知らん! EPでなんとかするんじゃい!

ここらへんもプレイヤーさんの辿ってきた道のりによって変わってきそうです。

 

 

 

好きな心装

 

ステータスをDEF型にするかATK型にするかで使える心装も変わる、というのは前提の上で。

単純に使い勝手が良かったのは貫通A。魔王城か無人街だったかな……?

反撃Dも強かったです。一発食らわなければいけないんですが、耐えれさえすれば回復出来て帳尻が合います。

テキストの組み合わせが好きなのは貫通CとチャージA。月だけに。

 

 

 

ステージ選択

 

進みやすいステージは公式にもある通り基本一番左のステージ。ただ、全部左だと物資が足りなくなる気もします。

 

私は初手森林ルートが好き

山菜さえあればツキが万能薬で生き延びれるので……。

 

砂漠は防寒か耐熱さえあれば無人街より進みやすかったかもしれません。食料がぽこぽこ手に入るうえにほとんどの敵のSPDが低く、道中で保護外装が作れれば草原と変わりないので……。

 

ラストステージは宇宙で行くのが好きかな? これからどこへでも行ってやろうという感じが出てたのに加えて、月の石や星屑などのドロップアイテムがステージと合っててときめきました。

 

でもトップで好きなイベントは天界の取捨選択です。

ツキの何を喪って進むか、のアレ。ツキの覚悟が決まりまくってるのも好きだし、決断が合理的なのもカッコイイ。

何より、両足を失ったツキを機体に乗せて進む構図を妄想するとむちゃくちゃ興奮してしまったことをここに懺悔いたします! 性癖に刺さる展開をありがとうございました!! ごめんなさい!!!

 

ともあれ、まともなことも書いておくと、同じプレイヤーでもアイテム状況などによって最適ルートが変わるので、何周しても面白かったです。

 

 

 

エンディング

 

初見は「蛙子」を引きました。

情は残しても道行きは他人事なエンドを取ってる辺り、私らしいというか、他人への興味のなさが出てるなあと思いもします。

彼女の道も、ツキたちのように、孤独でないことを祈ります。あのフレーバーテキストを見るにたぶん、大丈夫でしょう。

 

たぶん一番きれいなエンドは「細故」なんだろうなあと……。実際、この記事をあらかた書き終えてから他のプレイヤーさんのクリアリザルトも覗きに行ったんですが、この結末に到着した方が多く見受けられました。体感ね。

 

ストーリーの流れとしては「諦念」が熱くて好きです。絶望と青い鳥。ツキの立ち絵変化がまた心に残ります。

 

「紅錆」は本来ショックを受ける鬱展開だと思うんですが……確かにこういうことを思う機体(プレイヤー)がゼロとは言い切れないよなと唸らされたエンドでもありました。

ツキに好感が持ちやすいよう巧みに描かれた作品ではありますが、嫌いだと思うプレイヤーがいないとは言い切れませんもんね。本当にプレイヤーに対して丁寧な作品だなあとしみじみ。

 

ついでにステージクリア残滓について。

「無枷」は手に入るステージ含めて好きです。

「鏡壊」は思い切りネタバレしてて粋で好き。

 

 

 

まとめ

 

いや~、分岐が多い分、語りたいこともたくさん出てきますね!

エンド回収自体はセーブロードでできますが、いろんなステージやフレーバーテキストを味わいたくて、結局は何周もしてしまいました。たーのしー!

 

 

 

 

ちなみに、むちゃくちゃありがたいことに、作者様の手でツキのトークが全文公開されております。やった~!!

ci-en.net

私個人としてはやっぱりゲーム内で楽しみたい気持ちがあるのも本当(この条件の時にこの文か……と噛み締めると臨場感があって好き)。ですがやっぱり、中には狙って引きにくいセリフもあるので、こうして見返せるのはとても嬉しかったです。