うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「星の寄り道」感想

「>>1000なら今日から本気出す」

意外とゲトしちゃう前置き。

 

 

えー、今回は2003を全力で応援するサイトさんところのフリーゲーム「星の寄り道」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ジオシティーズ閉鎖に伴って大慌てでプレイした作品です。なので記事を投稿する今現在は……入手についてはどうかな……。

 

 

モナーRPG、という、雑に分けるとスターシステムなジャンルの作品です。

 

大型掲示板のキャラクターをキャラ化して、掲示板の雰囲気やあるあるネタをメタった一つの物語を作る──感じ? 大枠としてはVIPRPGに重なるかなと思うので記事にもそのタグをつけてみますが、寡聞ゆえ不適切ならコメントやら何やらで教えてください。

AAキャラはまだまだ知らず、ネーノとガナーもこの作品で初めてそういう名前の子だと認識した(たぶん見た事はあるはず)んですが。それでも皆の会話だけで関係性はばっちりわかります。

 

よくわからん人のために

本作は短編一本道RPGです!

 

というわけで良かった点など。

 

 

1-1000まで仲良したっぷり

 

とにかくネーノとガナーがひたすらいちゃいちゃしてます。

このいちゃつき方が可愛くってですねえ! もう初めっから終わりまでにやにやしっぱなしでした。隙あらばじゃれ合うからもう! 好き!

仲良し相棒関係っぽいペア以上カップル未満が好きな自分としては終始にこにこしっぱなしでした。ふふふ。

 

ガナーちゃんは守られ系のヒロインなんですけども、おんぶにだっこだけじゃないところが良いんですよね~。二人ともに機転を利かせて活躍するシーンがある──コンビものだとかなり気を遣うところだと思うんですが、見事にそこがクリアされていました。

片方がくじけそうになったらもう片方が叱咤して、っていう相互に支え合っている関係性がすっごく微笑ましかったです!

 

 

 

守り守られ大勝利!

 

バトル中の二人のスキルも関係性を表すかのような作りになっています。

本作の戦闘の基本は、かばう! 

ネーノが防御を選択している間にガナーが詠唱して魔法をぶっ放すというのが基本戦法になります。ネーノの習得スキルが「防御中に発動可能」という点も本作ならでは。この仕様や、道中のチュートリアルのおかげで、推奨されている戦い方が察せられるのも良かったですねえ。

 

 

 

雑魚はスルーしちゃってもなんとかなるバランス

 

バトル自体は時間経過でゲージが溜まった順に行動できるシステム。いわゆるATBってやつですね。

どうしても待ち時間はできてしまいますが、サイドビューで大きめのキャラが動き回ってくれるのでグラフィックは見飽きず楽しめます。

 

ここで注目したいのが、戦闘の難易度ですね!

雑魚がけっこう多かったのでほとんど逃げ回りながらプレイしたんですが、それでもラスボスに勝てちゃうくらいなんですよ。勿論楽勝ってわけじゃなくて、回復タイミングにはちょこっと気を遣わないと危うくなる感じ。

雑魚を避けまくってもいいし、ちょっと詰まったら軽くレベル上げしたらいい、短編にぴったりの難易度でした。

 

 

 

光と影と緑が美しいマップグラフィック

 

もちろん、魅力は二人のじゃれ合い以外にも盛沢山。

中でもやっぱり印象的なのが、光の表現です。

光を盗まれちゃった世界から取り戻せ!というあらすじの通り、マップは全体的に仄暗め。ですが決して見づらいわけではありません。むしろ、「光を集める=光が道案内の役目を果たしてくれている」というやり方のおかげで、探索しやすいマップでした。

 

マップ自体がとても綺麗なんですよねえ。影の中でふわふわ揺れる草花や、暗がりの中で粗雑に突き刺さるスレ看板などが、ロマンティックな廃墟を想わせてくれます。ほんのりと灯る光と、ガッと辺り一面を照らしてくれる光、両方が表現されているところも魅力的。

 

また、光を集めると特定のSEが鳴るのですが──これがね、終盤すごく良い演出になるんですよ!

展開の熱さはもちろんのこと、見た目でも、音でも盛り上がりを感じさせてくれる、めちゃくちゃ気持ちいい作品でした。

 

 

 

動くグラフィック、魅せる構図

 

マップだけにとどまらず、戦闘中のグラフィックやらメッセージウィンドウの場所やら、どこもかしこも良い具合に動き回ってくれるのが本作のもう一つの魅力でもあります。

顔グラの種類自体豊富なんですが、加えてもちもちほっぺが伸びた時にはもう悶えましたね! かわいい!

かと思えば終盤は一枚絵のような熱い構図で魅せてくれますし。

光を灯す時の、ガナーの儀式みたいなうにょうにょした動きもかわいい! 魔法使いはやっぱり詠唱してなんぼですよね。そういう、ポイントをよくよくわかってくれてる感じが嬉しかったです。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

謎解きもありはしますが、住人がヒントをくれることもあり、基本的には易しい設計。誘導に従ってやることをやっていったらクリアできるので、初心者さんにも安心のRPGだと思います。

 

かわいい掛け合いと明るいキャラクター、幻想的なマップ、ほのぼのした世界観で目指せハッピーエンド!

そんな感じのノリが好きなあなたに、おススメです。

 

フリーゲーム「Retro Reflection」感想

「星空へ手を伸ばす君に、この指先はいつ届くのか」

光で敵わぬなら声で振り向かせようかな前置き。

 

 

えー、今回はSinilintuさんところのフリーゲームRetro Reflection」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

舞台は現代日本、攻略キャラは二人、選択肢分岐ありの恋愛ノベルゲー。天文学とフレッシュ大学生活と憧れの大人の裏の話。

一応ぼかすつもりではいるのですが、作品の雰囲気とかはもう伏せる自信がなかったため書きます。ゆえにネタバレ注意です。

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

 

ビターで大人な恋愛模様

 

大人な恋愛、というとRがついたりバイオレンスだったり危うい印象がつきがちですが、本作はまっとうな意味合いでの大人の恋愛を描いた作品だったなあと思います。

優先順位の相違とか、何かに対する妥協とか、そういうものときちんと話し合って前を向いていく感じ。魔法や愛の力ってやつであなたを受け入れるのではなく、損得勘定やら親愛感やら刃物やらを通じて言葉の力でなんとか二人がくっつくような、そういうの。

 

価値観の違い、という重さにしっかりと向き合ったうえで夢を見せてくれる、誠実なお話でした。

 

あと単純に、キャラの年齢層がざっくり大学生辺りなのもポイントですね。将来のことを見据えたり、今後の生活の土台を作っていったりする時期。キャラ設定とお話とどちらが先かわかりませんが、彼らがこの年だからこそできたお話なんだろうなーと思います。

 

 

 

彼らなりの形を探すリアルなエンド

 

公式の、ルート分岐ありでED分岐なし、という説明文がピンと来なかったんですが、プレイしてやっと理解しました。

要は1キャラ1エンド。といっても選択肢分岐が用意されているので一本道感は薄めです。わざわざ但し書きしてある辺り丁寧だなーと思ったんですが、別エンドを見たい!みたいな声が上がりそうな展開ではあるので納得ですね。

つまるところ、お気楽ハッピーエンドな作品ではありません。一方で、幸せな未来を見つけられる結末ではあります。この塩梅がすごく好きでしたね~。

 

全体的に明るい雰囲気ですし、主人公もそこそこガッツがある子なので、安心して見守れはするんです。それでもぐらつくところはあるし、テンプレ的な幸せではなく彼らなりの幸せを探すためにどうすればいいのかと考え出すとかなり途方に暮れます。

なので、作中で出してくれた解がすごく気持ち良かったです。彼らにはこういう、こんな形がいいよなあって。確かに収まるべきところに収まってるんだけど、そこに至るビジョンが見えなくてハラハラしてたから、良い具合の形を見つけてくれて本当に良かったなあと思いました。祝福する!

 

 

 

一癖あるキャラクター達

 

公式の書き方が巧みなのでここで明かしてしまうのはもったいないのですが、前述でもピンと来た人はいるでしょうし、書きます。

全登場人物に、ちょっと一癖あります。

「青のアウェアネス」もそうなんですが、公式サイトの説明書きだけだと本作には出会えなかったかもしれません……。そのくらい、当ブログにおいてピンポイントにもうなんかこう伝わって欲しいそういう設定が、潜んでいました。ここ本当上手かったなあ。ネタバレは追記でがっつり書きます。

 

 

 

星々とキャンパスと絵になるキャラ達

 

グラフィックに独自の強さがあるのは言わずもがな。

この作者様の絵柄は星や輝きといったイメージがよく合うなあと前々から思っていたので、まさにまさにのプラネタリウムや天体観測がメインモチーフでとても嬉しかったです。

抜け感、っていうのかな。スチルも立ち絵も全体的にオシャレな雰囲気で、ナツキさんの職業とか今時な年代とかにしっくりくるんですよねー。

 

ナツキさんはモデルさん、立夏先輩はサブカル系雑誌の街で見かけたあの人的なポジションのイメージ。

ついでに言うとヒロインは教室だとちょっと注目されるけどミスコンには出ないタイプっぽい(妄想)。

 

あと、さりげないところだとプラネタリウムの背景画像! 

あれがついてる時と消える時とできちんと差分があって、なんだか絵本の内側にいるみたいな、すごく味のある背景だったんですよー。あれも手描きなのかなあ。それとも加工の具合かなあ。立ち絵があるとついそっちに注目しがちですが、今作はそういう背景にも目を向けたくなる魅力がありました。

 

それぞれのお部屋の背景が見れるのも好きなんですよね。ナツキさんのモデルルーム感よ。

先輩はこう、一見人間味ある感じだけど生活感なさそうな感じがなんかもうすごく彼らしくて、展開も合わさって「うぇっへっへ」みたいな声出ました。ごめん。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

攻略対象ときちんと向き合ってお話する作品というイメージが強く、響く台詞もかなり多い作品でした。

追記ではネタバレ込みの感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

フリーゲーム「青のアウェアネス」感想

フリーゲーム「リレガトゥーラ」感想

フリーゲーム「蝶」感想

 

 

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フリーゲーム「鬼ヶ島」感想

「鬼はなく蛇はなく怨霊はなく人ばかり」

鬼は元より人だと誰かが言った前置き。

 

 

えー、今回はdydyさんところのフリーゲーム鬼ヶ島」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

エンド分岐多数の、和風ノベルゲ―。

公式サイトはどうやら閉鎖(?)しているらしいのですが、Vector様に一部作品が残っているので無事に会えました。なんと初期はコミックメーカー製のフリゲだったとのこと。つまり十年以上前のゲームですね。

 

マシュマロ(誰でも匿名でコメント送れるシステム)に他薦で頂いたフリゲだったんですが、これがもう見事に好みでして! かつ、自分で探そうと思ってもなかなか出会えないタイプのフリゲだったので、この場をお借りして感謝します。ありがとう!

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

地主の息子たちが織り成すお家騒動

 

舞台は昭和を意識した和風もの。因習村、で通じるのかな? 閉鎖的な島での息苦しい人間関係が魅力のドロドロサスペンスです。

主人公の零二は地主の不義の次男。もうこの時点で、厭らしいからかい声や虐げる人々の目線が見えてくるような設定です。

いやあほんと、雰囲気作りが上手いんですよねえ。人が陰でこそこそ言ってる感じ、旦那様の目をかいくぐったりお伺いを立てたりして悪意が常に息を潜めてる感じ。人を長年幽閉するなんていう狂気がすんなりとまかり通る世界。読んでるだけで逃げ出したくなります。粘ついた感じがとても好みでした。

 

 

 

扉を蹴破る度胸を持った登場人物達

 

さて、これだけ陰鬱な世界観であっても、メインキャラクターはけっこう度胸があります。主人公の零二からして、嫌われ厭まれすぎたあげく開き直ったかのような性格の悪さっぷりです。兄に対して好き放題、女にだらしなく金遣いも荒い、好きな女を力で手籠めにしようとする選択肢まで出てくるほど。

こういう突き抜けたキャラクター、好きなんですけどね。それによくよく読んでいくと、そうせざるを得ない事情や、自分自身理解しきれていない愛情みたいなのが見えてきて、すごく味わいのある主人公なんですよ。

 

やることやるのは主人公のみならず、どのキャラもそれぞれの場面でけっこう派手なことをやらかしてくれます。皆に事情はあるのだけれど、誰しもを良い人だとは言うに言えないこの空気。だからこそ、誰が事を起こしてもおかしくない、サスペンス・ミステリ的な楽しさも味わえました。

暗い世界観に対して、殺伐したシーンがかなりハイテンポなのもポイントですね。激情やら必死さやら何やらを勢いよく振り被ってくるような印象でした。

 

 

 

中弛み知らずの読ませる文章

 

文体自体は癖がなく、一人称視点故のキャラの性格からくる毒はあれど、基本さくさく読める文章です。

これ、実はさりげなくハイクオリティですよ。これだけ陰鬱な世界観を前にしても、内省や心理描写に頼らず話をグイグイ進められるのって、さりげなく凄まじいスキルだと思います。

そのうえ中盤以降は展開も加速し、バッドエンドの数もざくざく増します。複数の犯人候補を出し、勢いよく人が死んでいってなお、エンドまで失速しないまま走り続けられるこのテンポは必見です。

 

さらに、クリア後には違った視点で物語を俯瞰出来たり、パラレルワールド的なものを楽しめたりします。前述の登場人物の味がここで活きてくるんですよね。同じ場面を流していても、視点によって見え方がずいぶん異なる面白さ。

こうだったかもしれない、というIFに想いを馳せたくなるし、そのIFが本編内でバッドエンドとして回収されることもままあります。視点の違いや複数のエンドを重ねることで立体構造を作っているお話でした。

 

 

 

レトロを肌で感じられる演出

 

最後に、この時代にプレイするからこその良さなど。

登場人物は全員シルエット、背景画像はレトロでセピアな色合い、等々、全体的に硬派なノベルゲームを思わせるグラフィックです。

ここで好きだなあ~と思うのが、殺伐としたシーンの演出の仕方! 

「ダダーンッ」って大袈裟なSEが流れたり、流血シーンは背景が真っ赤になったり、ウィンドウが「ああああ」で埋め尽くされたり。このね、昔懐かし演出がほんっと好き!

 

当時にプレイした方なら肌身に合う演出なんでしょうし、今を時めく方々には古臭いと思われる危険もあるんですけど、こと私からするとすごい好きなんですよこういう演出。お約束がお約束通りに来る感じ! 「来る……ここであのダダーンッが……きたあ!!」みたいなあの謎のテンションの上がり方。

すっかり月日が経ってこれらの演出がチープと言われるまでに王道化したからこそ、なんだかにやにやと楽しくなってしまう演出の数々でした。こういうの、あえて狙って作る方もいるんだろうなあ。

 

 

 

続いて一点だけ、惜しいところ。

 

十年以上の月日を感じさせるシステム周り

 

どうしても古いゲームということで、システム面で不便なところはあります。ここはもう仕方がない。

それでも懐古するなら最低限、セーブロード枠が確保されていて文章ログが見れるだけでも上等でしょう。むしろ今でもこのゲームをプレイできることがありがたいって話なので、あくまで事前に覚悟しておくとプレイしやすいと思うよ、程度の気持ちです。

 

あっでも一点、あとがきが本編の直後に表示される点だけは、雰囲気ブレイクがもったいなかったかなあ。爽やかな余韻を感じる話が多かっただけに、ここだけは改ページを挟むなどしてもらえたらありがたかったなあと感じます。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

閉鎖的、昭和、ヤンデレ、因習、お家騒動などにピンとくる方向け。

追記ではネタバレ込みの感想少しだけ。

 

 

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フリーゲーム「Mogeko Castle」感想

「着慣れた制服で久しぶりの君を迎えよう」

あの頃の君に囚われたままの前置き。

 

 

えー、今回は海底囚人さんところのフリーゲームMogeko Castle」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

不思議なお城に迷い込んだ女子高生の、マルチエンドホラゲー。もとい、公式曰くバイオレンスギャグゲー。エログロリョナ要素有。公式サイト自体が15歳以上推奨。

 

 

実は記事書こうかどうか悩みました。

規約がゲーム同梱になった現在(20181219)は言及されていませんが、過去実況プレイが一律禁止だったことや作風的に、表立って取り上げるより密やかにアングラで愛でるほうがいいのかなあ等々……。

まあでも、当ブログがそこそこアングラ嗜好なことはいつも見てくださっている方なら周知の事実でしょうし、何より備忘録として書き残したいのでやっぱりいつも通り記事にします。

 

言い訳終わり!

 

 

 

ただ本作は、予期せぬところから衝撃を受ける楽しさがあるので、いつも以上の量を追記に伏せますね。

 

 

ネタバレ抜きで語れるところは一点、追いかけっこ要素やゲームオーバーについて。

 

基本的にゲームオーバーがエンド回収みたいなものですし、直後にコンティニューして再開できるのでかなり易しい仕様です。追いかけっこも、終盤の総当たりはやっぱり苦労しましたが、コンティニュー機能のおかげでやり直しに抵抗はありませんでした。

なのでアクションを懸念してる方は安心してプレイしてください。

 

 

残りは追記にぎっしり。

既プレイの方はどうぞ。

 

 

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フリーゲーム「ごめん、まだわかんないや」感想

「伸ばしきって保留され続けた余白はとうに」

千切れて燃え尽きていることにも気づかないなんてな前置き。

 

 

えー、今回は高野M明さんところのフリーゲームごめん、まだわかんないや」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

VIPRPG、選択肢ありノベル、シリアスエロゲ。攻略可能キャラは凸シェイドⅢ、ウォーターⅠ、ミルミ。そして顔グラは出ないけど一応ダー惚が主人公、でもよくいるナルシストダー惚ではありません。

VIPなノリも素材もあるので、その辺りは折り込み済みの人向け。

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

さらっと伝えてくる重い設定

 

王からの依頼、世界情勢、この世界における魔法の価値、主人公の過去、ミルミとの確執、魔法具現化達との出会い、などなど、パーツだけ取り出して羅列するとかなり盛沢山。資料集もびっくりの分厚い設定をぎゅっと詰められていることが伺える作品です。

なんですが、これがまあ見事なことに読みやすい!

なんだろう、文章がどれもテンポよくて、会話だけでも序盤に最低限のところは把握できるんですよね。匂わせている関係性が仮に察しがつかなくても、きちんと途中から回想シーンを挟んで明言していってくれるので、色々と把握しやすいですし。

 

要は、よくこれだけの背景事情をこのボリュームに収めきったなあと!

 

 

厨二心が疼く文体

 

文体がかなり独特です。そして大好きです。

主人公はいわゆるやれやれ系ですが、見事なことにテンポは良いんですよね。特に終盤のバトルシーンの疾走感は、本当にヤバイ。脳汁出ます。ただ短文を連ねるだけじゃなくて、カッコイイ比喩や心にズガンと痺れる一節を交えつつ“熱さ”を出してくれるのがめちゃめちゃ素敵! もうねー、トランプのくだりとか、自然と体が動き出していた例のシーンとか、大好きなんですよ。

表向きクールでシニカルだけど熱いものは持ってるぜ、みたいなレグルスの性格が、文体にもう表れてる感じ。その熱さが恋の時もあれば自分の生き様の時もあり、世間に倦んだ暗い情炎の時もあるところがまたよいです。

 

 

 

闇堕ちもハッピーもお手の物

 

序盤から実はけっこう詰んでる状況なだけあって、世界観はダークです。展開も鬱寄り。

初回プレイ時は一途に愛を育もうとしたところで、魅惑的かつ明らかにアウトな選択肢がしれっと見えたので、思わずうきうきしながら選んでしまいました。結果は闇落ち一直線でした。やったね。

そんなわけで、鬱展開に陥る選択肢はもう見るからにマズイと分かるよう作られています。なので、厨二だけど女の子が可哀想になるのはちょっと……という紳士的な方にも楽しめるかと。

なお、フォルダ内には攻略テキストが同梱済み。エンドの種類も豊富でハーレムも純愛も家族愛も凌辱も味わい深かったです。

 

本作の主人公はダークサイドへ吹っ切れるルートも、輝く未来を諦めきれないルートもあるんですが、そのどちらに転んでも当然と思える主人公のキャラ付けが上手かったですねえ。落ちる時はとことん落ち、明るい時は底抜けに明るいところも魅力的でした。

 

 

 

汁だくギラギラみさくら

 

で、エロゲなのでR18なところも書きますが。

喘ぎ声はみさくら系。んほぉってやつ。画風は強調が強めと言いますか、出るとこは出るし出すものはどばどば垂れる豪快な感じ。あとは性感帯は尖れば尖るほど良い、みたいな。

シチュは二分されていて、ノリノリ発情エロと、シリアスダウナー凌辱のどっちかです。私は後者のほうが好きだったかな。性欲を煽るというより性行為を通じて人間の尊厳やら理性やら前向きで健全な精神やらをぶっ壊していく描写のほうが際立っていたように思います。まあどっちにせよえろいので一向にかまいません。

 

 

 

よくある設定からズラしていくスタイル

 

私自身がVIP作品はかなり後になってハマったので、順当に多作を追ってきている方から見れば異論もあるかもですが……物珍しい設定が多かったなーと思います。

特に嬉しかったのは凸シェイドⅢ。よくあるツンギレじゃなくてこう、くすくす笑いながらからかってくる感じだったのが可愛かったです。好きではいてくれるんだとわかる安心感。そこそこ隙が多いところもキュート。こっちタイプの凸も増えて欲しいなーなんて。

ウォーターⅠはいわゆるわてりとは真逆な感じ? 大人しくてナイスバディで桂言葉様系。ミルミもぽややん癒し系ではなくTHE糸目キャラって感じで楽しかったです。

そもそもキャラのラインナップからして独特ですよね。特に、ミルミは五郎、凸はダーブラという風潮が強い気がするので、新しい扉開けて楽しかったです。

 

 

とまあ、こんな感じで。

この作者様のゲームはどの作品も作品同士リンクしているんですが、中でも本作「ごめん、まだわかんないや」をシリーズ導入の起点とするのがわかりやすい(気がする)ので、作者様追いするプレイヤーさんは是非。

 

ネタバレ込みの感想は追記より。

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

VIPRPG6作一挙感想 (白昼夢チルドレン)

VIPRPG「想い出とまわる君 ~Memories Of...~」感想

 

 

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フリーゲーム「黄昏の冒険記」感想

「運命が私を拒絶しようと、審判の刻まで命の砂を紡がなければならない」

具体的にはベリータルトを頂きたい前置き。

 

 

えー、今回はPIKA's GAMEさんところのフリーゲーム黄昏の冒険記」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ジャンルはVIPRPG、主役は凸シェイドⅢ。

ですがびっくりするほどVIPのノリはなく、もしもワールドでもありません。むしろ9.8割がオリジナル設定と言える一本道のRPGです。

 

 

普段は良かった点から入っていくんですが、本作においては合わなかった点から行きます。ここを覚悟のうえでプレイするのとそうでないのとはかなり差が出ると思うので!

 

というわけで合わなかった点から。

批判多めになるのでご容赦ください。

こういうシーンがあるよ、くらいのネタバレもします。

 

 

偏ったスキルと振り直し不可

 

私はステータス振り分け系のゲームだと真っ先に武器(物理攻撃)を上げる性質なんですが、それが本作では相性激悪でした!

スキルポイントもかなりコストが重く、振り直し可にして欲しかったところ。せめて振り分けた結果、どの程度性能が挙がるか、どういった技を覚えられるか、といったところは開示して欲しかったです。

 

以下は具体的な私怨なので読み飛ばしどうぞ。

本作は圧倒的に魔法ダメージが強力です。

例えばボスのHPが6000で、こちらの各スキルがMAXの場合。

通常攻撃 → 100ダメージ  魔法攻撃 → 400ダメージ

くらいの差はあります。

魔法攻撃も相性差によってはノーダメージなので三種の魔法を均等に育てていく必要は出てきますが……。通常攻撃は装備欄を三つ使ってそれでも運次第のクリティカルで削っていかないといけないのを考えると、魔法の方が圧倒的に安定します。

単純な話詰むんですよね。回復が追いつかないわ、状態異常にかかったら負け確だわ。そのうえ終盤ボスには珠の効果を全消しする技を連発されるので、クリティカル↑系の装備は軒並み無となります。ムリゲー!

案の定詰んだので数時間かけてスキルポイント集めしました。はぁ辛かった。

 

 

 

マップの行き来がしづらい・アイテムが集めづらい

 

これは私がアイテムを見逃がしている可能性も大いにあります。が、それでも言いたい、テレポートオーブの枠が少ない!

本作は街と街の行き来に敵の出るマップを3つほど通り抜ける(全逃げしても5分はかかる)くらいの距離感があるんですよね。それどころかダンジョンの奥の奥の奥地でボスがいるようなところに居を構えている村も。

引き返す必要がないなら問題ないんですが、ここでアイテム調達の面倒さが問題になります。

本作はお金の概念がないので、一日一回ラインナップの変わる交換屋を使ったり、一日一回無料でアイテムをくれるお店に通ったりするのが基本です。その街限定のアイテムもそこそこあります。つまり、宿屋に止まったら色んな村を回るのが効率的。一方で行き来にはかなり時間がかかる……相性が悪いんですよねぇ。

ついでに言うと、全体的な演出も含めテンポはかなり悪いです。宿屋、ワープ、回想シーン、船移動など何かにつけウェイトを挟むので。

 

 

回復手段がダンジョン内で尽きると詰み

 

上記のとおり、アイテム取得に手間が多いのにも関わらず、ダンジョンの仕様はかなり鬼畜です。

まず、ボス前回復は原則一切ありません。ボス前ワープもありません。ダンジョンを踏破したボロボロの姿でボスに突入です。テレポートも封じてあるので回復手段がダンジョン内で尽きると詰みます。

そしてフィールド上に物が落ちていることもあるのですが、マップの端は基本的に画面からはみ出ているので、一目でキラキラマークが見えず、行き止まりとわかっている道を進む必要も出てきます。いや必要というほど重いものではないんですが、用意されているものを無視する構造はそもそもズレてるかなとも思うので。

そのほか具体例として。引き返し不可(警告なし)で回復ポイント皆無のダンジョンにMP吸収系の雑魚敵がわんさか出てくるとか。正規ルートを通らないと引き返すことになる分かれ道が4つあって道は総当たりとか。見通しの悪い森マップが三連続とか。

私のように迷子になりがちなプレイヤーさんは覚悟を決めましょう。

 

 

キャラクター付けが無難

 

ここは良点というべき箇所かもしれませんが、私個人としては合わなかった点になります。各キャラの性格やセリフ回しがあっさり味です。

謎めく教団はいても電波的な台詞を聴くことは少なく、街の人はだいたい親切。血が出るシーンやシリアスシーンはあれど、どうにも台本的。予想の範囲に収まるテンプレ台詞が多かったので、長編の感動・ドラマティックな展開・胸を打つキャラクター、みたいな要素は塵とも無かったです。

ただ、動機や行動原理はきちんと明示されているんですよね。なので読みやすいし、王道ではあります。わかりやすいお話を楽しみたい、王道は好きだけど熱血は苦手、ストーリーでそんなにグイグイ迫ってこられたくない、という方には合うのかも。

 

 

 

ぐだぐだ書きましたがまとめると、

・マップが無作為に広い

・戦闘バランスが極端

・全体的にテンポが悪い

・キャラがあっさり

という感じです。

 

 

 

さて暗い話を終えたので本題行きましょう!

本作の好きなところ! いえーいパチパチ!

いやこれがあったからこそエンディングまで行けたんですよ。

というわけで良かった点について。

 

 

 

中二心をくすぐるワンシーン

 

祭りサイトにあるとおり、「厨二的シナリオ」です。

主人公の属性は闇でもなく黒でもなく陰!

記憶喪失でシニカルな喋り方をする女主人公!

精神世界でもう一人の私と対話する展開!

選ばれし者が手に出来る槍を床に突き刺すと道が開け!

鏡に光を当てて紋様にかざせば扉が開く!

奥義で翼生やしたり極大ビーム出したり吸収攻撃したり!

こういうの皆好きでしょ、という概念やワンシーンをぎゅっと詰めてくれているのが本作です。私も好き。わかる。

 

厨二と言っても、エンジェルフェザーが生えて鎖と薔薇がじゃらじゃらするタイプとか、組織の陰謀に立ち向かうべく秘密警察コードネームαことチーム最強の俺が名乗りを上げるタイプとか、暗黒破壊神が≪審判の右手≫を振りかざすタイプとかがあると思うんですが、本作はどれともつかずどれも拾っていく感じでした。

要はひたすらにカッコイイ演出が詰まってる感じ。

ジャンプでダークヒーロー系の読み切り漫画やってる感じ。

反社会的っていうわけでもなく、基本的には善意で世界が回っている感じなので、厨二は好きだけどヒャッハー系はちょっと……という方にも安心して見てもらえる展開だと思います。

 

好きな演出はほんといっぱいいっぱいあるんですが、中でも一番はワープ時の演出! ウェイトが長いって叩いておいて何なんですが、あのモーション自体はすごい好きなんですよー! 着地時に波紋が浮かんで、爪先から優雅に舞い降りるような、あれ。凸シェイドⅢは長髪だからなお映えるんですよね。イラスト化で一枚絵でも見たいです。絶対絵になる。

 

 

 

細かい変化にこだわるマップ

 

さりげなーく感動したポイント。

雨害を受けた村の、川が増水して道のマップチップが狭くなってるところ!

いやこれ言葉だとふーんで終わるんですけど目で見ると「おお!」って思うんですよ! ちゃんと展開がマップに反映してる……危機感が目で見てわかる……! こういう細やかな仕事人ぶりはほんと好きでした。

ゲームとしてのマップ作りは前述の通り合わないんですが、演出としてのマップ作りはレベルが高いです。目立った自作チップで覇権を取るのではなく、細やかな良さが積み重なっていいなあと思える感じ。

 

前述の他にも、例えばラスボス前の道は本当美しかったですねぇ……。禍々しさと幻想的な雰囲気が見事に調和してて、何もない行き止まりなのに景観目当てでついスクショ撮っちゃいました。

 

 

 

オリジナル設定の中でのシェイドⅢ

 

世界観はもしもワールドではありませんし、主人公は名前変更可能で、よくあるはい設凸シェイドⅢとも違った性格をしています。具現化キャラなどの代表キャラも全くと言って良いほど出てきません。

それでも、シェイドⅢを使ったところが上手いなあと思うんですよね。

プレイしていただいた方なら理解してもらえるかなと期待してるんですけども。きちんと、シェイドⅢである理由というか、彼女が選ばれた訳にピンとくるところが好きでした。

それを象徴するように、戦闘属性が闇・光・陰なところも独特。街にいるモブキャラの属性説明文も好きなんですよね。属性相性をしっかりこう、神話っぽく表現してくれるのすごく好き。

 

 

 

ドットがよく動く戦闘アニメ

 

バトル自体はコマンド選択型(デフォ戦)なんですが、キャラクターのドット絵が常に戦闘画面に表示されています。サイドビューってやつだ。で、どの行動をしてもとにかく主人公がバリバリ動いてくれるんですよ! 見ててすごく楽しかったですし、なにせ厨二心を大いに“わかって”くれてる作者様なので、どの演出もカッコよかったです。

武器が槍なのもポイント高いんですよね! 探そうと思ったら案外見当たらない気がします、槍使いの女の子。FEとかSRPGではよく見るんですけども。

魔法も詠唱やら髑髏やら闇を想起させるオーラやら、とにかく色々と“疼く”グラフィックでした。こういうのほんと好き。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

合わなかったところもあるけど、心から拍手喝采したいレベルで秀逸なワンシーンに出会える、このためにプレイしてきたんだと満足できるRPGでした。

フリーゲーム「蝶」感想

「可憐など手の内に握り込んではすぐ折れる」

力を込めずにじぃっと見守ってあげる前置き。

 

 

えー、今回はSinilintuさんところのフリーゲーム」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

1周は数分、余韻は数日、周回必須の乙女向けノベルゲー。要素だけ取ればヤンデレともいえますが、個人的にズシリと重く熱っぽい情念の話と呼びたい感じです。

 

というわけで良かった点から。

 

 

レトロ和風の世界観

 

ガタンゴトンと揺れる列車が作中の舞台となり、顔を合わせる彼も漆黒の外套に学生帽姿で、全体的に古風な雰囲気です。起動画面からして椿に蝶、花札を思わせる彩度の幕のような模様など、ぱっと見た瞬間に時代背景が伝わってきます。

そして何より、作中画面の構成ですよ! 木枠の乗車席、窓枠の外に見える星空、そして漆黒の出で立ちの美青年……。絵になるとはまさにこのこと。

 

グラフィック面のみならず、お話の端々に感じられる時代背景も魅力的です。学業が当然とはまだされていない時代、貧困にあえぐ家族や、妻の価値の低さなど。そこがガッツリメインというわけではないので、あくまで触る程度ではありますが、少しの描写で境遇がしっかりと伝わってくる語り口でした。

回想シーンは基本的に黒背景ですが、地の文のじっとりとした描写が美しく、イメージ補強は十分にできました。一面の彼岸花が目の前に広がって見えるような語り口です。

 

 

 

ミステリアスで冷静な相席相手

 

青年こと征四郎さんの見た目がまたドストライクなんですよねえ!

闇というよりは夜色と表現したくなる、蠱惑的な黒髪赤目。美しい切れ長の瞳に、どこか人を寄せ付けない雰囲気。そのわり、優しく折り目正しい敬語口調で、何度も「お嬢さん」と呼び掛けてくれるところ。もうね、あの、惚れます。

 

しかも、途中で一人称変化があるんですよ。こういうさりげない、素の自分がにじみ出てしまうような演出、大好きなんです。大好きなんです……!

 

本作が周回必須となっているところも併せて語りたいですね。

お話を進めれば進めるほど征四郎さんの内情についても語られていき、一時相席しただったはずのあっさりとした関係も、どんどん変わっていきます。

列車内という状況は変わらず、彼の表情も口調も淡々としたもの。だからこそ最後、エンドのルートに入ってからの変化がものすごく刺さるんですよねえ……。詳しくは追記で語りますが、もう、実に萌えました。

 

 

 

合わなかった点

 

最後に少しだけ合わなかった、もとい惜しかった点。

 

・終盤の独白

 

物語終盤、熱っぽく物語に入れ込んで展開が加速していったからこそ、終盤の独白はちょっと減らしても良いかもなーなんて。

足を止めて振り返るための説得力も作りたかったのかなと考えましたが、先行きがない状況なのは回想でしっかり感じられたので、十分かなと。

台詞はステキなんですよ、最高! 

あの直前の征四郎さんの言葉とかゾクゾクしました……! 大好き。

 

 

・初回のシステム面

 

セーブロード不可で、お話とシステムが絡んでいるあの構成自体はとても好きです。ただ、Live Maker様はデフォの表示速度がかなりゆっくりなので、文字送りスピードと文字表示速度は調整させてほしかったですね……!

いえ、メニューの一部を封印するのはたぶん技術的に大変なんだろうなという想像はつきます。なので、事前に知っておくとそういうものだと思えるかな、程度の気持ちで書き残しました。

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

病みと孤独が感じられるストーリー、レトロな世界観、じっとりと重い感情などが濃厚に感じられる作品でした。とにかくオススメ。今まで出会ってきたフリゲキャラの中で十本指に入るくらいには好きな攻略対象でした。

 

追記ではネタバレ全開の感想など。

 

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