「一目であなただとわかるこれを運命と呼ぶか」
ストーカーとも呼んでしまいたくなる前置き。
えー、今回はへもへもさんところのフリーゲーム「問」「ポチとご主人と」「主人に軟禁されたから家捜しすることにした」「ルート ルート ルート」「ヤンデレ的×日常ごっこ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ネタバレについて、ちょっとしたサブイベント辺りまでは伏字無しで記載しています。核心部分は隠しているつもりですが、気にされる方は要注意です。
- 『問』(和風・ダーク)
- 『ポチとご主人と』(ヤンデレ・裏表展開)
- 『主人に軟禁されたから家捜しすることにした』(ヤンデレ・ポップ甘)
- 『ルート ルート ルート』 (オムニバス・ヤンデレ)
- 『ヤンデレ的×日常ごっこ』(ヤンデレ・裏表展開)
『問』(和風・ダーク)
「千文字喫茶」なる企画にて投稿された、クリアまで数分のノベルゲー。明治?大正?なんていうんでしょうねああいう時代。和風です。
数分ながらクリア後の衝撃はなかなかのもので、演出も巧みですからなおさらしばらく引きずります。こういう鬱展開好き。
思わずクリアした後もう一回プレイしてしまいました。画面の背景からして伏線というか、いや本当上手いなあと。読了後おまけ絵の一言がぐさりときます。大好きです。タイトル画面もまたシンプルに凝ってて良いんですよね……。
ひゅっと息をのみたい方は是非に。
『ポチとご主人と』(ヤンデレ・裏表展開)
ネコミミショタと過ごすお手軽数分ノベルゲー。
DLしてPCでプレイしたのでオート機能がちょっとバグってしまい、文章の途中でページ送りされてしまう形になったんですが、私はブラウザゲーをふりーむさんの機能で無理やりDLしている?みたいなので仕方ないかな。
スチル等の演出も含め、スマホプレイが良いんじゃないかなと思います。
テンポよく明るく進む会話の裏に、「おや?」と思う単語や反応が仕込まれている形のストーリー。プレイしながら察してきた伏線が、ルート分岐後にぶわっと花開くこの感じが楽しかったですね。
おまけで見られるイラストだと私は①派なんですが、確かにあれだとあの世界設定にしてはおぼっちゃま風過ぎるかもなー、とも思ったり。
ともあれポチがほどよく自信家で小生意気、でも謝れるし気遣える、かっこいいショタでした。
少年を養いつつ支え合って過ごしたい方向け。
『主人に軟禁されたから家捜しすることにした』(ヤンデレ・ポップ甘)
RPGツクール作の探索ゲー。
話の流れ的にうっかり脱出ゲーだと思いがちですが、やることはあくまで家捜しです。
[良点・シーン]
冒頭の鬼畜ご主人様セリフ――とみせかけた展開に早くも笑ってしまいましたw
掴みはばっちり男はキュート、この作者様の明るめゲームおなじみの味わいです。目にハートもあります、やったね!
明るい二人の裏にどことなく感じるぎこちなさや、あちこち探索した時に見られる意味深な台詞などを追う、ほんのり謎めくシナリオも楽しかったです。他作『はしばみ色の瞳の中は』のころから感じていましたが、情報制限でプレイヤーへの興味を引くやり方が上手ですよねぇ。
ED5を見るかどうかでアンナの印象ががらっと変わる気がしています。ツンデレとも違う、この人間像が魅力的。
スチルや立ち絵は一目見てわかる通りの素敵さ!
特に今回はデフォルメ絵やドット絵、マップと背景画像の合わせ方などなど、あらゆる方面でのクオリティの高さを感じました。ゴージャスなお屋敷と昼下がりの外など、目に見えて色鮮やかでしたねぇ。
全クリした時に見れる絵の、あの、膝上のあれがすごくツボでした。この1アイテムで伝わる、彼の気持ちと甘酸っぱさ! 物語を感じる一枚絵って大好きです。
あと、何よりも声を大にして言いたいのは探索ポイントの細かさ!
タンスや棚など基本的なところは勿論のこと、壁掛けの絵やおまけマップ等にもしっかり反応が組み込まれていて、エンターキーを押すのが楽しかったです。やっぱり探索ゲーはこうでないと。それに回想やクレジットをああいう形で見せる発想が好きです。カーテン裏にはくすっとしましたし、あとがきには爆笑しました。なぜあのチョイス……w
本編だとピアノ横の本棚を調べた時の反応が好きなんですよ。思わず飲み物吹き出しました。こんな古典的な笑い方したの久しぶりだわ。
これからプレイ予定の方は、是非各所2回ほど調べてみてくださいね。
[惜しかった点]
難点としては、攻略無しだと自分が詰みの状態になっているのがわかりづらいところ。どうしても探索ゲーというと粘って調べがちなんですが、根幹はノベルゲーの選択肢分岐の文脈で作られているようなので、むしろ延々と探索を続ける必要はありません。
なのでこれ以上イベントがないという段階になったら「諦めて寝ようかしら……」みたいな誘導セリフがあったらよりわかりやすくて良いかなー、なんて。その点、ED3の一本道具合はグッドだと思います。
[そのほか]
全クリ後のおまけではまず撫でに行きました。
初回プレイでも増強→遊ぶ、だったので、なんだかもうプレイヤーの思考がバーサーカーなんだと思います。
余談ですが、全クリしてからの「はじめから」のアイコン矢印の位置が。その。よからぬことを考えてしまい。ごめんなさい爛れた脳内でした! 心に収めきれないのでそっと懺悔しておきます。
[一言]
陰鬱ではないヤンデレ萌えを堪能したい方にオススメ。
『ルート ルート ルート』 (オムニバス・ヤンデレ)
攻略対象は一人、ですが選択肢ごとに異なる設定のルートに入れる、選択肢有りの男女恋愛ノベル。
[良かった点]
まさにルートが売りの本作。
プレイ前は、現代モノをしてたら突然SFが始まっちゃうとか、攻略対象が人外になったり宿敵になったり生き別れの父親になったりとかを想像してたんですよね。ですがそういった無節操さはなく、なんというかこう……慣れた世界でボタンを掛け違えるようなパラレルワールド感を楽しめました。2周目以降がより楽しめる感じ。
この手の、世界線が一つの作品で重なり合うようなゲームは今までもプレイしたことがあるのですが、特に本作は「ヒロインの行動」が選択肢であるところが生きている思います。信頼できない語り手、なんて言葉があるように、視点主って読者に向けて一番情報を隠しやすいポジションだと思うんですね。だから、こちらがヒロインの意思決定に介入することで、どういう傾向の話になりそうなのか覚悟したうえで読み進められるのが助かりました。
あと嬉しかったのは音楽鑑賞! もうね、起動画面の絵をバックに流れるオシャレな曲の詳細がすっごく気になってたんですよ! あの曲を起動画面に使うという発想も好きですしクリア後のあれも色んな可能性が見える構図で好きですし。配布元のみでなく曲名もしっかり入れてくださる作者様は本当にありがたいです! 音楽フォルダが潤いました。
[そのほか]
エンドは、B→A→C→Dの順で回収。はい、私好みです。Cが一番好きだったなあ!
エクストラのキャラ紹介の一枚絵たちがすごく面白かったです。各エンドの総括。本編プレイ中は立ち絵が共通だからか、設定が変わってもどことなく同じキャラ性を感じていたのですが、実際ああやって並べてみると違いがハッキリと感じられてなんだか目から鱗でした。
[一言]
プレイ感がとても興味深く、違和感が楽しい一作です。
『ヤンデレ的×日常ごっこ』(ヤンデレ・裏表展開)
攻略対象は一人、一本道乙女ゲー。タイトル通りヤンデレ。一周目はほのぼのとヤンデレを肯定するお話として、二周目は追加テキストありの意外な展開で終わる、二幕構成。
[ストーリー]
毎回言っちゃいますが、この方の情報の撒き方すごく上手いんですよねえ。テキスト自体はわかりやすいんですよ。あ、これは……と思わされる。ですが、そこから衝撃的な展開へもっていくまでのテンポの良さが光ります。
攻略対象の田中君の可愛さも魅力ですね。一途でわかりやすくて、ちょっとMっぽい犬系な彼。にこにこします。
[グラフィック]
グラフィック面だと特に2周目エンドのスチルが大好き! 『問』でも感じましたが、タイトル画面の変化の上手さも痺れました。
エクストラの登場人物紹介画面もさりげなく斬新で好きです。なんだろう、画面切り替えなしのワンタップで情報が網羅できるのさりげなくすごいセンスのある構成ですよね。おお!と驚かされました。あと単純にミニキャラ可愛い。
[おまけ]
いやまさかここで『ルート ルート ルート』が来るとは! あえて表情の見えないLINE風に演出されることで、言葉の圧や裏の脅しが映えて実に良かったです。 返信までの間や躊躇いまで表現されている演出が最高でした……!
[一言]
さくっと短編で満足感たっぷりのヤンデレ話。
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