「そもそもこんな世界が狂ってる」
だから私は無実な前置き。
えー今回はNUKOBOUさんところのフリーゲーム「Clime of Alice」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
何故アリスは監獄に入れられたのか?という謎から始まるこの一作、雰囲気としては女性向けですが恋愛糖度は薄め。監獄内の狂った人達と謎の解決を楽しむゲームです。
コミックメーカー使用、そしてなんとびっくり7年前の一作! なにかと削除非公開されやすいフリーゲーム界で、何年たってもDLできるのはありがたいです。
というわけで、さっそく魅力的な点を。
狂ったキャラが好きならプレイ!
アリスの名を冠しているだけあって、登場キャラクターはほとんどが狂人です。ヤンデレというよりキチデレです。この見事に話の通じない感じが原作らしくてたまりません。うはひっ!
まともそうに見えてやっぱりまともじゃなかったヤマネがお気に入り。彼はサイドストーリーでどっぷり惹かれてしまいました。
絵柄(タッチ?)の異なるグラフィック
立ち絵やスチルとエンドロールで絵柄が違っているんですが、どちらも私の好みでもうテンション上がりました!
背景も自作してらっしゃるようで、牢獄内の荒れている世界観がよく伝わってきます。自分の牢前のほんのりメルヘンな感じがなんか好き。
立ち絵、というかキャラグラフィックは登場人物全員についています。けっこう人数多いので、なおさら嬉しいです。狂人キャラには容赦なく変顔も搭載してあるのがまた面白かったですw
エンドロールの方は、なんというか、病んでる絵本?みたいな雰囲気です。イラストもさることながら、添えられている文章も童話風で、シニカルな言い回しが魅力的でした。
バッドの未解決エンドでのエンドロールがすごく好きで、バッドエンドなのに得した気分になりました。回想で見直せるのも有難かったです! クリア後もつい見返してしまいました……w
いくつかの謎と魅力的なサイドストーリー
本編ではアリスと白ウサギに関する謎をキーワードとして、ミステリ風を味わえます。妙な人達に聞きこみをしたり妙な証拠物を見つけたり。本格的に推理等をするわけではないのであくまでミステリ“風”ではありますが、それでも十分楽しめました。
そして、クリア後のお楽しみサイドストーリー。このうちの3人話がすっごくお気に入りです! 詳しいネタバレ感想は追記に畳んでおきますね。
自作BGM
起動画面で流れるあの曲が特に耳に残ります。
残念な点としては、
・システム周りが非常に不便
7年前の作品なので、仕方ないことではあるんですが……。
既読スキップがオートくらいの速度、自動送り・バックログ・文章でのエンド回想が無い、ホイール回転での読み進み不可、ときどき強制的に文章がオート・スキップされるなどなど、システム面はけっこう不便です。プレイする時はこの辺りを覚悟したうえで、のんびり進めていくのが良いかなと思います。
・淡々とした文章
状況把握さえできればいい人向け。少なくとも美文名文や感情移入には期待しない方が良いです。単語だけ変えて同じ描写を何度かするところがあって、繰り返しで強調したかったのかもしれないけど、その辺りだけ浮いててくどいなーと感じました。
また、選択肢によっては一度会ったことのあるキャラに初対面のような表現をすることもあって、微妙に違和感があります。
ただ、前述の通り、サイドストーリーやエンドロールの文章はとても好みでした。なので、これからプレイしようと考えてる方がもしいらっしゃったら、試しに一つどれかのエンドに到達するまで頑張ってみて欲しいです。
・やや攻略難易度高め
基本的に特定のキャラをストーキングする流れですが、キャラ名ではなく仕草が選択肢になっているので、各キャラの癖を把握するまでは苦労するかも。
ただ、これに関しては攻略サイトもあるので、自力攻略に拘らない限りは大丈夫だと思います。
とまあ、こんな感じで。
システム面やメインの文章はわりと厳しめ、ただグラフィックやキャラクターはピカイチのけっこう尖った一作でした。それでも狂ったメルヘン世界やドライな関係が好きな方には強くオススメします。
追記にはネタバレ感想。
ネタバレ注意!!
チェシャとアリスの距離感が好きです。べたべたしすぎず、良い具合に共鳴し合ってるパートナーみたいなのが魅力的。あとエンドロールの文章で惚れました。
怖い・ヤンデレと噂のドードーさんは、確かにさん付けしたくなるくらい怖くはあるんですが、私の思うヤンデレとはちょっと違う感じ。それでも、あのスチルはどきどきしました。色んな意味で。
で、肝心の語りたかったサイドストーリーについて。
恋人の話は題に反さず、姫と騎士のロマンティックラブストーリーな感じ。本編と違って白ウサギの心情描写がしっかりしていたので楽しく読めました。やっぱり王道は良いものです。
三人の話ではヤマネのダウナーな狂いっぷりに萌え、帽子屋のビジュアルに惚れ、うはひっとなりました。前述の通り、本編のエンドを含めてもこの話が作中で一番好きです。やっぱり狂人ネタは萌えるなあ。スチルもすごく好き。
初めはぶった切るように視点が切り替わる構成にちょっとうーんと思っていたのですが、最後に合流する形にしようという意図はわかったので納得です。たぶんキャラ萌えもあってこんなに好きだと感じてるんだろうなー、なんて。
なんだかんだと苦言も書いちゃいましたが、かなり好みな雰囲気の作品でした。レビューでの悪めな評価を振りきってDLして良かったです!