「程よい距離感=進めない関係」
仲良しでも気遣いは忘れちゃだめな前置き。
えー、今回はたこを焼けさんところのフリーゲーム「キサハロ!」「キサキサ!」「キサヘヤ!」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
公開順は「キサハロ!」→「キサキサ!」→「キサヘヤ!」。単品でもお楽しみいただける短編連作シリーズもの。ゆるーい会話が癖になるラブコメノベルゲーです。
ふりーむ!様で公開されていますが、4月辺りに撤退予定とのこと。ブラウザ限定なので、良いと思ったら今すぐ是非ともな感じです。
というわけでシリーズ通して良かった点など。
元気いっぱい気遣いほんのりちやこちゃん
お気に入りだったのがちやこちゃんの性格! 個性有りヒロインと明言されている通り、まさにここでこそ会える魅力たっぷりのヒロインでした。
色っぽいことはダメでそもそも自分が恋愛対象になるとは思ってない(思いたくない)、毎日あそんで食べて元気!みたいな。あざとく思えそうな行動も彼女がやると、あほのこだなあとほんわかしちゃうんですよねぇ。
全く恋愛を知らないのではなく一応最低限の知識もありつつ、自分から挙動不審にフラグを折りにいってしまうところがすごくツボでした。恋愛友情問わず、周りにお友達が多くても踏み込むのには時間かかりそうな感じ。
なかなかどうにも両片想いな掛け合い
シリーズ通して軽妙コミカルな会話でどんどん進み、さくさく読める文体も魅力的。
男側は男側でちやこちゃんとの心地よい距離を保つべく踏み込むに踏み込めず、ちやこちゃん側はちやこちゃん側でなんとなく男女な雰囲気を感じつつも逃げ腰になるという、近づいては戻り引いては近づくこの感じ――狩りか何かかな!?
結果フラグが立っては折れ立っては皮一枚で繋がる絶妙な距離感が楽しかったです。3人とも別の理由で両片想いになってるのがまたおいしいんですよね。
台詞がどこをとってもコントみたいな、ゆるーく吹き出す掛け合いになっているのも楽しかったです。ひらがな多めでだるだるユニーク。延々と盗み聞きしていたい……。
ちょくちょくパワーワードや切れ味の良すぎるツッコミが飛び出すところもめちゃくちゃ好きでした。中でもサネちゃんの挙動不審さが本当楽しくて腹抱えて笑ってしまって、その、ごめんね! 楽しかったです!
ポップにキュートでアクセントの効いた画面構成
スチルや立ち絵は一切ない作品ですが、ひつじさんなどのアイコンや丸っこいフォントなどで作品の雰囲気は伝わりやすく、グラフィック面もポップにキャッチーです。SNSでぽんぽんと連なっていく会話やリプツリーを見ているような感じ。
外見情報は軽く描写されますし、かなりわかりやすく属性付けられているのでイメージもしやすい感じです。
浅黒→スーくん、草食系→サネちゃん、顔がいい→ムツ。多様性。
それこそチャット形式のアプリゲーをしているような感覚で楽しめました。
ポップかわいい雰囲気の中で突如出てくる「しめさば」など、インパクトも欠かさないところがこのゲームのおいしいところですよね。
耳に優しいコンフィグと全開放システム
さりげない優しさに感動したのがコンフィグの音量調整のところです。
初めからミュートになっている、ここ! ここですよ!
私、ゲーム起動して直後にドギャアアアアンって大音量が始まるのとても苦手で、いつもフリゲの初プレイする時はスピーカー起動してからexeダブルクリックしてるくらいでして。なので、この優しさとても身に沁みました。ユーザーフレンドリー……。
セーブロードでちょこちょこ背景が消えたり、ブラウザゲーゆえにキャッシュ等のせいで記録が消える?こともあったりするようなんですが、初めからおまけまで全開放するボタンのおかげでその辺りの不備も一応カバーされています。
あと、オート速度の調整でサンプルが表示されているのもすごく有難かったです!
ノベルゲにおいてページ送りの早さ調節って最重要ですよね。
とまあ、こんな感じで。
ゆるゆる吹き出す会話を楽しみたい方や、友人以上恋人未満の関係、もだもだ手をこまねいては上手いことそれっぽい雰囲気に持っていこうと奮闘しつつほだされてしまう男性陣にうっかりときめきそうな方におススメです。
追記ではキャラクターのネタバレ感想など。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ネタバレ注意。
キャラクター
ちやこちゃん
根底に自己卑下があるってところすごくツボなんですよ~!
ただ何にも考えてないんじゃなくて、時々ちゃんと考えるけど、たまにころっと本能で動いちゃう感じ? すごくかわいいです! かわいい……天然物のかわいい……。
キサヘヤ!サネちゃんルートのちやこちゃんが一番わかりやすいと思うのですが、基本的に人の事を気遣って、私と仲良くしてくれてありがとうって気持ちがにじみ出てるのすごく良い子で微笑ましいんですよね。ハイスピードマイペースなところも好き。
アイコンのワニ、「つよい!かっこいい!でも傷つけるのはよくないな!」ってはしゃぐちやこちゃんが想像に易くてすごくほのぼのしました。
スーくん
スーくん自身が何をどうしたいのかよくわかってなさそう? なところが萌えるなあと思いました。ちやこちゃんを聖域にしてるわけでもなく、かといって彼女にしたいわけでもなさそうな。
押せ押せになったらたぶんムツよりもスピーディにカップル成功しそうな気がしますが、スーくんの求めるものは恋人になったちやこちゃんじゃなくて、ぼんやり落ち着くふわふわした関係性なのかなーと思います。肉食系プラトニック。……?
キサキサおまけで見れた、ダメ製造機みたいなところすごく切ないです。スーくんが癒し系なのはなんとなく伝わってくるのでね、そうなる流れがわかりやすいのもまた。また……。
サネちゃん
ばにいの挙動不審でやられました。二周しました。あのあわあわっぷり大好きです。
他二人と比べて余裕がないのもすごく良いですよね。微笑ましい。本人がけっこうちやこちゃんと近いメンタル(自己卑下・気遣い屋)ぽいから波長が合うんだろうなあとも思います。自覚してないだけで皆持ってるもの大きいと思うんだけどまあこれは外野が言っても本人が気づかんとならんと。
おまけの、怯えられるときは優しい口調~ってところすごく萌えました。言われたい。唐突に幼女になって迷子になってサネちゃんに一時的に保護されたい。無理だ……。
両片想いな本作に一番馴染んでる、良い具合に一進一退のキャラでした。
サ゛ネ゛ちゃん が本当感覚的にわかって楽しい、好きです。
ムツ
惚れざるを得ないと思うんですよね俺敬語で地盤固めてきてでもちゃんと守るところは一線守る青少年キャラとか萌えざるを得ないと思うんですよ。好み過ぎて土下座したい勢いでした。五体投地して拝む所存です。
ムツの求めるところははっきり支配欲だなってわかってて、そのぶんちやこちゃんが(あのちやこちゃんが!)押されがちになってる構図がすごく印象的でした。キサヘヤ!だと特にそうで、ムツルートだけ顕著に糖度高い乙女ゲーしててびっくりしました。
ムツの方が数十メートル先にいて、のったりのったり進んでるワニちやこちゃんをハラハラしながら見守ってるイメージ。なんとかかんとかくっついて。頑張って。
ムツルートだとキサヘヤ!がやっぱり好きです。押しすぎると逃げちゃう(けど逃げると信頼してないって思ってると思われちゃだめだから逃げるに逃げられないし自縄自縛でけっこう大混乱している)ちやこちゃんに対して壊れもの扱うみたいな扱いをしつつも距離はちゃんと縮めていくスタイル、最高でした。扱いをよくわかっている。最高。
……やっぱりなんかいかにちやこちゃんを狩るかみたいな主眼で話してますね私。
泡風呂をふつーーに楽しんでるところがすっごいツボで数十分は悶えてました。
なんだろう、こう、動じないクールキャラに見せかけて普通にエンジョイしてるところがすごくギャップ萌えを感じて好きです。立ち絵ないのに脳内映像が出力される不思議!シチュエーションの妙!ありがとうございました。
関係性としてはスーくん、展開としてはサネちゃん、キャラとしてはムツがお気に入り。見事に三者三様の魅力があって、すごく楽しかったです。