うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「cubic3」感想

「1d3に賭けましょう」

判定時点で既にファンブルな前置き。

 

 

 

えー、今回は、GLOBULE.INFOさんところのフリーゲームcubic3」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

一周5分以下、クリアまで1時間未満の短編ノベルゲーム。いやー、この短さがめちゃくちゃ効果的なトリックを産んでくれる良作でした。

 

周回プレイ必須で、考察しながらプレイするのが好きな方向けです。とはいえ雰囲気ゲーではなく、きちんと答え合わせもあるので読後のすっきり感を大事にする方も楽しめると思います。

 

 

というわけで、さっそく魅力的な点を。

何を書いてもネタバレになってしまいそうで怖いですが……w

 

 

 

多面系のシンプルな構成

 

前述の通り1周は短いのですが、そこに詰められたトリックはかなり緻密です。何周もするうちに真相を掴みかけて、でもそれが意外な方向に進んでいって、ようやく全貌を掴めたと思ったらEDリストが埋まっているという。そしてぴったりのタイミングで答え合わせ。最後まで翻弄されながら読めてとても面白かったです。

真相さえわかればすんなりと理解しやすくなるのも凄い! シンプルな形をここまで見事に多面系に仕上げているのはさすがの一言でした。

 

 

 

視線や視点を意識した見せ方

 

加えて挙げたいのが視覚面での演出!

冒頭で出てくる赤い光の動かし方や、視界の開け方、視点の低さなどなど、随所がかなり凝っています。初めは気づけないくらいさりげない違いなんですが、話し手がわかってくるともう、ぞくぞくきました。

立ち絵もずるいですよね。ああいう独特の絵柄も好みです。

 

 

 

えげつない純愛ストーリー

 

ほとんどのEDが暗く、残虐で、愕然とするようなものばかりです。どのキャラクターもさらっと悲惨な目に合います。しかしながら読後感はかなりすっきり。驚くほど救いの感じられる展開で、いやまさかこうくるとはと唸らされました。

鬱展開がある程度許容できて、純愛ものが好きならやって損無し!と叫びたくなる一作です。

 

 

 

可愛らしく意味深なEDリスト

 

周回して新しいEDに辿りつくごとに内容が増えていくEDリスト。これがまた面白かったです! 単体だとわからなかったエピソードが繋がっていく快感や、空いた部分がどう埋まるのかというわくわく感を心ゆくまで楽しめました。

時々追加される落書きも可愛いんですよねぇ。

初めのうちはえげつないエピソードにぎょっとされるかもですが、このEDリストの可愛さに中和されて、独特の不穏さが出ている気がします。ポンデ!

 

 

 

 

公式サイトにもあるように、プレイの仕方によっては「わけわからん」で終わってしまう危険性もあります。なので、遊び方については軽く目を通しておくことを推奨します。しっかり遊んだらかなりぞくぞくくる一作です!

 

追記にはネタバレ込みの感想など。ご興味ある方は追記よりどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

この作品特にネタバレ見ると魅力が半減してしまうので既プレイの方のみでお願いします!

 

 

 

 

 

 

考えながらプレイしても良いし、流されるだけ流されて最後にはっと納得するのも良い、色んな遊び方ができそうなノベルゲでした。

 

ノベルでもしっかりゲームしてる作品はほんと素晴らしいですね……!

 

 

タイトルの意味がとても気になる一作です。

なんとなくですが、

3人(に見える)葛城

体育倉庫・病院・崩壊世界の3つの世界

僕・君・そいつの3人

桐生君・高山君・白石君の君付け3人組

などなどの色んな3によって別々に見える側面が集まって一つの固まった箱庭世界を作りあげている――みたいなのを表しているのかなあと思ったのですが。どうなんでしょ。

 

 

いや、しかし本当、あの立ち絵にはやられました。あれで混乱して同じエピソードを数周したのも良い思い出です。上手いよなあ本当。

 

 

 

EDリストが埋まっていくとどんどんはっちゃけていくんですよねw 特にデートやメイクラブの辺りは書き手のうきうき感が伝わってくるようで面白いです。

よくよく考えなくてもものすごーーくえげつない展開だと思うのですが、あまりにトゥルーエンドが幸せに満ちている感じだったのでなんだかこっちも笑顔になってしまいましたw

 

絶望しかないような世界で一切の悲壮感を感じさせないのもまた、あの二人の愛の強さと安心があってこそなんでしょうねぇ。微笑ましいなあ。いや、微笑んでる場合じゃない環境ではあるのですが。

あのタイトル画面の清涼感も、トゥルーエンドを通ると納得できます。

 

 

 

何かと魔改造されがちなクトゥルーものをよくここまで上手く調理したなと思います。がっつり落とされたうえですくいあげられる、綺麗にまとまっている良作でした。

フリーゲーム「ビューティフル・コックローチ」感想

「どこまで逃げても追ってくる、あなたが振り向かない限り」
やめられない止まらない前置き。

 

 

えー、今回はロメゾンさんところのフリーゲーム「ビューティフル・コックローチ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

個人的に公式サイトの紹介文がものすごく秀逸だと思うので、引用させて頂きますが……

どん底から這い上がりRPG


7割方、下ネタとアクの強いキャラクターで出来ています。

いやあ、まさにこの通り。でもバカゲーではないんです。この作品の真の魅力は、エンディングまで物語を見届けてこそ伝わると言っても過言ではありません。


ぐだぐだ書き連ねるのも何なので、ある程度項目分けしてこの魅力について語っていくとしましょう。

 

 


とにかく濃くて濃くて濃いキャラクター

主人公:アル中 
相棒:下ネタイケメン
楽しい仲間達:スケベ爺、娼婦、失脚官僚、金好きショタ、その他たくさん。

 

もうこうやって書いただけでヤバイ人達がそろい踏みなのがよくよくわかります。いやーでも悔しいことに、良いキャラしてるんですよねぇこれが!
不良が河原で猫を拾うと二割増しで素敵に見える法則がありますが、終盤はまさにこれに似た現象が起こりまくります。けれど、この法則に甘えるわけではありません。忘れず下ネタを持ってきて見直しかけたところをもう一度蹴落としておくのも流石の構成です。

全く仕方ない奴らだなあ、でも憎めないんだよなあ。あるいは、私と似ててやんなっちゃうなあ、でもわかっちゃうんだよなあ。みたいに感じることもしばしばでした。
それぞれのキャラクターの大事なものやテーマが最後まで一貫しているのも気持ち良かったです。

 

 


意外にも王道で緻密なストーリー

さて、アウトロー系の個性豊かなキャラクターが集まったのなら、話もドカンと暴れまくる話になりそうなものですが……濃いキャラや熱い下ネタに反して、ストーリーはとても王道です。
勇者が世界を救いに行く。言ってしまえばたったこれだけのこと。
けれども、この王道展開のストーリーに濃いキャラ達が絡み合うことで、他では決して見られないオリジナリティの高いドラマが楽しめるのです。ろくでなしだからこそぶつかる多くの挫折、数多の後悔、そしてそれらを時に茶化して軽く思わせてくれる下ネタの数々――。
馬鹿馬鹿しいと一笑に付すのは簡単ですが、そこを突き詰めて、笑いながらも問題に向き合っていく真摯さが感じられる一作です。

 

また、キャラクターがたくさん出てきて混乱しかけたところにレブロッカvsチンドラーの説明を加えたり、勢力に疑問が出てきたところで世界地図を見るギミックを入れたりと、世界情勢の説明を入れるタイミングがとても上手だと感じました。
出てくるキャラクターはかなり多く、途中までは群像劇の様相を成していますが、それがどんどんミケーレという主人公に集まって最終的に一本筋になるのも素敵です。

 

 

 

容赦なく叩きこまれる下ネタ

忘れちゃいけないのは下ネタの存在ですね!!
真面目な方向に行きかけたところで、ここがチャンスと言わんばかりにすかさず飛んでくる下ネタにはもはや笑いを通り越して拍手したくなります。街の人との会話も遠慮なくそっち系ばかり、というかほとんどの街に娼館がある時点でお察しです。個人的には初めの街の、会話後に超ダッシュするお姉さんとの話が好き。

 

ただ、まあこれはクリアしたから思うのかもしれませんが、この作品の下ネタはほとんどが茶化しのために盛り込まれている気もします。暗い話を落ち込みすぎないように、自己嫌悪に塗れた主人公を突っ込みで動かすために、真剣な話が嘘くさくならないように――考えれば効果は色々ありますが、とにかく何か凄まじい計算によって下ネタが組み込まれているように思えます。


……なんて、そんなことを実際に言うと作中の彼らは嬉々としておバカな下ネタを連発してくることと思いますがw

 

 

 

ツクールならではの演出と意外なミニゲーム

ファンタジーならではの魔法シーンなどはツクールのドットを使って上手に演出してくれていて、ダンジョンの仕掛けやお城の間取りの広さなどでもしっかりと世界観が表されています。
後述するバトル面に難点があってもやっぱりツクール製で正解だと感じるのは、こういうところからなんですよねぇ。言葉で語り過ぎない、ドットでの演出が見ていて楽しいんです。


監視を逃れるミニゲームやパズルなどもなかなかの手ごたえでした。特にミケーレの床色合わせのところが好き。一方でアクション能力を要求されるミニゲームもあって、アクション苦手な自分には辛いところもありました……。ピンクの獅子が憎らしいです。
とはいっても、やっぱり全体的にストーリーにあった仕掛けが多くて物語としても楽しめましたし、詰みそうなところでは作者様の攻略ページを大いに活用させて頂いたので、なんだかんだと面白かったです。

 

 

 


さて、最後にちょっと惜しかった面にも触れますが……

 

 


高難易度のバトルとリターンの低いレベル上げ

 

アドベンチャー面が中心と思いきや、とあるダンジョンからバトルの難易度が跳ねあがります。
パーティメンバーは大抵低レベル+高レベルの編成になっていて、その高レベル1人に合わせた敵の強さになっていることがほとんどなので、レベル上げは必須です。
まあ、レベリング自体は良いんですが……ラスボス戦では固定メンバー4人なのに対して、それとは別に中ボスを倒すためにある程度レベル上げをしないといけないメンバーが6人いるというのがどうにも。もちろん、中ボスまでと割り切ってさくさく作業すれば良い話ではあるのですが、手間とリターンが合わない感じはしました。

 

きっぱりバトルの難易度を下げる、または道中の固定メンバー戦を省略することが出来てさえいれば、ストーリー面のみならずRPGとしても大絶賛できたんだけどなあと、少し惜しく感じます。

ただ、呼術の設定や、酒切れという独特のステータス異常、そして何よりそれらを使ったストーリー上での演出には目を見張るものがあるので、やはりツクール製の良さを生かしている作品であるとは思います。

 

 


とまあ、こんな感じで。


バトルに難あり、メインキャラも人を選ぶ輩ばっかり、けれども全体としてはかなり良質で、合う人にはもう忘れられないくらいしっくりくるであろう一作でした。

ストーリー重視の方や、公式サイトを見て少しでもピンときた方なら、試しにDLしてみることをオススメします。

 

私がうだうだ書かずとも、タイトルが全てを表してくれている気もします。素直な奇跡は信じにくい、青臭い展開も嫌いじゃないけど気恥しい、そんなひねくれた私にぴったりで、とても楽しめた一作でした。

 


追記では遠慮なくネタバレ感想です。

 

 

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フリーゲーム「X5 しあわせ粗製濫造装置」「sad but mad」感想

「突っ込めば世界は救われる」
どこに突っ込むかが問題な前置き。

 

えー、今回は、ロメゾンさんところのフリーゲームX5 しあわせ粗製濫造装置」と「sad but mad」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

「sad but mad」は「X5」の関連作なので、「X5」の後にプレイすることをおススメです。

 

 

 

 

『X5 しあわせ粗製濫造装置』

タイトルからしてパンチの効いたこの一作、巷でタイトルだけ目にして気になってはいたのですが、このたびようやくプレイすることができました。もちろんタイトルのみならず、キャラクターも展開もなかなかにアクが強いです。

ツクール製ではありますが、ジャンルとしてはADV。……でいいのかな。基本的にはテキストを読みつつ、時々ミニゲームを楽しみつつで進んでいきます。群像劇でSFな人生録といった感じ。というわけでさっそく魅力的な点をば。

 

生き生き動くキャラクター

キャラクターがとにかくリアルです。個性付けもとんでもないです。売れない芸人、ハイジャック犯、殺人鬼、暴言娘などなど。話が進むにつれてどんどん暴走し激昂し思い悩み突き進むキャラクター達にこちらも身につまされる想いがしてしまいます。

やっぱり何と言ってもイタガキの存在が大きい。かつて全裸をここまで感動的にした男がいただろうか。

寒いギャグをばんばん飛ばし、無神経に人を巻き込んでと、序盤はそれこそ「なんだこいつは」と引いていたのですが……彼の良さは後半で輝いてきます。一貫した動きは気持ち良いものです。ボケ役の彼の最高な突っ込みにはたまらなくなりました。本当、救われた想いです。

 

群像劇なストーリーなので、登場人物もけっこう多いです。でも困ることはありません。皆が皆濃いキャラをしているので、「この人誰だっけ」となることはまずないです。全員に見せ場のシーンがあるのも良いですねぇ。
皆が輝いていたのでキャラクター全員好きなんですが、萌えたのは不憫な方の刑事さんです。信仰系のキャラ本当萌えます。

 

 

絶望と笑いと再生の物語

↑は公式サイトより引用。
ざっくり書くと、旧型の宇宙船に乗りこんだ駄目人間たちがやけくそになりつつダストボックスを出入りする話です。どうですとんでもないでしょうこのアングラ感。

だからこそ終盤の展開は予想外でした。詳しく書きすぎるとよくないので是非プレイしてみてほしいのですが……とりあえず、あの勢いを上手いこと収束させたのはすごいです。

どのキャラも魂の底から叫び、どうせ報われないんだと拗ねながら、それでも目の前にある希望を掴みたくなる――ちょっと抽象的な書き方をしてしまっていますが。とにかく、辛く、馬鹿馬鹿しく、清々しい一作です。
結局根本の問題は解決していないんだけど、だからこそ現実的にありそうな、信じられる救いの話だったなーと思います。

 

 

手に汗にぎるミニゲーム

ストーリーを追うだけと油断しているとあっさりやられます。
アクション要素多めだったので、なかなかクリアできないこともしばしば。でも、ミニゲームを諦める選択肢もあるのでアクション苦手な方も安心です。私は馬に負けました……。
定番の追いかけっこものから、透明人間になったりタイミング重視だったり、ミニゲームの幅が広くて面白かったです。何より、ストーリーに合った流れで出てくるのが良い。双子のところは演出も相まって良い意味でぞくぞくっとしました。ついセーブデータ取って置いてます。

 

 

 

さりげなく面白い演出

ストーリーが良いと言ってはいますが、それでもノベルゲーとしてでなくツクールゲーらしい作品だと思います。というのも、視覚的な演出が多くて見飽きないというのが理由です。
美麗な一枚絵がどどーん、とかいう方向性ではなくて。
さりげないところにSFらしさを出すオブジェクトがあるんですよね。トイレとか。で、調べるとそれに気づけるという。ステータス画面の状態がちょくちょく変わるのも細かくて好きです。
神ゲームのシーンでがっつり心を掴まれました。

 

 

 

 

『sad but mad』

続いて『sad but mad』について。

X5の後日談、1時間かからないくらいの短編ものです。フレイザーや刑事組が中心なので、前作をやって彼らを気に行った方はやってみると良いかと。
ウィンドウの色変えは雰囲気が出てすごく良いんですが、真っ赤なのはちょっと目につらかったかな……。
バトルシーンの『自殺』コマンドが印象的でした。まあ、選択するよね。
最後の呼びかけがミスターだったのは、ああいう形で彼が解放されたからだと解釈したんですが……どうなんでしょうね?他の方の考えも気になるところです。

 

 

とまあ、こんな感じで。キャラクターやストーリー重視の方、アクの強い作品をお求めの方にオススメします。

 

 

 

 

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フリーゲーム「スーパー攻め様の優雅な一日~野球拳編~」感想

「苗字はスーパー、名は攻め様!」

なのか……?な前置き。

 

 

 

えー、今回はPINEさんところのフリーゲーム「スーパー攻め様の優雅な一日~野球拳編~」(http://planting-pine.sakura.ne.jp/game/sss/index.html)の感想をつらつら書きますね。

ゲームもサイト自体も18禁なので、大人な方のみ宜しくお願いします。

 

ジャンルはがっつりBL。えろい描写もあります。内容としてはノベル+ミニゲームのじゃんけんです。

ちなみに、起動時の誕生日設定は攻め様やMくんの設定ではなく、あくまでプレイヤーの誕生日なのでお間違えなきよう。

 

 

 

ネタ?王道?

タイトルからしてわかるように、仕様やコンセプトはネタ感満載ですが、意外にもストーリーはしっかり王道です。ただキャラ名は「スーパー攻め様」なので、どんなにかっこいい台詞を言おうと強制的にギャグに見えますw 結局どっちやねん、ってな話なんですが、それがまた面白かったり。ガチシナリオを本気でギャグにする姿勢に惚れぼれします。

一部エンドでは寝取らせ(?)ちっくな倒錯的描写もあって萌えました。

 

 

野球拳!

じゃんけんについては初め、まさに「これなんて無理ゲー?」状態だったんですが、サイトの方の攻略に頼ればすぐに解決でした。なんという親切設計…! 脱げば脱ぐほど出てくる謎のアイテムもまさにスーパー使用で面白かったです。

攻め様の脱ぎっぷりがきちんと立ち絵に表れているのもびっくりでした。丁寧。

 

 

おまけ 

短編ノベルゲームでのED回想はあまり見かけないので、大変ありがたいです。ED名をクリックしたら回想が見れますので…。ED2をさんざん見返しました。好きです、はい。

あとがきの、「こっちくんなw」感も好きです、はい。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

しっかりしたシステムで、さくっとプレイできるえろいBLゲーをお求めの方、是非プレイしてみてください!

フリーゲーム「コモンセンス」「アンバランス」感想

「人にも自分にも期待できない時がある」
やさぐれてるとさらに気を逃していく前置き。

 

えー、今回は三尺寝さんところのフリーゲーム「コモンセンス」「アンバランス」の感想をつらつら書きますね。
二作一気にプレイしましたが相互の関係性はありません。


どちらも30分かからない短編ノベルゲー。ダウナーというか、鬱展開ではないんだけど、良い感じにけだるい雰囲気です。

 

 

コモンセンス


まずは、「コモンセンス」から。

ついうっかり飛び降りてみたくなる。いやしないけどね。あのちょっと引いてある椅子の背景が好きです。
立ち絵の種類があって、しかも表情がけっこう変わるっていうのが豊富だなあと。
虚しいと言うか切ないと言うか。暗黙の一体感みたいなものと会話が好きです。読み終わった後もなんだか余韻を噛み締めたくて、サウンドルームを楽しみました。

 

 

アンバランス

 

アンバランス」のほうはなんというか、やけ酒した後にやりたい感じのゲームでした。わりと自分は「俺」側の人間だったりするので、自己嫌悪だったりやるせなかったり。
システム面では、起動画面無しに始まって、ぶっつりと終わるのが新鮮でした。

 

 

 

どちらのゲームもなんというかこう、説明とか感想とかおいといて、「考えるな感じろ」系のゲームではあります。けど、世界観がすごくて、没入して頭に麻薬をぶちこまれているみたいでした。

フリーゲーム「夜は小さなふたりのために」感想

「一言にできない繋がりがある」
でも簡単に言い換えたくなってしまう前置き。

 

えー、今回は、プロキオンさんところのフリーゲーム夜は小さなふたりのために」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ハロウィンが近づくこの時期に絶対このゲームを取り上げよう!! と意気込んでおりました。愛してます。

 

まずはさらっと紹介を。
前作「贄の羊に牙を立てて」のスピンオフなノベルゲーです。サブキャラだった蝙蝠達が立派に巣立ちます。
元々私、この前作がもう大好きなんです! 好きな乙女フリゲの中でも五本指に入るくらい。なので、今作だけでも十分楽しめるかとは思いますが、前作を知らない人は是非とも手を伸ばしてみて頂きたいところです。

では改めて、魅力的な点など。

 

 

ゴシックな雰囲気と愉快な仲間達

ホラー風味なオズの魔法使い、というのがプレイしての印象でした。
不安たっぷりの一人旅から徐々に仲間が増えて賑やかに、そして幾多の困難を乗り越えて城の主の元へ────流れがオズっぽく感じたのかも。
緊迫感のあるシーンやダークな展開もありはしますが、キャラ達の掛け合いで緩和されているところも大きいです。なので怖いの苦手って人にもオススメしやすい一作だと思います。

 

静かな雪の夜の世界観

まず視覚的な面として、スチル画面の時に文字表示が変わるのがさりげなく良ポイントです。文章も落ち着いた語り口調で、雪の世界によく似合う静けさがありました。
吸血鬼や魔法使い、眷族の在り方など、きっちりした設定が随所で感じられるのも良かったですねぇ。ああいうのがあるのとないのとでは世界観の濃さがずいぶん変わってくるように思います。難しい固有名詞はなく、あくまでなじみ深い単語で説明されるのもありがたかったです。

 

おしゃれなエンドロール

数秒聞いただけで心をわしづかみにされるあのエンディング曲!
曲自体は素材サイト様のものなんですが、雰囲気ぴったりで震えました。思わず素材配布元に原曲を探しに行ってしまったほどです。
ルートごとに異なるエンドイラストも象徴的で、彼らの絶妙な距離感が伺えます。どっぷり寄りかかるわけでもなくあからさまに忠義を示すわけでもなく、それでも傍に居るあの感じ……とっても好きです。
余韻が美しいエンドロールでした。

 


と、ここまでが魅力的だと感じた点になります。

 

未プレイの方に推しておきたいこと


一方、初め引っかかっていたこととして、

・メインの攻略対象にレトがいない

というのが挙げられます。

序盤からレトを追って羽ばたき、スタッフロールに入る直前の展開はどちらのルートでもレトへのあたたかな想いが感じられる展開。これは期待をしてしまうというもの。
なので、求めていたのと違う展開へ転がっていくエピローグに初めは戸惑ってしまい、本編をクリアした段階では「ああちょっと思っていたのとは違うな」と感じてしまっていました。


しかしながら!
真髄はまさに本編の後、おまけおよびパッチ配布による後日談のほうにあったのです。これを読んでようやく納得……いやむしろこの形だからこそ良いと強く感じました。
ここを書きすぎると大変もったいないと思うので、詳しくはネタバレ込みで追記にて。

 

もしも私のように思った方がいらっしゃったら、是非後日談までしっかり目を通してみてほしいなー、なんて。

 

 

とまあ、こんな感じで。


序盤は色々予想と違う方向に行き戸惑ったところもありましたが、最後までプレイし終わったらもう大満足、静かながらもときめきや余韻が際立つ一作でした!


吸血鬼ものが好きな方や、前作をプレイした方、探索ホラーっぽい雰囲気が好きな方にオススメします。


追記ではネタバレがっつりのキャラクター感想など。

 

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フリーゲーム「××をください!」感想

「しつこさ増せば粘り勝つ」
一種のストックホルム症候群な前置き。



えー、今回は、へもへもさんところのフリーゲーム××をください!」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。


女性向け短編恋愛もの。勢いに呑まれて読み進め、不意にくる乙女要素にどきっとさせられる、まさにラブコメな一作でした!



というわけで、魅力的な点をいくつか。

どの選択肢も生かされる、さりげない伏線が上手いシナリオ

ストーリー面で、ネタバレになりそうなところは追記に畳むとして。糖度ありコメディ要素高めなラブコメですとだけ。
内容ではなく構成として挙げたいのが、伏線についてです!
普通に読み進めていくと、序盤では洋風世界観かなと思わされるのですが、ヒロインの婚約者の話でさりげなく「この作品では勇者や魔王がいる世界観ですよ」ってことが明かされるんですよね。公式サイトを見てしまえばわかる話なんですが、きちんと作品内でそれを説明できるのが凄い。かつ会話がくどくなくてとても自然。いやー、上手かったです。

また、選択肢面でも注目したいのが伏線部分。ベストエンドではない選択肢を選んだ場合でも、それが別の展開のさりげない伏線になっているパターンが多く、無駄のないシナリオ作りに思わずうならされました。シナリオの長さも選択肢も手ごろな量だったのでセーブロードでつい全部見てしまうなど。
決してミステリというわけではないので伏線自体はあくまで軽い形ではありますが、こういう細やかな情報の出し具合に惚れぼれしました。
明るく元気なシナリオの裏に、かなりの構成力が伺えます。

 

安定したクオリティのグラフィック

まず立ち絵について、表情豊かなのは勿論のこと、特に台詞がなくてもひっそり表情を変えているシーンがあって、キャラの内心が細かく伝わってきました。

時々女王様がデフォルメ顔グラになるのも可愛らしい!好きです。
背景については素材を使用されているようですが、この使い方がまた上手です。モブキャラを添えて活気のある街並みが演出されていたり、背景をただ大写しにするだけでなくズームや動きが加えてあったり。色々と工夫されているのが見て取れる良作でした。

スチルも綺麗で、コメディなシーンにもかっこいいシーンにも出てきてくれたのが嬉しかったです。本漁りのスチルがお気に入り!光の具合が美しい…!

怖い顔だけど中身は乙女なヒロイン

とにかく主人公が印象的でした!雰囲気は美人さんですが、そのガタイと顔つきから男と誤解されてしまうことも……。
何がすごいって、女王様がきちんと男顔なところ! ……と書いちゃうと怒られそうですが。あっあっごめんなさい蹴らないで。
いや、こういう乙女ゲーのグラフィックって一部信用できないことが多くて、例えば「ぶさいく」「ぽっちゃり」「男っぽい」な属性の主人公でもスチルでは大半がきゃるるん可愛く描かれているパターンがほとんどなんですよね。しかしこの作品ではそういう偽り美化100%がなく、しっかり本人のコンプレックス通りの外見で描かれていて、なおかつ可愛らしいんです!! これは凄い、本当素晴らしい。ここを誤魔化したらコンプレックスが成り立ちませんものね。改めてスチルを見直してしみじみと感じ入りました。

中身はきちんと乙女らしく、気にしているところを指摘されてしょんぼりしたり、可愛いものにときめいたりする様にはとっても共感できました。恋愛ゲーに求める糖度やときめき成分が補給できたのも嬉しかったです。照れ顔にきゅんとさせられることも。
個性あり魅力たっぷりのヒロイン様だったと思います!


とまあ、こんな感じで。
明るく元気な恋愛ものや、コンプレックス持ちのヒロイン、残念なイケメンなどにピンとくる方へオススメです!

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com




追記ではネタバレ込みの感想など。

 

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