うそうさ〜第二号室〜

フリゲ!鬱展開!ヤンデレ!万歳

フリーゲーム「魔導箱のグリモワール」感想

「緻密な解法であれ手慰みの開放であれ、通ずる回答はただ一つ」

開けてしまったね、な前置き。

 

 

えー、今回は鳥小屋ポータRuさんところのフリーゲーム魔導箱のグリモワール」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

1プレイ数分、実績全解除は私の場合30分くらいの短編パズルゲー。

スマホ操作推奨ですが、私はDLしてプレイするのが好きなのでマウス操作でやりました。両方試してみた感じ、圧倒的にプレイしやすいのはスマホですが、PCでも問題なく全クリまでたどり着けるのでご安心ください。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

さくっと1分、長くて5分のお手軽ゲー

 

1プレイ数分のお手軽さがまずポイント!

シンプルモードでは1プレイ1分制限。チャレンジモードでは時間無制限ですが、私の初見プレイ時を考えると長くて5分くらいかなと思います。この、気づいたら終わっちゃう時間間隔がすごく良いんですよ。あともうちょっと遊びたい!という気持ちが膨らんで、気づけば数十分過ぎちゃうなど。

パズルゲーなので集中力的な意味でも、ちょうどよい時間感覚でした。

 

 

 

手のひらでパズルに触れているようなプレイ感

 

本作はマッチ3という、縦横3つ同じ駒を並べると消えるタイプのパズルゲーです。

その中でも大きく、そして大好きな要素として挙げたいのが、プレイ感! 列をずるずると縦横にずらして盤面を消していくんですが、この感覚がまさに、リアルでパズルを手に持っているような感触なんです。

列をするする滑らす時のカシャッっていうSEや、止めた時の抵抗感、カチッとハマり込む感じがホントまさにそれなんですよねえ。リアルでも、解けないなりになんとなくカチャカチャしてるだけでパズルを楽しめる自分としては、最高にしっくりくるプレイ感でした。

 

あと私、この手のパズルゲームは1マス分だけ入れ替えるタイプのものばかりプレイしてきたので、列を長々ずるずるっと移動できるパズルはかなり新鮮でした。

こう……私はズーキーパーとかかしわもちに慣れていたのでヨッシーのクッキーは初めてみたいな……通じるかな……。いやでもヨッシーとも違って、本当に体感ルービックキューブなんですよ。列を移動させた後、勝手に戻っていかずに移動させたままにできる、っていうのが他にないルールで面白かったです。

 

 

 

運要素強めで大連鎖

 

画面構成が斜めなのがまずもう大胆ですよね!

この傾いでる感じも、パズルを手に持ってる時のバランスが感じられて好きなんです。ふふふ。

パズルを消した後、落ちる方向も独特。通常なら盤面が上から下へと詰まっていくものかと思うのですが、画面が斜めになっている関係で、落ちていく方向に右下か左下というランダム性が生まれます。連鎖の条件、というか次に装てんされるパズルの条件?も緩めで、意図せず大連鎖が起こることもしばしば。

カチャカチャ回してて気づいたらカラッとほどけていく感じも、どことなく知恵の輪らしさがあって好きです。

 

 

 

時にはのんびりお喋り

 

ストーリーはおまけ程度、でも断片で想像を膨らませれる方には嬉しいボリュームでした。

シンプルなシステムをお話として際立たせてくれるのが、画面上でずっとそばにいてくれる可愛い魔導士、レヤックの存在です。パズルを解く間も頻繁にプレイヤーへ話しかけてくれるのが嬉しいんですよねえ。吹き出しの位置も良い具合にちらっと視界の端に入るポジションなので、プレイしながらでも読みやすかったです。

会話パターンもかなり豊富。ちょっとした日常話から箱にまつわる話、彼女の人間関係に至るまで、色々なお話を聞くことができます。そこから広い世界へ想いを馳せるもよし、彼女の時々おとぼけながら常に探究と共に生きる姿勢に感服するもよし。

プレイヤーの属性が透明なのも良いんですよー。彼女の友人でも恋人でも弟子でも通りすがりの見物人でも、どうとでも取れるおしゃべりなところが好きです。

 

 

 

実績解除にもさりげないパズル要素

 

実績解除の為にもすこーし頭を捻る必要があります。ここがミソ、隅から隅までパズルゲーな作りに脱帽しました!

図鑑ページのヒントを元に、できることを色々試してみるのも本作の醍醐味の一つです。

こういう宝探しみたいなの大好きなんですよ! 行けるところ全部行って、遊び尽くして味わい尽くしてる感じ。とってもわくわくしました! 実績自体は易しめなのも嬉しかったです。

 

 

 

 

他にも、放置してると出てくるデモムービーはアーケードゲーみたいで楽しかったですし、ふよふよ浮くレヤックの動きは見飽きませんし、消す魔法素によって演出が違うのもさりげなくお洒落ですし、BGMチョイスもほどよく落ち着く良曲ですし……。

 

お手軽さの中に魅力がぎゅぎゅっと詰まった、宝石箱みたいな作品でした!

 

 

 

 

ちなみに私のプレイ記録はこんな感じ↓

 

 

フリーゲーム「十二月のパスカ」感想

「産声もなく断末魔もなく、ただその手の感触だけが」

君の誕生を示していた前置き。

 

 

えー、今回はFISH CAKE(フィッシュケーキ)さんところのフリーゲーム十二月のパスカ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

全クリまで1時間強程の一本道ノベルゲーム。最後まで丁寧に鬱展開。年頃の男女が愛を求める話ではあるのですが、“恋愛”とは呼びがたい気持ちもある、独特の作品です。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

サイコパス・ノベル

 

理解されがたい感覚を持った、男女二人がメインキャラクターです。

仮に「環境のせいで人はおかしくなるんだ」と言ってしまうのなら、この二人はまさにぴったりと当てはまります。これを言うのは本当に悔しいんだけど、二人が「サイコパス」な理由の一旦は環境、もっといえば家族と起こった過去にあって、そこは切って切り離せないんだと思います。

でも、じゃあ、倫理観ぶっ壊れたこの二人と私は、ただ環境の違いというものだけで隔てられているのかといえば、答えはノーだと言いたいんです。対岸の火事じゃないんです。感情移入してしまうんです。

サイコパス・ノベル。彼らの感覚を受け入れられないプレイヤーさんも絶対出てくるはず。尖った作品です。けれども、児童虐待に無理解をぶちまけて悲痛な設定を面白おかしく「サイコパス」と揶揄するようなお話ではありません。真っ向から彼らなりの愛を模索するお話であったと、強く感じます。

 

余談ですが、登場人物皆の名前が伏されていて、匿名性が高いところも独特で好きです。画面向こうの他人のニュースに似た、どこか遠くの事件のように錯覚してしまうところが実に巧み。

都市伝説めいた幕の閉じ方も併せて、ひと繋ぎになっていて好きです。

 

 

 

愛するということ

 

ボーイミーツガール、というとそれっぽく聞こえますが、青春や恋愛というよりは疑似家族と言うほうが個人的にはしっくりきます。わざとらしいほどに強要される家族のロールプレイ、これが和やかでもあり不気味でもあるんですよね……。

この、薄皮一枚隔てた冷たさがとても肌身に合いました。

本作は確かに鬱展開だと思うんですが、かといって悪意に塗れているわけではなくて、むしろ色んな形の愛に満ち溢れています。家族愛から始まり、施設の人達の慈愛、見知らぬ女の自己愛、二人の少年少女が掴んだ愛、などなど。

彼らの結論は、もしかすると冒頭から指し示されていれば、陳腐だと思えてしまったのかもしれません。でも、シナリオを通じて主人公の心の動きを追うように、説得力もしっかりと肉付けされていくので、納得感は強かったです。

 

 

 

孵りそこなった子どもたち

 

このゲームは卵を連想させるモチーフがいくつもあります。セーブロードなどのアイコン、卵料理、章のタイトルなど。私はDL版でプレイしたんですが、起動ファイル名を見て、おや、と思いまして……。こういったところから作品が既に始まっているのって素敵ですよね。

さて、ここまで徹底して卵をちりばめている一方、作中において明確なキーワードとして登場人物が卵に連なるメタファーを口にすることはありません。しかしながら、プレイヤーはその意味をどことなく悟ることができます。

たぶん、解釈が分かれるところだとも思うのですが……この辺りはどうしてもネタバレになってしまうので、追記にて。

 

とにかく自分が述べたいのは、物語における主張について。

物語のテーマとかって、渦中にいるキャラクタ―達が口にした瞬間、それはキャラの言葉ではなく作者の言葉になってしまうような気がしているのですが。

そこを綺麗に切り離して、「共感されがたいサイコパス」と「理解しやすい作品のテーマ」を共存させているところが、素晴らしかったです。

 

 

 

きっちり締めるシステム

 

具体的にシステム周りにも触れておきます。

本作はティラノ製ということで、初めは偏見持ってシステム面は全く期待せずプレイしてたんですが……。蓋を開けてみればこれが見事! オートあり、文章ログあり、文章スピード調整もしっかりできて、セーブロードもバグらない!

いやこれ当たり前だと思ってるプレイヤーさんいらっしゃるかもですけど、ティラノゲーだとかなり貴重なんですよ……。ビルダーじゃなくてスクリプトだからかもしれないけども……。

システム周りもきっちり整って、安心して物語に没入できる作りです。

クリア後はチャプターごとに回想できるのも嬉しい!

 

 

とまあ、こんな感じで。

鬱展開、かつ、色々と深く考え込みたくなるノベルゲをお求めの方に強くオススメの作品です。

 

追記ではネタバレ感想や、軽い考察・解釈など。

 

 

 

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フリーゲーム「Rene」感想

「血の跡を追ってここまで来た」

でもきっと彼だけには違う何かが見えていた前置き。

 

 

えー、今回は猪垣ハインツ(さよならメメント)さんところのフリーゲームRene」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

プレイ時間数分程度、クリックで読み進める探索ノベルゲ。謎解きなし、一本道、雰囲気ゲー。

関連作として『Goodbye Carol』(以下carol)というノベルゲもあります。公開順としては『Rene』のほうが後なんですが、個人的にはこの『Rene』のほうを先にプレイする方が理解が深まる気がしています。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

もの悲しさを含むセリフ回し

 

文章量自体はかなり控えめ。しかし的確です。腕を調べた時のあの一文でガッと心を掴まれました。「どうして?」から直後に「ああ……」となる流れが好きです。

台詞もどこか詩的で、ちょっとした一言に哀愁が漂います。殺伐とした世界観に反してゆったりとした雰囲気が感じられるのも、皆に終わりが見えているからかもしれません。

 

とはいえ、舞台設定などがふわっと流されているのも確か。明確なストーリーラインに感情移入していきたいタイプのプレイヤーさんからすると、物足りなさはあるかも。

単品でもプレイできるとありますが、むしろここから続編のcarolをプレイして彼らの結末を見届けるのをオススメしたい気持ちがあります。

 

 

 

血と蝶が導く先

やっぱり好きなのはマップの描き方。

意味深なものがぽつぽつ落ちてて、その理由は自分で探っていくみたいな、静かな雰囲気が好きなんですよねえ。探索ゲーの醍醐味。

一見どこをクリックできるか悩みがちですが、マウスカーソルの変化を気にすると一目瞭然です。やろうと思えば何一つ調べずエンドへ直行できる作りも、どことなく容赦のなさというか、未練を抱くまいみたいな感情を受信できて好き。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

いつもだとこのくらいの短さのフリゲは複数作まとめた特集記事で一気に感想を書くんですが、本作は関連作と含めた考察解釈などを追記に長々と書いているため単記事として……。

 

と考えていたところなんと、これを書いて寝かせている間に公式から設定資料集が公開されました! やったーー!

sayomeme.booth.pm

キャラのみでなく背景や没絵などもあり、文章はもちろんのこと、ビジュアルブックとしても楽しめます。是非に!

 

 

一応、こちらが公開される前の考察もせっかく書いたので追記に残すだけ残しておきますね。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

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フリーゲーム「Goodbye Carol」感想

「事故だ、殺人だ、呪いだ、人はそのように言いました」

そして彼女は祝福だと言いましたの前置き。

 

 

えー、今回は猪垣ハインツ(さよならメメント)さんところのフリーゲームGoodbye Carol」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

選択肢はあるものの、エンド一つで一本道のノベルゲー。

展開だけ見ると悲惨なシーンもあるんですが、鬱というよりは切なさや仄暗い穏やかさが漂う感じの作品です。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

幽霊・首なし・墓守の世界

 

やはりまず印象に残るのは死と隣り合わせのキャラ設定かなと思います。

足無し幽霊の主人公、首無しの従者、墓守のお友達、喋る骸骨達、などなど。設定だけ見るとどことなくハロウィンめいてるんですが、残酷さやお祭り騒ぎ感は控えめ。時に明るく、時にしっとりと、穏やかな生活をしているような雰囲気です。

立ち絵の差分やスチルも多く、何よりタイトル画面の構図からしてとても魅力的。みんなの顔が見えないところも含め、意味深でとても好きです。

 

 

 

あくまでミステリ風ノベルゲー

 

記憶喪失の主人公の過去を思い出すため奔走する、というのが本作の第一目標になります。よりどころもなく、誰が知人かもわからず、自分自身のことすら定かでない……となれば不安感でいっぱいになりそうなところ。ですが興味深いのは、ミステリであってもヒリヒリした緊張感は無く、常にどことなく穏やかさを感じるところです。

 

オズワルドとのコミカルなやり取りがやっぱり影響してる気がしますねー。彼、好きなんですよ! やり取りも良いし、首が無いのに表情豊かなところも素晴らしい。

他にも、サブキャラの髑髏たちもデフォルメかわいいですし。カーリー自身が賢く冷静で色々とツッコミもこなしてくれるのも影響してるかも。

そんなわけで舞台設定自体はけっこう暗いんですが、落ち込みすぎず、穏やかに結末を迎え入れられたように思います。

 

 

 

選択肢が見やすい、わかりやすい

 

さりげなく助かった点として、選択肢の表示の仕方。

本作はティラノ製なんですが、選択肢のボタンの配置や背景画像での補足がすごく助かりました。特に例の、ABCDの選択肢。配慮の行き届いた作品だなーと感じたものです。

そのほか、スキップやオートなどのシステムも完備。ただ、オート機能をかけたままセーブすると、再開した時に文字表示が軽くバグるのでご注意を。

エンドは一つなので選択肢自体は遊びに近いんですが、世界観も深まるし、オズワルドの反応も面白いので、色々試してみるのをおススメします。

 

 

 

惜しい点

 

終盤が駆け足

詳しく書いてしまうとどうしてもネタバレになるので追記に隠しますが、急に作品のテンポが変わったなと感じました。爽快さよりも戸惑いと新たな疑問への引っかかりが出てきてしまったように思います。

といってもこれは私の呑み込みが悪いだけかも、なんて。関連作『Rene』をプレイするとかなり感じ方が変わると思うので、そちらも是非チェックしてみてください。

逆に言えばクライマックスでの勢いが良いとも言えますしね! 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

ミステリ“風”であり、謎解きや真相の究明が主題というわけではないので、未プレイの方はそこも加味しておくとよりベター。真相を土台として、キャラ同士の関係性に着目していくお話だなーと感じました。

 

追記ではネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

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フリーゲーム「夏の花火とバリアーズ」感想

「我ら仲良し三十人組!」

いっそ5で割っておきたい前置き。

 

 

えー、今回は牧場の牛肉さんところのフリーゲーム夏の花火とバリアーズ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

VIPRPG、探索ゲーかつデフォ戦バトルゲー。エンド分岐あり、同梱テキストファイルに攻略の記載もあり。タイトル通りメインキャラはバリアーズですが、後発のもしもキャラを中心に登場キャラはたっぷり大勢います。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

夏と祭りをじっくり楽しめるマップ

 

2014夏祭りで提出された本作、あっちもこっちも屋台と祭りでとっても夏な雰囲気でしたー!

初めは広大なマップに驚かされましたが、あちこちに色んなキャラがいて、いくら歩き回っても飽きません。花火を見る広場、屋台、釣り堀、薄暗がりの林など、夏祭りという縛りの中で多様な魅力を見せてもらえました。特に屋台エリアのわいわいがやがや感や、林の隠し通路を歩くとマップも暗くなる演出が好きです。

もちろんお祭り騒ぎのみならず、ドキッと肝の冷える納涼ホラーイベントもあります。やったね!

マップには随所でワープポイントがついている他、エリアごとに隠れた敵ボスの残数も教えてもらえて、景観のみでなくRPGとしても秀逸な作りです。

何よりフィールドBGMがずっと共通で流れ続けるところがすごく良い……。

 

 

 

アイテムも掛け合いも楽しめるキャラ達

 

祭りと言うことで登場キャラも多種多様。

ナイ軍の登場枠が多かったように思いますねー。ダークファルコンなど、ハブられがちなキャラがいるのも嬉しいところ。敵ボスキャラも賑やかしのキャラも、楽しく和気あいあいとちゃんばらしてる感じが微笑ましかったです。

キャラもただモブとしておいてあるのではなくて、おつかいをこなすとアイテムがもらえるなど、プレイヤーの利点として設置してあるところが二重に素敵でした。

射的も楽しかったですねー! 何に役立つのかと思っていたら、ほのぼの百合なイベントでにこにこしました。キバリかわいいねキバリ。スバリちゃんはこの作品で初めて出会ったんですが、リバリちゃんとの言い合いがまさにじゃれ合いって感じでほのぼのしました。

 

 

 

探索だけでもエンドが見れちゃう?

 

本作、個人的にはおつかいイベントもあり戦いもありでRPGだと思っているのですが、戦闘ありのADVだという人もいそうな気がしています。というのも、トゥルーエンドとノーマルエンドは戦闘なしで見られる(はず)だからです。間口の広さよ。

バッドエンドは良い感じにホラーで鬱展開なので個人的にはとてもオススメしたいところですが……。全体的にあったかくて仲良しな女児向けほのぼの展開なので、ギャップが怖い人は見ないままのほうが平和かも。

 

で、面白いのは戦闘だけじゃなく探索もレベルアップしていくところ。例えばバトルだと、敵の強さが上がってスキルも強力なものが増えて~ってだんだんと難易度が上がっていくものだと思うんですが、本作は探索も段階を追って難易度が上がっていくんです。

例えば隠し通路。初めのエリアであからさまに怪しい道の跡を見せておいて、次のエリアでは道の跡がちょっと狭くなって見つけにくくなってるんですよ。ここ、さりげなく良いポイントだなーと感じました。

このゲームはこういうルールでできてるよ、っていうのを、プレイヤーを動かして判らせるタイプの作品とても好きです。誠実。

 

 

 

前衛後衛カウンター後発ヒール盛沢山

 

さて、ようやっとバトルの話ですよ!

探索をひたすら押してきた前半ですが、いやあこれが、バトルもめっちゃ面白いんですよねぇ!

まずデフォ戦で前衛と後衛の概念を置いているところが斬新。敵の前後もモングラだけでなく、戦闘開始時にはっきりと≪後衛確認≫で誰がどこにいるのかを示してくれます。ここめちゃくちゃさりげなく誠実で実に良い。

敵の攻撃も、数で押してくる敵からターンごとに戦闘パターンが変化する敵、はたまた敵の攻撃にメタ張ったスキルで詰将棋をすることになる敵まで多種多様です。エターナル戦楽しかったね。

中には特定のスキルを取らないととても倒せないであろう敵も登場しますが、そういった敵が出るころにはスキルを買うための欠片も有り余っているはずなので、ためらわず試行錯誤できるかと。うーん、良バランス。

 

ただ売買については、合わなかった点もありまして。

まず売り物のランクアップについて。ランクアップ=上位互換スキルが出るという意味かと思っていたので、なかなかスキルを買って試行錯誤する勇気が持てず……。品ぞろえが増えるよ、くらいの言い方だと嬉しかったかも。

あと装備品を買うタイミングにも悩まされました。闇勇者たちを倒したらもう一回ランクアップすると思い込んでいたので、今の売り物で頭打ちだよっていうセリフは欲しかったかなあ。……もし見逃がしてただけならごめんなさい!

加えて、終盤の星5の敵より序盤の星3の敵のほうが難易度としては辛かったように感じます。でもこれは上記で私が勝手に引っかかって節約してたからかも。

 

それでも、序盤は装備を買ってアイテムは節約しようって事前に聞けるところはありがたかったです。欠片もしっかり探索して拾って売ったら億万長者になれるはずなので、原則としてはすっごく親切設計でした。疑わない心、大事。

MP回復アイテムが自分にしか使えないところも、バランス調整として至高だなと思います。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ケンカしつつもみんな仲良し! なあったかい雰囲気と、夏祭りの賑やかでありつつもノスタルジックな世界観、両方が味わえる良作でした。

 

追記ではネタバレ感想や攻略など。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

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フリーゲーム「ミノニヨクシティ」感想

「君は悪くないということと、誰かが悪いということはイコールにならない」

誰にも悪いものを押し付けずに生きてみたいな前置き。

 

 

えー、今回はせがわさんところのフリーゲームミノニヨクシティ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

エンド分岐有りの探索ゲー。主人公の見た目が単眼だったり、ホラーめいた演出や心をすり減らすような描写はありますが、それらも踏まえて温かい場所へ帰結するお話です。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

厳しい社会と優しい世界

 

痛みや理不尽を誤魔化さず向き合っているお話だなあと感じました。同時に、そういった傷ついたものたちに優しい世界であるなあとも感じます。

この作品、びっくり要素や追いかけっこ自体は無いんですが、肝の冷える描写やリアルに突き刺さってくるシーンはかなり多いんです。で、やっぱり怖いものってやっぱり印象に残りやすいので、つい鬱ゲーと言いかけてしまう気持ちもあります。

 

それでも、それでも温かい話だと思う理由が、明確に一つあります。

このゲームは戦わなくて済むからです。

システムとしてバトルが無いという意味ではなく、本作の中のシーン全てにおいて戦わなくて済むところが好きです。

例えば、大事なお友達のためにがんばるシーンがあります。でもそれは障害物を排除するというやり方ではなく、ちょっとお目こぼししてもらうというやり方で切り抜けます。

例えば、辛い辛い現実と向き合うシーンがあります。けれども、自分自身との対話をしたり、過去の自分を否定したりすることはありません。

 

糾弾されないって本当にありがたいんですよ。

辛いと分かってて選んだ道だし、あるいは何かを捨てると分かって選んだ道だし、プレイヤーがエンターキーを押す瞬間にその罪悪感はのしかかってきてて、きちんとその道の辛さも実感できるように創られている。そのうえで、誰かが肯定してくれる、あるいは未練がないように整えてくれるのは本当に優しい。あたたかなお話だなあと、心から感じます。

 

 

 

たくさんの優しい人たち

 

本作の中で、主人公のピギュラ君はミノニヨクシティの新しい住民として、一生懸命色んなことをこなしていくわけなんですが……。

心から実感したのが、“やさしさ”でした。

別に潔癖な世界ってわけじゃないんですよ。つっけどんな人や荒っぽい人もいて、街では時々怖いことも起こって、無条件で全肯定されるわけでもなくて。ただ、ゲーム内でピギュラがいっぱい走り回るその頑張りを街の皆が見ていてくれて、こっちが声をかければ向こうも優しい言葉を返してくれたり、距離を置いて見守ってくれたりするんです。ちょっとずつこの街に認められている感じがして、嬉しかったなあ。

優しさの塩梅って人の価値観が出るところだなあと常々思っていまして。その点、この作品のやさしさは、とても肌身にあたたかいものでした。

 

なんだろうなあ……。

上記と少し被るんですが、押しつけが無いんですよね。

ピギュラに限らず他の住民同士の話にしてもそうなんですけど、心配してても無理やり連れだすことはしないし、プライベートな場所はその人だけが入れるように造られているし、距離感がとても心地よいんです。

心配して気遣うことと、他人のペースや秘密の場所を守ること。

この両方が共存しているっていうのが本当に、心から、やさしくて好きです。

 

 

 

時に不気味で時に心穏やかな世界

 

ちょっと観念的な話ばかりしてしまったので、具体的な部分についても。

やはり目を引くのは自作グラフィックですね! 町の中央にドドンとそびえたつ、毛細血管バシバシの大目玉にギョギョっとした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

序盤で既にかなり広いマップだなと感じていたのですが、ゲームが進むとさらに世界は広がります。ちょっとした隙間に新しい行き先ができたり、開かなかった扉の先へ行けるようになったり。縛りがどんどん解けていって、この作品は“こういう世界観もアリ”なんだな、と、視界が開けていくようなプレイ感でした。

 

あと嬉しいのは、お着替えができること! 

ピギュラ君自体がかなりシンプルなキャラデザなので、お洋服といってもどこに(どうやって?)着るのかなと初めは疑問に思っていたんですが……なるほどね! 行き先によってお洋服を変えてみたり、今日の目標に合わせて心機一転してみたり。ふふふ。想像以上のおしゃれさんで可愛かったです。

 

 

 

魅力的な自作BGM

 

これはクリアしてから知ったんですが、なんと本作のBGMのほとんどが自作です! 一部素材はあるにしても、絵もBGMもストーリーも自作ってやっぱり作品としての強度が高いですよねえ……。一貫してるというか、この作品はこれ!っていうしっくりくる感じが心地よいです。

クリア後おまけと、真夜中マーケットのBGMが好き。

公式でBGM集も用意されているので、気になった方は是非。ただしネタバレ画像もあるのでそこはご了承ください。

www.nicovideo.jp

 

 

 

キャラが好きになって、もっと知りたくなる展開

 

面白いのは伏線の出し方、そしてさりげなさです。

隠されているというよりは、無理に回収しなくていい作りなところが好き。ミノニヨクシティの皆の話して、毎日行き先が増えてできることも増えていって、街全体が好きになって、色々やっているうちに自然と皆のこともわかるようになっていくこの感じ。探索好きには嬉しいし、作品丸ごと好きになれちゃうなあって思います。

 

会話分岐もかなり多くて、毎日セリフが変わるのは勿論のこと、朝と夜、本日の目標が出る前と出た後などなど、細かい分岐に応じて色んな人の反応が変わります。

セリフ差分好きとしてはもう、話しかけるのが楽しくって!

好感度システムはありませんが、物語の終盤には好きなキャラ一人を指名して起きるイベントもあります。こういう、好きがどんどん深まっていく構成とても好きです。

 

そして最高なのがクリア後おまけ!!

プレイヤーの手を離れてもこの世界はまだまだ続いていくんだなあという感じがして嬉しいですし、何より、好きになったキャラの掘り下げをさらにできるところが嬉しい! 最高でした……!

 

 

 

惜しかった点

 

さて大絶賛の後に、気になった点を少しだけ。

 

・誘導がやや薄い

特に終盤ですが、フラグになるアイテムやキャラはわかってもその場所がわからず戸惑いがちでした。といってもこの作品は謎解き探索ゲーではなく、あちこち走り回って色んな人と交流するゲームだと思うので、この点はある意味この作品らしいと言えるのかも。

・ぱっと行ったり来たりしたい

きのここねくしょんの演出自体は好きですが、上記の様に歩き回る関係でだんだんと楽しさより手間を感じるシーンが増えたのも確か。街の端から端に飛べるシステムや、裏世界に一度で行けるアイテム、海流に慣れると移動スピードが上がる、などがあるとより助かったなあと感じます。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

鬱要素、ほどよい距離感の優しい物語、独特のゆるーいセリフなどを楽しみたい方にオススメです。

 

追記ではネタバレ感想。

 

 

 

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フリーゲーム「それは間違いだった」感想

「繋がれるならそれは重畳、心も棒穴も手のひらも」

明け透けに愛を謳っていきたい前置き。

 

 

えー、今回はひとりよがり劇場さんところのフリーゲームそれは間違いだった」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

なんというか、この作品、私の中で扱いが難しい作品だったりします。

失礼千万を承知で書きますが、手放しで全部好きとは言えないんですよ。でも黙って放り捨てるには惜しすぎる、どこまで許容できるかで評価が変わる……そんな何とも言い難い気持ちなんです。

なのでこのもにゃもにゃした言い方から嫌な予感がする方は、本記事は避けて頂く方が無難かもしれません。

 

逆に、合わなかったって方には読んで欲しいかも?

 

というわけで、特徴的な点など。

 

 

会って欠かせぬ処女チェック!

 

度胆を抜くのがここですよね!

大半のキャラが必ずと言っていいほど尋ねてくるのがこれ。「処女かどうか」です。初対面の時のみならず、日をまたいで会っても聞かれ、攻略対象以外にも聞かれ、果てには女の子にまで聞かれ、世間話のように当然の如く毎シーンで処女チェックが入ります。

白昼堂々往来問わず、青姦やら何やらとエロワードが飛び交うすさまじい世界です。それに対してヒロインも突っ込むことはあれど、特に嫌悪感を示すことはなく、「ちょっとしたジョーク」くらいのノリで流されていきます。

 

初めはこの世界観に呆然としてたんですよ。

どれもこれも下ネタがなんか生々しいというか、あえて粘ついた表現を選びがちというか、ムッツリスケベが無理やりヤリサーで馴染もうとしてるみたいな雰囲気を感じまして。かといって男性向けエロや尻軽あほえろ系とも違うんです。特に謎だったのは時々純愛ブレーキが踏まれるところ。

 

そんなわけでいまいちこの作品における常識的な感覚の落としどころがわからず、中盤辺りまでは困惑してたんですね。

が、理解しました。ティーンズラブだ! おそらく! 社会人だけど!

ムーンライトノベルズでもなくノクターンノベルズでもなくティーンズラブ。なんかすごい腑に落ちました。一人で。

 

イケメンたちにちやほやされつつ性的にアピールされるのを目的とした世界観なんだな、と解釈して以降は突っかかりなくするすると読めたように思います。ですので、この辺のツッコミどころをそういうものとしてスルーできる方向けです。

 

 

 

和風ファンタジーの社会人ラブ

 

舞台として面白いのは、現代ものと和風ファンタジーの良いとこ取りをしているところです。妖怪は出てくるけど会社や合コンの概念もある、住民は始終着物姿だけど街にはゲーセンもある、警察でもなく役人で十手持ちだけどBLやら何やらのオタ用語は浸透している、みたいな……。上手い例えになってるかなあ。

なんというか、こう、色んな要素がないまぜになってなお成立しているところが興味深かったです。おじいちゃん口調と現代口調が使い分けられるのもこういう世界観ならではでグッド!

 

 

 

癖になる口癖

 

上手いなー、と思うのが口癖やちょっとしたセリフの繰り返しについてです。ヒロイン自身がここに気づいてくれる時もあり、慧眼として描写の説得力に繋がっているのも良点。また、誰も指摘せずとも読んでいて印象に残ったセリフが決めどころで再度やってきて、おおと思わされる時もあります。

中でも私、蒼悟さんの「何それ、訳が分からない!」が大好きなんですよ!! かなり頻発してる印象のあるセリフなんですが、これ言ってる時の蒼悟さんってホント楽しそうで見ててにこにこしちゃうんですよね! ああ~今透子ちゃんに惚れてるな~ってのがありありと伝わってきて、ほんと微笑ましいです。楽しそうで好き!

 

 

 

可愛いもカッコイイも描けるグラフィック

 

初めて一枚絵が出た時めちゃめちゃときめいたんです! イ、イケメン! あまりにも顔が良い! しかもどのルートでもカッコイイ!

スチルの構図なのかな、ものすごくビシっと決まってる感じがして見惚れちゃうんですよね……。攻略対象のみならず、実はヒロインの透子も見た目はクール美女系なので、これまたカッコイイです。必見。

で、さらに語りたいのがサブキャラの女の子の可愛さです!!

もうね~、二人ともほんとかわいくて、しかもちょっとジャンルの違う可愛さなんですよね。立ち絵の表情変化もキュート。かわいいとカッコイイ、両方描き分けられるのほんと素敵です。

 

 

 

細やかな自由行動と会話分岐

 

作中では何度か自由行動のターンがあり、行き先を決めることで一か所につき最大3つのイベントが発生します。この分岐および会話イベント量が素晴らしかったです!

初めはどこを選べば誰と会えるのかがわからずもやもやとしていたんですが……。ある程度キャラを把握して、いそうなところがわかるようになると、かなり楽しめるようになりました。

あと単純に、周回プレイして他ルートを回収する時も飽きないんですよね。行き先が四か所あるだけでなく、会話中の選択肢が出る頻度も高くて、何度も色んなイベントを味わえました。

 

 

 

イメージぴったりオリジナルBGM

 

嬉しいのがここ!! BGMが自作である点です!

もうねー、すごくびっくりするほどイメージに合います。何より各キャラのテーマソングがあってそれのアレンジがエンディングに繋がる演出大好きなんですよ! 緋鉈のBGMとか聞いた瞬間に耳で惚れましたからね。素敵です。

和風ゲーではあるんですが、意外と現代的なアレンジ?楽器?音遣い?も多くて、良い感じにアッパーな作風とよく合います。

公式サイトでDLできるので作業用BGMにもできちゃいますよ! オススメ! 好きです!! 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

いやはや食わず嫌いはよくないなと、改めてこういったジャンルの魅力も教えてもらった気持ちでした。

 

追記ではネタバレ感想。

 

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