うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「だれかのよどみ」感想

「狭くて暗いところでないとその存在は見えないのです」
常に潜んでいるからわざわざ語ろうとしなかった前置き。

 


えー、今回はウミユリクラゲさんところのフリーゲームだれかのよどみ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

絵師としてくらやみ横丁さんをお呼びしているとのことで、別名義の合作『無限夜行』とほぼ同じ形になります。とりあえず名義がウミユリクラゲさんのみでしたので、そのように。

 

ジャンルとしては“おんなのこ”を希求する一本道ノベルゲームです。
ストーリー上の関係は一切ありませんが、作中で用いられる「閉じている」「おんなのこ」等々の概念は前作『だれかのかがみ』を読んでおいたほうがわかりやすいかなとも思います。

 

 

というわけで特徴的な点など。

以下、ある程度テーマのネタバレ等を含みます。
事前知識があるほうが読み取りやすい作品だとは思いますが、ネタバレ嫌いな方はご注意ください。

 


ポエムな文体で流れていくテキスト

『だれかのかがみ』でも感じていたことではありますが、文章の癖がいっそう強くなっています。単語をテンポや響き重視で連ね、読者の理解よりも作品の伝えたいものを先行して流しているため、少なくとも私にはかなり難解に感じられました。


普段使いとしては違和感のある単語(外に出かけよう、を「遊歩しよう」と言うなど)が多いのも特徴の一つ。稀に校正厨になってしまう私としては、ちょこちょこ違和感に固まってしまうシーンもありました。
ただ、独特の文体だからこそ此処でしか感じられない雰囲気が生まれているのも確かなんですよ! 終盤の泥のような勢いはすごかったですし。人を選ぶ要素でもあり、強みでもあると思います。

 

 

比喩を重ねられた単語と曖昧な彼女達の存在

例えば作中の「おんなのこ」の有する概念は、国語辞典的な、身体的特徴が女性である子ども的な意味には収まりません。登場人物と地の文が共通認識として使っている「おんなのこ」の意味をつかみ取りながら読まなければ、たぶん何一つ残らないまま不気味な話として終わってしまう作品であると思います。
まあ物語とは得てしてそんなものとも言えそうけれども。この作品は比喩や象徴で語るやり方で突出しているため、より単語のニュアンスに注目する必要があるのかなー、なんて。

 

さらに言えば、登場人物三人の存在もかなり曖昧なままで終わります。曖昧こそがおんなのこの概念、と言えるかもしれません。


登場人物達の関係が“あの日”をきっかけに変わった、ということはかなり序盤から明記されるのですが、その“あの日”に何があったのかは終盤にならないと明かされません。そのうえ、結局のところ登場人物たちがどうしてこの地に集まったのか、ムカシノバシとは何なのか、シルル伝説のシルルという響きの由来は何なのか、そもそもあの子は何者だったのか、そういった諸々の設定は全てそぎ落とされます。物語の根幹に関わらないことは、語る必要などないんだと言わんばかりに。

木陰の街の外での話などは閉じられた世界の外側の話になるので、あえて語らないようにされているのだと思うのですが……。


考察好きの方や、そこまでいかなくても自分で色々と想像を広げながらゆっくり読むのが好きな方に向いているゲームだと思います。

 

 

おんなのこを愛し、女を忌避する語り口調

じゃあ物語の根幹、主題は何なのかというところですが、やっぱりおんなのこだよなあとは思います。思うのですが、さらに深く突き詰めて考えるというところになるととんとわかりません。私には難しかった!

ともあれ、生理や妊娠などどうあっても避けがたいものをあえてドロドロドロドロと書き綴ることで、間接的におんなのこの概念を強めていく感じはすごく好きでした。
この手の作品が出るたびに毎度書いてる気もしますが、私なぜか三次元二次元問わず、妊娠ってすごくグロテスクなものだと思うんですよねぇ。別に、処女が至高とかロリ万歳とか性嫌悪とかエロ撲滅とかそういう主義主張的なものは一切無いんですけれども。うーん?
とにかくこういう私の感じ方に近い演出がされていて、水が合うなーと思いました。

 

とりあえずわざと俗っぽく書くなら、百合に見えて似て非なる形かなと思います。
でも私が百合に求めるところの、少女性、女を嫌でも意識させられる何か、二人きり感、はかなり出ているのでブログ記事に百合タグは付けます。許して。
登場人物達の諸々を隠してあるのも、あとがき読むまで気づきませんでした。たはー。

ついでにあとがきと言えば、トートロジーにならないよう気を遣われているところも好印象でした。

 

 


とまあ、こんな感じで。
色々考えながら読むのが好き、少女という響きに心ときめく、ロリータ服に憧れ以上のものを感じる、等々の方向けの作品かなと思います。

その他はラストシーンのネタバレになるので追記にて。

 


同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

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フリゲサイト「マテンロウ計画」3作品感想

「只の数字をあなたの徴だと思うこと」

 意味ばかりが増えていく前置き。

 

 

えー、今回は、マテンロウ計画さんところのフリーゲーム機械仕掛けの夢」「イヴの日に死んでしまうアナタのための走馬灯機構」「lost brave」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

というわけで、順番に行ってみます。

 

 (例の如く記事を書いた時期と公開時期にタイムラグがあるため、現在はDL出来ない作品が多数です。ご了承ください。

2019/03 再公開されました!!! やったーーー!!!)

 

 

 

機械仕掛けの夢』

 

[概要]

エイプリル作品ということで、公式サイトでも末尾に文字のみでそっけなく置かれているのですが――だからと言ってスルーしてしまっていた自分を張り倒したい! とても好みな一作でした!

 

短編のノベル&育成ゲー。絡繰の世界にやってきた人間、ニナがブリキうさぎをお育てしながら自分のアイデンティティを考えるお話。とにかくストーリーとグラフィックの親和性が高く、あえて抑えた色調からもモノクロ絵本のような世界観が味わえます。

いまさらですが、同作者様の『停滞少女』やこの後感想を書く『イヴのための~』などは全部関連してたんですねぇ。停滞少女だけプレイして他に手をつけていなかった自分をこれまた張り飛ばしたい……もったいねぇことをしたもんだ。

 

 

[システム]

クリックで読み進め&操作をする、ツクール製ノベルADV。

この操作方法が良い感じに物語と絡んでくれるんですよね。ブリキうさぎをなでなでしたりねじまき巻いたり。ラストのねじまきにはついかなりの時間をかけてしまいました。操作することでこっちも覚悟を決めさせられるというか。システムと物語ががっちり合っているとそれだけでスタンディングオベーションしたくなります。

 

難易度は易しめ、というかおそらくプレイを続けてさえいれば必ずエンディング分岐には辿りつける、はず? でも、餌やりと機嫌の調整など、読むだけに収まらないゲーム性があって楽しかったです。何よりぽくぽくご飯食べてくれるブリキうさぎがかわいい!

街の人達の会話パターンが多めだったり、時々変化したりするのも楽しかったです。何も無さそうだなーと感じる日があっても、見逃すのがもったいなくてついつい毎日あちこち足を伸ばしてしまいましたw

 

 

[ストーリー]

お約束の掛け合いが後々効いてくるパターン、と書けば伝わるでしょうか。

・絡繰に心は必要か?

・僕らの存在意義ってなんだ?

そういう、人によっては小難しい議論に発展しそうなテーマを、心に響く一言でぽんと伝えてくれるストーリーでした。響いた言葉をあげよって言われたらありすぎて唸っちゃいそうです。

 

それでもやっぱりぐっときたのは394番とのあれこれかなあ。一回だけの要求だったけど明らかに変わってしまったことを悟って胸が痛くなりました。

肝心のところでキャラグラを出さず台詞に注目させるのも上手かったなあ。

「間。」もツボです。

 

 

[グラフィック]

立ち絵の代わりに一枚絵を使っている場面が多いです。そのどれもが安定して可愛く、何より好みな絵柄で嬉しかったですねぇ。そしてやっぱり394番の可愛さにときめきます。

キャラ絵だけでなく、ウィンドウや背景なども全て自作、のはず。おかげで視覚的に統一感があって、世界観構築に一役かってくれています。移動する時に出てくる、浮かぶ金魚やネジの道の背景が好きです。

 

 

[エンディング]

どちらにも思うところが残る、良いエンディングでした。ハッピーエンド的な意味でもべストは終焉のほうなんだろうけど……永遠のほうも管理者のもの悲しい優しさが伝わってきて大好きです。

一通りプレイし終わって、もう一度プロローグだけでもと思い見直したところ、意味がよりわかってじんと来ました。

 

[一言]

メルヘン、ロボットやアンドロイドと心の云々、哲学ふうの考えさせられる言い回し。

 

 

 

『イヴの日に死んでしまうアナタのための走馬灯機構』

 

[概要]

こちらは初めから『停滞少女』のスピンオフとして出された短編作品。先に停滞少女をプレイした人用のおまけもあり、ファンには嬉しい一作です。停滞少女のほうの記憶が新しい方なら、ウェンディとシヤのお話と書けば通じるでしょうかね。

ジャンルとしてはノンフィールドRPG、になるはず。オリジナルの戦闘システムで、死の国に来たウェンディの思い出を集めていくゲームです。

 

 

[システム]

一番独特なのはやはりバトルです。ストーリーの基盤になる“思い出”が召喚にもアイテムにも装備にも使えて、シンプルながらも幅広い遊び方ができます。

強い思い出が自動的に上にソートされたり、場や敵の属性が一目でわかったり、バトル前にメニューが開けたりと、かなり便利でプレイしやすい仕様になっているのも嬉しいですねぇ。

ぼんやり攻撃連打では勝てない、という意味では難易度もそこそこですが、じゃんけん理論さえわかればむしろ戦略を楽しみながらさくっとプレイできるかと思います。ゲームを始める時に難易度設定もできるので、オリジナルシステムに抵抗がある方もご安心。

行動するたびに刻限が進むと言うのも、まさに死の国らしい設定で良かったなーなんて。

 

 

[ストーリー]

まず、グリノアとのお話できるのが嬉しかったです。あの手の、ちょっと道化師っぽいキャラ好きなんですよねぇ。ヒント機能としてしっかり活躍しているし、世界観も深まって一キャラで二度おいしいです。覗き見に関するお話がお気に入り。

 

次、本編について。中ボスにもぐっと心が抉られるエピソードがついていて、つい停滞少女のほうをもう一度プレイしたくなりました。

 

エンドは2種類あって、やはりどちらも魅力的。ハッピーエンドの、日記の演出にはやられました。

単純にメッセージウィンドウに表示させるんじゃなくて、エンターキー分の間があるのがね、良いですね。

あれはなー、泣いちゃうなー。

 

パスワード入力で見れるおまけ会話では、グリノアのやるせなさがひしひしと伝わってきました。切ない。それにしても、もう一人が停滞の時と比べてわりと荒んでらっしゃっててちょっと意外でした。

 

 

[グラフィック]

顔グラがぼやけて見えるのはウィンドウサイズでプレイしていたせいでしょうか。これだけちょっと惜しかったです。

とはいえやっぱりマテンロウ計画さんところの女の子キャラは皆可愛いです。顔グラの表示場所がスライドするのは新鮮でしたねぇ。

特別な敵のドット絵も可愛いです。可愛いんですよ……(絶望)。

 

 

[一言]

停滞少女をプレイしたならこれもやるべき!と言い切っちゃっていいくらいの良作でした。

 

 

 

『lost brave』

 

[概要]

君の咎を確かめにいくRPG。で、いいんだろうか。メインキャラクターはクールな少女と妻子持ちのボロボロなイケメンです。

隠し要素まで回収してクリアまで1時間強くらいかかりました。

 

 

[システム]

自分でステータスの調整ができる上に、状態異常耐性まで操作できるキャラメイクシステムが一番の特徴だと思います。ステータス戻して振り直しがいつでもできるのも有難いです。

勿論、ジハードは力・ATは魔に全振りしました。極振りってロマンですよね! まあ隠しボスはさすがにそれだと厳しかったので耐性にも振りましたが……w

 

難易度選択ができるのもありがたかったですねー。ぬるゲーマーな自分は躊躇わずやさしいを選択しました。でもちょくちょくゲームオーバーになりました。ははっ。

 

あとは、バトルでMPがじわじわ回復するのも特徴でしょうか。じゅもんつかうなの方針だとすぐ死にますがガンガンいこうぜだと案外MPもきれずにさくさく進める感じです。普段MP節約気味の自分はそれに気付かず序盤でぽこじゃか死んでましたが、方針を変えたらすんなり進められるようになりました。死んでも復活、なんていうすさまじいパッシブスキルもあるので躊躇わずガンガン行きましょう。

 

マップの仕掛けもわかりやすく、宝箱を求めて歩くと全て練り歩けてすっきりしました。灯台のヒント機能には助けられましたし……だってスクショとったり覚えたりするのがどうにも面倒な性質なんですごめんなさい!

 

 

[ストーリー]

自身がおまけ部屋で語ってらっしゃるように、色々と明かされないまま終わるところもあるのは確かです。他の作品と関連しているところが多いみたいですし、作者さんなりの世界観がしっかりできているのはよくよくわかるのでとても気になりますねぇ。設定資料集的なもの欲しいなー。特に、どの作品にも出てくるティスカがどういう位置づけなのかが知りたいです。

それでも本筋のストーリーはしっかりしているので、プレイ後の気分はすっきり。もう一度OPに戻るとあれが誰の言葉だったのかもわかって素敵です。だからOPとEDがリンクする作品は総じて良作なんですよもう!

 

 

[グラフィック・BGM]

何よりもまず、ステータス画面の二人が可愛いです!キャラデザも好きだなあ、ジハードさんの見た目はぐっとくるものがありますね。あんなイケメンをおじさん呼ばわりできる少年少女、流石。

メニュー画面が自作らしいのも凄いです。説明や無駄な欄を削除してすっきりしたデザインで、始めたばかりの時はちょっと戸惑いましたが、慣れるとかなり便利でした。

BGMとしては一番初めの、地下水道の曲が好きです。

 

 

[一言]

『停滞少女』のファースデール精神病院が好きな自分には嬉しい一作でした!本当はこっちのほうが先なんですけどもね。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。いやー、楽しかったです!

 

 

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フリーゲーム「停滞少女」感想

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フリーゲーム「おいかける」「トネリコさん」「トネリコさんとアンダーワールド」「六面体勇者」「身代わりナイトメア」感想

 

フリーゲーム「だれかのかがみ」感想

「ぽしょりとぽつりとぽそりの違い」

耳元に近いかどうかで決まる気がする前置き。

 

 

えー、今回はウミユリクラゲさんところのフリーゲームだれかのかがみ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

濃密な魔力のある、一本道百合ノベル。

魅力じゃないんです魔力なんです。すさまじい、圧倒されました。

 

というわけでさっそく良かった点など。

一部シーンのネタバレを多く含むほか、既プレイの人にしか通じそうにない書き方が多くなっています。ご容赦。

 

 

 

おねロリ年の差百合、の皮をかぶった別物

 

ぎこちない恵音の緊張をほぐそうとする棗や、年相応にお化けめいたものに怯える恵音を見て、ほのぼの家族物かなと思いながら読み始めたのが序盤。恵音の小さな願望を膨らませ、まるで魔法のように引き上げ、そして落としてしまう展開に濃厚な百合を感じたのが中盤

そして終盤になり、全てはひっくり返ります

もっとぼかして書きたいんですが、もうね、こういうふうにプレイした時をありのまま振り返ることでしか語れないんですよこの作品。既プレイの人には通じますよね、通じて欲しい、この読み手の意識や感覚が驚くほど滑らかに変えられていくこの感じ!

 

なんだろうな、俗っぽい属性付けをすると「年の差リバ」で終わるんだと思うんですけど、そういう枠に当てはまらない濃密な空気があるんですよ。身近に感じていた人たちが、急に二人の世界へ閉じこもって遠くへ行ってしまい、かと思えばふいに傍で佇んでいるような感覚です。

二人だけの世界! 魔性の百合!

雑に書くならこうなんですが、この枠ではとうてい収まらない濃厚で混濁した純度の高い空気があります。わからない? やればわかる。

 

 

たった二人の、万華鏡のような関係

 

登場人物は、本当にまったくの“ふたり”です。余計なサブキャラが出ることも無く、何かの影が見えることはあっても、干渉されることはありません。

だというのに、この、何人もの“誰か”が息づいているような雰囲気! これがもうたまらなかったです。

 

素敵な女の子になりたい、かわいい恰好をしてみたい……

とても“乙女チック”な願望が作中第一のターニングポイントになります。

まずはこの願望との向き合い方の描写がとてもうまいなと思いまして。片や、男っぽくてがさつで部屋の片付けもしない棗。片や、私には似合わないと言いながらもチラチラとレースを覗き見てしまう恵音。まるで対称的に見えちゃうんですよねぇ、これが。

 

で、ある意味暴力的な変化から、さらに二人の関係は変わっていくわけですが。演じているキャラと素の私と作った私がどんどん混ざって、二人の関係性もシーンごとに代わっており、それに違和感を抱かなくなっていく……どんどん立ち位置がわからなくなっていくような読み心地のノベルでした。

 

もっと本質を突くような書き方をしたいなあ。

どうしてもこの作品、プレイして感じるところが多くて、表層的な部分を追うしかない書き方になってしまいます。うぅ。

 

 

 

生々しい女の子像と、フィクションの乙女が交錯する展開

 

やっぱり印象に残っているのはあの、恵音が棗の地雷を踏み抜いてしまったシーン。それに対する棗のアンサーであるあのシーンもなかなかにその、エグくて、いい意味で鳥肌が立ちました。

あれはもうね、女の子にしかできない報復の仕方だと思うんですよ!

ここだけではなくて、作中ではあちこちに“女の子”が根付いています。

 

で、思ったんですが、女の子と乙女って違うんですよねぇ。もしかすると作中で少女と語られていたものもまた当てはまるのかもしれないのですが……。

お酒を飲んでサバサバと恵音を切り捨てる棗は確かに、大人の女性なんですよ。すごく現実的、だというのに例の“乙女”のシーンは濃密な質感を持って上映されていく。まるで女学生でしょう、本当、あれを説得力持って同じ人物の話として描けるのが感服ですよ。

で、うっとりするほど淫靡なシーンを挟んだうえで、「男娼」「キャー!」のあれです。突然夢が冷めるような、でもどちらもすごく女の子らし過ぎる会話で、本当生々しさに頷いてしまう。ああいう世界が好きな子って、するでしょうああいう会話。わかるって叫びたくなる、けど現実味がないくらいフィクションで塗り固められている登場人物達! もう何なんだ、読んでるこっちは大混乱で、でも確かに納得できる地盤のうえで読み進めていけるんです。

 

書いてる私がもう混乱してますね。すまない。

でもありのままの感想を書くなら本当にこうなんです。

決して、わけがわからない、ではなく。どこにいるのかわからなくなる・誰かわからなくなる、けど、“ふたりのはなし”であることは明確な事実として実感できる、そんな感じでした。

 

 

 

 

とまあ、普段以上にふわふわした書き方ですけれども。

ともあれ、濃密な世界観と圧倒的な展開力があったことは確かです。

 

現実と虚構が入り混じる世界、意外な一面や衝撃的な展開、リアルで生々しいキャラクター、年の差百合、自分で考えながら読み進めるストーリーなどにピンとくる方へおススメしたい作品でした。

 

追記ではネタバレ込みの感想など。

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shiki3.hatenablog.com

 

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フリーゲーム「ドライエック」感想

「何十の目が向いていたって、あなたがそっぽ向いてちゃ意味がない」

君だけが欲しいなんて寂しすぎるな前置き。

 

 

えー、今回はへもへもさんところのフリーゲームドライエック」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

主要人物3人の視点で進む、恋愛ノベルゲーム。非乙女向けとありますが、女性向けではある気がしています。

というわけで良かった点など。

 

 

鬱の一歩手前で踏ん張る、ままならなさのお話

 

まず書いてしまうと、衝撃的なシーンがかなりあります。ドロドロと底意地悪い感情も描かれていますし、リアルさにウッとなるシーンもあります。

が、驚かされることに、読みやすいという印象もありました。読んでる側のストレスを最大限に軽減したうえで、彼らの物語と心の傷へスポットが当てられている感じ。鬱展開って多かれ少なかれ心に刺さる部分があると思うんですが、他の鬱作品によく感じる「理不尽さ」「話を聞かない苛立ち」がほとんど無かったんですよね。

これは香枝ちゃんの功績が大きい気もします。彼女が言うことを言えずに泣き寝入りしてしまう性格だったら、鬱よりも怒りのほうが強くなって(もちろんそれも別の楽しみ方ができますが)、フラットな気持ちで彼らを見つめられなかったんだろうなと……。香枝ちゃんがぐっと腹に力を込めて物を言える子で本当に良かった。

 

また、「読者を虐めてやろう」「コイツにこんな酷いことをやってやろう」みたいな厭らしさもなく、あくまで「ままならない」「やりきれない」からこそ起こる酷い行為が多かった気がします。前者に振り切ると鬱というよりB級ホラーな楽しみ方になるので、少なくともこの3人を中心とする物語には合わなかったかなと。だから、作品の方向性を決めてしっかりと留めるところは留まっている作品だと強く思います。

 

まとめると、シリアスや鬱というよりは、人間ドラマ。

バランス感覚がすごく良い作品でした。

 

 

 

嫌なものを直視させることを躊躇わないスチル

 

前述の通り、あの3人の内情を丁寧に描いている作品なので、キャラの気持ちが折れかける展開も誠実に書かれています。

その手法としてかなり効果的に使われているのが、スチルと立ち絵!

香枝の例の黒背景なシーンとか、礼への初めてのおねだりのシーンとか、もうね、呻きました。心に刺さる、辛い……!

でもこうやって目に見えて、ある意味滑稽な辛さが突きつけられるからこそ、感情移入もしやすくなるし、キャラを身近に感じる気持ちが最高潮になるんだと思うんですよね……。

こういった暗い部分も余すところなく光を当てて見せつけることで、逆に、その後の変化もしっかり見せてくれる手法だよなあと思います。隠したまんまじゃ光るものも見えなくなる、みたいな。

 

 

 

視点の違い、見え方の違い

 

導入の3視点がもう凄いんですよね!!

詳しくは追記に隠しますが、プレイ前とプレイ後で印象が全員ガラっと変わりました。なんだろう、当然そうまとまるしかないんだけどその過程は彼らにしかないものだった、みたいなところが素敵なんです。伝わるかな。伝わってくれ。

印象が二転三転するけど、キャラの根幹の性格自体は変えたくたって変えられないものだから、一本筋に見えるんですよねぇ。3視点というのもありますがそれ以上に、読んでいるこっちの見え方も変わる不思議な感覚を味わえました。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

いつも以上にふわっとしたことしか語れていませんが、巧妙で素敵なお話なのは確かです。便宜上一応ヤンデレ分類タグも付けますが、もっと違う恋の話という気もしました。

 

現代日本、妄信と葛藤、好きな人への執着と他者への無関心などにピンとくる方へ。

 

 

追記ではネタバレ込みの感想など。

 

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shiki3.hatenablog.com

 

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フリーゲーム「幽獄の14日間」感想

「挨拶に付随する自己紹介は時に喧伝であり果たし状である」

差し出した右手で頬を叩く心意気の前置き。

 

 

えー、今回は喘葉の森さんところのフリーゲーム幽獄の14日間」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

広義ならRPGなのかもしれませんが、いわゆる勇者魔王物とは全く違いますし、ローグライクとも違う感じ。かといって拠点とバトルを繰り返すボスラッシュともまた異なるプレイ感。この手のゲームのジャンル名って何なんでしょうね?

ともあれ、限られた日数と限られた資源で装備を整え、ボスを倒すのが目的のリソース管理ゲーです。

 

あちこちで名前を聞く名作ですし、まあ詳しい説明はレビュワーさんに任せるとして。私はのんびりいつも通り、良かった点などあげていきますね。

 

 

情報提示はしっかりと、理解はプレイを始めてから

 

ゲームは基本OPやチュートリアルから入りがちですが、このゲームは即操作可能の状態でスタートします。

さて何をするべきか?

私はまずメニュー開いてセーブから始めるタイプなのですが。とりあえず基本情報からと思ってメニューをいじくって、ふと見た主人公ステータスのあの一文ですよ。震えました! あれは「とりあえず動かしてみて」というメッセージだと受け取ったんですけどね、それをあの文章で伝えてしまえるのがもうかっこいいです! 文才。あの文があるのとないのとで序盤の不安の軽減力が段違いでした。素晴らしい!

そんなわけで、ある意味どんなチュートリアルよりも雄弁かつお洒落なチュートリアルを受信できたのが真っ先に挙げたい良点でした。

 

一方で、コストやリソースが重要な作品だからこそ、説明も見やすい位置にしっかりと書き込まれています。ただ、序盤のオススメな動き方やどういうプレイングが良いかはあくまですべてプレイヤーに一任されています。

このね、言い過ぎない説明具合もまたイーブンで良いなあと思うんですよね……!

ルールの提示は公正に、演出は黙して雄弁に、プレイスタイルは任意に。無駄の無さが気持ち良かったです。

 

 

手ごわく見えてカジュアルに楽しめるノーマルモード

 

ある程度は手探りで進むこのゲーム、初めはランダムで出てきた強敵にボコっとされたり逃げ出したりでなかなか敵が倒せず、かなり手ごわさを感じていました。

が、実際終盤になってみると、案外すいすい進んで楽勝だったり。余裕ぶっこいて残り4日くらい余らせてクリアしちゃいました。私はかなり初期に金聖霊が来たのもあるでしょうが……。

 

カジュアルは序盤の厳しさが後々さくっと解決する爽快感と、全体的な作品のテンポの良さが存分に感じられるモードでしたねぇ。ある程度の運要素は絡みますが、まごついて躓いてもまだ余裕のあるコスト設計はありがたい限りでした。

 

 

考えなしだと詰み目前のハードモード

 

そして、ハードモードに手を付けて気づかされます。今までのカジュアルモードはルール説明に過ぎなかったのだと……!

中でも「HPが半分しか回復しない」という点は説明を見た瞬間に無理じゃないかなと及び腰になる程度には恐ろしい文言でした。

けれども、ここを1日目からうまく解決できるニクイ手段と演出が用意されています。なので戦略ゲー苦手な人も一応、試すだけ試してほしいなー、なんて。

 

そうそう、ハードモードで異なるのがシステムだけでなく、ストーリーやキャラにも影響していることもポイントですね!

これを考えると、ノーマルモードはライトユーザー向け、ハードモードは本領発揮という感じでしょうか。少なくとも私にはハードモードからが本番でした。死にまくったなあ(喜々)!

 

さらにはこれを超えるやり込み要素として、エクストラモードも完備されています。やろうと思えば何時間でもプレイできるし、ストーリーで満足したら一区切りでもOK。クリア画面ではリザルト画面も表示されるので、死亡ゼロや残り〇日プレイなど、各自のルールで縛る楽しさも味わえます。

ルールとコストはきっちり管理されているけれど、そのルールの箱の中での遊び方は自由、という印象でした。

 

 

すてきな名前をつけてね!

 

主人公含めキャラクターに個性的な名前はなく、初めは「○○の聖霊」という簡素なデフォルトネームがついています。シンプルに進みたい方はそのままで、キャラ愛が強い方はお好きな名前をお好みで。

名前をつけるという工程が入ることで、「この子は自分の」という感覚がいっそう増して、ご主人様呼びもすんなり受け入れられたように思います。

 

あとこの名づけの時に感じたのが、キャラグラ・立ち絵の秀逸さでした。こう、ぱっと見てキャラ属性が伝わる良い立ち絵なんですよね! 私はキャラの外見に合わせてフィーリングで名前を付けたいタイプなので、話し始めて以降もイメージ通りで嬉しかったです。

他の名前つける派の人の名前も見てみたいなあ。

 

 

明るく闇をチラ見せする聖霊達の会話

 

キャライメージがあると述べた通り、キャラ同士のお喋りは軽快で面白いんですよねぇ。システム燃えだけでなくキャラ萌え派の私みたいなプレイヤーもドハマリできたのは、やはりこのキャラ会話が魅力的だからでしょう。

裏の読めないミステリアスちゃんがド天然さんに翻弄されたり、主のために一生懸命でも攻撃的か内省的かで随分と態度が変わったり、キャラ同士が絡むからこその違いや個性が伝わってくる会話が多かったです。

 

キャラ面だと、黒ちゃんと白ちゃん、ネガネガ青関係、学霊全般のチャラチャラアップテンポ会話が特にお気に入り。

展開自体はハーレムですがいちゃいちゃ全振りなわけでもなく、ほどよく不穏で闇深設定が見え隠れするのも好きなポイントでした。主人公は基本渇いた距離感なのもグッド!

 

なお、同作者様の他作である『カリスは影差す迷宮で』のころから見られた、重厚な世界設定構築力も健在です。会話のあちこちに出てくるキーワードは解説されることもあればされないこともあり、けれどもみんなの話を聞いていくとなんとなく全貌と設定が見えてくる良い塩梅でした。

こちらの頭がパンクしない程度の、知ってると深みが増すくらいの世界設定が一番心地いいんですよねぇ。会話の長さも長すぎず短すぎずで、なんというか本当にテンポの良さが重視されていたように思いました。

 

クリア後のおまけに会話回想があるのもめちゃくちゃ嬉しいポイントです!

他ゲーではセリフ差分回収に何周もすることがあるので……わかってらっしゃる……。ありがたさでいっぱいでした。

 

 

ハッと驚く衝撃のストーリー

 

最後に語るべきはストーリー面。

システムが重視された作品だと思っていたので、まさかストーリーのオチがここまで強いとは思っても見ませんでした。

かわいい女の子達ときゃっきゃしつつ、ストイックにレベルを上げていくゲーム……に、収まらないのがこの作品のクオリティの高さです。エンドロールの呆然っぷりよ!

書き過ぎると全てバレになりそうで躊躇われ、しかし高らかに主張したいこのジレンマよ。これからプレイを考えている方は、是非とも驚かされてほしいところです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

  • リソース管理系の戦略ゲーが好きな方
  • 色んなおっぱいかわいい子ちゃんにご主人様扱いされたい方
  • 説得力もある驚きのストーリーに興味が湧いた方

などなど、ポイントを突いて多方面におススメしたい、独特の中毒性を感じる一作でした!

 

追記ではネタバレ込みの感想など。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

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フリーゲーム「MILK」感想

「零しちゃったら洗えばいいよ」

だから涙も弱音も吐き出して良い前置き。

 

 

えー、今回はGreen PochetteさんところのフリーゲームMILK」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

エンド分岐ありのフリーシナリオに近いRPG。ちょっとしたサブイベントや合成要素など、脇道に逸れながら進むのが楽しい一作です。

 

このゲーム、キャッチコピーも好きなんですよー!

「事態はとっても深刻、でものんき。」

まさに作品を一言で表しているなあと感じます。

 

世界観が一部過去作と共通しているので、『cocoa』辺りはやっておくと理解が深まるのかも?

せっかくなので以下では過去作もちょこちょこ話題に出しますね。

 

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

ほのぼのに大匙1杯のシリアス

 

人類どころか生き物が全て滅んだ世界、という舞台がお気に入りです。

探索を進めると色々と“生きていた”跡が見つかります。誰もいない廃墟、食べかけで放置されたままのお皿、壊れた樽や放置された爆薬など。こういう、物言わぬところでしんみりと終わりを感じさせる雰囲気が好きでした。

 

そんな中、いい味を出しているのが意外なほどのんびりなサブイベントです。たまたま出会った皆が手を取り合って、ちょっとした助け合いコミュニティを作ってる優しい雰囲気。

ラーメンイベントのわいわいやってる感じが好きです。

 

あと、うさちん!

固い単語を選びつつゆるい喋り方をするのがすごいツボなんですよね。「さようか~」のゆるさがほんっと好き。なんかすごい好きです。

で、ゆるゆると進むかと思いきや…………なシナリオも有り。のんびりしたテンポになじみかけたところだったので、ドカンと鈍器で頭を殴られるような衝撃がありました。でも、こうやって優しさだけで終わらずに、鬱展開も踏まえて、まったり笑える雰囲気が好きだなあとも思います。

 

 

自由度の高いマップ

 

前々作の『Espresso』でもあったフリーシナリオ風のマップが、今作はさらに強化されています。目的地もやるべきシナリオもきっちり明示されるのですが、そこへ行く道のりは自由な感じ。あちこちうろついたら見覚えのある場所に着いている、お散歩みたいな感覚が楽しかったです。

迷子になりやすい私のようなプレイヤーのために、いつでも見られるマップがついているのも嬉しいところ。方角形式ではなくマス目形式で描かれているのもわかりやすくて助かりました。ワープポイントが多いのも良いですよねぇ。

 

選べる道筋が多いのに加えて、探索ポイントが多いのも好きでした!

あちこち探索してちまちまアイテムを拾い歩いていくRPG大好きなんですよ~。室内の家具や草原の草花など、マップチップもこまごまと凝っていて、色々見て回るのが楽しかったです。

サブイベントやスキルに関係するアイテムは吹き出し表示で見やすくなっているので、探索が苦手な人でも一通りのアイテムは集められるのではないかなー、なんて。

 

 

自分のおうちとステータス振り分け要素

 

プレイヤー独自の色を表現できる要素が多いのもポイントです。

例えば、お部屋の模様替えシステム。いくつかあるタイプから自分の好みを選ぶのも、出来上がりがどうなるのか見るのもドキドキしました。種類が豊富なのも楽しいところ。

初めは名前の響きから錬金術インテリアを選んだんですが、色々見た後だと森インテリアが好きかもなあと思います。ある程度物があって落ち着きもあるお部屋が好き。

 

また、レベルアップの概念が無い代わりに、ステータスを割り振れるのも自由度の高さが感じられる点です。アイテム制なので、一応やろうと思えば縛りプレイもできちゃったり。自分だけでなく仲間のステ振りができるのもポイントですね。

 

前々作の『Espresso』ではフレーバー要素だった主人公の性別が、今作ではがっつりイベントやエンドの違いに絡んでくれます。性別差分があるとついつい見たくなりますよね。楽しかったです。

 

 

集めて作って一手間かけたくなる合成システム

 

cocoa』の感想で「枝豆の筋取りが好きな人は合いそう」という伝わるのか不安な例えをしてしまいましたが、今作ではその筋取り作業が実際に組み込まれています。やったぁ!

いや、字義通り枝豆を作るわけではないのですが。

 

あちこち歩いてアイテムを集めてきて、合成で物を作ってみたり。強化素材は糸紡ぎの機械で加工してから初めて使えるようになったり。畑に種を撒いておいて、探索して帰ってきてから収穫したり。そういう、経営ゲームっぽい要素が組み込まれているのが楽しかったです。自分の手で復興してる感じが楽しかったなあ。

ちまちま色々集めたり増やしたりするのって、なんかいいですよねぇ。

余った素材をリサイクルできる機能もあって、作り損や集め損がほとんどない、あるもの全部を使い切れる気持ち良さも味わえました。

 

 

変わった画面演出

 

さて、グラフィックが独特のゆるいデフォルメタッチで可愛らしいのもポイントなのですが。

グラフィック面で特筆したいのは画面の使い方です。

登場してきたボスの攻撃が、なんとゲーム画面に直撃しちゃったり! 次はどんな壊され方をしちゃうのかなと不謹慎ながらわくわくしてしまう楽しさがありました。

あと、エンドロールの入れ方も大好きですねぇ。ああいうのされると不覚にも泣いてしまいます。

しっかりゲームをしている一方で、演出は映画っぽかったといえるのかもなー、なんて。

 

 

 

惜しいと感じる点

 

一方気になる点としては、

  • 一部ステータスに差がありすぎる
  • アイテムの種類に対して使う機会が少ない
  • 元凶の設定

辺り。

 

まずはステータスから、私は2周してざっくり「物理型」「魔法型」で作ったのですが、いかんせん魔法型が弱くなってしまって参りました。腕は攻撃も防御も上がってくれるので固くて強いアタッカーになってくれる一方、頭は攻撃とMPなので魔法を唱える前に倒されちゃうんですよねぇ。強いボスは物理寄りと言い換えてもいいのかな。

 

現状は腕ステが体ステも兼ねている感じだと思うので、

腕:物理とHP 頭:魔法とMP 体:防御全般

にしていたら魔法不遇感は薄れていたかなと思います。

 

次にアイテムについて。装備品は「やかましいキノコ」が一強なのが少し惜しかったなあと思います。『Espresso』の時はキノコ自体が弱かったので複数行動も納得だったんですが、今作だとデメリットがほぼ無いうえにけっこう発生率が高いので、ちょっとバランスブレイカーかも。

逆に料理は効果が少し薄かったかなあと。ただ、時限式なのはすごく斬新で面白かったです!

 

ラスボスについてはネタバレを避けられないので追記にて。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

一部大味も感じられますが、全体的にゆるーい雰囲気のゲームなので、らしいと言えばらしいかも。マップ等のシステムはかなり親切ですし、難易度も易しめ。

イラストや世界観が気になったら是非プレイしてみて欲しい一作でした。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

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以下はネタバレ有り注意です。

 

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フリーゲーム「孤独勇者の冒険譚」感想

「はじめましてと名前で告げる粋な心意気」

ストーリー進行度がわかってわりと好きな命名法な前置き。

 

えー、今回はアトハさんところのフリーゲーム孤独勇者の冒険譚」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ちょっとしたエンド分岐ありの、基本一本道RPG……です。はい。

そしてこちらのゲーム、どう記事を書こうか悩ましい作品です。

つまり、わかるだろう? 伝わってくれ! 

 

で、ピンポイントにターゲット層へ向けて記事を書きたい気持ちもあるのですが、やっぱりネタバレ無しで書きます。もうこう書いてる時点でバレてる気もするんですけどね!

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

動く起動画面

 

まず目につくのは起動画面なわけですが、「動いた!」瞬間にこにこしてしまいました。

草原にタイトルロゴ、シンプルで初心者向けな画面を見せつつ、さりげなく技術力は感じる面白いタイトル画面だったなーと思います。アレの後も、BGMに合わせてじわじわ積み重なっていく緑がまさに草の一言。ああいうのすごくおちゃめで好きでした。

 

 

プレイヤーとキャラの境目を突くストーリー

 

お話の構造も興味深かった点でした。

抽象的な書き方をしちゃうんですが、キャラをプレイヤー側にぐっと引き寄せておいて、また引き離して彼らの物語を描いていくような感じ。初手のインパクトを引きずるのではなく、また新たなターニングポイントを置いて、章ごとに見え方も変わっていくストーリーだったなあと思います。

それで全部やり終えて、ラストの話やすべての展開を見直してみると、確かにあのお話は「あの人」のためのストーリーなんですよねぇ。バラバラなようで一貫し、最後に繋がるまとまりの良さが素敵でした。

 

ちょっとした掛け合いが楽しい探索要素

 

きらきらんと光るポイントをエンターすると、スキットのような掛け合いが見られます。あれがすごく楽しかったです! 基本的に時限式のものはなく、見逃しても後で回収に来れるのもありがたい点。

また、宝箱のみでなく、ちょっとしたオブジェクトに掛け合いが入っていることもあって、探索の手が捗りました。こういうところで仲間のほのぼの仲良しさが出てくるの本当良いですよねぇ。

あるあるwと言いたくなるお約束も多くて、くすくすしながらプレイしてました。

たーるっ!

 

 

さりげないところで嬉しいシステム

 

エンターキー押しっぱなしでダッシュ、キャンセルキーでメッセージスキップ、SHIFTキーでバックログなどなど。あると嬉しいけどなかなか見かけないシステムがしっかり搭載されていて、めちゃくちゃプレイしやすかったです!

こういうところが行き届いていると本当プレイヤーとしてはありがたいですよねぇ。

 

バトル

 

バトルはけっこうピーキーな設定だったと思います。

独特なのは、バトル開始時はSP半分から、という点ですね。しょっぱなから大技を繰り出すことはできませんが、MP1になって戦闘を終えても次戦闘では半分まで回復しているのである意味スキルを使い放題な設定でもあります。戦闘難易度も中盤辺りまでは易しめなので、常にテクニカルな戦略を求められるというよりは決め手の使いどころだけ考えるのが吉、というくらいのゆるさでした。ほどよい感じ。

 

あと、バフを積んだら大火力というのも必見。

重ね掛けして大火力、この爽快感たるや! 元は2桁のダメージがガツンと飛んで4桁ダメージ、いやあわかってらっしゃる! めっちゃ好きですああいう設定。ぶっ壊れにならないよう、ラスボスも全力で挑んでくるのがまた楽しかったですねぇ。

 

 

 

難点としては、

 

 

圧倒的なSP不足

 

好きだったバトル面ですが、一方思うところもあり。ある程度ステータスに縛りのあるバトル自体は好きなんですよ。リソース管理的な。

ただ、ユナの高火力魔法はSPの関係でほとんど使えなかったので、もうちょっとマナヒールの威力を高めたり防御でSP回復したりしたら嬉しかったかなあと思いました。アイテム係になるのはちょっと切ない。

ここバランスが難しいところだろうとは思うんですけどねぇ。ユナが強すぎるとバトルが崩壊するでしょうし。一部のイベント会話を見るに、ユナは冷遇不憫キャラでもあるようなので、仕方ないかなあと思いつつ。

でも斬新で面白いバトルシステムだからこそついつい、もう一声!を求めてしまいます。

 

 

(ヘビー)ゲーマー向けの展開

 

これは難点ではなく、ターゲット層の明確化として挙げます。

「初めてRPGをプレイするぞ」という方や「フリーゲームってホラゲしかやったことないでどやってみようかな」という方にはまず向いていない作品です。ここは申し訳ないけど、断言しても過言ではないと思う……。

逆に、家にRPGソフトが複数本あるかなという方にはお楽しみいただけると思います。

 

PC内にフリゲ用のフォルダを作っているあなたならパーフェクトに客層入りです。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ゲームが好きな方、一部独特のバトルにチャレンジしてみたい方、二転三転するストーリーが好きな方、ツボや樽は調べずにいられない方へおススメしたくなる一作でした。

 

 

以下、追記ではネタバレ込みの感想など。

 

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