「愛してくれてありがとう、綺麗なものばかりではないけれど」
それでもやっぱりありがとうが満ちている前置き。
えー、今回は箱庭のイデア(栄崎)さんところのフリーゲーム「しろいろかんばす」「人形師と紡命の少女」「60秒のセレナーデ」「てのひらはにー」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
この作者様のゲームは他作品と繋がっていることが多いんですが、今回取り上げる4作品はどれも単体で楽しめます。
- グラフィック重視の方→『しろいろかんばす』
- まとまったストーリーが見たい方→『人形師と紡命の少女』
- 色々試行錯誤したい方→『60秒のセレナーデ』
- お手軽&こだわりのない初見さん→『てのひらはにー』
といった感じかな?
前置きはこの辺で、目次など。
『しろいろかんばす』
[概要]
ウディタ製、マウス操作の一本道数分ゲー。限定配布だったそうで見逃していたんですが、boothにてDLできるように! やった~!!
[感想]
とにかくドット絵がかわいい!
新しい色を手に入れるたびに少女をクリックするのがすごく楽しみでした。どの動きもかわいい!
春眠、梅雨、芸術、蛍雪の功などなど、色と季節がリンクした動きになっているのも好きです。
必要十分のテキストに、めいっぱいのあたたかく優しい気持ちが詰まっている作品でした。心にそっと染み渡るプレイ感です。
[一言]
かわいいとやさしいをあなたに。
『人形師と紡命の少女』
[概要]
ウディタ製、青年×少女の村調査ADV。クリアまで30分程度、細かい分岐まで見たいなら1時間強。
[感想]
まず、反応分岐が細かい!!
元々、ちょっとした会話の差分を細かく仕込んで、丁寧なゲーム作りをしてらっしゃる作者様ではありますが、本作も例に漏れずでした。
ユリアを知ってるかどうかで村人の反応が変わるの、すごい……。
よそ者が初めは警戒される展開、ゲームだとわりと省かれがちだからこそ面白い切り口でした。
続いてストーリーについて。
ダウンロードページにもある通り、設定自体は他作品に繋がるものなので、深堀りはされません。が、メインとなるフランツとユリアの出会いや、タイトル回収など、物語としてのオチはばっちり。本作だけでも完結するし、興味があったら他作にも手が伸びる、みたいな感じでした。
フランツの、善人だけどちょっと変、みたいなキャラ像が好きです。
最後、グラフィックについて。
グラフィックの統一感は、やっぱり自作ならではの良さですね~。宿やお部屋の小物もかわいい!
ユリアに話しかけた時のちょっとこっち向いてくれる感じが好きです。
[エンディング・攻略]
攻略メモは同梱されているので、そちらを読むのが前提。
ReadMeにエンドは2種と書いてありますが、前述のとおりテキスト数行程度の細かい違いがあります。下記はその辺りをがっつり追いたい方向けです。
一応色文字で、見えづらいように整えますね。
- 4日目イベントを起こさない
- ☆か★がどれもMAXになっていないor親密と交友が☆MAX
- 親密と交友が☆MAXで疑惑が★MAX
- 交友と疑惑が☆MAX
- 全パラメーター☆MAX
分岐はこんな感じ。
もちろんハピエンも好きですが、交友と疑惑のみMAXの時の不穏さも好きです。真面目で優しい子って周りを大事にしすぎてつい自分をおろそかにしがちだよね……。
[一言]
誰かの話を聞いたり、条件分岐を管理したりするのが好きな方向け。
『60秒のセレナーデ』
[概要]
「あなたを60秒後に殺すわ」
と、ふりーむ様掲載の紹介文が大変秀逸なので引用。選択肢と文字入力で、彼女から殺される未来を回避する、1分ノベルゲー。エンドは4つ。
[感想]
ゲームコンセプトやスクショだけ見ると、ヤンデレ少女に詰められるギャルゲー。
が、それで嫌厭してしまうのはもったいない! 切ない恋や謎めいた展開が気になる方にも是非遊んでみてほしい作品でもありました。なにせ、1分ゲーですしね!
少女とのやり取りだけでプレイヤーに求められている操作がわかる点がまず素晴らしい。メタ用語を一切入れずにこれができる手腕に惚れ惚れします。
文字制限も上手いんですよね!
答えがわかっていても表記揺れで間違いになりそうなワードは、元々入らないようになっている。「愛してる」と打ち込みかけて、思わず「おぉ……」と唸りました。ゲーム作りが上手い……。
どうしてもクリアできない方向けに、公式Twitterで簡単な攻略情報も載ってはいますのでご安心。
私的には難易度がちょうどよくて、ハマった時の感覚が気持ち良かったです!
[一言]
60秒はリアル時間ではないので、じっくりテキストを読みたい方も是非。
『てのひらはにー』
[概要]
キュートな妖精さんを育てるぞ! リアル時間と連動する、スマホアプリに近いプレイ感のブラウザゲー。タップ&放置、時々着せ替え。
[感想]
とにかく、バリエーションが豊か!
スマホを意識したこの作りで、お手軽ゲーに見えて実はかなり凝った作りだなあと感じました。時間ごとの会話差分、衣装、髪型組み合わせ、魔女との会話の選択肢……。
END1を先に開放して、END2への行き方にしばし悩んだのも良い思い出。ある意味私は優しいプレイヤーだったと言えるのでは~、なんて。
同じようにお悩みの方は、ひたすら聞き分けの良い子になることを意識すると良いかもしれません。
一番嬉しかったのはEND1のエピローグ。
この手の放置ゲーって、罪悪感を煽られることが多いじゃないですか。放置すると拗ねる、みたいな。本作はそういうストレスに対する、すごく美しくて優しい回答をくれました。
愛させてくれて、ありがとうね。
私がプレイした時は「なでなで」機能が実装されていて、かなり遊びやすくなっていました。クリアまでLPが溜まる時間も含めて30分くらい? 回復薬やLP強化薬など、時短できるアイテムが用意されているのも嬉しいところ。
プレイ時間こそ短めですが、色々試したくなるし、時間をかけたくなる作品でもありました。
[一言]
システムとストーリーが噛み合う、クオリティの高いお手軽ゲー。
とまあ、こんな感じで。
公開場所が異なる通り、『しろいろかんばす』と『紡命の~』は既存ファン向け。初めての方は『60秒のセレナーデ』か『てのひらはにー』をオススメします。
ちなみに私は……全部好き!
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