うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「断罪室」感想

「いちいち感情移入してたら壊れちゃわない?」

いざというとき独りぼっちな前置き。

 

 

えー、今回はIEOIさんところのフリーゲーム「断罪室」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

リンクはDL版が遊べるふりーむですが、ブラウザ・スマホ版もノベコレにて公開されているようですので、DL不要ゲーをお探しの方はそちらからどうぞ。

 

1周10分前後、おまけコンテンツまで全て読了しても1時間はかからないくらいのノベルゲー。ただ、考え込むタイプの方はそれ以上かかるかも。また、10分で1日続く余韻は味わえるかも。

なお、グラフィックとしてのグロはありませんが、残酷表現と鬱展開を含みます。なにせ「断罪」なのでね。

 

 

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

統一された雰囲気

 

BGMは全てクラシック。

画面は全て極彩色。

そして、常に揺らがない管理人の語り口──。

 

とにかくですね、この雰囲気がすごくイイんですよ!

世界観と言っても良い。ここはこういうものである、と、プレイヤーに有無を言わさずこの世界に染めていくような説得力がありました。

ビビッドなメッセージウィンドウに文字色が白、というのも、けっこうレアな印象あります。青とピンクの取り合わせってこんなにも映えるんですね。色遣いのお勉強にもなりそう。

スクショだけでも惹かれる方は多いはずですが、BGMとテキストも併せてぜひ、この世界へのめり込んでほしい気持ちです。

 

 

 

どっちの主張を取る? 取らない?

 

加害者と呼ばれた人、被害者と呼ばれた人。

プレイヤーは二人の言い分を聞いて、被害者の復讐を認めるかどうか判断する。

これが本作の主な流れです。

 

で、上手いな~と思ったのが、もうあの手この手でこちらの選択の手を揺さぶりに来るところ!

自分の中にある先入観や偏見も丸裸にされるゲームだと思います。にやにや。こわごわ。

 

復讐=死刑なので、その辺りを割り切ってプレイできる方向けではあるかな?

逆に、いろいろ細かいところが気になっちゃったり、大筋や本質を掴むよりも整ってて明瞭なもののほうが好きな方には向いてないかも。

前提条件をまずは前提として飲み込める方向け。与えられる情報や、もっと言えばこの舞台設定にしてもそうですが。思考実験好きな方にも薦めたいかも!

 

 

 

正解はないけど嗤いもしない

 

プレイヤーを、嗤わないでいてくれる。

この作品をプレイして一番感慨深かったところです。

 

どうしてもこの手の善悪判断や倫理を問われる展開や、プレイヤーの上位存在キャラがいるゲームって、メタ的に煽られたり嗤われたりしがちじゃないですか。

「貴方が~したせいで○○は死んだんだ~」みたいなやつ。

あるいは、「おやおやその顔はもしや後悔していらっしゃる? 大丈夫ですよ、どうせヒトはみな死ぬサダメなのです」みたいなやつ。結局どっちの選択も同じならプレイする意味ないじゃーん、のやつ。

いや、この手の作品も、その厭さがクセになりはするんですよ! でもそうなるとどうしても、作中の言葉はものすごく軽くなってしまう。エンタメやB級へ寄りはしますね。

どちらが優れているとかではなく、遊び方が異なると思っています。

 

その点、この作品は主張に対する重みがしっくりきました!

プレイヤーの選択に揺さぶりをかけてきたり、罪悪感を膨らませたりすることはあれど、馬鹿にはしてこない。ただ、シビアでドライな事実を言うだけ。

どっちを選んでも同じ展開、とかでもない。悪趣味なからかいではない。罪過を問う真剣さが、きちんと重みとして残っている。ここ好きポイントです。

 

 

 

異形頭好き、集まれ~!

 

さてこういう頭を異形頭と呼んでいいのか、詳細は存じ上げないのですが。

でもこういう、頭だけ別のものの男性っぽい体格のキャラが好きな方々、多いでしょう!? 少なくとも一定数は確実にいるでしょう!? ツイッターで定期的にバズってるの見かけるんだから!

そんなわけで、異形頭界隈の需要にはしっかり届いてほしい次第です。

 

あと興味深かったのが、一貫して管理人が「花」である点。

なんだろな、上位存在キャラってどうしても手心というか、人間味を加えたくなるじゃないですか。冗談言わせたり、おちゃめな隙のあるキャラにしたり、メタ的にプレイヤーへデレさせたり。

でもこの作品の管理人は徹底して、人外な存在、なんですよねえ。

冷たすぎるわけでもなくて、遊び心や自我はきちんとある。でも、かといって媚びがある感じでもなくて、良い意味でプレイヤーに対しても公平でいてくれる。

我々とは別の存在という雰囲気が自然と滲み出ていてすごくよかったです。わかりやすいのにミステリアス。素敵。

 

 

 

 

気になった点

 

さて、良かった点もいくつか挙げましたが、最後に気になった点も正直に述べておきますね。

 

  • 作品の文章量に対して文字が小さい
  • シーン切り替えのウェイトが長い
  • コンフィグ(オートモード)なし
  • バックログがバグって読めない

 

辺り。まとめると、システム周りが不便!

周回前提なのにセーブがないところも引っかかりはしましたが、ここはクリア後おまけで触れられていたので、あえての仕様ということで。

といってもやっぱりプレイ時間は1周10分前後で短めなので、プレイするには充分!

あんまり重くは捉えないでもらえると助かります。バックログ不可なんてそれこそ、後戻りできないという重みとしてよく効きそうですしね。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

あれこれ長々書きましたが、プレイ時間自体は短めでとっつきやすいので、少しでも気になった方はぜひ!

 

 

追記ではネタバレ感想。

 

 

 

 

マジで伏字も一切なしにネタバレ全開です!!!

 

 

一周10分もあればクリアできるはずなので、ちょっとでも気になってるな~と思う方はまず、ご自身のプレイから! 悩んでる間にもうプレイできるので!

ぜひともお願い申し上げます。

 

 

 

 

1番

 

真っ先に「怒らないから」って言葉が出てきた時点で、「あ、母親ヤベーな」となりました。

よって、迷わず復讐へお花ぽいっ。

だって、パッとその言葉出てくるってことはそれをやる発想があるってことじゃないすか。常習的に怒ってるってことじゃないですか、やだー!

 

でもこれよく考えると、後日談が見れないからある意味もったいなかったのかも。ふむ。

正解はないと言いつつ、管理人のコメントと後日談でわりと正解決まってるようなもんですよねこれ。

 

これ騙される人いるかなあと疑っていたんですが、コロッと行きはしないにせよ、死刑だからと見逃がした方は多いかも……?

これ「復讐=死刑」というのも絶妙ですよね。さすがに殺すほどじゃないだろ……となりそう。

あとは、一過性の思春期や母娘ケンカとして捉える方かな……? 家族、幻想を抱きたくなる関係性ですからね。

 

 

娘側がぱっと見非行少女っぽいキャラデザなの、ニヤっとしちゃいました。

第一印象は外見が9割。

そして見た目も大きな情報のうちの1つ。

 

 

 

2番

 

理解のある彼君×メンヘラ彼女だー!!!

病み系好きとしてはついウキウキしてしまいました。てへへ。見た目も好みでにやにや。この二人が喫茶店でお茶してるところ、目撃してぇ~!!

 

で、今回は断罪せず

被害者側が泣き出したときにちゃんと加害者側が待っていたシーンで、まず加害者側は助けようと心に誓いました。こういう優しさを演技でするのであれば、もうちょっと優しい声をかけたりそれっぽいことを言ったりすると私は思っているので、素なんだろうなあと。

あと、こんな断罪の場に連れ出されておいてちゃんと待ってあげるあたり、彼女への愛情はあるだろうから、浮気はしないだろうなあと。

 

うんざりしてる感じも見受けられはしたので、この辺、解釈は特に分かれそうですよね。彼女の扱い方を熟知してるからこそ呆れつつも我慢してる、とも見えそう。今こうして感想文まとめるにあたって思いついたことではありますが。この発想があったら決め打ちせずにもうちょっと悩んだかも。

 

して。

読んでる時は「えりちゃん」が嫉妬かメンヘラ惚気話めんどくなったか何かで、証拠偽造して、被害者を騙してるパターンじゃないかなと思ってたんですよ。

あとメンヘラちゃんは被害面できる機会を逃さず食いついていくじゃないですか。「仕返し」という単語がぱっと出てきたのもそうですが。なので、えりちゃんは攻撃せずに、自分が一方的にかわいそうなままで居続けられる機会を維持しながら被害者になるため、彼君を断罪室へ呼び出したのかなあとかとか。

 

でも、後日談を見る限りはえりちゃん関連は深読みな気がしますねー……。

えっちな写真っていうのがただのミニスカ女子会写真とかの可能性もありそう。余談でした。

 

 

 

3番

 

どっちにも非があるパターンだと感じました。

それぞれに引っかかるセリフがあったので。

 

まず、加害者側は「大好きだから」。好意で正当化するタイプの無自覚加害者なんだろうな、と。

そして、被害者側は「印象が良くなるようなコメントを添えるべきであって」「体調がよくないこともあるし」。この辺で、自分へのスポットライトをちょっと強めに感じてる子なんだろうな、と。

そんでもってこの二人たぶん似てるんですよね。加害側は、自分のイジリやネタの許せるラインが相手も同じだと思っちゃうタイプだろうし。被害者側は、相手のスキルや性格を加味せず自分ができることは相手もできると考えるタイプだろうな、と。

 

というわけで、まとめると、イジリは人によったら虐めになるから云々~、の流れだろうなと解釈しました。

悪気はないイジリVSそれでも嫌なもんは嫌、の構図。

そうなると各々の感じ方の問題になるので、それこそ第三者が判断は下さないほうが適切だと思ったんですが……。

 

 

ここまで考えたうえで、いかんせん、断罪しました! すまーん!

 

 

だってさー、被害者の「感じ悪いのが心配ならコメントを添えるべき~」に私、「なるほど一理あるな……」と思っちゃったんですよね。思っちゃったんならもうしゃーねぇべ。

なんだろう、なんか、加害者側の「挨拶はマナー」にしてもそうで、どっちもほどよく言ってることが正しいシーンはあるんですよ。そしてどっちもほどほどに認知が歪んでるっぽく感じはしたんですよ。

でもやっぱ、この証言に納得してしまったので被害者側に軍配を上げました。レスバ強い人間、応援したくなりがち。

 

周回プレイで管理人からのあなたは第三者で他人事っていう論を言い聞かされて、慣れがでてきたというのもある気がします。このルート初回で選んだらけっこう迷っただろうから。

 

 

 

4番

 

キナ臭さを感じて、断罪

まずプレイ時は、加害者の謝罪に一切感情が乗っていないところがすごい引っかかったんですよね。あくまで理屈でしか話してこない。謝罪も、仮にやるとしても論が通ってるから行うだけで、罪悪感は含まれていなさそう。

ここがサイコパス感あって、被害者側の言い分に寄っちゃったんですよね。気持ちが。

仮に見逃したとして、これ、将来性一切ないし破綻するだろうなあと。

 

将来性というのはですね。

もし加害者側の主張をそのまま信用して彼が無自覚であるとしたら、これ片方がいなくならないと絶対修復不可能だろうなと思ったんですよ。

だって、もし被害者の主張も同じようにそのまま信用するとしたら、怖いと思った一つ一つの理由を述べて、相手に改善を図ってもらわないといけないわけで。それできるかって言ったら、いやー、時間と労力と気力が足りなさすぎる。

加害者側は無自覚なんだろうから気づけないはずだし、被害者側は我慢できないから思い詰めて断罪しに来てるわけだし。をお互いに真実を言い合ってるパターンが最も厄介。

 

となると、断罪せずに許したとしても、どうせ破綻して殺人沙汰になるのが目に見えてるんですよね。じゃあもう、行くっきゃねぇ精神で。まあープレイ中はここまで深く考えてませんでしたが。

初めに感じたキナ臭さがどーーーしてもぬぐえなくて、あとは感情論でぽちーっといきました。

 

 

してして。

めった刺しという後日談を見たというのもあるかもですが、改めてキナ臭く感じた理由についての考察など。

 

決定的だったのが、「なあ、何を言ってるんだ」みたいなセリフかな~……。

初めは「話せるまで待つ」という余裕のある態度を取っていたので、なお印象的なんですよ。立ち絵の表情差分の変化しかり。

で、あの繰り返しって、黙らせるための圧のかけ方だと思うんですよねー。言えるもんなら言ってみろ、の典型。「なあ」と呼びかけが入るところがいっそう怖い。呼びかける、ってつまり、相手に対して返答なりなんなり、何かしら求めるものがあるってことですからね。むしろ「説明しろ」「言ってみろ」と続くなら安心できた。そう言ってこないということは、他に何かある、裏を読めと匂わせてるようなもん……。

と、さすがにこれは私の中で答えが決め打たれているから、半ばこじつけな部分も大きいか。

 

 

まあね、後日談も引っかかりはるんですよねえ。

被害者が加害者のことを良く言っていたのは、犯行が自分で、疑われないためなのかなあ。

でも、いずれにせよ殺しちゃうんなら断罪室に来る意味ある?という気持ちもあり。自分で殺せないor殺す前に殺される危険性があるから断罪室に来ているもんだとばかり思っていたため……。

 

ふーむ。

この部屋が一番、「こうだったかもしれないなあ」という気持ちの残る部屋だったかもしれません。

 

 

 

 

無印

 

実は初回でこのボタンをタップしたんですよ……。

いや、絶対止められると思って! 「ああ失礼、こちらのボタンは今修理中でして」みたいなセリフが来るもんだとばかり!

したらぬるっと通されて驚きました……。

 

で、本来はやり直さないのが本作の味だと思うのですが……。

すいません!!

リセットして改めて1番から始めました!!

別にね、どこから始めたっていいんだろうとは思うんですが。順番通りにやりたいタチなんです。へへ……。

 

 

で、1~4番の部屋を見てから最後に乗り込んだわけですが。

 

いやー、作者様の素晴らしいところは、ここ!

プレイして初めにこの部屋を選んでも支障なく、むしろより粋にプレイが進められるところ!!

最後の管理人のセリフでね、もう思わず手を叩いてしまいました。演出力~……!

 

もちろんこうしてラストにこの部屋をプレイしてみても、総括として綺麗に締めくくられるのが良きところ。

特に私は前述のとおり、もうゴリッゴリにフィルターと思い込みをかけまくって決め打ちしまくるプレイスタイルだったので、まあ耳が痛かったですね~。

こうして書いている感想文にしても、私の底の浅さや偏見、人間性の低さが露呈する気がしてならない。ひーん。

 

それこそVTuberさんたちにこぞって実況されてるゲームですし、他の方のプレイや考察も見てみたい気持ちです。

先に他の選択肢を回収してきてからかな~。

 

 

にしても、断罪を免れるルートはあるんだろうか?

私は案の定ざくっとやられちまったんですが。後日、選択肢を楽しむついでに総当たりしてみようかとも思ってます。るんたった。

 

 

 

 

BONUS

 

・インタビュー

 

結局あなたは何者なんだ、砂田さん!

そして我々はどういう経緯で断罪人に選ばれているんだ!

気になるところはあれど、本編での「全てを知ることはできない」という一文で全てが片付くという。ふふ……。

 

それでも一部は教えてくれる辺り、やっぱりプレイヤーに対して優しい作品ですよね。

断罪室の生まれた経緯とか、管理人の個人情報とか。

 

「花瓶」という呼び名を受けた時のエピソードはおそらく、管理人を作った人の今際の話ですよね……? 研究者が死んだ後も主の願いを叶え続ける存在みたいなものになってるんだろうか、管理人……。

いやでもこれもまた断罪室と言えばいいのか。

結局真相はわからないままなんだろうなあ~! くぅ! 一貫している、テーマが!

 

 

 

・NG集

 

さりげなくレアな表情差分が見れるの良き。

方言バリバリの時の「どこどこ」の思い切り素な感じが好きでした。ほのぼの。

あと改めて気づいたんですが作者様のお名前Tシャツ(実際は反転だけど)着てるのに気づいてニヤリ。

 

 

 

・管理人と遊ぼう

 

確認しましたとも、全選択肢!

だ、だよな……? うん、おそらく回収しきったはず。

論破されるパターンにも複数あったり、それぞれ教訓があったり、ボーナスならではのちょっとお遊びな展開もあったりで、盛沢山でしたね~!

 

何より、この教訓があることで、本作への信頼感が爆上がりしました。

追記より前に書いた「正解はないけど嗤いもしない」は、まさにこの辺を読み終わって感じたことです。

人間関係諍い事での重要なノウハウが詰まってて、もうね、後方腕組み有識者顔を決めてしまいました。そうなんですよ、わかってもらうためには事実がないと本当に難しいし、勘違いされないための悪魔の証明もまた不可能なんですよ……。

いやはや、最後の最後に襟元を正された想いです。

 

作者様はこういった事態と近しい環境にいらっしゃるのかな……と思いはしたものの、これもまた言ってしまえば邪推であり、ありもしないことでとやかく言われるという苦しみに繋がってしまうわけであり……。

いやあやっぱ、耳が痛い物語ではあります。嚙み締めよ~……。

 

 

 

 

総括

 

と、こんな感じで!

 

最後にさくっと軽く、私は3番の部屋が好き!

皆さんはどの部屋が好きで、どの部屋で悩んだのかな。

気になる配信者さん方が実況も出されているので、そっちもチェックしたい気持ち! わくわく。

 

色々とプレイ感想で盛り上がりたくなる、良ゲーでした!