「いつも同じ道だけど、歩くあなたは違う顔」
色んなお話していこうな前置き。
えー、今回はNeruna.(ねくん)さんところのフリーゲーム「かえりみち」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
1ルート数分で終わる、おまけ含めて20分くらいの短編乙女ゲー。攻略対象は4人、エンド分岐はそれぞれ2つずつ。作風自体はほのぼの。
というわけで、良かった点など。
清涼感のあるデザイン
全体的に青と白がメインで、水玉模様のポップな感じ。夏にぴったり!
一色限定使いってわけでもなくて、むしろ使われている色は多々あるはずなんですが、不思議と統一感があって爽やかなんですよね。こういうの、お絵かきする方ならピンとくるのかなあ。
とにかく、全体的にデザインがすごくかわいくて好きです!
また、縦長でスマホ向けな画面構成なんですが、まさにタイトル通り、「帰り道」な奥行きをどことなく感じられるデザインが多かったです。
タイトルに青マーカーを引く演出だったり、制服やカバンの持ち方だったり、しっかりと学生を満喫できる雰囲気が各所に見られるのもポイント。
BGMもほどよく耳馴染んで、居心地の良い作品でした。
プレイしやすさ&起動の速さ
まず嬉しかったのが、起動がめちゃくちゃ早いこと!!
私、ティラノゲーって立ち上がるまですんごい重いしバグリまくるイメージが強いんですよ。でも、この作品は起動もさくさく! なのに、キャラが動きまくってボイスまで入っているという盛沢山っぷりに惚れ惚れしました~……!
とことこ歩くアイキャッチ
一押しなのが、シーン切り替え時の動画!
もうこれがかわいすぎる~!! それこそ、ぼんやり流してるだけでも見飽きないし、これだけで和みます。
お相手によって歩き方が違ったり、姿勢が違ったりしてて、演出も細やか。
ルートによってキャラとの合流地点が違ってて、ただ読むだけじゃない、「一緒に歩いて帰ってる」感をたっぷり味わえてすごくすごくよかったです!
この演出はゲームならではですよね……。
しかもしかも!
おまけ画面では回想が見れるうえに、ちょっとした一言セリフまで見れます。一緒におしゃべりしてる時間を味わえる、すごく好きな演出です……。
攻略対象はフルボイス
さくっとプレイできる短編ではありますが、だからこそと言うべきか、なんとフルボイス仕様です! 豪華~!
オートモードにしていても声はきちんと読み切ってから文字送りがされるので、プレイしやすかったです。
演技に関しては正直ちょっと、合わない方もいたかな。
でも極端な話、VOICEオフにもできはしますので! もったいないけども……。声要らないからさくさく読みたいよ派の方でもご安心、とだけ。
もりだくさんなおまけとサイト
良ければプレイ終わったら公式サイトのページもぜひ見てほしい~!
Twitterアイコンやヘッダーの配布、絵や漫画などのおまけページもあって、既プレイだとより楽しめる仕様です。
冒頭にも貼ってますが、改めてここでもリンクをぺたり。
(記事公開時現在は見れないようです しょんぼり)
そして、ゲーム自体に実装されているおまけページもボリュームたっぷり!
意外な裏設定が多くて面白かったですし、演出としてもぜひ見てほしいポイントがたくさんでした。
何より、キャラの解像度がかーなーり高まります。マジでこういう人、現実にいそうなんだよな~……!
ニンゲンって色んな深みや側面がってこそだと思っているので、こういう生きてるなあと感じられるキャラ、大好きです。
とまあ、こんな感じで。
家帰って晩ご飯食べるタイミングにプレイしがちだったので、色々とはかどってニヤニヤしました。へへ……。
ゆるゆると穏やかな雰囲気で、ほっと一息つける作品です。お気軽に是非。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
追記ではネタバレ感想。
おまけページ全般
起動画面のレイアウト的におまけはなさそうだなーと思っていたので、ぴょこっと増えててガッツポーズ決めました。しかもボリュームたっぷり! やった~!!
クレジットの見切れた部分がスクロールで読めるようになるの、さりげなく良い挙動だなーとしみじみ。こういうちょっとした動きがあるだけで「あーゲームしてるなー」と感じます。
あと、キャラ紹介画面がプロフィール帳なの、天才過ぎません?
本編プレイ中はクレジットのフォントの多さに首をかしげていたんですが、ここで納得しました。読めないキャラがいるのも味があっていい。ギリ解読できる範囲なのもいい……。
同級生
言わんとするところはなんとなく伝わってくるの、微笑ましいですよね。
にしても、「歩いてるだけでも楽しいよ」が言えるこの主人公、ヒロイン力(ぢから)がとんでもなく高くないですか? 選択してる私の方が惚れそうになってしまった。言われてぇ~~~!
【ボイス】
表記されていないところでもずっとごにょごにょと喋り続けてるの、すごく好きです。ボイスありならではの演出ですよね~!!
「……」がただ黙ってるだけではないところも、演技力を感じて好き! ちゃんともじもじしてるのが吐息で伝わってきたり、長文で声が裏返ったり、すごく質感を感じました~……。そこにいるよ、今隣で歩いてるよ彼と……。
声もさることながら、演技力に惚れ惚れしたcvさんでした。
【サイドストーリー・おまけ】
フリースペースに消し跡がむちゃくちゃあるの、細かくて愛しくなりました。
絶妙に敬語が混ざってるところも、こう、距離感が生々しくていい……。
文章的に、それこそ面白味がないって言われちゃいそうな真面目さが見え隠れするのに、勉強は一夜漬け派。色々と解像度が高くて良いですよね。根っから真面目なんじゃなくて、嫌われない&怒られないための真面目さなんだろうなー、みたいな。
「脳内独り言が多い。」がすごいツボです。わかる~……。
そしてサイドストーリーで再度感じる、主人公のヒロイン力(ぢから)の高さよ。
こんなん惚れるに決まってるし、他にもっと良い人がいるだろうしとおよび腰になってしまう気持ちもわかるし……!
むしろ声かけて一緒に帰れてるだけでも、同級生君はむちゃくちゃ勇気出せてると思います。君に幸あれ!!
後輩
THE・犬!
へこたれないけどこっちが嫌なことはちゃんと聞き入れてくれてくれそう。大好きが体中からあふれ出てる感じ。
【ボイス】
う~ん、ちょっと私は合わなかったかな?
「えへへ」がんふふみたいな笑い声等々、あんまり文字通りの演技をしていない一方で、「ごにょごにょ」などは文字通り読み上げるって感じだったのが引っかかってしまいました……。
でも声自体は確かに魅力的なんですよね! 優等生なショタが似合いそうだなーと思っていたんですが、おまけページで後輩君のキャラを知っていっそう納得しました。確かにこういう裏設定ならこういう声なのわかる……。
【サイドストーリー・おまけ】
お育ちが良いし、策士!!!
本編ではけっこうスッと読んで和んで終わってしまったので、プロフィールページからしてぎょっと目を見開きました。
サイドストーリーは特にニヤニヤしてしまいましたね~!!
なんだろうな、わんこキャラを演じてるわけではないんだろうけど、その振る舞いが引き起こす感情や影響は理解してる感じ? やりたくてやってるけど、単なる無邪気ではない感じ……。
かなり多面的なキャラで、好きです。おまけを見て好きになれたキャラと言えるかも。
色々知ってからアニメ回想でのセリフを見ると、「あ~……」と納得できるところが多くて、味わい深いキャラでしたね~。勉強得意とか、本の話とか。バリバリ運動部系だと思っていたのでそこも意外。
ギャップにやられるタイプのお姉さま方にはきっとぶっ刺さると思います。
おにいさん
ピアスバチバチでプリン頭で眉無し?さん、いやあもう、お手本のようなチャラい陽キャ!!
先にTwitterアイコンで見た目だけ知っており、登場時はけっこうヤバな人なのかなーと思ってたんですが、予想に反して面倒見のよいお兄さんって感じでした。おおー。でもいまいち信用しきれない感があふれているのがまた絶妙。
平日夕方にシフト入れてるのはやっぱ主人公に会うためなのかな~。
だとしたら、かわいい人だな~!
【ボイス】
見た目だけだとかなりチャラくて怪しげな印象なんですが、声が付くとかなり印象が変わって驚きました。チャラい蛇みたいな印象から、無気力ダウナーお兄さんn。なるほどなあ。
語尾の「さー」の演じ分けがものすごく丁寧で、素敵でした~!
ゆるゆるした「さー」と、嬉しくて気持ちが先へ繋がってる時の「さー」がきちんと違って聞こえる、感じ? それでいて勝手に「さっ」とかにはしてなくて、ちゃんと「さー」の範囲に収まってる感じ……。
伝わるかなあ? 伝わるといいなあ! プレイしたらきっと伝わる、はず。
【サイドストーリー・おまけ】
幼馴染なんだ!?!
本作最大の驚きでした。ナンパから仲良くなったパターンかと思っていた……。でもなんか、よくよく味わってみると彼、あんまり自分から積極的に女漁りしに行くタイプではなさそう。なさそう……? 気づいたら寄ってきてるタイプと見ました。考察。
もうね~、あちこちきゅんとくる文章でした。
まず、等身大!! ちょっとダメな男の等身大っぷりがすごい!! 買うだけ買って開けない、無駄遣いする人種の生々しさがえぐい!! こういう人、いるいる!!!
あとツボだったのは、
「あんまり話聞いてなくてもおこられない」
ここ!! ここのリアルな質感、すごい好きです~!!
なんかマジでそこらへんにいそうな人の解像度がすごくて好きです。
それでも、お出かけとなって見た目に気合い入れまくるくらいには主人公のこと好きだし、その服を羊にべたべたにされてもまあいっかーって思えるくらいには主人公のこと好きなんだなーと思うとにこにこしてしまいます。このぬるま湯な世界でずっと幸せでいてくれ……。
プロフィールはとりあえずなんか魚介類について書かれていることは読めました。毛がに、毛がに……?
余談。公式サイトの500DL感謝絵、手の甲の骨ばってる感じがすごく好きです。
弟
「えらいえらい!」とこっちを褒めてきてくれたり、添い寝を「してあげる」だったりと、ちょっと背伸びしてる弟っぽさがかわいい! 年下からしょうがないお姉ちゃん扱いされるの、微笑ましさとやましさがないまぜになって何とも絶妙な気持ちになれます。へへ……。
また、「寄り道しないで」「さみしい」「やくそく」と愛が重そうな面がちょこちょこあって、ヤンデレ好きとしてはにやにやしました。
最後の最後はここにたどり着くと思うと、ラスボスっぽくもあっていいですね~……。美少女な見た目だからこそ怖くてイイ。
つい自分の趣味嗜好に合わせた見方をしてしまっていますが、本作自体はすごくほのぼのした作品なので、悪しからず!
【ボイス】
あの美少女な見た目でひそかに姉への愛が重そうな感じ、このキャラに声質がすごく合ってました~! キャスティングが素晴らしい……。
ただ一点だけ、「チンしてたべてねって」を「チンしてたべてって」って読み上げてたのが引っかかりましたね~……。こういうところつい気になってしまう。
【サイドストーリー・おまけ】
プロフィール帳の漢字にフリガナが振ってあるの、細かい……!
お姉ちゃんが書いてあげたんだろうなあ。こういうちょっとしたところまで凝ってるの、すごく好きです。
両親の代わりに授業参観、よくよく考えると展開や家庭環境的にはかなりヘビィな気も……? でも、姉弟ともにハッピーなのは文章の端々から伝わってきて、ほのぼのできました。
アニメーションで足ピコピコしてる弟君がかわいくて好き。
短編ゲーではありますが、延々噛んで長く楽しめる良さのある素敵乙女ゲーでした!