うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「Cinderella~シンデレラ~」感想

「夢か魔法か疑うなら飛び降りよう」

駄目なら現実な前置き。

 

えー、今回はClear Pieceさんところのフリーゲーム「Cinderella~シンデレラ~」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

中編乙女向けノベルゲーム、攻略対象2人、タイトル通りシンデレラの流れを汲みつつ進む糖度高めの作品です。

というわけで、さっそく魅力的な点から。

 

 

 

光の表現が美しいハイクオリティなグラフィック

まず人目を引くのがグラフィック。OPムービーが始まった時は思わず、「これ本当にLivemaker!?」と叫びかけました。最近のフリゲの進歩は本当凄いなあ。とにかくとっても綺麗なOPで、プレイ前のわくわく感がいっそう高まります。おまけで見直せるのも嬉しい!

もちろんOPのみでなく立ち絵やスチル、どれをとってもクオリティが高く、見ていて惚れ惚れします。全体的にライトで照らされているようで、まさに乙女ゲーらしい華やかキラキラしたイメージでした。

お気に入りのスチルは、フレッドだと噴水前、レナードだと光の輪……で既プレイの方は通じるかな。後者は特に、スチル差分の出し方とストーリー演出とがぴったり合わさってとってもロマンティック! 視覚的な演出はもう大満足、まさに眼福です。

 

原典からオリジナルへ動く設定の上手さ

タイトルからしてシンデレラなこの作品ですが、上手いのが設定の味付け具合です。

特にフレッドルートに入ってからのストーリーは、原作シンデレラを離れてどんどんフレッドが一人の男性としてヒロインと寄り添い合っている感じがして、展開がとっても好みでした。

12時の鐘や不思議な魔法、意地悪な義理のきょうだいなど、導入でシンデレラ要素をしっかり絡めつつ、中盤からオリジナル展開へ話が進んでいく……オマージュ好きにも創作好きにも納得のいく流れだったと思います。

童話のふわふわしたところだけでなく、身分差の描写や辺境地等の設定に触れてノベルらしい厚みが出されていたのも好印象。元ネタに乗っからず、自作らしさを出して、かつ乙女ゲーらしく万人向けを目指しているのが見てとれました。

 

 

 

一方。キャラクターの描写面では合わなかったところも多かったです。

正直に書いているので、批判が嫌という人はここで回れ右して頂ければ幸いです。

 

 

豊富な選択肢と噛み合わないヒロイン

この作品は選択肢が細かく用意されていて、そこは凝っていて良いなあと思っていました。選択肢自体も、トゥルーに行くためには基本的に、健気で相手のことを想うようなものを選んでいれば良いので、難易度としても易しく助かりました。

が。

その選択肢とヒロイン像が噛み合わないことが多く、何よりこのヒロインの無神経さが合いませんでした……! 上手いこと言ってやったって感じの台詞が多すぎて引っかかる引っかかる。ウィットに富む言い回し自体は大好きなんですが、この作品だと使いどころが悪くて偉そうに見えたり、私のこと気遣ってもらえて当然という態度に見えたりして、なんだか素直に受け入れづらかったです。

選択直後のシーンと共通シーンでかなり態度差が出るので、まるで腹黒みたいに見えるんですよね。バッド行きの選択肢を選んでいると共通ルートは違和感もないのですが。

これなら初めから選択肢少なめの個性あり常時顔出しヒロインとして行っても良かったんじゃないかなー、なんて。スチルではせっかく可愛いヒロイングラが見れることですし。

 

肝心なところで鈍感になるキャラクター達 

初め、ヒロインがちょっと恋愛事について鈍感すぎるかなとは思っていたんです。けど、攻略対象との関係性を考えると仕方がないところもあるし、何より鈍感ヒロイン可愛い気持ちはわかるので流していたんですが……。

恋愛面だけでなく謀略や他攻略対象の心遣いについても鈍感で、しかもそれがメイン3人全員に共通なのでびっくりしました。ほんのりぼかしつつネタバレ抵触しますが、「○○に酷いことされる!→覚悟を決めなきゃ私達悲劇ね→違った、やっぱり○○のこと信じてたの!」の掌返しっぷりには半笑いでした。両ルートにあるのが凄い。

やりたいシーンがあって、それにキャラクターが振り回されて都合の良い時だけ鈍感になっていたように感じます。

 

攻略対象の扱いの差

フレッドルートだと、レナードはあくまで二人の後押しをする協力者になってくれます。一方レナードルートだと、フレッドはレナードとの悲恋の盛り上げネタ、酷い時は邪魔もの扱いです。しかも後日談でのレナードの横入りが酷いのなんの……。

立場上仕方ないのかもしれませんが、もやもやは残るところです。

レナードの献身もフレッドの誠実さも大好きだから、なおさら両方を立ててほしかったです……!

 

 

 

 

とまあこんな感じで。

後半はっきりしたことも書きましたが、ハイクオリティなグラフィックや、元ネタとオリジナルを上手く組み合わせた設定など、素敵な点も確かに多くある一作です。

興味持たれた方はOPムービーだけでも是非チェックしてみて下さい。

フリーゲーム「ぼくは勇者じゃないよ」感想

「それは君だけが知っている」

早く誰かに知ってほしい前置き。

 

 

 

えー、今回はQualiaさんところのフリーゲーム「ぼくは勇者じゃないよ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。内容までは踏み込んでいませんが、隠し要素にも言及してます。

寄り道しながら進んでクリアまで5時間ほどかかる、レトロRPGでした。ファミコン世代に是非プレイして欲しいゲームです。

 

というわけでさっそく魅力的な点など。

 

タイトルがじわじわ効くストーリー 

このタイトルに釣られてDLした!というアナタ、私と同類さんです。インパクトありますよね。

まさにタイトル通りの想いを抱えつつ複雑な気持ちで進み、終盤で報われた時の感動と言ったらもう言葉になりません。NPCの響く台詞はやっぱりRPGの醍醐味ですよね……。タイトル文字通りのゲームなはずなのに、プレイしていくうちにどんどん違った意味に聞こえてきて、そしてトドメにアナザーエンド。本気で涙が止まらなくなったのは久々でした。最強武器と最強スキルの名前もずるいですよねぇ。

いったい何度タイトルを回収すれば気が済むのか、そして何度プレイヤーを泣かせれば気が済むのか。もうたまらなく胸に響きました。

 

 

 

古き良きレトロ調

懐かしのドット絵、ひらがなカタカナのみの台詞などなど、ファミコン好き・レトロゲーマーの郷愁を掻き立てるグラフィックが揃い踏みです。DQ要素が強めかな。「ステータス」ではなく「つよさ」だったり、酒場で仲間を入れ変えられたり。呪文のSEもそれっぽい。そうびの辺りにはFF要素もあって、いやぁとにかく懐かしかったです。

BGMもチープ音源やオルゴールが多く使われていて、あえてそれらを選ぶこだわりをひしひし感じました。ほんのりもの悲しい感じがストーリーとぴったり合うんですよねぇ。

 

 

ユーザーに優しいアイテムとほどよい難易度

基本的にお金は余りがちなので、武器防具を充実させやすいです。また、敵を倒すと手に入る「まこんのかけら」をステータスアップアイテムや全体全回復アイテムと交換できるので、この辺りをフルに活用すればかなり楽に進むことができると思います。RPG苦手って人でも詰むことは無さそうかな。

私はレベル上げほとんどせず突き進みましたが、基本的にボス戦は手に汗握る難易度になっていて気持ち良かったです。

ちなみにプレイ時の仲間は戦士・神官・狩人でした。とにかく神官の「オフェ」が便利だった覚えがありますねー。バイキルト万歳でした。

 

 

思わぬ隠し要素

アナザーエンドについてもそうですが、仲間になるキャラの場所やおまけ的なダンジョンなど、隠し要素が多めです。回収しなくてもクリアに支障は無い程度、とはいえ、やっぱりあちこち練り歩きたくなるのがゲーム好きのサガですね。

基本的にNPCとこまめに会話をしていればほとんどのヒントは得られますし、攻略サイトもあるので、集めようと思えばすんなり回せるかと思います。ただ、期間限定のものが数個あるのだけは注意かな。なお、周回したいプレイヤーのために引き継ぎシステムも完備されています。製作者様の手の行き届きっぷりが伺えますね……!

 

 

 

 

気になった点としてはダッシュ移動ができず歩行が遅かったこと。

けどクリア後に調べてみたところ、ダッシュ許可されているバージョンもあるらしく、ワープアイテムも気軽に手に入るので、許容範囲かなあと。何より、あのゆっくりした歩行速度はファミコン時代を思い出すというのも確かなので……こればかりは味として受け入れるのが良いのかなー、なんて。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

様々な意味で、あの頃に帰りたいと思わされる一作でした! あちこちの演出がニクイ!

勇者もの、少年の成長物語、涙腺崩壊、レトロゲー、などなどがキーワード。でもとりあえず、タイトルにピンときたなら是非ともDLしてみてください。

フリーゲーム「PIERROT+」感想

「アピールタイムに喝采を」

それ以外はお静かにな前置き。

 

 

えー、今回はDREAM WISHさんところのフリーゲームPIERROT+」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

ストーリー重視の長編RPG、サーカスが舞台のダークファンタジー寄りな一作です。

結論書くと、むちゃくちゃ大好きです。ツボです。好みドストライクです。鬱展開好きな人や恋愛要素好きな人は是非やりましょう。

とはいえこれだけだと何のこっちゃなので、もうちょっと広げて感想をば。

 

(5/3追記 新要素を追加してバージョンアップされました!やった!!

 本記事はタロットカード搭載前のバージョンでのプレイです)

 

 

 敵も味方もドラマのあるキャラクター

何よりの魅力がまずここ。魅力たっぷりなキャラ達です。

主人公サイドにも敵サイドにもドラマがあって、もう、本当どのキャラにも愛着がわくんです。メインキャラがこれだけいるのに皆に見せ場があるのも流石でした。どのキャラも主役張れそうです。

ゆえに、最終的にはほんの少し群像劇に近くなるかも? 色んなキャラの視点や想いが交錯して、一点に収束する流れがとても気持ち良かったです。

キャラの顔グラもそれぞれ一種類ではありますが、どれも一目でそのキャラの個性が伝わってくる表情です。なにより台詞一つ一つが洗練されているおかげか、表情固定でも痺れるほどに感情が伝わってきて、感情移入しがちな自分はもうボロボロでした。片想い気味の健気なキャラが多いのもツボなんですよね……。

 

 

様々な悲劇が織りなす感動の舞台

個々のエピソードには鬱展開が多く、シルエット等を使って語られるのも相まって、ダークな童話をゲームにしたかのような印象です。このダークファンタジーな雰囲気がもうとにかく好きでして。たまりませんでした。

何よりピエロゲームの設定がツボです。それぞれのキャラクターが受ける、「最も辛いと思うこと」をされるという制裁。実にえげつない。苦しい。好きです。

一方、鬱展開だけでないのがこの作品の良いところ。手酷く理不尽に思える展開も、全貌が見えてくるとその裏にある様々な形の愛がわかって、とても切なく感じられます。

複数の結末が用意されていますが、どれも容赦なく、かつ美しい悲劇ものだなあと感じました。ほろ苦い展開が好きな方はとにかくいいからやってくれと肩を掴んで意気込みたいくらいです。

 

 

随所に潜む隠し要素

一見何でもない壁に秘密の商店があったり、特定のアイテムを集めておくと良いことがあったり…………なんてのはもはや序の口です。こんなところにまで小ネタが!?と驚かされることが多く、館内を練り歩くのがとても楽しかったです。

勿論隠し要素なので、一切回収しなくてもゲームは進められるのですが――――いやあこれは集めたくなります。隠し要素の中には、キャラの秘密や舞台設定が見られるものも複数あるので、むしろ見逃すと損と言ってもいいくらい。

また、選択肢によって内容の変わるBBSや、ちょっとしたイベントでの会話分岐など、細かい違いを工夫している場所も多数あります。にやにやしながら回収に走りました。えへへ。

ゲーム内のBBSにもたくさんヒントがある他、公式サイトのBBSや攻略サイトもあるので、これからプレイする予定で探索好きな方はちょっと色々試してみてほしいなー、なんて。

 

 

 不気味で心躍るサーカスの雰囲気作り

あと上手いなと感じたのはマップ作りです。まずデザインとして何かをモチーフにしていることが多く、歩きまわるだけでも楽しかったです。また上の項目でも触れましたが、1フロアに一つは隠し要素があると思ってもいいくらいで、探索面でもうきうきしました。

また、メッセージウィンドウや敵キャラなどもまさにサーカスらしいデザインです。宝箱を風船にする発想は脱帽ものでした。

とにかくあちこちどこまでもサーカスな雰囲気で、わくわくドキドキさせられる世界観がとっても魅力的です!

 

 

 

惜しいなーと感じたのは、

 

 

 制止イベント中でも寄ってくる雑魚敵

マップ切り替えやイベント中など、プレイヤーが強制待機させられている間も雑魚敵が寄ってくるため、せっかくのイベントの余韻が潰されることがしばしば……。敵の配置をもう少し変えるだけでぐっと良くなるだろうにと惜しく感じました。

でも逃げるとシンボルが消えてくれるのはありがたかったです。

 

隠し武器前提の強力なボス

 遭遇するシンボルエンカウントを全て屠り、攻略見ながら武器とスキルを揃えて進めた自分でもボスを何度かやり直すことになったので、初見の人はかなりきついのではないかなと。主にセイレーンとアオイにザバザバザクザクやられましたw

とはいえこの点についてはRPG慣れしてる人だと軽くこなせそうなので、あくまで人を選ぶ程度かなあとも思います。手ごたえあるボス戦が楽しいのは確かですしね!

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

バトルがちょこっと大変、でもキャラやストーリー重視の人には是非ともやってほしい、鬱展開好きなら迷わずやれ、そんな感じの一作でした!

 

 

追記ではネタバレ感想です。

 

 

続きを読む

ゴールデンウィーク・短編フリゲ6作品感想まとめ

「休みも続けば気が緩む」

いざ世界を救ってシリアスになろうな前置き。

 

えー、ゴールデンウィークということで、さくっと短時間で終わるフリゲの感想文をざざっと一気に放出します!やったね!

どれも雰囲気は違えど面白いので、ピンときた方はこの休みを機にぜひDLしてみてください。

 

 

 

 

 

金星脱税戦争』(ギャグ・クイズ)

ギャグクイズゲーム。クイズ内容が珍しく、ほとんどが“美味しいお米の炊き方”などのピンポイントにコアな問題ばかり。クイズジャンルを見ただけでつい吹き出してしまいます。ググらずリアル知識のみで解けた方がいらっしゃったら是非お会いしたいところ。トリビア感覚で楽しめましたw

グラフィックに関してはハイクオリティ。立ち絵もデフォルメ絵も可愛い!ついつい手を止めて観賞してしまいました。

キャラクターは皆キワモノそろい。奇人変人オンパレードです。しかも皆、名が体を表しまくっています。自分は、男キャラだと博士、女キャラだとラミ・ネートさんが好きです。ストーリーもギャグ中心で、楽しくプレイできました。あらゆる人にクイズをふっかけられるという点では、ぷよぷよ地獄を想い浮かべて頂けるとわかりやすいかと……って伝わる方がどこくらいいらっしゃるのか謎ですけれども。

キャラ設定と言い、世界観と言い、主人公が税務官であることと言い、発想の勝利という言葉をひしひしと感じます。

とりあえず、肩の力を抜いてゆるゆる楽しく笑いながらプレイできる良作でした。

 

 

 

無感無痛 [無痛少女]』(ホラー・アクション・考察ゲー)

矢印キーだけでクリアできるホラーアクション。左から右へひたすらに進んでいくシンプルなゲームで、主人公もシルエットのみでどこか愛嬌が感じられる外見です。拾えるテキストやストーリーらしきものは最低限ですが、代わりに視覚的な演出が多めなので考察の膨らませがいがあります。

白黒の主人公についてはおまけエンドで触れられるので良いとして。やっぱりあの出てくるキャラ達には隠喩的にそれぞれ役が割り振られていたりするんでしょうかね。大筋が把握できたので自分は満足しちゃいましたが、きっちり考察するならこの辺り深めるとさらに面白そうだなー、なんて。

アクション面では初め手こずってばかりでしたが、「引っかかったら一歩後退して後ろ向きのままジャンプで前進」をするようにしたら掴まることなくすいすい進めれました。これ文章で書くとややこしく見えますが操作は簡単です。詰んでる方もし居たらお試しあれ。

なにげにスタッフロールの出し方が一番好みです。かなりシンプルに、そして凝った一作でした。

鬱々淡々と進むホラゲが好きな方向け。

 

 

 

戦の神子』(鬱展開・探索ゲー)

ツクール製の探索ゲー。鬱展開。冷たく重苦しいシリアスもの。風刺っぽい。

とにかく文章が印象的。ヒントの出し方も詩的でかっこいいです。TRUEエンドの力強さに惚れぼれしました。あのエンドタイトルもまた痛烈で気持ち良かったです。

終始主人公の台詞がモノローグなのはお喋りできない設定があるのかなーとか思っていたのですが、公式サイトのクリア後おまけページを見てすっきりしました。クリア済の方はお見逃しなく。

モノトーンに近い感じの色を抑えたグラフィックや、TRUEエンドでのルミナのキャラチップのささやかな変化など、見た目も細かく凝っていて素敵でした。

短編ながらも心に焼きつく一作です。

 

 

 

犯人は田中』(ギャグ・サスペンスミステリ・見るゲ)

ツクール製のノベル、いわゆる見るゲ。タイトル、ゲームファイル、必読要項、ストーリー、全てが洗練された出オチで構成されている一品でした。いやあ、わかっちゃいるのに笑ってしまうこの豪快さと疾走感が素晴らしかったです。

主人公(?)二人の顔グラが好きなキャラだったので密かに嬉しかったり。もっと見たい!と思いつつあのボリュームがぴったりと思わされもして、なんだかんだと小粒で大満足でした。

「ヴァンダインの二十則」を事前にググってチラ見しておくとさらにお楽しみ頂けるかもしれません。

 

 

日記のネタがない時の逃げ道6』(ギャグ・経営・ミニゲームあり)

ツクール製のお店経営ゲー。作者様曰く「第11回3分ゲーコンテスト優勝作品だけど3分では絶対に終わらない」とのこと。その理由はプレイするとわかるはず。

冒頭のかっ飛ばしたギャグ展開、有無を言わさぬゲームスタート、そして展開に反してきっちりしたチュートリアル等々でプレイ初めから掴まれるものがありました。

材料集め・商品づくり・お店経営の3つのミニゲームが中心で、どこにどの程度時間をかけるかが肝になってきます。材料集めで起こるバトルのコマンドが初見殺しなのも面白いところ。

なにせできることが多いので、たった3分でかなりの忙しさと充実感を味わえます。キャラグラフィックやゲーム画面全体のゆるゆる可愛い雰囲気も見どころかな。ここだけ見ると女性向けの経営ゲームと思っちゃうかも。

可愛い女の子キャラ・ツッコミ不在のブラックギャグ・シビアな難易度の試行錯誤もの、にピンと来るなら。

 

 

 

Heart』(探索ゲー)

ハートを操作して1マップの中に潜むハートを集める探索ゲー。ウディタ製。

単にうろうろして探すだけでなく、メタ的な発想をする必要があったり、マウスとキーボード両方を駆使する必要があったりと、かなり頭を柔らかくして挑む必要がありました。思いつく限りの操作法を試した後に、「まだこんな方法があったとは!」と驚かされるこの楽しさ。ある程度時間をかけていると、ヒントがじわじわと増えてきてくれますので、もやもやが苦手な方もご安心です。

しかしながら白状すると私、実は全てのハートを探しきれていません! うええん! なぜか特定のキーが反応してくれない? んですよねぇ。コンプしたという方も一度見かけたことがあるので、詰むわけではないはず。

ともあれ発想がとにかく面白いですし、気が向いた時にいつでもできるお手軽さがあるので、気になった方は是非にDLを。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

短時間で楽しいをいっぱいに吸収できる作品たちでした!

フリーゲーム「さいはてホスピタル」感想

「長くこもればこもるほど外に出るのは怖くなる」

早く世界が墜落して欲しいような気がした前置き。

 

 

 

えー、今回は西高科学部さんところのフリーゲーム「さいはてホスピタル」(http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se443011.html)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ツクール製のトンデモRPG、オンリーワンの味が魅力。前に感想を書いた「四月馬鹿達の宴」と同じ作者様の処女作です。

 

shiki3.hatenablog.com

 

というわけでさっそく魅力的な点など。

 

 

 

子どもたちの憧れと後ろ向きな人生が噛み合ったストーリー

 

町を守るヒーロー、みらくるな魔法少女、秘密組織と空飛ぶ人体模型などなど。子どもの頃に一度は憧れるロマンが目一杯に詰まったストーリーにまず目をひかれます。有無を言わさぬ展開も多く、そのはちゃめちゃ具合も含めて、ぐいぐいと引っ張られていくシーンが多いです。

一方、途中から姿を見せる謎組織「紳士の昼食会」の存在も見逃せません。

暗躍する大人や先輩達、しれっと語られる現実のしんどさ、なんでか後ろ向きにしか生きていけない不器用な我々を代弁するかのようなNPCの台詞回し。終盤の夕暮れの町には心をザクザクやられました……。

 

それでも落ち込まずにいられるのは、良い意味でふざけた掛け合いや愉快な選択肢が出てくるからなんでしょうね。辛い時を子どもの頃に感じたわくわく感で上書きしてくれるようなストーリーでした。ちょこっと後ろ向きがちな自分には感覚が合う作品だったなあと思います。

 

 

 

 

敵も味方も入り乱れて脚光を浴びる展開

 

一応メインメンバーの4人は決まっていますが、物語の展開に合わせて操作キャラが入れ換わることもあり、そのターンでキャラの魅力がぐぐっと増してくれます。クリアする頃には住人をひっくるめた「さいはて町」がすっかり好きになってました。

キャラごとに好物が違うのもさりげなくフレーバーとしておいしいです。回復アイテムが駄菓子なのもまた良い!

敵陣営も、一応敵対するとはいえ悪ではなく、ちょっと意見がすれ違っただけのご近所さんといったイメージ。大志や覚悟は飛び交いますが、それをゆるーい日常なノリで包み込んでしまえているのもこの作品の凄いところだと思います。

 

要は、敵も味方もひっくるめて仲間な感じが強いゲームでした。仲良し!

 

推しは樋口さんです。キリコとの魔法合戦の台詞で惚れました。意外と負けず嫌いで熱くなりがちな参謀、素敵です……!

 

 

 

 

マホウをチャージしてぶっぱなすコスト管理バトル

 

真っ先に言及したいのが「歪」というスキルについて。なんとこれ、ほとんどの敵をワンキルできちゃうかなりチートなスキルです。

これがあるならバトルなんて楽勝――かと思いきや難易度はけっこう高め。特定のターンで降ってくる強技をうまいこと妨害したり、こちらのスキルを使うためのコストをタイミングよく溜める必要があったりと、なかなかに頭を使います。

ゴリ押しできる技がある、だからこそ使用は絶妙に制限されている、このバランス感覚。敵の攻略法を色々悩んだり、戦闘中の会話をヒントに勝利をもぎ取ったりするのが好きな人にはたまらなくテンションの上がるバトルシステムだと思います!

また、戦闘BGMも軽快だったり転調ありだったりと印象的。特にあのラスボス戦は忘れられない展開でした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

フリゲだからこそできる、ユニークな一作。

寄り道要素もあり、最後までどうなるか読めない展開に翻弄されながらも、懐かしい子どもの頃を味わえるRPGでした。

 

追記ではネタバレ感想や、気になったところについてちょこちょこ考察?解釈?メモなど。

 

 

続きを読む

フリーゲーム「Persona - The Rapture」感想

「モラトリアムなんて誰が決めた?」

個人のペースが枠づけられていく前置き。

 

 

 

えー、今回は奥山キイチ(http://kiiichi.blog.shinobi.jp/)さんところのフリーゲーム「Persona - The Rapture」(http://kiiichi.blog.shinobi.jp/%E5%89%B5%E4%BD%9C/persona%20-%20the%20rapture)の感想をつらつら書きますね。

おまけ要素を含めてコンプまで10時間ほどの長編RPGです。

 

Personaと題にある通り、アトラス作の大人気「ペルソナ」シリーズのオマージュ作品となっています。

が、ペルソナを知らない人もちょっと待ってほしい。かく言う私もペルソナ未プレイのためDLを躊躇っていたクチなのですが、実はこの作品、オマージュ部分はバトルシステムや一部の用語に限られています。ストーリーやキャラはほとんどオリジナルです。

 

つまり、ペルソナを知らなくても十分プレイできます! むしろ物語がメインです。なので、あまり先入観を持たず、興味が湧いたら是非気軽にプレイしてみてほしいところです。

 

さて、前提が長くなりましたが、魅力的な点についてあげていきますね。

 

 

 

 

人の闇に触れつつもカラっと締めるストーリー

 

トーリーはチャプターで分かれていて、序盤は各キャラに、中盤は舞台背景や設定に、終盤は作品全体にといった具合でスポットライトが次々と当てられていきます。

特に序盤の展開はピンとくる人も大きいのではないでしょうか。恋愛、無力感、孤独感、等々の学生なら誰でも思う悩み事。各キャラが暗い気持ちに沈み、それを思い切り物理でぶん殴りに行く流れはたまらなく心を揺さぶられます。

神々の対立という壮大なところまで話は膨らみますが、最後にまたキャラ達の個人的な生活へ戻って来てくれるので、風呂敷の畳み方に思わず拍手をしたくなりました。

 

 

 

 

downを狙って敵を封殺、属性重視のバトル

相手の弱点を突くと1ターン行動不能(down)にできます。上手くいけばノーダメージで相手を封殺、なんてことも。敵の種族によってだいたいの弱点傾向は明かされているので、初見の敵でもなんとかなります。レベル上げ嫌いでもこのシステムを利用すればある程度はゴリ押しできるかと。

そのぶん難易度は高めで、downを無視してしまうと雑魚戦でもあっさり死ぬことがあります。なので、ある程度RPG慣れした人向け。

戦闘中はヘルプでいつでも種族ごとの弱点を確認できる気遣いがありがたかったです。

 

 

 

選択肢多めのキャラエピソード

 

メインのストーリーとは別に、アイテムを使うことで各キャラのちょっとしたエピソードが見られます。キャラに愛着のわく話ばかりなので、見ればその子が好きになること間違いなしと言ってもいいくらいです。

主人公の返答も基本は3種類ほどあるので、セーブロードで見直す楽しみもあります。

一つ不満を上げるなら、大筋は変わらないので優しい態度を取りたい子にきつい態度を取ることになってしまう時があったことくらいでしょうか。逆も然り。とはいえ、ここでの選択肢は「プレイヤーがどう言いたいか」より「このキャラを攻略するにはどういう言動をすればいいか」の最適解が数種類用意されている感じではあったので、意図としてはわかるかな。

キャラ萌え重視の方やストーリー重視の人は是非とも、なシステムでした。

 

 

 

完全オリジナルのBGM

元々音楽方面で活動されていることもあって、どのBGMもとにかく雰囲気が出ていて魅力的です。ゲームが非アクティブでもBGMは流れるので、作業用にもできます。やったね!

私自身は洋楽あまり詳しくないのであれですが、参考にしたアーティストさんもたくさんいらっしゃるご様子で、クリア後の一言コメントでちらりとその概要がわかります。詳しい人なら聞いていて「おっ」と思うところもあるのではないでしょうか。

やっぱりダンジョンBGMがどれも印象的です。かっこいい!

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

他にもマップの作りやセーブタイミングの絶妙さ、仲間キャラによって微妙に変わるNPCの会話、自販機などなど、細かいところもぎゅっと凝った作りの名作でした!

 

追記ではネタバレがっつりの感想を書きますね。ご興味ある方はどうぞ!

 

 

 

続きを読む

フリーゲーム「TR∀P DEAD」感想

「おなべのふたと服と懐中電灯と」

ひのきのぼうを探しに行く前置き。

 

 

 

えー、今回は幻滅Motion!!さんところのフリーゲーム「TR∀P DEAD」(http://winter.vivian.jp/mo/game/td/td.html)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

暗躍+ノベルな感じのADVなBLゲー、コンプまで攻略見て1時間くらいの短編でした。

ヤンデレで鬱展開もあると聞いてDLしたのですが、意外なほうがヤンデレでびっくりしました。どう攻略するか、というより、どう殺すかを考えるゲームと言ったほうがいいかも。

 

 

というわけで、特徴を挙げていくと、

 

 

 

 

急に来る過激な展開

日常描写のノリで病んだ展開が来るのでさくさくスリルを味わえます。バッドエンドも多彩なので、死にネタが好きなら最低でも1つはピンとくるシチュエーションがあるんじゃないでしょうか。

 

 

淡いタッチと豊富な病み立ち絵

立ち絵はほんわか淡い感じの描き方で、可愛らしい雰囲気です。それがくるっと病んだり恐怖したりする辺りのギャップがまた印象的。探索中のコマンド欄の色遣いも素敵です。そしてなにより、起動画面とEXページのデフォルメキャラが可愛い! 突っつきたいです。

悟也の襟足がツボ。

 

 

周回プレイしやすい仕様

OPを飛ばして探索パートから始められたり、早めに探索を切りあげられたりと、システム面はストレスフリーになっています。

難易度としては、自力でやるとなるとけっこう難しいかも。でも公式サイトでヒントもありますし、EDリストにもちらっと攻略が見れるので、コンプに困ることは無いかと。やり方さえわかっていれば行動数にも余裕があるので、ぐっと難易度は下がります。

 

 

 

 

ただ個人的に合わなかったところとしては、

 

病み具合がちょっとわざとらしい

 

BLなのでやっぱり恋愛が根幹にあるんですが、その愛情表現がちょっとわざとらしく感じました。残念。日常描写を多めにして落差を付けるか、電波気味にするかしたらもうちょっと自然な流れに見えたんじゃないかなー、なんて。人によってはヤンデレじゃなくメンヘラ・キチデレだと言う方もいるかも。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

色々と頭を捻りつつ相手をさくさくやりにいくような、BL万歳殺伐好きな方向けの一作でした。