「あなたの背中を追いかけて、消えたと思えば僕の後ろに」
驚かせるのがずいぶんお得意な前置き。
えー、今回はなごみやソフト(司令)さんところのフリーゲーム「奈落天蓋」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
和風RPG。クリアだけならおそらく数時間、私は図鑑コンプや裏ボス撃破などをしたのでだいたい12時間ほどかかりました。たーのしー!
というわけで、良かった点など。
謎解きで楽々攻略
本作の特徴として真っ先に挙げたいのが、“珠”システム。
珠とは、バトル中に敵を捕獲することで手に入るアイテム。これが、装備品・スキル・謎解きの答え、全ての要素を兼ねているんです。そんなことある!?
プレイ中は「その発想はなかった!」や「閃いた!」の繰り返しで、ずっと脳内で火花が散っているような気持ち良さがありました。
やろうと思えば、レベル1でクリアも……?
歴戦のゲーマーさんやフリゲ戦士さんはぜひ。
もちろんごり押しプレイも可能?
驚かされるのが、本作のプレイヤーの間口の広さ。
私は謎解きや図鑑コンプが大好きなので、がっつりとやりこませて頂きましたが、本作はあくまでRPG。やろうと思えばレベルを上げてごり押しで突破することもできます。できる、はず?
ひらめき重視のゲームや謎解きゲームは数あれど、「思いつかなくてもがんばればクリアできる」を両立させているゲームはなかなかないので、ここもポイント高かったです。
キー入力で楽しく探索
伝統的なRPGの2Dマップと言えばやっぱり、空を飛んだり海を渡ったり。
本作は特殊な移動がキー1つでできるところも素敵でした。なにせ、遊びやすい!
ダンジョン攻略の特殊キーも統一されているので覚えやすかったです。しかもこのギミックがまーた面白いんだ。
具体的に書くとネタバレになってしまうので、追記に隠しますが、上手く使ったもんだなあと唸らされるシーンがたくさんあって楽しかったです!
個性豊かな仲間達と会話しよう!
ストーリーの中心はあくまでもヨミ。主人公はヨミを追い、回想を挟みながら、極悪と呼ばれる彼女の所業とその動機について思いを馳せることになります。
よって、てっきりこのゲームって独り旅だと思ってたんですよ。でもなんと、仲間が、できます! やった!
会話コマンドのおかげで仲間達にも愛着が持てましたし、ちょっとしたヒントにもなっていて嬉しかったです。しかもこの会話、さりげなくかなり差分が多いんですよね……。進行度に合わせて変わるし、場所によっても変わるし。仲間に限らずNPCもそうですが。
特に2番目に加入するキャラがお気に入りです。かわいい。
カリーだカリーだカリーを食え
1つのマップにたくさんのダンジョンや町が詰まっていて、それを何層も重ねていく形になっている本作。地名は地獄に倣っており、マップグラフィックは各種拷問に則っています。すげー!
ただの背景であってもすごく凝ってるんですよ。飛び交う魚に囚人が突かれてたり、画面全体に拷問の振動が響いていたり。常に目新しかったです。
たまーに呑気な囚人がいたりするのも好き。
さらに!
ただ見て楽しいだけではありません。どの町にも宿屋……もといカリー屋が!
しかもこのカリー屋、全て回るとアイテムがもらえるという素敵仕様になっています。どこでも回復できるのはシンプルに嬉しいし、ゲーム性重視の方も利点が大きい、はず。
あちこち見て回り、現地の人と話し、キャラの食レポを聞いて……。
もはや地獄観光ですねこれ。楽しかったです!
高難易度なぶん引っ掛かりも
最後に、マイナスな部分に触れず感想とするのも不誠実な気がするので、不便に感じた点も。
・拠点が多いので「あの町行きたいけどどれだっけ?」になりやすい
・珠を使用する際に選ぶのが手間
・装備合成に要求される珠の数が多い
・特定の雑魚敵を求めてうろつくのが大変
・珠や装備の説明がわかりづらい(効果が発揮されていないものもある?)
と、挙げはしましたが……世界観や仕様の都合上で仕方ないんだろうなと思われるところも多くあります。そもそも解決方法に私が気づいていない可能性も。
何より、この作者様のゲームは信頼できるつくりをしているので、上記の点までどうこう言うのは厳しすぎる気もします。そもそも自由度も独自性もかなり高い(一本道をそうと感じさせないようにできている)ゲームなので……。
特に未プレイの方、隅々まで手の込んだ面白いゲームであることに変りはありませんので! 気になった方はまず遊んでみてから確かめてみてください。
とまあ、こんな感じで。
どっぷり遊んであちこちまで歩き尽くせたRPGでした!
追記ではネタバレ感想。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
(後日の追記をお楽しみに!)
ネタバレ注意!
気持ち良かった謎解き
・すねこすり
にや~~~っとしました。ねこ、潜んでるねえ。
・超合金サケ
魚にゃ包丁! 合金だろうが魚は魚!
包丁を手に入れた時の「もしや……!」にゲームが応えてくれたの、とても嬉しかったです。閃きがいがある~! 戦闘中の弱点表示が心なしか誇らしげに見えました。
燕返しの有用性に気づいたのもこの辺りだった気がします。
・一切人熱処
解法を察してはいてもセーブロードで全部試したくなるのがゲーム好きのサガ。
というわけで上から順番に選んでいったんですが、真っ赤・真っ赤ときて、まゆきのターンだけ真っ青になるの面白かったです。テキストが細やか~!
・裏ダンジョンの岩
これ無理やり攻撃力上げなきゃいけないのかな……と手持ちの珠や装備で四苦八苦。そしてふと浮かび来る、「いやでもレベル1でクリアできそうなのに……?」という疑問。
Cキーが光り輝いて見えました。気持ち良かった~!!
これら以外にも、もちろん謎解きは盛りだくさん。閃かせてくれる、試させてくれる、応えてくれるの三拍子が揃っていてとても楽しかったです!
愉快な仲間達
もしかして1人旅もできるようになってる!?と思い2周目で試してみたところ、おじゃおじゃに止められました。なるほど……。
ちなみに私はクリア時にレベル(咎)が12くらいでした。大半は珠集めの際の捕獲し損ねです。
これ、エンディングを通った後だと「業」の重みに納得が出て良いですね。わはは。笑い事じゃねえな…………。
キビ
レベルアップすれば各属性の術を覚えてめちゃくちゃ強くなります。私は単発属性術を謎に軽んじていたので、彼女の有用性に気づいたのはハクタク戦(本気ver)辺りでした。終盤も終盤やないかーい!
レベル1縛りの場合はヒーラー&珠投げ要員になるのかな。
おひつ
好き~~~!!!
お色気お姉さんかと思いきや、ただの食いしん坊さんなの好きすぎます。女は愛嬌!
しかも自分の地獄で獄卒たちにちやほやされてるの、むちゃくちゃかわいくないですか!? お姫様じゃん!
で、運用としては張り手やキョンシィの珠など、物理連続攻撃の手段を手に入れてから見違えました。鳳翼のカンザシが全体攻撃なのも大きい。
ちなみに、地獄内を移動するためのアイテムをさっさとカンザシにしちゃった方ってどのくらいいらっしゃるんでしょうね? この作品ならおそらく詰まないようにできているはずですが、移動は送り犬頼りになるのかな?
私は取り返しのつかない要素を過剰に怖がるタイプなので、ぎりぎりまでカンザシにしなかったんですが……。炎水が有効な敵もかなり多かったので、一長一短な気もします。
まゆき
毒舌系ロリ! う~ん人気キャラ属性!
珠で術を乱用する都合上、かなり有用なキャラでした。精神↑回復術をデフォルトで持ってるのも強い。終盤はひたすらおにぎり食べながら蹴り回ってもらっていた思い出。
珠
装備
いつまでや送り犬などはまあ、スタメン枠として。他は下記二つをよく使っていました。
なかちゅう
:早めに手に入るわりに装備した時の耐性が多め。敏捷上がるのもダンジョンギミック回避に役立つ。
ようがん坊
:まゆきは常に装備。あと終盤は炎を使ってくるボスが多かったような。
奈落で手に入る珠はけっこう段違いで強かったので、カギを手に入れた時点でメインストーリーより先に奈落へ行くのもアリなのかも。
捕獲
特に覚えている、捕獲に苦労した獄卒獣はこの辺。
ハマグリ少女
:可憐すぎてうっかり屠ってしまうことがしばしば。手加減だと微妙に削り切れないうえ回復されてしまうので自然と長期戦に……。トウフ小僧も同様。
暴走ソリ
:出会わずにダンジョンを攻略してしまっていたので、いざ図鑑埋めをする際に奴を探すところから手間取りました。そして見つけても自爆する! うおお自分の命を大事にしてくれ。
舞獅子
:シンプルになかなか会えなかった敵。出現位置がピンポイントだったんでしょうかね……?
図鑑
やかんぼう
:「聞かん坊」で韻を踏んでて好き
ひくく
:キャー、と悲鳴を上げる聞き手の幻聴が聞こえてきそうで好き
トウフ小僧
:豆腐にどうやって毒を!?と恐ろしさよりも興味が沸いてしまうなど。私みたいなのがたぶん幾人もトウフ小僧に屠られてきたんでしょうね。
初期から「つるべび」みたいな、個人的にちょっとマイナー気味だと思っている妖怪も出てきてオッと思わされました。知らない妖怪もいくつかいたので、私より詳しい妖怪好きさんはきっと大喜びのはず。
と。
このままだと内容全部書き出しちゃいそうなので、さすがにこの辺で。
余談ですがこの作品、RTAにも向いてそうですね。2周目前提で殺生石を持っているならかなりゆるくなりそうですが、ガチ1周目からとなるとキツそう。
ともあれ、他の人のプレイも見たくなる良ゲーでした!