うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「さびしがりゴースト」感想

「これで私も有名人! みんなちやほや褒めたたえて!」

言えば言うほど人はいなくなる前置き。

 

 

えー、今回はうきうき雨季(6月)さんさんところのフリーゲーム「さびしがりゴースト」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

novelgame.jp

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

ヒロインはうそつき霊能力者ちゃん

 

霊が見えると嘘を言い、周りの気を引こうとするオカルト少女……。主人公のうららちゃんは、良く言えば自分に正直、悪く言えば虚栄心の強い女の子です。

彼女に始まり、本編の登場人物は誰もがクセのある性格をしています。

でもね~、そこが私、大好きなんです!

わざとらしい悪人じゃなくて、「あーいるよねこういう人」ってちょっとわかっちゃう感じの嫌さなんですよね。なんなら私もやっちゃうかも、みたいな。

なので、キレイなお話が好きな方や、主人公とプレイヤーを同一視しちゃう方には合わないかも? 私みたいに、人間味のある毒っ気や生々しさが好きな方にはすごく合うと思います!

 

 

 

ぷーぷー言うけど働き者なおばけくん

 

さてさて、お相手として登場するのはTHEおばけな見た目の男の子、恋くん。

彼のビジュアルがまずもう大優勝でした~!!!

黒髪! ハイライト小さめ! 語尾が時々カタカナになる!! 笑顔で不穏!!!

日々ヤンデレ創作をたしなんでいると、にこにこサイコなキャラは良く出会いますが……。恋くんの描かれ方に、プレイヤーを驚かせてやろうみたいなやらしさが無いので、素直に彼の魅力とおばけならではな恐ろしさを感じられました。

うららと恋くんの距離感もちょうどよくて好きなんだよなあ……。依存と言うにはドライで、友情と言うには打算的、でも確かに繋がりは太い。ここでしか味わえない関係性って感じがします……。

 

 

 

オカルトポップでかわいいホラー

 

起動して数秒、タイトル画面にきゅんと来たプレイヤーさんは多々いらっしゃるはず! ほっぺあわせのキュートな構図に、明るく元気なBGM。画面端の手形や人魂も不思議とかわいく感じちゃいます。

本編で出てくるデフォルメキャラもまたかわいいんですよ~! ステッカーみたいなグッズ欲しい! かわいい! 好き!!

ストーリーも、序盤はちょっとしたお悩み解決といったお話が多め。温度感はホラーというより、おばけをテーマにした少年少女の事件簿ってノリです。

……だからこそ「あれ?」という違和感が際立つのも魅力。

ともあれ、びっくり演出やグロ表現が苦手な方でも安心して遊べる作品だと思います。ホラー要素は、ありますが。

 

 

 

作品ぴったりのBGMセンス

 

ゲーム内BGMはフリー素材のものが多いんですが、この選曲が素晴らしいんですよ!!

ゴシックから和風まで色んなジャンルが混ざってるんですが、現代日本な舞台に不思議とどれもあってるんですよね……。

 

そして何より、主題歌!!

このゲームを知らない方にも是非聞いてほしいんだけど、エンディングでこのポップキャッチーなこの主題歌が流れる衝撃を味わってほしくもある……! うぅ~!!

好きゲーの主題歌という補正を抜きにしても、歌詞・曲調・歌声、全てがめちゃくちゃ好みでした!!

ちなみにこちらで聴けます!

www.youtube.com

動画も作者様が手掛けていらっしゃるという……もう……すごすぎ……好き…………。

歌詞もプレイし終わると震えがくるほどしっくり来てて、なんかもう、たまらんです。好き。ヘビロテしてます。今後もします。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ポップでこわい感じとか、明るく不穏な感じが好きな方に是非是非遊んでみてほしい! かわいくてドロッと苦い、最高ノベルでした!

 

追記ではネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

 

霊感少女の嘘はバレない

 

好きなポイント、ここ!

たいていこういう嘘つきものって、因果応報が伴うじゃないですか。噓がばれて、心が折れて、改心して別人になってハッピーエンド。

でも本作は違うんです! うららちゃんはずーっと嘘つきで保身が大事で身近な相手を利用するし心根はちっとも変わらない! そこが、良い!!!

全員なんだかどっかしらエゴを覗かせてくれるところが好きなんですよね……。人間らしさとも言う……。

 

どちらのエンディングも共通して「嘘でもいいよ」なのも好きだな~!

ことほぎは、幼いうららが都合の良い嘘だとわかっていても、寂しくてすがりたくなってしまった。は、うららの言う友達って言葉が上っ面だとわかっていたけど、譲ってあげた。

なんか彼らの弱さや身勝手さをそのまま残してエンドとしてくれるところに、すごく安心しました。

 

 

 

陰エンド

 

先にこちらを見ました。

もうね、主題歌が流れ出した時の衝撃ったらないですよ!!

ずっと怖いのにすごくポップ。同時に「あっ私が物語から突き放されたな」と感じました。もちろん、良い意味で!

プレイヤーとしてはやっぱりある程度、キャラに肩入れしたり感情移入したりしながら読むものだと思うんですが……。包帯付きで笑ってるうららを見て、スッと頭が冷えたんですよね。客観的な視点を与えられたからかな……?

骨折して友達全員亡くしてるのに黒猫とにこにこ話してる激ヤバな状況。でも本人達はハッピー。そしてそこが一番ヤバイ。

憑くってマジでこういうことだと思うんですよ……。侵食される感じ?

 

細かいセリフやシーンで言うと、うららの言う「嘘でもいいっていうか」がすごく刺さりましたね~……。あと、恋くんは一生懸命うららが一番って言ってるのにうららはけんもほろろなところがまーた、味わい深い。悪女~!

 

しっかり怖さと悪役感を味わえて、なのにすごく幸せそうな、多面的なエンディングでした。大好きです。

 

 

 

陽エンド

 

ことちゃんまさかの! 身体が弱い子は女装せよ、の流れを踏襲してるのかな……?

困っちゃえという恋くんの捨てセリフとは裏腹に、うららは今度ことほぎと上手いことやっていっちゃいそうな気もしますね~。でもなんか、ことほぎはスクールカースト的な意味だとそんなに高くなさそうな気もするので、果たしてうららが求めるスペックを持てるのかなという疑問も。

 

うららちゃんって、もうあの、ミーハーじゃないですか!

ことほぎが口うるさくてやだーってなりかねないんじゃ、ないかな、と……? それをやりかねないなと感じさせるくらいに本編でのクズムーブが清々しくて好きでもあるな、と……。

 

「普通の友達」って言い方の、いや~な感じ、たぶんあえて出してるんじゃないかなあと思うんですよね……。本編でクズと言い切られるうららの描写からして。それに、この作者様は言葉や感性を丁寧に扱っている印象があるので……。

 

こっちはこっちで、明るいんだけどハッピーエンドと言い切れないところに、味があるなあと思います。

 

 

 

 

おまけシナリオ

 

悪堕ちしたうららと恋くんのその後。

読み始めは「誰?! 何!?!」と困惑していましたが、うららが登場してやっと理解。そして陰エンドの後日談かと思いきや、夢オチで陽エンドに繋がったのには驚きました。上手い!!

 

あの後の展開が気になる~!!

でもすぐる達をうららが撃退してエンドなのかな……? 恋くんはどのくらい強くなってるんだろう……。供物はたいそう増えてるだろうから、えげつないことになってはいそう。

 

VSすぐるシーンの、最後のうららの啖呵が印象的。陽エンドもそうでしたが、うららのコンプレックスがバシバシに出てて好きです。

 

余談ですが、protagonist (プロタゴニスト)の意味は主役や主人公とのこと。偽物で嘘つきなうららは、人望があって強くて正義感のあるすぐるみたいな主人公にはなれないよってことなのかな……。

それこそチャプター1つ分くらいのしっかりボリュームで、読みごたえがありました。

 

 

 

 

 

 

 

いや~、語ったな~!!

もともと「嘘」というテーマが好きというのもあり、あらゆる角度から好みにぶっ刺さる作品でした!