うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「キャンディリミット」感想

「たとえ刷り込みでもやりたいことはやりたい!」

中身は本気な前置き。

 

 

えー、今回はみずのみばさんところのフリーゲームキャンディリミット」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

お店を開いてお菓子を売りまくる育成ゲー。経営要素は少なく、どちらかというと作業ゲー寄りのプレイ感です。

 

そして、これを言うことで既にバレるような気もしますが、とにかくネタバレがもったいない作品でもあります。なので、少しでも気になっている方は一度自分でプレイしてみることを強く強くオススメします。

 

記事内でもぼかすつもりではあるのですが、やはりバレの部分が魅力でもあるのに加え得て私が書きたがりなので、未プレイの方はご注意ください。

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

使い分けの妙が見えるフォントとグラフィック

 

フォントは手書き文字風、主人公キャンディの顔グラは大口開けた笑顔、背景は手描き感満載のゆるゆる具合。全体的に、小さな子がクレヨンで描いたみたいな雰囲気の画面構成になってます。このゆるゆるさがすごく作品の雰囲気に合ってるんですよねぇ。

で、それだけじゃないからこそ話題になるものでして。

途中からパッと雰囲気が変わるんですが、そこにきてやっとこのゆるい雰囲気の神髄に気付きました。フォントや画風の使い分け、さらには文字表示のやり方や、シルエット表示や暗転で黙して語らせる等々、とにかく視覚的な演出がばつぐんです。

 

 

 

作業ゲーと戦略ゲーのほどよい配分

 

前述の通り、序盤はゆるゆる作業ゲー、途中からけっこうピーキーに戦略を練るゲーに様変わりします。

狙った素材が手に入らないのは商売ものあるあるですね。とはいえ、終盤ではちょこっとブーストがかかるので、レシピが全く埋まらないということはないはず。

序盤余りがちな素材がきちんと後で使えることもあり、上位互換な探索ポイントが無いので最後まで初期の探索場所へ通えるところも良いなあと思いました。始まりの思い出を大事にできる感じ。

 

緊張感あふれる展開のあと、ゆるっと進み、そしてまた引き締まる。物語の展開に合わせてプレイ感覚もほどよい緩急がありました。

 

 

 

タイトルの意味に痺れるドキドキ感

 

明確なタイトルコールこそありませんが、プレイしていくうち、このタイトルがザックリと刺さってきます。

多少の無理は効くような難易度になっていると思われますが、ある程度「やってわからせる」雰囲気があるので、ゲーム慣れしてない人にはきついかも。

とはいえ、説明書きはしっかりしているので、チュートリアルが無いと足踏みしがちな私でも無事覚悟を決めてプレイできました。なのでやっぱり、「とりあえずやってみる」が一番合う作品だと思います。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

あっと驚く展開や、ほのぼのとシリアスの混在、前向きに頑張る女の子が好きな方向け。

 

追記ではネタバレ込みの感想など。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

shiki3.hatenablog.com

 

 

ほんっとうにネタバレがもったいない作品、

かつ、

以下は一切ネタバレ配慮しませんのでご注意ください!

 

 

 

 

 

 

というわけでネタバレ感想。

 

 

 

「私がしたい」が響く展開

 

中盤は本当に衝撃的でした。

本当につらかったんです、あのキャンディがあんな表情になってしまうことが!

でもそこからの登り坂がすごくよくできていて、キャンディが決意を新たにするシーンでは一緒になってボロボロ涙が出てきました。

 

お菓子関係で初めに解放されるコマンドが「しょうひん」なところも、演出としてもものすごく上手いなあって思うんですよね。

「たんさく」はまだ気分転換だけど、お菓子を見るっていうのはもうそれだけで未練の証拠じゃないですか。

そこに手が伸びる時点で絶対に止められないし、キャンディの心はそこにあるんですよ。あると思いたい。

 

 

 

本当に、心の底から大好きで、それがないと自分でいられないことってあると思っていて。そういうのって諦めたくても無理で、見ないふりしたって自分を騙しきれないんですよね。これってお菓子作りだけじゃなくて、絵をやめるっていう人とかスポーツを諦めるっていう人とか、幅広い界隈の人が通る道なんじゃないのかな。

だから、何かにおいて一度折れても折れきらない人ってすごく強いと思うんです。もうそれがなきゃ生きていけないんだからまさに必死なわけで、絶対強いに決まってる。

 

そのキャンディの強さの過程を、プレイヤーの行動制限と解放という形で演出してるのが、もう言葉が出ないって言うか言葉にすると陳腐になっちゃうくらい本当に上手だなって思うんです。

「救いたい」「報いたい」そうじゃなくて、キャンディから真っ先に出た言葉が「わたしが したいこと」なのもすごく、すごく嬉しかったです。もう無敵な気分です。

 

そしてそれに応えるかのような覚醒モード。もう最高でした。最高としか言えない。

 

 

なんか語ってしまった。つまりすごく良かったです。

 

 

 

 

 

なぜあの場所に閉じ込められていたのか、あの敵は一体何だったのか、背景設定だけを見るとわからないことは多くあります。でもそれらの謎はマクガフィン……とはちょっと違うかな、とにかくただの設定でとどまる部分であって。その奥はあえて注目しなくても済むような物語づくりをされているのかなとも思います。

 

実際、謎があっても終わり方は爽快で、この記事を書いている今になってようやく「あ、そういえば」と思い出すくらいでしたしね。

 

何より、キャンディの話として見ると美しく完結しているので、もうそれで全てが必要十分なのかなとも思います。