うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「星の王女さま」感想

「星の引力を運命と称するのであれば」

ブラックホールもビッグバンも自由自在な前置き。

 

 

えー、今回はHACOBEYAさんところのフリーゲーム星の王女さま」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

プレイ時間は私の場合、おまけ要素の回収まで含めて15時間くらい。女の子たちがメインの長編RPGです。

 

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

星が輝き光に満ちる演出

 

とにかく一番の魅力はやはりここ! グラフィック面でしょう!

メニュー、バトル、マップ、どこをとってもキラキラと星が飛び交う綺麗な画面です。一部コマンドの位置など見づらい時もありはするものの、常に画面背景などを動かしていながらそこまで重すぎないところもポイント。要所では一枚絵なども見ることができ、立ち絵もキャラチップもよく動きます。必殺技な位置であるOD技のカットインもスタイリッシュ。

メッセージ枠もばっと一枚表示の時と、小ウィンドウの時が使い分けられており、常に見飽きることのない画面を楽しめます。特にモノローグ系、一文一文が響くように表示される演出はやはりぐっと飲まれるものがありましたね~。

 

あとはやっぱり、グラから感じられる世界観ですね! 色々な世界を飛び回ることになる本作ですが、どこをとっても独自の色があって、新しいマップに行くたびにわくわくしました。BGMの選曲も良いんですよ~これが! 

星というモチーフは共通なので、統一感もしっかりと感じられるところが素敵でした。

 

 

 

ヘイト管理ができるバトルシステム

 

バトルは独自システム搭載。やれることが多いバトルなんですが、中でも好きだったのがヘイト(敵からの狙われ率)が目に見えてわかるシステムです!

敵の攻撃を能動的に引き受ける「かばう」とかは他ゲーでもたまに見かけますが、本作が一味違うのは「ヘイトが継続する」ところにあると思っています。例えば庇うって1ターン、あるいは数ターンで切れてしまうイメージがあって、私はあんまりうまみがないなあと感じてしまうんですよ。でも本作は一度注目させればそれがずっと継続するし、戦闘中の行動によっては専用コマンドを使わずともある程度調整することができます。ここがすごく面白かったです!

私は紙防御高火力キャラが大大大大大好きなので、そういうキャラをためらいなく運用できるのが嬉しくって嬉しくって!

 

他にもバトルの魅力は盛沢山。ターンを重ねて魔法を使えば使うほど敵味方の火力も苛烈になっていく、フィールドエレメント。じわじわ自動回復していくエーテル(他ゲーでいうMP)の概念。敵味方共有で使えるぶん、攻撃順や手番に頭を悩ますことになるシェアODなどなど。

敵の耐久が高めで一戦一戦に時間がかかりがちではあるんですが、そのぶん手に汗握る、むしろ雑魚戦を積極的にしたくなるシステムがいっぱいでした!!

やろうと思えば脳筋で突っ走れる(はず)なのも良ポイント。あれこれやってガツンと気持ち良く決めたい方も、うるせーハンマーで殴れば勝つんだよ!な方も、どちらも楽しめるかと思います。

 

 

 

所持制限があるからこそ使いやすいアイテム

 

本作の消費アイテムはどれも所持制限が10となっています。ダンジョンの広さに寄っても違いますが、この制限が実はすぐMAXになりがちです。

それもそのはず、本作はわりとバトルでの消費が激し目なんですね。一方で回復手段はけっこう少なくて、序盤はアイテム頼りなところが大きめ。だからこその所持数制限! ……だと思っています!

というのも、制限をかけるのってもったいない病対策にすごく効果的なんですよ。どうせ余っちゃうならどんどん使って行こう、という気に自然となれるんですよねえ。

売るという選択肢が一切ない潔さも素敵。欲を言えばアクセサリや素材は売りたかった気持ち。でも、武器は解体させてもらえますし、そもそも通貨が強化ポイントにもなっているのでインフレしてしまうのかもしれません。なので、納得はあります。

とにかく、使うか余るか、以上! この割り切りに助けられました。

 

 

 

プレイに日が空いても安心のシステム

 

セーブは驚きの99スロット!

そして進行度に応じて、セーブ画面にあらすじの表示あり!

このさりげないシステム面、すごく好感が持てました~!! もうとにかく私セーブ好きでして、見返したいシーンやらなんやらあちこちすぐにセーブしちゃうんですよ。なので、要所要所で躊躇いなくセーブ分けできる容量がありがたかったです。

なお私は夢中になって一気にエンドまで駆け抜けましたが、なにせ長編RPGですので、プレイ期間が空いてしまう方もいらっしゃるかと思います。でも大丈夫、なんとあらすじアリです! アイテムを使う等々のまどろっこしいことなく、ロードと共におさらいが一目でできる、この配慮がもう最高でした~! 大好き!!

 

 

 

 

さて、うきうきと良かった点を語ってまいりましたが。

 

以下は合わなかった点となります。

かなり率直に書いてしまっているので、前向きな気持ちでDLしに行きたい方、あるいは既プレイで本作が大好きな方はここで本ブログ記事は閉じて頂くのが無難かと。

 

先んじて関連作品のご紹介。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

本作のキャラクターも登場するので、未プレイの方はセットで是非!

 

 

 

 

 

 

 

合わなかった点

 

本作を純粋に楽しめた方は、以下は読まない方が良いです。

 

 

 

 

会話が基本ドッジボール

 

本作は演出や展開などを考えるに、キャラクターの絆の物語……を、目指しているのかなあと思っているのですが。その彼女達の絆があまり親身に感じられず、もやもやとした終わりでした。

で、私にとってこの絆部分が薄く感じる理由を考えました。以下にちょっと長ったらしく書いてしまったので、不快な方もいるかと思い薄字にしますが、要は「セリフが全部台本っぽくて響いてこない」に尽きます。

例えば誰かがしゃべる時。キャラゲーでは特に、誰か喋る→別キャラのリアクション→話が膨らむ→次のゲーム目標がわかる、という掛け合いが中心になると思っているんですが、本作は全然それがないんですよね。とにかく1キャラが言いたいことを一気にわーって喋る。行き先を知ってる人がそれを提示するだけで、相談し合ったり不安を漏らしたり、そういう「一人一人が生きて向き合ってる」っていうところがあまりなかったように思います。掛け合いじゃなくて独り言の言い合いみたいな感じなんですよ。

だからキャラどころかプレイヤーも置いてけぼりになる。

ただセリフを並べたものじゃなくて、きちんとお互いの言葉を受け取って返すという意味の会話。これがかなり少なく感じました。ゲームを進行しようとするあまり、キャラクターと分かり合う時間を作れなかったなあという印象です。

 

 

 

叩きこまれる設定とあれはなんだったんだろう感

 

前述の台本感も、実は途中まで好意的に見てたんですよ。OPの「作家ワーグナー」の存在があったので。むしろこれはあえて絵本っぽくするためにぎこちない会話にしてるのかな、なんていう見方もしようとしてました。

が、中盤であれ?ってなりました。いやあれだけ重大そうに語っておいてさほど関与してないんかーい、という。

他にも、疑問点……というか、ピンとこないままの設定用語もわりとあります。やっぱり重箱の隅っぽくなるので薄文字にしますが。

結局王女や王女の騎士ってどういう立場なんだ? とか(カグヤやファフニールなど命を賭して絶対忠誠を誓うみたいな描写をされてる騎士がいる一方で、シアンやアリスなど王女になったり、ルナのように王女を放棄できるってどういうことなのーと大混乱)。

エイン君がラシャーナの記憶失ってたのはなんで? とか(これは読み飛ばしてしまってる可能性も高いので情報ください)。

王女はいなくても星は成り立つの? とか(ルナが王女を放棄したならルナの星はどうなった? 古い月の都はステラデュースが守ったとのことだけどそれがOKなら他の星、も残せるのでは? 魔石があれば星が守れるということなら過去に王女たちで魔石の争奪戦が起こったのではないか、条件を知らなかったとしても大切な1人と星の民たくさんを比べたら1人を失う選択をする王女は多いのではないか。単純にクリア後おまけの事情のおかげ?)。

私の読解力不足というのは大いにあります。そこは断言します。

しかしながら、設定が凝っているらしいわりにさらさらさらーっと流されて、キャラの愛と絆がメインですって感じのエピローグだったのは、やっぱり色々とちぐはぐな印象でした。

 

 

 

 

サツキ

 

とにかく彼女の性格が合わなかった!! (一個人の意見です!!)

なんというのかな、大雑把な意味でのなろう主人公というか……。マリナやカグヤから寄せられる信頼が、プレイヤーから見えるサツキ像とかけ離れている気がしてもやもやしました。

なんかなー、描写とかマリナ→サツキの評とかを見るに、作中でのキャラ像は「鈍感だけど元気いっぱいで皆のことをよく見てる子!」なのかなあと思うんです。が、実際の言動やセーブロード画面のあらすじから受ける印象は「無神経で口が悪くて自分のことばっかりの空気読めない子」なんですよ。

等身大と言えば等身大なんですが……他のところはふわっと雑なキャラ付けされてるのにこの子だけ嫌なリアルさ持たせなくてよくない?という気持ちもあり。いつのまにかサツキを持ち上げる流れになってるのが不気味でした。

例えば同じ性格難ありの女の子として登場してるアリスは、登場時にマリナやサツキからそこそこ貶されているので、どことなーくバランス取れてる気がするんですよ。好みは分かれるけど味があって良い子っているよね、みたいな。そんな感じでサツキの奔放なところを突くのがジャスミンなのかなーと思っていたんですが、それもただの嫉妬だけで終わってしまったのが残念。いっそ大喧嘩でもさせて、仲介にマリナかカグヤを入れたら不和を乗り越えて絆が、って感じで、後半のシーンも映えたと思うんですけどね。まあそれ入れたらゲームのテンポ的に難しいのかなー。ジャスミンもあんまり、恋を盾にして喧嘩するタイプではなさそうですもんね。

とにかく主人公が好きになれないので作品自体も両手を挙げて好きとは言いづらい感じでした。

 

 

 

 

 

うううん、良いところを取り上げたくて記事を書く一方、私にとって気になる点を言わないで置いとくのはなんだか不誠実な気がしてこうやって書いてみたんですが。なんかこき下ろすみたいに見えてしまう気もして、うーん、難しいです。

 

ストーリー面でも良いところは多いんですよホントに……。

個々のキメ台詞のカッコよさはマジで必見ですしね! 戦闘前口上のいかつさがそのままシリアスな緊張感に繋がっててドキドキするんですよ! 中でも「これ以上私を搾取させない」っていう悲痛な台詞がほんとすごい好きで……。

他にも、ジャスミンのどろっとした感情が垣間見えるモノローグも好きでした。

 

だから総合的にはやっぱりプレイして楽しかったんです。これは信じて欲しい。もう前述の良かった点を読み返して欲しい!

 

 

 

 

合わない点は確かにありつつも、連休で一気にプレイしてしまうくらいには夢中になった作品でもありました! 

 

グラフィックにピンときたり、独自のバトルシステムに興味があったりする方は是非。