うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「サイレントフィリア」感想

「言葉はなくとも愛はある、慎ましやかに満ちている」

でも伝わってなけりゃ意味がない前置き。

 

 

えー、今回は箱庭のイデア(栄崎)さんところのフリーゲーム「サイレントフィリア」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

遊んだのはDL版ですが、ブラウザ版もご用意されています。親切!

一応、上記のリンクはDL版となっております。

クリアまで数時間程度、エンド分岐あり、追いかけっこはなし、ちょっぴりホラーな雰囲気の探索ゲーです。

要素としてはツンデレ男子、良い子ちゃんヒロイン、知らなかった頃には戻れない、などなど。

 

というわけで、良かった点のご紹介。

 

 

 

かわいくておしゃれなグラフィック

 

画面は見やすい横スクロール。奥行きがないぶん判定がシンプルで、探索がしやすくて助かりました。

テクスチャ?の表現も好きです!

画面全体に統一感があって好き……。

 

しかも、キャラチップがすごくかわいい!

同作者様の他ゲーでもちょこちょこ言っていますが、動作がとにかくキュート。双子がとことこどっかいったり、話しかけるとこちらを向いたり。良い……。

 

さらに驚かされるのが、マップの小物の多さと細やかさ!

上手くゲームのギミックとも絡むので、まさに一粒で二度おいしい形でした。

 

 

 

1つエンドを見てからが本番の謎解き

 

宝探しとは言われるものの、探す範囲は決まっていて、なぞかけのヒントはほとんど直接的。ほとんどおつかいゲーのようなノリで、さくさく進められると思います。

……1周目は。

 

いや~、面白かったですね!

なるほど予習か、と!

ヒントの塩梅も絶妙で、序盤はさくさく、終盤は少し頭を捻るつくりでした。難易度が我が身に合っていて楽しかったです!

なお、公式サイトに詳細な攻略がある他、やろうと思えばしらみつぶしもできるので、ひらめきが苦手な方もご安心。ヒントとマップが同時に表示されるので、ややこしいメモなどを取る必要が一切なかったのも、すごく親切でした!

 

 

 

こうりゅう たらぬゆえ どくとく ゆにーく

 

むちゃくちゃ好きなのが、メインキャラである双子の話し方!

表記はひらがなばかりで年相応な一方、語彙はサラダボウルになっていて、すごく変わった喋り方になってるんですよ。クセになります。

独特の喋り方をする双子キャラって良いですよね……。別作者様になりますが『かりそめドッペル』の神子’sなど。この手のキャラ集めたデータベース欲しいなあ。

登場時の一枚絵と無音も、迫力があって好き!

 

 

 

つまりこういうこと?

 

双子の独特な話し方に加え、物語の全体像が実はけっこう込み入っているので、オンタイムでストーリー把握ができるプレイヤーさんは少なめなあんじゃないかなと思っています。

ただ、それでも全然困らないんです。

なぜなら、アフターフォローが万全だから!

 

  • 重要なセリフや説明は、後から主人公が噛み砕いてまとめてくれる。
  • 気になる資料を手に入れたら、メニューからいつでも読み返せる。
  • 回想シーンが終わったら、メインキャラ視点の日記のような形で、要約テキストが手に入る。

まとめるととにかく、わかりやすい!

特に私は、演出に呑まれて肝心の内容が頭に入ってこない時もあるので、こうして後から落ち着いて物語を読み返す機会がもらえるのは本当にありがたかったです……!

 

 

 

魅力的なBGM

 

探索中のBGMがすごく好きです!

なお素材曲ではなく、同作者様の『白のキョウメイ』などでもご活躍されていた「ひろつぱ」様の楽曲とのこと。雰囲気はあれど思考のノイズにはならず、耳なじみのよい曲ばかりでした……。

どれも好きだけど、あえて選ぶなら屋敷探索中の曲が一番かな。ただのループかと思いきや、途中からちょっと毛色変わるところもツボ。

ゲーム内でBGM鑑賞ができるのも嬉しい!

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

美しいグラフィック、優しさとダークを併せた物語、あちこちに魅力のある素敵な作品でした。丁寧でプレイしやすい探索ゲーをお求めの方は是非。

 

 

 

追記ではネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

※原作の重要なシーンのネタバレが全掲載されています※

クリアしておまけ部屋を堪能してから見てね

 

 

まず、ユリウスとユリーゼは公式名称通りユリと省略。また、関連作『人形師と紡命の少女』をプレイ済みなので、ユリの母はユリア、父はフランツと書いていきます。

 

 

考察や疑問点

 

 

人形と能力の整理

 

ユリア:動く人形が作れる

ユリ(生きていた頃):触れた相手を人形化する

 

ユリの人形(ゲーム開始時の双子):

ユリアの遺髪を使ったため動く、ユリの灰を使ったため誰かに触れると人形にできる

ただし生まれる前から人形化していた方のユリの意思は宿っていない

(クラード「一つの人格が二つの身体を動かしてる」)

 

フィリア:記憶操作

クラード:幸運操作

記憶の箱:開けると記憶がよみがえる、フィリアの血肉を拝借して占い師が作った道具?

 

傀儡の呪い:言うことを聞く傀儡にできる、not人形化、レーネと関わりがある?

銀色の杯の薬:呪いを飲ませた相手に移す、八色の誰かの血肉で作られた道具?

ブレスレット:八色の能力を封じることができる、八色の誰かの血肉で作られた道具? クラードが渡したネックレスとは別。

 

 

 

ユリ中心の時系列整理

 

双子のユリを妊娠

ユリア球体関節人形(のちの占い師)を作る

八色のユリの能力が発動、胎内にいたもう片方のユリが人形化

赤子と人形を出産、能力が発動してユリアが人形化

八色のユリが高熱で死亡

フランツが双子の人形を作る

フランツが死亡

占い師が子を攫ったりフィリアをそそのかしたり

クラードが傀儡化、フィリアが助けるために薬を使ってクラードの代わりに傀儡化

ゲームスタート

 

END1の追加シーンがどこに挟まるかは気になる点。フランツを看取った時になるのか、それともゲーム終了後にクラードが亡くなってからなのか……。

ああでも、外にいてユリが二人いる時点でゲーム終了後なのかな? そして、初めて人の死を認識したっぽい表現から察するに、フィーネではない。

 

……となると、とても後味が不穏!

近い未来にフィーネは人形化されるのでは!?

どうかなー……違うかもしれないなー……。とりあえず、隠しエンドでじっとりした後味に変わるところが好きです。

 

 

 

 

疑問点

 

1.フィリアの記憶はどうなってる?

 

一つ気になってるのが、フィリア(人形化したユリア)について。

人形化したユリアは言わば原料をユリアとする道具なので、動けるのはわかるんです。ただ、本来は人形の自我が宿るはずのところに、フィリアの意思が宿っているのはなぜ?という。

フィリアの記憶操作で人形フィリアの意思を上書きしたのかな……。

記憶と意思って同じ扱いでいいのかな?

何かを読み飛ばしているような気もします。うーんうーん。

 

 

2.?周目の奇跡はどうやって始まった?

 

そもそもなんでクラードはいきなり記憶を保持できるようになったのかなっていう。ブレスレットが関係しているのかなとは、思うんですが……。

フィリアが記憶操作する→くりかえす→フィリアがループに気づいて記憶処理をやめる?

でもこれだと、クラードの記憶が混濁している理由がわからないんですよね……。

?周目で「ああ、あんたか」ってセリフが出てくるあたり、クラードフィリアのことも覚えてはいそう。よって、フィリアが出会いの記憶だけ消したってわけでもなさそうなんですよね。

 

?周目の一つ前の周で記憶処理をやめたのかも。

だから1周分だけの宝探しごっこの記憶が残ってる、みたいな? そして消した過去は記憶の箱で蘇った……。とかとか。

 

 

 

3.われはどっち?

 

END1で「留守番ありがとうユリウス」って言ってるってことは、ゲーム内の「われ」はユリウスで、人形化したのがユリーゼなんですかね~……。

でも、「うごかなくなったもうひとり」「われはにばんめ」「おにいさんゆえ」のセリフを考えると、八色の能力を持っているのはユリーゼな気もする。

END1の方は単なるセリフの都合かな。都合かも。先にパッとクラードの目に入ったのがユリウスだっただけかも。

メタ的に言えば、私・僕・俺といった、あの年で使うと性差を匂わせるような一人称を避けるために「われ」という一人称になったのかもしれません。

 

 

 

4.エインルート?

 

八色の虹というとやっぱり思い浮かぶのは同作者様の他ゲー『エインルート』なんですよね~。

 

※ここから『エインルート』のネタバレを含みます※

未プレイの方は先にこちらへ

shiki3.hatenablog.com

 

ただ、あっちはあっちでちょっと違うような……。

『エインルート』の「哀れに思った神様が二つの魔法を授けた」がこっちで言う「人間の味方をしすぎた虹の女神さまは、処刑されることになってしまった」なのかな?

だんだん魔法を重ねるにつれ瘴気が薄れてきて、魔法を継承する必要はなくなったのかな。でも、平和になった時代のせいで色々過去の出来事が忘れ去られてしまって、ついには人間が処刑された、という感じだったりして。

 

エインルートには「魔法を使うには人の身は脆すぎました」とあるし、寿命はその反動なんだろうな~……。八色の少年少女たちは決して自ら必要として求めた魔法ではなかったぶん、自我を失わずに済んでいるのかも。

16歳だったのが25歳まで伸びているのは、あくまで「魔法」ではなく「能力」という限定的なものに留められたからなのかも。

 

なんなら『ずっとそばにいるからね』のルシアの幽体離脱?も八色の子どもゆえの能力だったりして。……さすがに何でもかんでも繋げるのはよくないか。

 

とかとか。

まあ、かなり推測と妄想が膨らみましたが、とにかく作品同士が色々と繋がっているので楽しかったです!

 

 

 

 

感想

 

エンディング

 

END3

人形ごっこループエンド。

1周目時点だと、THEホラーって感じがして好きですね~! こういうネバーエンディングバッドストーリー大好き!!

ループエンドってなんだか色々なものが繋がっている感じがして気持ち良いです。

鏡を見るとクラードがやつれている辺り、傀儡化してる間に身体は摩耗してるのかな? だとしたらこのルートも永遠には続かないんでしょうね……。

くりかえしおわり。次の人どうぞ。

 

 

 

END2

二人とも人形になっちゃえばいいじゃないエンド。

フィリアも決してただの善人ではなかったってところが生々しくてすごく好きです。動機自体はエゴでも、結果として思いやりの気持ちが芽生えたなら、それは優しさだと思うんですよね……。

クラードが感じていた、ペットという扱いとは確かに違うんだけど。

たとえフィリアに明確な悪意はなくても、あわよくば利用する思考はやっぱり上から目線で、豊かな人の思考だなとは思います。こういう生々しさ、聖女だけではない作品作りが好きです。

 

 

 

END1

ハッピーエンド、追加シーンでは不穏エンド?

ここでオープニングに繋がるの、熱い!

プレイしているとやっぱりオープニングは頭の隅っこへ追いやられてしまうので、ここで繋がったのすごく気持ち良かったです。そういえば!みたいな。

導入は1周目自体はホラーだし、各キャラの詳しい心情を考えると決して明るく清きものだけではないんだけど、根底にはみんな家族愛があるんですよね……。この毒と薬の塩梅が好きです。

 

 

 

おまけ

アレン、恐ろしい男……。

回想シーンの後に取得できるテキストを読むとさらに深みと怖さがありました。にこにこ。

 

 

 

 

と、語りたいことはこんな感じ!

好き勝手書いて、見当違いなことを言っていそうな気もしますが……w

とにかくまとまりがよくて、すごく素敵な世界観でした!