うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

「ネバーランドシンドローム」キャラ別ネタバレ感想

さくっと前置きを省略して、前回の記事の続き!

『紡ロジック』などで有名なSEEC開発のアプリゲーム「ネバーランドシンドローム」の感想。今回はキャラ別エンディング、ネタバレ全開編です!

 

 

未プレイの方はこちらから先にどうぞ↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

では以下は、全てネタバレです!

 

 

 

 

 

ティンク

 

人魚の章でのティンクのスタンスがすごい好きだったんですよね~……。

なんだろうな、決めさせてくれるところが好き?

「逃げ」に見える選択肢にも良点があるということをきちんと示してくれたうえで、冷静に、お前の心が納得するのはどっちかと問おうとしてくれるところが好きだったんです。ぎゅうぎゅうに窮屈な気持ちをしている心が、どっちの方向に行ってもいいように、少し隙間を開けてくれる感じ。

さあ立ち向かえと背を押すのではなくて、あっちに行ったらこうなるだろうし、こっちに行ったらああなると思う、と私見を述べたうえで、決まるまで待っていてくれるところが好きです。

 

 

エンド(TRUE)

 

印象的だったのが「気の利いたことは言えない~」みたいなくだりについて。

初めにティンクのルートを埋めていったので、プレイ当時は特に感じていなかったんですね。ピータールートも通った後だと、なるほど、生真面目で正論な返しが多かったかも。

少なくとも、甘いセリフをささやくとか窮地のシーンでさっそうと駆けつけてお姫様抱っことか、そういうキャラではないのはわかります。うんうん。

でも、そこが良い! その生真面目さが好き!!

 

 

エンド(NEVERLAND)

 

そして冷静で生真面目だからこそ、バッドエンドでは一人で押し込めて一人で葛藤して一人で完結しちゃう感じになったのかな、なんて……。

このエンドだと、なんか、見ようによってはトワがけっこうファムファタルで良いですよね!? ちらりと意識している感じがなんか、予想外に小悪魔っぽくて、グッときました。

でもトワ側はティンクの罪悪感なんて知る由もないから、小悪魔な気はないんだろうな……。ティンク視点だからこそ見れるトワって感じ。味わい深かったです。

それはそれとして、このルートだとティンク側が拒絶して一生くっつかなさそう……。苦しい……。この展開が「NeverLand」なのもまた、さりげなくえぐみがあって好きです。

 

 

 

ピーターパン

 

王子様! なキャラですよね~……。

少女漫画で王道なヒーローが良いなら、間違いなく彼を選択してほしい気持ちがあります。

破天荒なキャラかと思いきや、別に振り回すタイプというわけではないところも深みがあって好きです。手は引いてくれるけど、彼なりにトワの気持ちをいったん聞いてもくれる。手を引くのも、トワが内心やりたいと思っているであろうところを汲んでくれる感じ……?

お話の構造上、トワに都合よくあるのは当然ではあるんですが、それにしても器用で心ときめく王子様って雰囲気でした。

 

 

エンド(TRUE)

 

ああ、一貫してトワを連れ出してくれる人なんだなあ、としみじみしたんですよ……。トワの心を開放して、現実のトワを身体ごともっと広い世界へ連れ出して。ピーターパンですね、まさにね……。

トワの自立という意味ではどうなんだろう?と一瞬思いましたが、そこもたぶん解決してますよね。よね?

ネバーランドでは流されるばかりだったトワ。でも現実では、自分で彼の手を取ることを選ぶ。そんな感じなのかな。

同じ連れ出すという形でも、引っ張られるか自分で手を取るかの違いは大きいような気がします。

 

 

エンド(NEVERLAND)

 

ヤンデレルートきたああああああ!!!!!!!!

ありがとうございますと百回唱えました。ありがとうございます~~~……!

 

このエンドだとトワが自我を獲得できないので、そのまま流されるままになってしまって、ピーター色に染められるという形なんでしょうね。

おそらくピーターはフロイトの論でいうところのエゴ部分を担っていると思うのですが。だからこそ、悪びれている感じが一切なくて良かったですね~! こうするのが当然、トワのため。いやあ、気持ちいい~! 怖い~~~!! 好き~~~~~!!!

この点、ティンクとはやっぱり正反対なんだなあとひしひし。そういう意味だとティンクはイドを担ってるのかな……。

じっとり余韻が沁みるティンクと、がっつり病みの勢いを楽しめるピーター、どっちもほの暗くおいしくて楽しかったです。

 

 

 

スライトリー

 

真相まで知った人はたぶん誰しも思うのではないでしょうか……

これ、近親相姦(近親愛)なのでは!? と。

ただなあ、これ私、NeverLandEndとTrueEndで違う人格として書かれているような気もするんですよね。Trueでは家族愛のお兄ちゃんだけど、NeverLandでは恋愛としてのスライトリー。これは後述のニブスやツインズにも共通ですが。

そういう解釈で、書いていきます(宣言)!

 

して、スライトリーについてですが。

彼はな~、どっちの世界でも共通して「根はやさしい乱暴者」なんですよね……。そして優しい人というのは総じて、臆病でもある……。

トワを助ける以前に彼自身も助けられてほしいなと感じるキャラでした。

 

 

エンド(TRUE)

 

トワが父と兄の架け橋になるの、熱い展開ですよね~……!

たぶん、長男ってこともあっていっそう、俺がこの状態を何とかしなければという意識が強かったんじゃないのかなあと思うんですよ……。気負い……。

でもまあ、子ども1人で家庭の歪みという強大なものをどうにかするのは、絶対無理なんですよね。希望のない断定口調を使ってしまって申し訳ないんですが。でも、事実として無理なんだと言わないとその子がひどくかわいそうだ。その子の責任になってしまうもの。

正直、子どもがこういう歪みを持った親に対してできることって「親と物理的距離をとる」の1択なんじゃないかなあー、なんて。

だからなー、トワ達を置いていったことは仕方がないと思うんだよなあ……。

いずれにせよ、悪者がいない展開になったことがホッとしました

 

 

エンド(NEVERLAND)

 

あふれる想いのまま行ってしまえと全力で応援したい気持ち!!

でもなあ、このエンドだとスライトリーはトワとくっつこうとは思わないんだろうな……。トワはそうと知らずになついてるんだろうな……。もうね~、複雑でした。

葛藤をすべて放り捨ててヤンデレ彼氏一直線になってほしい私と、この葛藤があるからこそ心優しいスライトリー君が成り立っていると主張する私の戦い……。

そしてここでもトワがファムファタルに見える不思議~……。いやその気はないんでしょうけど(二回目)。トワがあの家庭で必死に自らを防衛していた姿が、兄視点だとただ黙ってるだけにしか見えないのと同じように、やっぱり視点主による見え方の違いがさりげなくも丁寧で好きです。

 

 

 

 

ニブス

 

むちゃくちゃ酷くて悲しいことを言ってしまうんですけどね。

虐待されたら自分が子どもを産んだ時にも虐待をしてしまう、という言説を、どうしても、思い出してしまいました……。

秀一って名前がもうさぁ。それでそういう勉学重視の教育方針はもうさぁ。そうじゃないですか。嗚呼……。

この言葉が酷い呪いとなりうることも、わかってはいるんです。虐待云々の話だってもちろん、全員が全員そうでないことも。でも少なくともこの物語においては、そうだったんだろうなと思います。そこを書いてくれる、世の風潮と向き合う強さが好きです。

 

 

エンド(TRUE)

 

このルートはもう、恋愛一切なく、完璧にお父さんですね~。

スライトリーの項目でも書きましたが、やっぱり父とニブスはしっかり別人として書かれているんだろうなと感じました。

お父さんと真っ向から言い合ってぶつかる、とかじゃないのがまた、リアルでいいんだよなあ……。やっと所有物だった子どもから一人の人間である子どもとなれた感じがしました。

そして、父娘特有のぎこちない雰囲気の再現度がすごい。トワの言い分を聞き入れる余地が父にできたのも、トワが大人になった証なんだろうなあと思います。心身ともにね。

 

 

エンド(NEVERLAND)

 

ここで明かされるニブスの日常!

思わず頭を抱えました。そりゃね、転寝もしたくなるよね、限界生活送ってるもんね……。

教育熱心であることってもちろん、罪ではないはずなんですよ。よりよく育ってほしい、可能性を増やしてほしい、という形の愛だから。ただ本人の意思と合意と加減が必要なだけであって……。

本作はずっと一貫して、過干渉も愛ではあるというスタンスだったのが、悲しくも好きでしたねぇ……。

このエンドはある意味、フックのエンドとも近い流れになりそうな気もします。トワをよりよく導かねば、という使命。ニブス自身が体験してる分、手加減してくれるだろうと思いつつ……、自分ができるんだから貴女もできる、にもなりそうでなあ……。

ただ、このしっかり囲っていく感じは病み度高くてにやにやしました。

 

 

 

ツインズ

 

初登場のスチルが大好き~~~!!

まさに「目だけ笑ってない」ですよね……。圧がすさまじくて好きです。

ツインズが出てきてくれたおかげでこの物語の真相にオッと気づけたように思います。真相というか、役割か。まあこの辺は後述するとして。

口調と言い、少し不気味で信用できないキャラみたいな感じで書かれてたのかなーと思いつつ。カタカナで笑う時の描写などは、やさぐれてる時の彼を踏襲してるんだろうなあ。

 

 

エンド(TRUE)

 

回想シーンで色んな音楽を聞かせて胎教に良くしてあげるシーンがあったじゃないですか。父のあの教育はちゃんと奏の音楽的な興味や素養として、実ってはいるんですよね……。

ここが最も切なかったかもしれない。愛がいつの間にかすれ違ってるんだよなあ……!

そもそも彼の名前も奏だしさあ!

秀一さんとおんなじこと言ってるな私!

言ってしまえば彼って、置き去りにされてはいるんですよね。兄も姉もさっさと家を離れてしまって、ターゲット1人となると両親の過干渉はより増えるだろうし。でもそれに対して恨み節を言ってはこなかったところがまた、彼も彼で優しいなと、感じました……。

 

奏を応援するセリフが好きです。

昔、トワが言ってほしかったことだったからこそ、惜しみなく奏に言えたのかな……。

 

 

 

エンド(NEVERLAND)

 

「背筋がぞくりとする」

この表現!!! この表現~~~!!!!!!!!!!

ヤンデレ歓喜です。ありがとうありがとう。トワの「子どもだもん」というセリフ、真相を知った後だとなんか、こう、背徳感がすんごいんですよ。それこそゾクゾクしました。

仮面というモチーフの使い方がうまいんだよな~……!

なお、スチルはガチめに怖かったです。でもそこがいい。仮面というモチーフが重要なだけあって、スチルの表情をすごくこだわって作られてるなあとしみじみしました。

 

 

 

 

トートルズ

 

萌え袖は狙っとるやろがーいの気持ち~……!!

ごりっごりに、かわいい系でショタ系な感じ。そして、ツインズがあからさまに不穏だとすると、トートルズは無害を装う怖さがどことなく漂っていたように思います。

トートルズだけ立ち位置が違うの、作品構造としても面白いですよね。半透明なのも幽霊だからという以上に、トワが自立に向かおうとしているため、トートルズの存在自体が希薄になっているからなのかも。

 

 

エンド(TRUE)

 

現実にいないんですよね、トートルズ君……。

どのキャラも現実世界のキャラと別人格として扱われているとは思っているんですが、他キャラは現実のその人に会えばネバーランドの子たちを思い出せる一方、トートルズはそれができない。本当の意味で、心の中にしか残らない、というところが切なくも徹底していて好きでした。

こういうところはご都合主義的にいかないところが好きなんだよな……。

イマジナリーフレンドって、創作物だと怖いものとして描かれがちじゃないですか。でも、本来こういう温かに心を癒してくれるものだよなあ、と改めて思わされる展開でした。

 

 

エンド(NEVERLAND)

 

ヤンデレだーーーーー!!!

前述の無害を装う怖さが前面に出てきたのがこちら。

このエンドはトワとトワの影が担う役割などを把握してないと理解が難しいと思われるので、最後にプレイしてよかったです。私、えらい!

トワの影を消してしまうことで、トワが現実と向き合うための苦しみや葛藤を全て排除する……という展開だと解釈しているのですが。成長や自立の機会も無くなってしまうわけで……。

トワが望んで選んだこととはいえ、可能性を一つ消してしまうんだと見せつけられる感じが、たまりませんね。トワを守るという愛なのもまた、ああ、良い……。

 

こっちのエンドだとよりトートルズの自我が強くなってるっぽいのも納得でした。トワが子どものままで居続けることを望むなら、イマジナリーフレンドだって消えるわけがないもんね。

トワの影を吸収したという解釈もありそうだけど、影自体は消し去ったと捉えておきたいかなあ。自立を望む気持ちが消えたから、トワが疑問をあまり深く考えずにトートルズに流されちゃう。展開にも納得がいきます。

病みだけでなく色々と、確かになあと思わされるエンドでした。

 

 

 

 

 

以上!

いや〜、語った語った!

 

まとめると、

 

  • 好きなキャラ→ティンク
  • ときめきエンディング→ピーターのNEVERLAND end
  • 大切にしたいキャラ→ニブス

 

でした!

 

 

 

テーマと作品全体の雰囲気がすごく好みな一作、プレイできてよかったです。

 

 

 

作品全体の感想↓

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