「見破る以前に見てもないだろ」
鏡ばかり見てるデートは退屈な前置き。
えー、今回はうきうき雨季(6月)さんところのフリーゲーム「レディ・ブルー」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
一本道、5分くらいの短編ノベルゲー。ただし後味はじっとりいつまでも。鬱展開、暴力やインモラルの表現が数文程度あり。恋愛関係ではありますが、それが全てではない感じ。
全てのネタバレはしませんが、一部は伏字なしで書いてしまいますので、ご注意を。すぐにクリアできるので、気になる方は是非先にプレイしてみてください。
プレイ前にスクショなどを見て受ける印象から、すでにゲームは始まっている。そんな感じの作品です。
というわけで、良かった点など。
数文程度の暴力表現、じっとりいつまでも残る後味
バレンタインデートでかわいい彼女が豹変していた……というシーンからお話は始まります。
豹変の理由は何か?
主人公はどうやって彼女の機嫌を取ろうか……?
そんな。
その程度の話ではありません。
この作品がただ、かわいい彼女の本心に気づけなかった愚かな男の悲恋、で収まっているだけなら私は何を感じることもなかったでしょう。
主人公は大学目前なのに対して相手は14歳。
この時点でゾッとしますが、さらっと夜を匂わせるセリフがあったり、終盤の暴露からおそらくはナンパから出会ったのだろうと推測できたりするところも、なお闇深くてゾワゾワします。
が、こういう生々しさと厭さがあるからこそ、信じられるというか……。心にしっかりと刺さる作品でした。
たった数分で多々重なる謎
特にどこから情報を得たわけでもないのに、なぜかプレイ前から男の娘ゲーだと思い込んでいました。なぜだ……。
おそらく彼女の見た目が良い感じに男を釣る系だからかなあ。あと「俺」?
この辺りの誤解は意図したものか不明ですが、ともあれ、オチでさらに1ひねり加えてあるのが魅力的でした。
このシナリオのコンパクトさでここまで驚かされるの、楽しかったな……。
演出に力を入れたまさにビジュアルノベル
ゲームとしてはまず、画面構成が大好き!
切なさと不穏の真ん中にいるような淡い色味に、カットインの形で入る立ち絵や背景。読み終わった後だと、どこか視野の狭さを感じさせてくれるところもよく合ってるなあと……。メニューも見やすいし、おしゃれで好きです。
また、主人公のセリフが全てこちらのクリックで進むところも、没入感があって好きです。こういう主人公とプレイヤーが重なる演出、好きなんですよね~。声をかけてる感じ。
とまあ、こんな感じで。
もう終わってしまったバレンタインを苦くかみしめたい方向け。
追記ではネタバレ感想。
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ネタバレ注意!
のんちゃんの表情一つでこんなにも「違う」とわかる、この画力よ。
のんちゃん視点からも主人公視点からも見えていない色んなものがねるくんからは見えてたんだろうな……。
ねるくん、色々俯瞰して見て、達観した言動ができて、考え方もすごく賢い子だろうに、日常生活慣れしていないところが見え隠れするのがまた物悲しかったです。
OMAKEで明かされる、のんちゃんが「ねるのことは知らない」という点も、心が痛かったです。
認識したら現実を突きつけられちゃうからかなあ。何にも知らないなら幸せでいられるもんね……。
ねるくんはこんなにものんちゃんが好きで、のんが幸せならって思ってくれてるのに、もどかしいですね。
「オンナノコが年上の男性に夢見るのって~」のセリフ、なにがとかなんでとかうまく説明できないんですが、本当に大好きでスクショ撮りました。
こういう、刺さる一文に出会えるからフリゲって最高。