うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

ファタモルガーナの館登場キャラクター人気投票企画関係感想

「惜しみなく愛を捧げることと、冠に固執することは別物だ」

私の中の一番を示したいだけの前置き。

 

 

えー、今回はNovectacle(ノベクタクル)さんところのフリーゲームファタモルガーナの館登場キャラクター 人気投票」「ファタモルガーナの館登場キャラクター 人気投票part2」について。ゲームというより企画ですが、小説も含め色々と書きます。

 

タイトル通り、「ファタモルガーナの館」シリーズの関連作です。

このゲームの存在自体がまあなんというか全てのネタバレという感じもあるので、以下も伏字無し、ファタモルガーナ本編およびアナザー(FD)はクリア済みの前提で記述していこうと思います。

 

つまりネタバレ注意!!!!!

投票結果のネタバレも含みます!!

 

 

 

2014投票結果の所感

 

ミニゲームをプレイする前に投票結果を見たので、そちらの所感から。

私の好きな順は、

 

白い髪の少女>ヤコポ>ジゼル>ミシェル=ネリー

 

なので、ネリーとモルガーナの位置がかなり意外でした。でもまあ、ネリーはヘイトも溜めそうな子だし、モルガーナはキーパーソンでもあるので、諸々鑑みると順当なのかも。私の中ではエラスムス世界線ならポーリーンがかなり上位に食い込みますし、セブンスコート世界線ならaidaが取って代わるので、この辺りのパラレルワールドの好感度も含めるともっと変わってくるかもしれません。

 

 

 

2014ミニノベル

 

人気キャラと共にお屋敷をめぐり、投票の雑感やコメント返し、恋の一方通行トライアングルを楽しめるミニノベル。

いやーなんというか、モルガーナ、愛されてますよねぇ。

セブンスコートプレイヤーには面白いネタもあり、やっぱりシリーズ物のフリゲは公開順にプレイしてなんぼだなあと思いました。私、セブンスコート世界線のヤコポが一番好きかもしれません。しかしファタモル本編の舞台裏といい、セブンスコートといい、ミシェルはつくづくジゼルと出会えませんね。これこそが彼の正しい扱いのような気もしてきます。応援してるぞ!出会えないけど!

 

あと、驚いたのはイメオンについて。私、セブンスコートで彼のHNを見た時、『ある夜のバーリーコーン』の彼女かなあと思ってどきどきしてたんですよ。で、違ったけどうっすら繋がりのあるネームドサブキャラとして登場していくのかなと思って。

いやあサブどころかメインキャラでしたね!

設定画含め、ファタモルファンディスク(仮)含め、まあ私は未来から遡ってきた身なのでファタモルanotherの存在を知っているわけなんですがそれでもわくわくが止まりませんでした。

 

 

 

2014人気投票SS

 

人気上位3名のショートストーリーも公開されていたので、物のついでに軽く傾向や感想も。読んだ順に書きますね。

 

 

Ⅱ. Pain

 

これはある意味、Wヒロイン話とも取れるのでは。

ジゼルが完全にジゼルの善と光の面を喪った話でもあります。女中話です。辛いですが大好きです。

ファタモル世界に掛け算記号を入れるのってちょっとためらわれる気持ちもあるのですが、うん、ともあれ、モルガーナ総受けだなあって思いました。ヤコポとモルガーナ、二人の関係性は本編で語られている通りですが……なまじヤコポが心から、心からそうしたいと思っているのがどうしようもなくモルガーナの心のささくれを毟っていく行いに繋がるんだろうなあとも感じます。八方ふさがり感がたまらなくズシンと重くて良いですよね。

 

 

Boy meets Girl

 

幼い頃から君との運命の赤い糸は繋がっていたんだ、的な展開みんな好きですよね。わかるよ。「おにいちゃん」のシーンは本当、胸が詰まる思いでした。自然にぽろっと零れた言葉こそが、ありのままの形だと信じたいですよね。

ボランシェ家次男がけっこう得をしているSSだとも思います。これを読んでさらに好きになった方も多そう。私は彼のなんだかんだで貴族な立場を全力で浪費してる甘ちゃんなところが好きなので、ちょっとツボは違いましたが、それでも微笑ましいエピソードでした。

 

 

Ⅰ. Lost

 

私が一番好きな章、ヤコポの時代の章です。

ここでも女中に注目してしまうんですが、一途に壊れて軋んでいく面とまだ残る心が強調されていて、すごくじんときました。ラストの二人の掛け合いが大好きです。

「知るべきであった女たちは二人とも~」の文といい、ぐっとくる文が多かった印象。私が好きな章だからこそというのもありそうな気はしますが……。

だって、廃墟とメイドと領主と後悔と月、という要素だけでもう絵になりますものね。

 

 

 

2015人気投票

 

本編

 

セブンスコートおよびファタモルアナザーを経て訪れた投票結果。意外なところもありましたが、上位は安定のメンバーでした。

 

ちなみに私はアナザープレイ後だと、ミシェル≧イメオン>白い髪の少女>ジゼル>ネリー≧ジェレンな感じ。アナザープレイするまで半年空いたというのもありますが、けっこう変動してますね。

それにしても今回も弄られに弄られまくってましたねぇ、某氏。ミシェルも過去は弄られキャラでしたし、歴代主人公はそういうポジションになる定めなのかもしれません。

 

意外だったのはイメオン。ファタモル本編に登場しないハンデを負ってなおこの順位というのはかなり驚きでした。カッコイイのでいれたくなる気持ちはよくよくわかりますけれどもね! 

白い髪の娘ちゃんもまた会えて嬉しかったです。特に旦那様への反応がとても可愛らしくてベネ。モルガーナと相対すると、なかなか見えづらい彼女の欠点もよく見えてくる気がして、味わい深いなあと思います。足りないところを補い合って一つに戻る印象がより強まりました。

 

結果開示のぐだぐだ話の中で気になったのは、やっぱりモルガーナについて。ヤコポへの反応はただのツンなんだろ~みたいな囃し立てをズバッと切り捨てる姿勢が好きでした。それでも希望を残してくれていることはファタモルアナザーのボーナストラックで示されている通りで、我々魂たちに余地を残しつつも譲れない主張はしっかりしていくところが好きだなーと思います。

ミシェル・ジゼル・モルガーナの関係についてもそう。ミシェルとジゼルが親でモルガーナが子みたいに疑似家族化するのはちょっと、こう、心的にためらいがあったので、友人だと明言してくれて安心しました。

余談、「そこの魂の人」って呼び方がすごい好き。距離感がいいですよね。

 

 

以下は取り上げられていなかった人気投票の魂のコメントについて所感。

 

・「オディロンの執政シュミレーション」わかりすぎて腹抱えて笑いました。絶対Civilizationにいる。

・バルニエさんの貴重な顔芸がこちら

・「三章ヤコポに車のバック駐車のポーズさせたい」みたいなあれ、発想の出どころがかなり謎ですが気持ちはすごくわかります。

・「うんうん、ネリーはかわいいわよね!」そうだね真理だね。

 

ジェレンの曲が好きなので読んでいる間にいっぱい聞けて嬉しかったです。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

他の方の熱いコメントと愛を感じる、楽しい企画でした。

 

 

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フリーゲーム「千枚皮-Allerleirauh-」感想

「当然のように揺れていたので背景のように思っていた」

腐り落ちて初めて人だとわかった前置き。

 

 

えー、今回はさんところのフリーゲーム千枚皮-Allerleirauh-」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

誰か刺し殺して皮を剥ぎ、誰かに成り代わっていく探索ゲー。追いかけっこはあるけれど、高難易度を選ばない限り体力は豊富なので、アクション的な難易度はゆるめ。ただし探索の難易度は激高です。

 

いつも通り良かった点を──といきたいところなのですが。

 

いやもう、想像以上に気に入ってしまって!

バグっぽいところも尖った要素もありはするんですが、難を全て無視してしまえるくらいもうすっごく大好きなんですよ!!

 

そんな状況で何を言ってもこう、新興宗教的な文言しか書けない気がするので、前座の部分は全部省くことにしました。

 

一応、ツイッターでの紹介文だけちらり。

 

こんな感じのゲームです。

攻略記事はこっち↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

あとは追記に考察解釈です。

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

フリーゲーム「シガイタチ」感想

 

 

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フリーゲーム「ナイトメアの見る夢」感想

「現実逃避だと言える人こそ現実にいるとは限らない」

まずは自分の脚で立ってから引っ張り上げなきゃな前置き。

 

 

えー、今回はThunderSonia(サンダーソニア)さんところのフリーゲームナイトメアの見る夢」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

選択肢で分岐する、夢の世界が舞台の乙女向け男女恋愛ノベルゲーム。

根幹のギミックのネタバレは避けますが、一部の要素や展開などは挙げてしまいますので、気になる方はプレイしてからどうぞ。

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

紫基調のメルヘンなグラフィック

 

メッセージウィンドウ等々はオシャレな模様が入り、かつ縁取り文字で読みやすい見た目。登場キャラも片や艶の美しい金髪、片や空虚な印象の髪色で、グラフィックからして夢見心地な感じでした。公式紹介ページの雰囲気が作品と直結してるので、あのページが気に入ったならプレイして損はないかと。

こういう髪の塗り方どう言うんだろう、お絵かきしないので拙い言い方になるんですが、光を当てると輝いてみえるような雰囲気がいいなあと思います。

 

 

 

怠惰の裏にある幸せと背徳感

 

夢の世界が舞台、という時点でもう大好きな予感がしていた本作。

予想通り、夢を肯定するルートとそうでないルートがあるのですが、その中でもドリームエンドが一番好きでした~!

このままではいけない気がする、というぼんやりした不安と、それでいいんだと肯定される気持ち良さ……。最高ですね……。恋愛面でも危うい境界線の上に立っていて、エンド後はきっと踏み越えてしまうんだろうという予感がするのでなおさら、すごく興奮する展開でした。背徳感の書き方がとてもうまい!

 

 

甘ったるくいじわるに構ってくれる後日談

 

本編はシリアスで謎めく展開、一匙の不安感と共に進んでいきます。序盤はどちらかといえば主人公の記憶や夢の世界の謎などに注目され、暗中模索な雰囲気です。

が、恋愛がメインではない、というわけでもなくてですね!

それまで抑えに抑えられてきたものが終盤、そしておまけの後日談で解放されるこの勢いにたまらなくときめきました。言葉通りの意味でかけがえのない存在なのが天界からもひしひし伝わってきます。

何よりちょこっとからかい上手な年下だなんて皆好きですよ私は好き。からかうのも意識して欲しいからなんだろうな~! かわいいですね! かっこいいです。錯乱。

とにかく、糖度も終盤はなかなか高めでした。

 

 

色々できても何でもはできない魔法

 

やるなあ、と思ったのは作中での魔法の扱いです。

魔法というのは実に便利ワードで、ことフィクションでは何だってできるものとして扱われがちです。だからこそ、下手をするとシナリオ上の障害すら、魔法でなんとかすればいいじゃん、で片づけられてしまいます。

本作では、夢の中だからできた、魔力が減ったから色が戻らない(のかもしれない)、彼女が魔法に疎いのは…、などの理由付けをしっかりとしてくれるんですよね。なので、この世界ではこういうことなんだなという知識と、それらしい辻褄合わせが両方できるという。ここ上手いなーと思います。

さらっと読みやすいシナリオだからこそ、読み流されちゃいそうな部分を詰めているところが好きでした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

メルヘンでほんの一匙仄暗い作品をお求めの方におススメです。

 

 

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shiki3.hatenablog.com

フリーゲーム「芥花」感想 ~キャラクター編~

「疎まし厭らしと表で言う者こそが煩わしい」

影でない陰口ほど陰湿なものはない前置き。

 

 

えー、本記事は後半戦です。

前記事 フリーゲーム「芥花」感想

の文字数が一万字を突破したので大人しく分割したものになります。ですのでまずはそちらからご一読いただけると嬉しいです。

 

本記事は芥花のキャラクターに対する所感をひたすらゴリゴリ語るものになります。

ネタバレを求めていて、かつキャラクターに対するなんかべたついて重々しい萌え語りや考察解釈文を読んでやってもいいぜって方は、追記よりどうぞ。

 

 

ここでワンクッションついでに宣伝、当方の「芥花」二次創作です。

www.pixiv.net

 

 

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フリーゲーム「芥花」感想

「妬み嫉みも明るみに出れば消えるもの」

恥じて消えるか叩かれ消えるかは存じ上げない前置き。

 

 

えー、今回はCUNERIAさんところのフリーゲーム芥花」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

少女達が拷問し合って秘密と未来の命を勝ち取るRPG。3つの編に分かれており、それぞれプレイ感が異なるため、本記事も各編に分けて語っていこうと思います。

というわけで、共通して良かった点から。

 

 

 

殺すも潰すもあなた次第

 

まずは共通システムかつ一番に目を引く、「拷問バトル」から。ここで即DLを決めました。発想からして絶対楽しい(心が辛い)やつじゃないですか、そりゃDLします。

システム的に言えば、通常のデフォ戦に使い切っちゃいけないリソースが付与されたバトルです。伝わるかなあ……? いかに削りきらないようにするか気を遣いつつ、自分も死なないよう立ち回る戦いが独特で楽しかったです。

まさに拷問、ストーリーとシステムが合致するゲームは癖になりますね。

 

ゲームにおけるバトルといえば大半が「勝ち・負け」の2種類のみですが、本作は「拷問成功・拷問失敗・負け」の3種類存在するのが特徴です。

で、何が嬉しいって全パターンで異なる反応が見られることなんですよ! 負けた時だけ見せてくれる顔があったり、心が折れた時と殺した時とで台詞が違ったり。セリフ回収大好きプレイヤーとしては実に捗りました!

 

また、ボスに位置づけられるバトルでは、処刑技という確定即死技が飛んできます。必殺技がしっかり必殺してる技は今日日なかなかお目にかかれませんよ。貴重。

処刑技の条件はボスによって異なり、HP以外にも目を配るトリッキーなバトルが展開されることもあります。作品の性質上なんどもボスバトルが起こるので、飽きないような工夫がされていた印象。実に腕が鳴りました。バケツ組のことは絶対に忘れないからな……。

 

 

 

キャラクターの精神面を揺さぶっていく展開

 

さて生き生きと拷問バトルについて語りましたが、拷問といってもグロ描写はマイルドにぼかしてくださっています。例えば死体にはぼんやりと黒い雲がかかるなど、説明文で想像できる残酷描写はあっても、グラフィック自体は血飛沫程度で留められています。

しかし、当然ながら拷問です。手心は皆無です。むしろ、精神的リョナと呼べそうなくらいに、心的には容赦がありません。ここがいい。見ていて心底苦しい、そんなふうに感情移入できるシーンを作れるのがもう素晴らしいです。

 

戦闘中も、キャラクター同士の掛け合いが挟まったり、それぞれモチーフとする拷問にちなんだ前口上が挟まったりと、心と心のぶつかり合いを感じさせてくれました。

 

  • 誰かの秘密を暴く、という後ろめたい喜びを知っている方
  • さらには自分より大切なものをぐちゃぐちゃにする展開が気になる方
  • 仲の良い女の子同士が疑心暗鬼に陥る様に愉悦を覚える方
  • あるいは、共に心を痛め、キャラクターに寄り添って真実を掴んでいくのが好きな方

そういう方々(私)にはもうこれ以上ないって程にグッとくる作品です。

 

 

 

異界を感じる不穏で美しい世界観

 

世界観としても一級、グラフィックやBGMも必見です。

浮遊する草花、ガレキばかりの不安定な領域、視界の端に映る拷問道具等々、マップはどれも不穏さと幻想的な美しさが味わえます。中でもテレジア治療院の不気味さと逆さ倫敦塔のTHE拷問館って感じが大好き。

新しい地域へ足を踏み入れた時の、マップ名表示の仕方もすごく好きです。思わず手を止めて見入ってしまう、良い演出でした。

 

BGMはなんと驚き全てが自作。ゴシックな曲からJAZZ寄りだったり和風だったりの曲まで、幅広く見どころ(聴きどころ?)のある曲ばかりです。

バトルのスキル名も凝っていて、実在する処刑方法や拷問術に沿ったものがほとんど。気になるキャラの元ネタ探しも楽しめます。アウト・デ・フェの説明文と演出が本当好き……。使うだけでプレイヤーの気分まで高揚しちゃいました。

 

 

 

 

と、共通要素の語りはここまで。

ここからは各編の特徴や感想になります!

 

 

 

ユウアイ編

 

やっとこさ各編の語りです。作中の順番通り、ユウアイ編から。

この編は一言でまさにデスゲームです。7人の参加者が穏健派と過激派でざっくりと別れ、互いにけん制し合いつつ、拷問バトルが始まります。プレイ感としては観測者寄りでしょうか。

ある程度自動進行で、右も左もわからないプレイヤーを導きつつ、キャラクター同士の関係や個性を見せていくような構成でした。個人的にもプレイしやすく、2周目以降で彼女達の真相を知るとなおさら台詞が心に突き刺さるところもニクイ演出だと思います。

 

また、ルート分岐が存在するところもポイント。

お話の大筋は固定して理解しやすくしている一方、選択肢は多く、ルート分岐すると中盤から各キャラの役割がガラッと変化していきます。これによってプレイヤーが盤面を動かす、ゲーム的な楽しみも増え、単純な導入編に留まらない魅せ方をしている点がグッドでした。

 

 

 

ビヨウドウ編

 

こちらは一風変わって探索ノベル風。

いわゆる嵐の山荘編です。皆が立てこもり、デスゲームが息を潜める代わりに連続事件の幕が上がります。エンド分岐はあるもののラストまでは一本道、こちらは読み物として楽しい感じ。

ミステリの醍醐味である犯人当てパートがあるのも美味しいですね。犯人はゲーム参加者のうちの誰かか、姿なき亡霊か、はたまた心優しき使用人達か――。

 

思考整理、および前提条件の確認として用意されている「ペネトレイター」も面白い試みだと思います。推理が苦手な人でもなんとなく絞れるようにイングリドからヒントがもらえますし、なによりあの空間をうろうろして色んな仮説を聞くのが楽しいんですよね。

なんかそれっぽく聞こえる無茶な推理とかいうミステリミスリードあるあるが好きな人も楽しめると思います。

犯人当てに失敗しても、バッドエンドまでしっかりストーリーとして演出されているので、むしろ良いものを見れたなあという気になれちゃいます。真相がわかっても先にバッドを回収しにいってしまうゲーム好きのサガが大いに発現しました。

 

また、一見して大筋はミステリとして幕を閉じますが、裏に仕込まれた意味を考えるとかーなーり心がしんどくなります。こちらも、色々わかった後に刺さってくる良構成でした。

 

 

 

ジユウ編

 

そしてついに本領発揮、フリーシナリオRPGとなるジユウ編です。

一言でいえばマーダー編。プレイヤーが能動的にキャラクターへ会いに行くことができます。親睦を深めるもよし、拷問するもよし、さっさとクリアしてしまうもよし。行先も他2編と比べればかなり多く、本当にタイトル通りの編です。

 

フリーシナリオが苦手な私としては戸惑いもありましたが、色んなキャラと戦えてセリフ分岐が回収出来たり、人探しといった探索要素があったりしたのは嬉しい点でした。公式攻略もかなり充実しているので、おろおろした時はカンニングさせて頂いたり。

あとこの編で嬉しいのは、戦いさえしなければ時限イベントを気にせずに済むことですね! 自分のペースで探索し、自分の好きなキャラのところへ行ける、自然とプレイ時間も一番長くなる編だと思います。

 

色んなマップが見れて、辺獄の世界観をより深く知れるのも楽しいところ。世界観がきっちりしてる作品はうろつくだけでもウキウキしますよねえ。

位置づけとしては回答編に近く、色々な疑問が氷解していくのも気持ち良かったです。

 

 

 

惜しい点

 

これだけ絶賛している中でそれでも個人的にかなり引っかかった点もあります。あえてそういうシステムにされていると思われる箇所がほとんどなので、列挙だけで。

  • 微妙に行き来しづらい位置のセーブポイント
  • ワープが一方通行(ワープがあること自体は嬉しい)
  • 通常移動速度が遅い(ダッシュをデフォルトにしたい)

辺り。戦闘難易度もそこそこ高めなので、この辺りのシステム面で間延びしちゃうところは合わないなーと感じました。

でも逆に言えば、あげられる場所がそれしかないくらいどこもかしこもぴったり好みに合う作品です。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

デスゲームもの、百合、鬱展開エピソードなどが好きな人は是非とも。

 

追記ではネタバレたっぷりの感想です。

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フリーゲーム「バッドウェディングクラッシャー」感想

「全員が幸せになるなんてのは絵空事だと常識を語って楽しいか」

周りが笑顔ならそれでよしな前置き。

 

 

えー、今回はことりさんところのフリーゲームバッドウェディングクラッシャー」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

エンド分岐あり、ティラノビルダー製の恋愛ノベルゲー。ギャグと鬱が休む間もなく舞い降りてくる民族ものです。20190923現在は公開停止中のようですので悪しからず。

 

 

 

良かった点 

 

ハッピーエンドを掴み取れ!

 

今回はちょっと変則的に、私の攻略順から話していきます。

ふりーむ説明文に勢いよく書かれている通り、本作はバッドエンド回収後のハッピーエンドを推奨されています。が、私は鬱展開好きでしててっきり本作も、私の好きな展開を最後に見て終わりたいなーと思って、先にハッピーエンドの回収をしちゃったんですね。

もうね、実にもったいないプレイをしてしまいました! 人の言うことを聞きなさい私!

本作のハッピーエンドはつまるところ、トゥルーエンド的な立ち位置なんですよ。バッドで躓いたところがしっかり解決されていって、しこりが残るけど今までの道のりが報われる――みたいな、あれです。なので私のような嗜好の方も是非、好きなものを先に食べに行ってください…。

公式説明文にネタゲーバカゲーと書かれまくっていたので、ここまできっちりまとめてくれるとは思わなかったですね。良い意味で。

 

 

 

草原の風を感じる異民族描写

 

本作の魅力の一つが溢れる異民族描写。

民族模様の布が敷かれ、弓が飛び馬が駆け月が満ち、豊かな自然の中で血肉を争う部族間のやり取りがあり――――等々。ファンタジー世界でもこういう草原の民的な部族を主とする作品は個人的になかなか出会えていないので、とても新鮮でした。猛禽が止まり木にできるよう腕にカバーがつけてあるなど、随所に「わかってるぅ!」とお囃子を入れたくなる描写がいっぱいです。

民族織物、部族の因習婚姻儀礼、男の三つ編み、などなど私自身好きなところも多くて楽しかったです。誘拐婚という文化を知れたのも嬉しい。冒頭とエンドのムービーが、民話・絵巻物風に描かれているのもすごく雰囲気が出て素敵でした。

 

 

 

勢いよく世界観をぶち壊すメタギャグ

 

さて、そのように誇り高く脈々と受け継がれる草原の民を土台として――

勢いよく自らの世界観に殴りかかりブッ壊していくのが本作です。

 

いやだってふりーむのキャッチコピー引用しますが、「幼馴染みの絆を守り抜く為にマッチョが花嫁姿になって奔走するハートフルボッコバカゲーですよ。雄大な自然もはだしで逃げますよそりゃ。いやさすがに本編中で大自然が逃げることはないんですけど。

本作は一人称視点のノベルなんですが、遠慮なくRPGのパロディ的なギャグが入ったり、今をときめくギャル用語がぶち込まれたりと、バッドウェディングのみならず世界観も盛大にクラッシュしていきます。

 

普段であれば私はこういうメタギャグにかなり否定的なのですが……こと本作においてはここが良いなと強く思いまして。それは笑えたからという意味だけではなく、後述する「素の感覚」に近いものを感じるからなんですよね。

また、異国の民族もの、という私から離れて見える世界観の中で置いてけぼりにならずキャラ達を身近に感じたのは、こういった容赦ないメタギャグ部分があったからなのかなとも思います。

 

 

 

素の言葉で想いを語るシナリオ

 

さて、最もよいと感じた点が、先にも上げた「素の感覚」、ナチュラルな語り口です。

実は本作、鬱展開はとことん重く、血も情念も呪いも飛び交います。そんな状況だと人ってこう……普通ならカッコつけたり誤魔化したりして、凄惨な展開に何か意味を肉付けしようとしがちだと思うんですよね。そういう気負いみたいなのが本作にはなくて、「彼らの言葉がここにある」と感じられる語り口だったんです。伝わるかなあ、これ。固定観念的な台詞も多く出てきますが、あれは反論として意図して描かれているものでしょう。

 

具体的に言うと、ハッピーエンドルートでカルタルが覚醒した後のトールの口調がすっごい好きだったんですよ。正しいとかわかんねーよ俺、でも見たくねーもん、みたいなあれ。もう完全に感覚が一般市民なんですよね。この素の感じがすっごい好きなんです。そうだよなあそうだよなあと頷きたくなる。

バッドエンドのゲルダの「一人だけに」って部分も好きですねえ。なんだろうなー、人それぞれの気持ちが、変な装飾無しに生の声でぶつかってくる感じがしました。

カルタルが最後にてんやわんやしながら幸せなキスをするところもすんげぇ好き。ああいう慌てふためき方とかが、作りものじゃなく、素で見られそうな感じが好きです。

 

 

 

 

合わなかった点

 

システム周り

これはティラノビルダー自体の問題かもしれませんが列挙します。

①オートモードがない。

②セーブロードの時の確認ボタンがない。分岐が多くこまめなセーブを推奨されているのにも関わらず、上書き事故が多発しやすくなっています。

③セーブロード画面が見づらい。黒背景に黒字なので時刻表示やメッセージが一部見えません。

④起動するたびにOPが始まる。エンドの演出的に意図はわかるんですが、物語の途中で区切りたい時に不便。

⑤重い。上記に付随して、他ノベルゲーと比べて.exeが起動するまでかなりかかります。ざっくり換算で3倍くらい。

⑥メッセージ表示速度の調整がない。デフォルトの文字表示はかなり遅め。

⑦選択肢でスキップが止まってくれない、バックログがない。周回プレイで油断するとテキストを読み飛ばす。

などなど。

あとあとがきで著作権に触れられていましたが、そこ気にするならヤラナ・・は大丈夫なのかなー、なんて。ググってみたけどニコニコモンズしかヒットしなかったんですよね。気になるき。

 

 

立ち絵表示の仕方

 

ちょくちょくキャラの立ち絵表示がバストアップ超えてもはや顔だけに見えることがありまして。ゲルダが多かったかなあ。この方のお目目の描き方がすごく好きなので、ドアップで見れるのは嬉しいんですが。

プレイヤーの目線的にはメッセージウィンドウから上が立ち絵に見えている気がしてまして。つまり現在はデフォルトがすでにバストアップに見えてる状態なので、立ち絵表示をもっと小さくする?引きで置く?などしたら良いんじゃないかなーと思います。

 

 

地の文の説明感

 

セリフだけで状況がわかるのに地の文で過剰に説明しているところがちらほらあり、テンポが悪かったです。特に本作は勢いで魅せるところもあろうかと思うので惜しまれます。ハッピーエンドルートで特に多かったかな。

 

 

 

 

最後に熱く主張しておきたいこと

 

 

本作の圧倒的な独創性

 

最後にちょっとえらそうに語らせてください。

本作の長所だと私が感じている、「ギャグと鬱の紙一重」「雄大な民族的世界観」「メタメタ超展開」は並みの作品であればマイナスとして取られてしまう点だと思います。

とにかく相互の食い合わせが悪すぎる。ただでさえ鬱展開には煽りの風が吹きやすいうえ、ギャグゲーという看板や、何一つ暗い要素の無いお気楽ハッピーエンドが来るかの様に読めてしまう説明文などを含め、何かと危うい因子を持っています。それに勢いがあるということは人を振り落とす可能性も勿論あるわけで、はっきり言って人を選ぶゲームだと強く感じます。

 

が、こと本作においてはこの路線を貫いてくれてよかったと心から言いたい。

これね、他の人の視線とか意識しだしたら絶対このゲームの最大長所である「素」の感じが薄れちゃうと思うんですよ。

なんか、本当、不思議な感覚の余韻が残るゲームです。リアルなキャラがいるのではなくフィクションのキャラの声が生で聞こえる感じ……。

このゲームだけでしか味わえない良さはあります。過剰にも過小にもならずマイウェイを走り続けてほしい……。ほしかった……。作者様の情報は集めていなかったので公開停止のご事情はわからないんですが、気が向いたらまた創作活動してくださったら嬉しいなあという気持ちです。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

なんか、こう、すごい。鬱があるからとかギャグがやばいからとかそういう意味ではなく、独自性をすさまじく感じるゲームでした。うん。カルタルがとても好き。

暴風雨を感じたいあなたに。

 

 

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フリーゲーム「Reincarnation」感想

「本当のことはすでに知ってる、だから気づかせるだけでいい」

脳内会議は行う前に答えが出ている前置き。

 

 

えー、今回はRabbit☆Potion(らびっと☆ぽーしょん)さんところのフリーゲームReincarnation」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

仲間選択の分岐はあるものの、お話は一本道で周回必須なRPGキャラゲー寄りで、戦闘難易度はたぶんそこそこ、レベリングしてのゴリ押しは可能。

 

 

というわけでまずは良かった点から

 

 

水彩のようなグラデーションの美しさ

 

推したいのはグラフィック面。かなり多くの少女達が登場しますが、どの子もかわいく、立ち絵が魅力的です。敵ボスには複数の立ち絵を持つ子がいる他、公式サイトでクリア後限定頁として立ち絵が公開されています。

どの子もキャラデザがいいんですよね!

中でも、リオの†漆黒†な感じと、黄うさぎのもっふもっふ具合、アポロンヌのパンツルック、ヴァルネの道化師っぽい雰囲気が好きです。ヴァルネはマエストロだけど、まあまあ。

なお百合ゲーというわけではなく、基本はキャラ単体で完結しています。短い会話が二言三言ある程度。でもやっぱり分類するならキャラゲーになるかなあ。

 

 

 

固有の詩とBGM

 

ゲームを進めるごとに一人ずつ少女が仲間になり、それぞれの宝石に応じた詩とBGMが楽しめます。この詩がまた、こう、心をくすぐるんですよねぇ。そのキャラの性格や背景事情もぼんやりと伝わってくるし、言い回しが響くんです。それぞれテーマが設定されていそうなところも興味深いですね。

本編のテキストまでポエム調で真相が伝わりづらいのは難点でもありますが……統一感はありますし。人魚の2周目の戦闘前口上が好きです。

宝石ごとに背景やBGMが異なるのも凝っていて素敵。

ダンジョンでのBGMも特徴的で、戦闘に入っても雑魚戦ではBGMが継続し、地続きの世界観を感じられます。ボス戦はきっちり専用BGMになるところも良い盛り上がりでした。

 

 

 

皆の一言がじんわりと沁みるエンディング

 

具体的にはエンド後のクリア部屋ですが、ここが実に良かったです。

詳しくは語りませんが、創作活動に関わったことのある人なら特にグッとくるんじゃないかな。暗い要素もありますが、優しさに溢れているお話でした。

周回が想定されているつくりなだけあって、二周目以降でセリフが少し変わるところも見どころです。

 

 

 

 

続いて合わなかった点について。

 

 

多さに比べて一辺倒な仲間たち

 

仲間になるキャラは2周目以降のキャラも併せてなんと驚き24人。

これだけいれば戦略も自由自在――となりそうなところなんですが、実際にキャラを入れ替えながら使うことはほとんどありませんでした。

 

まず、どのキャラも加入した段階ではレベル1。仲間の加入は一人ずつ。初期スキルがない子もいて、試しに使ってみようという気になりづらかったのが一番の難点です。

経験値を多く持つボーナス敵がいたり、経験値増加アイテムがあったりしたら、もう少し印象は変わったんですが……これだとインフレも起こしてしまうので悩ましい。加入時のレベルをパーティメンバーと同レベルにしてもらえたら嬉しかったですね。

 

続いて、キャラのスキルの差別化が少ない、ギミック性のあるボスがいない点。

基本的に攻撃技と全体回復を放っているだけで戦闘が終わるので、そもそもキャラを入れ替えて試行錯誤しよう、という気が起こりませんでした。

キャラの技も共通しているものが多く、牡丹<エーリエルなど上位互換キャラがいることもしばしば。このキャラならではの戦い方! というのをあまり感じられなかったのも要因だと思います。それ以前にキャラ独自の戦い方を知るところまで至れなかったというべきかな……。

 

あと単純に、スキルの説明が少なめ。

例えば「おうえん」は選択した対象に何が起こるのかわかりませんし、カウンターが魔法攻撃に効かないなんて書いていない、そもそもどれが魔法でどれが物理かすら明記されていない。世界観を重視して説明を減らしているのかもしれませんが、うーん。

 

これらの要素は本来、バトルメインの作品に求めるべきだと感じています。そしてこの作品はキャラゲーだと思うので、バトルバランスを要求するのはちょっとお門違いな気もしています。

でも、これを書かずにいられない理由が次に繋がりまして。メインディッシュがあまりに遠すぎるのでその繋ぎとしてバトルを改善して欲しいんですよねぇ。

 

 

 

1周目の無味乾燥さ

 

真相がわかるようになるのは1周目クリア後から。

その前菜となる1周目がとにかく単調でした!

伏線や謎というよりは思わせぶりなポエムが置いてあるだけで、目立ったイベントも演出もなく、淡々とダンジョンに潜り適当に少女を選んで帰るだけ。ならストーリー以外がメインかと思いきや、戦闘も探索もシンプル過ぎる構成。

ここ、本当惜しかったです。

 

いっそバトルに全振りして色んな少女を使うような作りになっていれば、もっともっと少女達に愛着が持てたでしょうし。過去話や各少女の世界に触れるダンジョンやイベントがあれば、もっと彼女たちの物語を知りたいという原動力になったでしょう。

「先が気になる!」というよりは「何をしたいのかわからないまま進んでいる」印象でした。クリア後の部屋が実に良かっただけに、そこに至るまでの道のりが淡々とし過ぎているのがあまりにもったいなくてなりません。

 

 

 

移動の手間

 

終盤はダンジョンがかなり奥地まで広がるのに対して、ボス前ワープや便利スキップは一切なし。帰還アイテムはありますが、行きは徒歩なので有用性は半減します。せめて攻略済みのダンジョンは一発ワープさせて欲しかったなあ。

ボス前回復が置いてある辺りは優しいんですけどね。

 

 

 

どこまでが完全クリアかわからない

 

3周目になると隠しダンジョン等はどっと増えますが、メインダンジョンをクリアし切るといつでもエンドに行ける分、逆に「これでコンプした」という確信が持ちづらいです。あの短い会話のキラキラを全部集めれば完了だと思うのですが、その集まり具合を本編で確かめられないのがどうにも。ボスを倒して見逃しを確認してはロードして戻ってきてもう一度ボスを倒すというちょっと感動が台無しな事態になってしまいました。

 

でも、皆の会話を集めきって周回プレイをせず終わった時の、あの演出は、心から愛しています。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

グラフィックはとても良い、キャラクターもかわいい、でも肝心の中身に辿り着くまでが遠く味気ない。そんな、一歩惜しい印象がある作品でした。

 

追記では軽くネタバレ感想など。

 

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