うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「Sacrificial」「死にたがりと魔物」「続・死にたがりと魔物」感想

「おまえのせいで死にそびれた、どうしてくれる」

責任もって死ぬまでお傍にな前置き。

 

 

えー、今回はQoltoresさんところのフリーゲームSacrificial」「死にたがりと魔物」「続・死にたがりと魔物」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

同じ作者様ということでまとめて取り上げますが、「Sacrificial」と「死にたがり~」2作との関係はありません。

どちらも人外×人間なBLゲー

 

というわけで各作品感想。

 

 

『Sacrificial』

 

[概要]

 

奴隷少年な主人公と共に廃墟探索ゲー。探索&ノベル。脅かし・追いかけっこは無し。

BL要素はクリア後の話にぎゅっと詰まっているので、本編だけ見ると純粋に少年と人外のハートフルストーリーとも見れそう。

 

 

[感想]

 

何もわからぬ廃墟、怪しげな研究日誌、不穏な絵本などなど、全体的に雰囲気はホラーチックです。手記が出るとなんとなくCoCな気がしてしまうのは業なんでしょうかね。余談ですが。

 

特に探索パートでのマップがかなり雰囲気出てて、薄暗がりの不安が目の前にあるかのようでした。

デフォルメ調で見やすいのにも関わらずこれだけの不穏さも出せているのは、やっぱり光源や塗り方の関係なんでしょうか。おえかきしないのでわからない……。ともあれ、部屋を変えるとアングルが変わったり、背景写真と手描きマップを使い分けたりするのも上手いなあと思いました。

 

また、ハッピーエンドの描写の仕方がとても好きです!

二人のぎこちない触れ合いが“見て”とれるのがすごく良いなあと思いました。“ノベル”ゲームでこういう差分描写をしてくれる、そのうえ文章では語りすぎず二人の会話で進行していく、このバランスがなんだかとっても好みです。

二人の話がこれからというところで終わってしまうので、少しばかりの物足りなさも感じてしまいましたが、そもそも短編ゲーですしまとまりとしてはばっちり。むしろ二人を気に入ったからこそ先を見たいと思えるわけですよね。

 

おまけで読めるサイドストーリーでは、より凄惨な少年の過去が読めます。BL的謎穴ではなくさらっと数行で洗浄描写があるんですが、これがまた家畜扱いっぽくて良いなあと思いました。エロもこちらに詰まっているので、本編読了後に読むとほのぼの→鬱な流れを楽しめます。

 

エンド2つとありはしますが、バッドエンドのキーとなる選択肢は一つだけなので実質、ゲームオーバーとハッピーエンドな印象。バッドエンドのスチルが大好きです!

 

 

[一言]

陰鬱な世界観、人外×少年、仄暗いほのぼのや鬱展開が好きな方向け。

 

 

 

 

『死にたがりと魔物』

 

[概要]

 

メカクレ朴訥人外×自殺志願者の黒髪少年。人外と言っても形状は人寄り。朝チュンまでのエロと鬱展開。ノベルゲ。公式攻略があるので安心。

 

 

[ストーリー]

 

自殺志願ということでドギツイ鬱展開が来るのかと身構えていましたが、黒鷹に救われる展開のほうが主なので読後感としてはほのぼのでした。一歩間違えれば死亡エンドだったらしいのですが、私は一発でエンド3の生存エンドに辿り着けたからなおさらほのぼのと感じるのかもしれません。

基本的に主人公が選択肢を選ぶ直前に自分の気持ちをある程度示してくれるので、そこに沿うようにしていればトゥルー行きです。なので攻略としても難易度は易しめ。

彼が主人公を甘やかし気味に愛してくれるので、糖度も高めです。

 

特に終盤では、黒鷹が暗躍したよっていう流れなのかなーと思っておりヤンデレ萌えとしてそわそわしていたのですが……。あまりそこは触れられませんでしたねぇ。

ただ、彼らに対して主人公はそう執着も持っていないようですし、たとえそこが明かされたとしてもそこまで亀裂は生じないということなんでしょう、おそらく。

主人公が感づいているかは別として。何より感づいていてもいなくても萌えるのでこれはこれで妄想の余地が出ていいかなー、なんて。

 

おまけ設定文がとても楽しかったので、これからプレイする方には是非コンプを目指してほしいです。黒鷹さん色々経緯を経すぎぃ! うっかり神のうっかり救済にはめちゃくちゃ笑いました。運命の出会いおめでとう!

 

余談ですが、名前変換で「“あなたの”名前は?」と尋ねてくるBLゲーは珍しいなーと思いました。BLゲはなんとなく、夢主人公というより主人公はオリキャラという立ち位置でプレイする人が多い気がしたので。

 

 

[グラフィック]

 

DLの決め手があの、黒鷹のメカクレな外見なんですよね……! メカクレ大好き、ずっと隠されてる展開も後から目が見える展開も好き。黒髪キャラもけっこう好みなので、外見がとにかくツボなキャラ達でした。

また、主人公の結衣にはたった数回だけの表情もあって、顔グラが細やかだったように思います。エピローグだと意外と大きく成長しているのもまた、しっかり男の子って感じがして良い!

怪物のスチルや過去の伝承のスチルなどはかなり禍々しく、ストーリー上こそほのぼのとはいえ、黒鷹と出会って順風満帆とは言い切れない不穏さが感じられて鬱展開萌えとしておいしかったです。

 

 

[一言]

黒髪萌え、鬱設定萌え、なんだかんだで絆される展開などにピンとくる方むけ。

 

 

 

 

 

『続・死にたがりと魔物』

 

 

[概要]

 

上記『死にたがりと魔物』の続編。

初めに人間界編と魔界編、2つのルートに分岐する複数エンド。前作より鬱は控えめ、ただし理不尽死は多め、人外要素も強め。

 

 

以下、特にネタバレ気味かもです。

 

 

[魔王編]

 

さくさく死んでいくのはこう、人間の無力さを感じられて実に、実に好みではありました。ですが、正解ルートを選んだ時に「そういえば前黒鷹が言ってた」みたいなモノローグが2・3回あったので、せっかくなら先にその黒鷹のセリフを出しておいて伏線兼ヒントにしておいてくれたらより輝いたのになあと思います。

 

キャラの掘り下げという意味ではとても嬉しい続編で、中でも結衣がモノローグで毒づいてることが多くて笑いました。前作ではあまり意識できませんでしたが、黒鷹と会う前の彼もこうやって両親や苛めっ子に裏でぐちぐち毒づきつつも表面上良い子ちゃんを演じてたんだろうなあと思うと、彼の根暗さがより感じられて良かったです。

 

魔物や魔神達は西洋の雰囲気なのに、山神等については仏教っぽい概念が入ってて、服装がアジアっぽい……言ってしまえばごった煮な感じはちょこっとだけ引っかかりましたが、ある意味一番フィクションらしくてよいのかも。

 

 

 

[人間界編]

 

こちらは魔界編よりも平和でコミカル。

一部闇へと誘われる展開もありはしましたが、デートシーンもあって基本的には明るいルートでした。

デートコースが多いのも選ぶ楽しみがあって良かったです。水族館でオラついた海洋生物に祝福されてるスチルがお気にいり。

 

エンドとしてはこちらの、事務所開いてわいわいエンドが好きです。ああいう異能事務所とか妖事専門店って良いですよね。短編連作に向いてそうだし、妄想が膨らみます。

こっちのルートで初めて到達したのはリリスさま登場エンドだったのと、魔界編から始めたこともあり、驚かされるところも多くありました。わぁい美乳巨乳。

そんなこんなで、ホラーが苦手な人はこっちのルートから始めると、どんな苦難が訪れてもクスリと笑える、かもしれません。

 

一応、人間世界を捨てきれない葛藤みたいなものも見え隠れはするんですが、基本的に厭世的なので案外さくっと魔界へGOしてくれる印象でした。死にたがりだった経緯を考えれば当然と言えば当然……と思いつつ、やっぱり人間世界では新しい居場所の獲得も難しかったかなー、なんて。

なんというか、初めは人間界に友達や親しい人や憧れる教授ができて、未練を感じて魔界に行けない主人公を痺れ切らした黒鷹がかっさらう的な展開を想像していたのですが。前作で既に黒鷹という居場所が先にできてしまっていたから、人間界ルートは終の棲家ではなくあくまでお別れやお引越しのための気持ちの整理をつけるための余暇、という形に落ち着いたのかなあと考えたりもしました。

 

 

 

[グラフィック]

 

全体的にスチルの美麗さがさらに拍車かかってて、特に魔界編では禍々しさをがっつり感じられて良かったです。眼光と威圧感、よい……。

中にはコミカルなスチルもあって、特に魔界編は終始シリアス寄りな展開なのにギャップを感じましたが、笑った直後にデッドエンド的な急転直下もあり素晴らしい二段構えでした。

しれっと足もげてる黒鷹さんスチルもかなり好きです。

 

CGで物の大きさや体格差も意識されているなあと感じました。ぱっと見ただけでこちらがか弱い存在だとわかるのはこう、絶望感が高くてよいですね……。

 

完クリすると設定資料も見れるので、それこそ絵描きさんには涎ものかもしれません。黒鷹の文様の細やかさがすごい……!

 

 

 

[一言・余談]

 

実は何一つ疑わずこちらが完成版だと思っていたのですが、シナリオやら世界設定やらがぎっちり詰まった有料の完全版もあるそうです。なんと驚き。

フリー版だけでもそこそこの長さな一作ですが、興味のある方はせっかくなので有料版を覗いてみるのもありかもしれません。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

鬱展開も糖度高めの甘い関係も楽しみたい方向けの作風でした。

人外×人間なBLをお探しの方に。