うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

アプリゲーム「触手を売る店」感想

「救いなんてものは洗脳と思い込みだろう?」

たんと教育すればほらこの通りな前置き。

 

 

 

えー、今回はAchamothさんところのアプリゲーム「触手を売る店」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

 

触手を育てながら、集められた子どもたちの悲惨な運命を見届ける話。

同名のふりーむ版(PC・ブラウザ版)もありますが、今回はアプリ版について。

なお、システム・ストーリー共にまったく異なる作品となっていますので、片方だけしか触っていない方はこれを機に是非! 両方プレイしてみてほしい所存です!!

 

 

というわけで、特徴的な点など。

私はふりーむ版をプレイ済みのため、その前提で述べていきますね。ふりーむ版のネタバレも一部含みますので、気になる方は先に前作の感想からどうぞ!

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

ふりーむ版の前日譚

 

さて、本作のストーリーはなんとふりーむ版の前日譚!

ふりーむ版だけだとただのフレーバーテキストで終わっていた被害者の子どもたちが、今作ではキャラクターとして、立ち絵・台詞・ストーリー有りで活躍してくれます。ふりーむ版クリア者はオープニングの時点でぎょっと驚いた、はず。ふふふ。

 

中でも私はリューシーが大好きです!

まさかあの子がああいう形になるとは思わなかった……。なんだろう、彼女もちゃぁんと「悪い子」なんだなあという、いじらしさの裏にある利己がたっぷり感じられて楽しかったです。

意外性という意味ではマーロウとカタリナもそうですね。

見てて元気になったのはリンちゃん! 馬鹿だけど本当にピュアな良い子で、だからこそその善性が他の人の癇に障ることもある馬鹿なんだろうな……。

どのキャラにも、テンプレには収まらない深みを感じられて、ものすごく楽しかったです!

 

ただ、俗にいう「後付け」のように見えてしまう子がいるのも事実。

私はふりーむ版の救いのなさ、後味の悪さ、ある意味キレイな因果応報の形が好きだったので、そこが緩和されてたり違う意味合いを持ってしまったりしたのは少し残念でもありましたね~……。

でも、「この子が実は!?」という驚きや楽しさがあったのは確かです。気になる人は気になるかな程度のポイントってことで。

 

 

 

イロモノ店主の衣装替え

 

ふりーむ版では狐面で底意地の悪い店主、という個性が押し出されていた店主。

アプリ版では小悪党だったり非凡の中の凡人だったりな側面が強く、ふりーむ版で最後に明かされる人間性がむしろこちらでガッツリ楽しめるような印象でした。

 

また、驚くべきは立ち絵の多さ!

ストーリーの進行に合わせて、店主のお色直しが挟まります。ただ新しい衣装というだけでなく、彼なりの試行錯誤も感じられて、物語性的な意味でも興味深かったです。ガラッと雰囲気変わるのがすごいし、それでも同一人物だとわかるのもすごい……。

 

あと、店主はアプリ版の方が色気たっぷり。

中性的というか、蠱惑というか、セリフ回しもどことなく口説き文句に似たものが多かったように思います。これ、店主に入れ込んでたプレイヤーは大歓喜だろうな~! そしてアプリから入った方はふりーむ版のあのイベントでギョアーッってなるんだろうな~! どっちも面白そう、是非他の方のご感想も聞きたいですね!

 

 

 

群像劇で鬱展開

 

ふりーむ版から察せられる通り、ストーリーはしっかりガッツリ鬱展開です。ただ、アプリ版の方がグロ要素は薄くて取っつきやすいかな?

興味深かったのが、群像劇な展開だったこと。子どもたちそれぞれの視点を移りながら読み進めていく形式なので、感情移入しやすかったです。さらに言えば、「精神感応」という能力がこういうシステムに結びついているのも、納得感が強くてめちゃくちゃ良い!

時々タップ操作を挟んで飽きさせないようになっているのも、アプリならではの演出でしたね~。

 

何より「テレビ電波」ってワードがもう好き。

その他要素としては、廃墟、謎の宗教、天使、焚書、人身売買露天商、賭博、アングラ集団の地下抗争、などなど。アジアンテイストの中に薄暗く怪しげなものをギュギュっと詰め込んだ、吹き溜まりのような世界観がものすごく魅力的です。

暗くはありますが、群像劇ならではのパワー、どかんと破裂して終局へ導かれる勢いなどは溢れんばかりに感じる物語でした。

 

 

 

霊酒が無駄にならないシステム

 

ふりーむ版より時間はかかるものの、遊びやすいのは圧倒的にアプリ版です。というのも、とにかく「無駄がない」システムとして整えられてるんですよ!

ふりーむ版ではただ活動コストとして使用されている霊酒でしたが、アプリ版ではストーリー進行のための通貨としても使われるようになりました。ふりーむ版では終盤になると飽和しがちだったものが、アプリ版では無駄なく綺麗に使い切れるの、めちゃくちゃ気持ち良かったです!!

さらに、触手育てについても、アプリ版の方が簡略化されています。そこまで意識しなくても、適当にぽちぽちして共食いさせるだけで図鑑コンプはできるはず。

前作も放置ゲーとして良い作りではありましたが、本作はよりブラッシュアップされた印象でした! まだ高みへ登ってしまうのか、このゲームは……!

 

 

 

どっちからプレイする?

 

さて、最後に余談として、ふりーむ版とアプリ版どっちからプレイするのがいいのかな問題の所感など。

 

両方をプレイする前提なら、

・ゲームシステムの理解を深めたいならアプリ版

・物語やキャラを楽しみたいならふりーむ版

から入るのがオススメかな~と思います。

 

アプリ版はストーリーが群像劇となっているので、初めにキャラの個性や名前をしっかり一致させておかないとついていけなさそう(序盤はふりーむ版の拾ったものとにらめっこしながら進めました)。一方で、ふりーむ版の触手育成はアプリ版より複雑なのと、法則性がアプリ版の方が見やすいので、そちらで一通り掴んでからプレイするのがよさそう。そんな感じ。

といっても前提知識をつける順番でのオススメになるので、片方しかプレイしない・興味ある部分を先に触りたいプレイヤーさんは逆順で是非どうぞ。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

公式サイトや紹介PVなどを見てビビビっと来たらプレイしてみて欲しい!

私がプレイした時はまだ未実装のシステムもあったんですが、後からアプデで図鑑コンプ記念なども追加されました。こういう想い出した時に遊べるのはアプリならではですね。

ふりーむ版、アプリ版、どちらからでも、気になる方は是非!

 

 

追記では軽くネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

ふりーむ版のネタバレも踏まえて語るので、両方既プレイの方向けです。

 

 

 

 

 

ピーピーちゃんについて

 

ふりーむ版の感想で私が怪しいとか不気味とかさんざっぱら言ってしまっていた、鳥さんですが。

いや~、正体がまさかのまさかでしたね!

 

一人称が変わってる、というか、あのセリフの時点でもう彼女の意識は全てなくなったようなものだと思いますが。それでもかなり見え方は違って、興味深かったです。

鳥に限らずですが、子どもたちはみんな商品になるだけじゃないってところも興味深かったです。湖(ご神体)はあくまで人の身体を元にするだけで、魂みたいなものの有無は関係ないってことなのか……。死体を投げ込んでも返ってくる時点で納得はあるんですが……。

リンちゃんは二回湖にぼちゃんしたことになるはずですが、星みたいに返ってくるわけじゃなかったのも気になります。

 

いずれにせよ、自分が自分じゃなくなることが当然のように行われているあの世界、マジで怖くて好きです。

 

 

 

星とふりーむ版のエンディングについて

 

ふりーむ版をプレイしていた時は、「早く自我を取り戻さなきゃ!」という流れに自然となっていたように思うんですが。

もしアプリ版からプレイしていたら逆に、星の想いなどを考えると、「自我を取り戻しちゃだめだ……」とプレイヤーは心の中で思いつつも抗えず取り戻す構図になるのかなー、なんて。

星の過去を知っているかどうかで、妹と出会いたい/出会いたくないが反転するの、すごく斬新で趣深かったです。

 

アプリ版を経るとふりーむ版のエンドがいっそうハッピーに見えますね。人との関わりに絶望した星が、全て失ってやっと、自分の影響を受けない家族を得られるという……。

さらに店主の言葉を踏まえるなら、妹ちゃんもさりげなく気狂いってことですよね。そりゃそうか。触手になっちゃってるもんな。同族食いしたってきょとんとしてるもんな。そうだよなあ……。

 

 

 

子どもたちについて

 

啖呵のシーンがすっごい好きだったんですよ。「世界のための子ども」じゃなくて「子どものための世界」でしょ、みたいなあのくだり。

前述の通り、今後あの世界はもっともっと混沌としていくことが予想されるわけですが、それこそが子どもの搾取されない世界であるとするならば、ものすごく強いメッセージ性があっていいなあと。改めてしみじみしました。

 

 

 

 

 

余談。

店主は口八丁でどうこうしてるイメージが多かったので、まさかの理科教師でびっくりしました。触手も生物学の応用でなんとかできたのかな……。

時計を手離すくだりが印象的でした。