「夢を見るのも悪くない、でも夢を叶えるのも素敵な話」
どちらもあなたが望むなら幸せなはずの前置き。
えー、今回はSEECアプリさんところのフリーゲーム「ネバーランドシンドローム」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
公式の紹介PVはこちら↓
ネバーランドシンドローム 【乙女ゲーム×童話ノベル】 -公式PV-
乙女向けアプリ……ではあるものの、恋愛要素はほどよく、そういった趣味が薄くてもシンプルにお話として楽しめそうな作品でした。
病むエンドはしっかりヤンデレ、けれども全体としてはすごく優しくて繊細なお話です。
というわけで、特徴など。
ちょっと変わったルート分岐
共通ルートを通って、個別ルートへ入って、誰かとエンディング。
乙女ゲーと言うとなんとなく私には、こういうイメージがあるんですよ。
でも本作は違います。
共通ルートキャラAorキャラB→個別ルートキャラCorキャラD→共通ルートキャラAorキャラB→誰かのエンディングキャラAキャラBキャラCキャラD……
ざっくりですが、こういう感じ。
ずっと同じ攻略対象と行動するのではなくて、共通ルート専用のキャラと個別ルート専用のキャラがいる、みたいな……。伝われ伝われ～。
全クリした後だとこの構成も大変納得がいくんですが、乙女ゲー慣れしている人ほど戸惑うかも？ また、選択肢だけでは誰のルートに入るのか判断できないシーンもいくつか。
ここが悩ましいところなんですよね～……。
私は正直、がっつり攻略を見ながらプレイしたのでストーリーにもついていけたんですが、人によっては置いてけぼりになりそうな気もします。みんなが前提としている設定を理解しきれずに終わりそうな……。
でも！！
でもこのストーリー構成や、斬新なルート取り自体は好きなんですよ！！
うおお、難しい……！
とりあえず、これからプレイするつもりの方で、あんまりネタバレとか気にしないよって方なら攻略ガン見を推奨したい気持ちです。
さらにさらに、アプリ内に分岐のツリーがしっかり用意されているので、周回プレイはスムーズ。ストーリーラインの全体像が見れるのは、ノベルゲーとしてもすごくありがたい機能でした！
乙女ゲーというより心のゲーム
「乙女ゲーム×童話ノベル」
このように銘打たれている本作ですが、個人的には乙女ゲームだと思ってプレイすると少し違う読後感かなとも感じます。攻略キャラとのトキメキももちろんありはするんですが、そこだけがメインではありません。
ネバーランドに迷い込んだトワの、心に絡まった糸を解きほぐすのが目的……と書くと個人的にはしっくりきます。
これを言えばピタリと伝わる単語があるんだけど、それがもうネタバレというもどかしさ！
とにかく、恋というよりは、心の柔らかいところにあたたかく手が触れ合うような感じ。闇や切なさはあるけど優しい、繊細な心を鼓舞しつつも寄り添うようなお話です。
夢うつつな雰囲気のテキスト
ネタバレに抵触しないか心配しつつ、それでも書いちゃう！
本作は序盤こそファンタジー学園モノに近い雰囲気ですが、途中からだんだんと雰囲気が様変わりしていきます。別世界での冒険、うっすらと浮かぶ過去、そして戻ってくる学校……。
注目すべきは、この境界線の曖昧さ！
まさに夢うつつというのがふさわしい、独特のストーリーラインを感じます。
この手のテーマのゲームでよくある「私はこの世界から解放される……！」みたいな感じじゃないんですよね。で、代わりに、「ああそうだったんだ」って気づく。自然に、そっと受け入れる。
主人公であるトワも、周りのキャラクターも、自力で気づく。でも、あえて明言はしない。だってそれはもともとそこにあったものだから。
……いや～、これで通じるかな？
プレイスタイルによっては、プレイヤーが物語の真相を察する前に、キャラのほうが先に気づいてしまうかもしれません。でも、エンドロール付きのエンディングでは真相の総まとめが入るので、そういう意味ではご安心。
とにかく、この、真相を自然な態度で受け入れる温度感が好きでした。童話みたいに夢見がちな雰囲気と、あるがままを大事にするあたたかさが味わえて良いんだよなあ……。
TOP画面着せ替えシステム
中でも嬉しかったのが、アプリのホーム画面を好きなスチルに入れ替えられること！！
これ今までプレイしたどのゲームでも（たぶん）味わったことないんですが、もうね、最高！ 最高の機能です！！ 全ノベルゲーに搭載してほしい！！
今は○○のルートだから彼のスチルにしちゃお♡
とか、
クリア後もあのエンドの余韻に浸りたいな……
とかとか。
気分に合わせて着せ替え出来るのが楽しかったです。好きなスチルを気軽に何度も堪能できるのも嬉しい……。
破格のお手軽チケット制
さて、『誰ソ彼ホテル』などで有名なinfo.SEEKゲー。
と言えば最も気になるのが、アプリ内課金やチケットシステムでしょう！
なんぞやという方に説明すると、この開発チームのノベルゲーのほとんどが採用しているシステム。１話読むためにアプリ内アイテムであるチケットを１つ消費する、毎日規定数補充されるが無料分はストックできない、すなわち一気読みしたいなら課金必須。こういう仕様です。
本作におけるこのチケット制の文量ですが……。
結論から言うと、ぴったりな塩梅でした！
無課金でも全然ＯＫ。一話ごとの文量も区切りもちょうどよい。テキストの変な引き延ばしもなくて読みやすい。無料分を使って読み切れる文量がきっかり30分くらいで、毎日のプレイの文量としてすごくちょうどよかったです～！
ほんのり不便だったところとしてはまあ、スキップスピードがゆっくりめ、というのもありはしますが……。これを無課金で文句言うのはさすがに、要望が行き過ぎといったところでしょう！ ここも課金アイテムで解決するポイントですしね。
アプリゲーはちょっと課金が怖くて……という方にはそれこそ、本作からプレイを始めてみるのをお勧めしてみたい気持ちです。
とまあ、こんな感じで！
切なくて暖かいストーリーが好きな方、童話パロが好きな方、アプリで乙女ゲー気になる！といった方にオススメです。
追記ではネタバレ感想！
この記事内では、本編の真相に思い切り触れたうえでの考察と、元ネタ、それからBGM語りなど。
キャラとエンドの感想だけはと〜っても長くなってしまったので、別記事に分けますね。
キャラクター＆エンディングのネタバレ感想（後日追記予定。お楽しみに！）
同開発元の他アプリゲーム感想記事↓
まだ続くよ！
↓
ネタバレ注意！
攻略対象とエンドの感想だけさくっと読みたい方はこちら↓
それぞれの名前と役割
まず、名前の元ネタから。
スライトリー・カーリー・ニブス・トートルズ辺りは知らなかったので、調べてみました。ピーターパン原作に登場するネバーランドの住人達とのこと。マジでまんまな名前がヒットして目を丸くするなど。
せっかくですし、これを機に原作を読んでみるのも一興かもなー、なんて。がんばれ未来の私。
続いて、アダルトチルドレンについて。
ちゃんと作中に参考文献まで表示される丁寧さ！ 好きです……。
アダルトチルドレンの類型分類は諸説あるようなのですが、あの家庭は全員がその役割を担っているようにも思えましたね〜。
便宜上キャラ名で書き並べてみますが、
ただ、これだとスミーだけ現実では家族の枠組みに入っていないからおかしいのかな……？ でもスミーだけ役割が何にもないというのも違和感なので、やっぱりこうな気がしています。ふむー。
ちなみに、フロイトの論に当てはめて、
- ピーター→エス（イド）
- ティンク→エゴ
- フック→スーパーエゴ
であるとも考えています。
ティンクが初めはフックに協力しておきつつトワの影を解放して裏切ったのも、エゴが心の調整役だからなんじゃないかなー……。
せっかくだからトワの影についても。
ネバーランドでは、
- トワ→子どもでいたい、苦しさから逃げ出したい
- 影→大人になりたい、心の苦しさと向き合って解決したい、夢を叶えたい
なのかなあと。そして、どっちもトワの願望だから難しいし、揺れ動くんだろうなあと思います。
BGM語りあれこれ
Trueエンド
TrueエンドのBGM、最高じゃないですか！？！？！
あのエンドロールが流れ出した途端、ポタッと涙が出てきました……。好きだ……。
曲自体はフリーのものなんですが、あの曲をこの余韻の中で選ぶセンスが好きなんですよねぇ。民族調で、郷愁も感じるんだけど、どことなく前向きな気持ちになれる感じ。
クリア後に大急ぎでサウンドルーム経由して原曲調べに行きました。
気になる方はこちら↓
PeriTune「Harvest3」
（Youtube Musicに飛びます）
この曲、聴いてるとだんだん使われる音（楽器？）が増えていくんですよ。これがもうね、エンドロールの演出にぴったりで！
エンドロールは指で触れてると早送りできるんですが、つい全エンドをじっくり見届けてしまいました。こういう１人ずつ増えていく演出好きなんだもん……。
余韻に浸る時間をくれるエンディングっていいですよね。
課金ストーリーBGM
ここは余談として。サウンドルームだと無課金状態でも課金追加ストーリーのBGMが聴けるんですが……。ちょっと笑ってしまったのがティンクのBGM。
もうね、どういうストーリーになるのかが曲だけで分かってしまうんですよね！
ある意味これで気になって買うというルートもありなのかも。楽しく読了できた方は是非。
個別BGM
キャラごとにBGMが違うのも嬉しいポイントでした！
トートルズとツインズだけちょっと毛色が違うな……？と思っていたら、作曲者さんが異なっていました。ちょっと自分の耳に自信が持てる。ふふん。
初めにティンクルートを中心に追っていたので、やっぱり彼の曲が印象に残っています。幻想的で良いんだよね……。
全体的に背景画像がすごく綺麗なので、綺麗な音遣いのBGMがより映えて聴こえました。素敵……。
あなたの選択を否定しない物語
最後は曲ではなくストーリー。
共通のエンディングについて。
ネバーランドに居続けるエンドを「バッド」と呼ばないでいてくれるのが、一番好きです……。
どうしてもね、前を向いて日向のほうへ行くのが良しとされているじゃないですか、世の中。わかるんですよ、心としても健全だし、そうなれるならそうありたい。
でも、ちょっとうまく立ち上がれない時ってあるじゃないですか。前向きになるためのうつむきじゃなくて、もうそもそも前を向くとか考えられないくらいに心が疲れちゃってるとき。
それを肯定してくれる感じがしたんですよ～……。
こういう心の繊細な部分に触れてくるお話で、立ち止まることをマイナスとしないでいてくれた。それだけで、ものすごく暖かく、優しいものを感じます。
私の中にいる臆病な私を、否定しないでくれてありがとう。
こんな感じかな！
まだまだ続くキャラ別・エンド別感想はこちら
