「言葉なんていらないし確かめ合う必要もない」
そして知らない間にずれていく前置き。
えー、今回はゆうあかり・こもれび・yuni-verseさんところの合作フリーゲーム「迷い込んだゲストは?」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
攻略対象が近親の、男女恋愛ノベルゲー。舞台は現代ですがファンタジーな設定も含みます。
というわけで良かった点など。
美麗なグラフィック
イラスト担当はこのブログでも何度か取り上げさせていただいたyuni-verseさん。元々存じていましたが、やはり今作でもまさに乙女ゲーらしい画風で、スチルと立ち絵も完成度が高かったです。ドアを開ける開けないとか、横になって見つめ合う二人とか、差分がストーリーに即しているスチルが多かったのも特徴ですね。
また、今回は双子がメインキャラということで、シンクロを感じるポーズや表情が多かったのがポイント高かったです。二人が並んで同じ「やれやれ」みたいな顔をしているシーンでは思わずくすっとしてしまいました。
タイトル画面やロゴなどもどこか透明感のある美しさ。シンプルながら世界観のあるシスグラでした。
言わずとも分かり合える距離感
一番好きなの、初めて千莉が登場するシーンなんですよね。
説明や描写は全部置いておいて、まず、二人が何一つ言わずとも全て理解して普通に日常会話をしてしまうあのシーン。ものすごくロマンティックなのに二人はそれを自然なものとして受け取っているところが、逆に強いつながりを感じさせられました。
このシーンに限らず、あちこちで二人が黙っていても分かり合うシーンが多く出てきます。この、自然体の絆がすごく、良かったです……!
ヒロインは名前入力可能ですが、この辺りの言わずとも繋がる感覚はむしろヒロイン≠読み手という感覚が強かったように思います。
ただこの「言わずとも」部分、合わなかった点とも絡むのが悩みどころ。詳しくは後述するとして、こればかりは好みによるところなんだろうなと思います。
ゲストを問いかける鬱展開
ネタバレなので詳細には語れませんが、なるほど納得のタイトルセンスなストーリーでした。激しいグロではないものの、ある意味心に傷をつけていくバッドエンドが多かったのも、読後の余韻が残って好きです。
続いて、合わなかった点や惜しかった点について。
設定の唐突さ
瑞希ルートの初周でベストエンドに辿り着いてしまったからというのもあるかもしれませんが、親の話はかなり置いてけぼり感がありました。ファンタジーと聞いてはいたのですが、まさかこういう、異能力ラノベが始まってしまいそうな感じの設定とは思わずおろおろしたのが正直なところ。脇役だと思っていたキャラが重要人物として終盤に急にスポットを当てられて、感情移入する暇もなかったというか。
無理に全てを説明しようとしなくても裏設定にして濁す等のやり方もあったんじゃないかな……。あるいは説明するならするで、その設定に関わる人たちを都合の良い鬱生成キャラとしてではなく初めからきっちり一個人として描いて欲しかったかなと思います。
導入もゴリ押し感がしばしば。母親や友達などサブキャラが舞台装置として動き過ぎていて、不快なモブとしか見えなかったので、末莉の執着?が理解しがたかったです。
確かにね、読み進めれば優しかった母親とか瑞希との過去話とか千莉がいない頃の家族のギクシャクとか、本編の影や過去で何かがあったんだろうというのは十分察せるんですよ。けど前提知識も何もない導入部分で見えない部分を前提にした話をされてしまっても、こちらとしてはぽかーんとするしかなくて、そこがかなり不満でした。
ここが前述した、「言わずとも伝わる」部分の弊害ですね。一長一短。うーん。
BGMの切り替えタイミング
BGM自体の選曲はとても良くて、どのシーンにもぴったり合っていたと思います。ただ、切り替えのタイミングがもったいないなあと感じるシーンがちょこちょこありました。コミカルシーンの中でシリアスな本音がこっそり漏れてフェードアウトするところなどなど。数ページ早めに切り替えたらもっと雰囲気が出ただろうなー、なんて。
とまあ、こんな感じで。
シナリオ内に個人的には合わない点がありつつも、一部のシーンには輝くほど惚れ惚れするところもあった一作でした。双子ネタや鬱展開が好きな方向け。
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yuni-verse
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