「とにかく誠心誠意謝って逃げときゃなんとかなる!」
最悪責任者に任せような前置き。
えー、今回は、エビカツドンさんところのフリーゲーム「アサルとスパイ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
タイトルからしてなんとなーく殺伐なイメージを持っていたのですが、とんでもない、超絶ハイテンションな一作でした!なんと主役は企業スパイ、会社の新商品情報や謎のデンノウ技術を巡ってどたばたする、社会人必見のギャグADVです。
というわけで、見どころなど。
個性どっぷりガンギマリなキャラクター達
登場キャラの個性がとにかく濃い!
作中の言葉をお借りするならガンギマリ。
そうです、そのくらいとんでもなくハイテンションなんです。
ものすごく人を選びそうではありますが、尖ったキャラを堂々出せるのもやはりフリゲならではかと思います。ここまで突き抜けたキャラを生き生き動かせるのは感服の一言。
初対面で圧倒され、繰り出される遠慮ない台詞においおいと突っ込みつつ、終盤にはすっかり愛着が湧いてしまう――というのが定番の流れでしたw
お気に入りはウルチヨさんです。いいですよね残念な美人さん。見た目クールビューティなのに思考が幼な可愛いのもツボでした。
とにかく動く、見どころたっぷりのグラフィック
キャラの立ち絵が豊富で、ポージングに躍動感あるものが多くて見ていて楽しいです。カノの煽り立ち絵を初めて見た時は笑いが止まりませんでしたw アメリアのCIA紋処ポーズもつい真似っこしたくなります。
単なる差分だけでなく、ほとんどのキャラに2種類以上の立ち絵があるというのも驚き。モブキャラにも立ち絵がある豪華仕様です。また、キーワードの色変えや大文字表記など、メッセージ側の演出もなかなかにパンチが効いています。
ただ一方で、ビジュアル面に凝っている分しんどいところも。私はver1.08でプレイしたのですが、画面にフラッシュ効く演出が多くて、慣れるまでかなり小休止を挟みまくりました。というわけで、長時間プレイは避けたほうが良さそうです。アイキャッチでも休憩をほどほどにって警告されてますしね!
そうそう、場面の区切りで差し込まれるアイキャッチもすごく面白いです。自作の宣伝を自作でするトートロジーっぷりにこれまた笑いました。
PCの壁紙にしたくなるようなおしゃれなものから、ぶっ飛んだギャグに走っているもの、FFやジョジョのパロディなどなど種類も盛りだくさん。アサルがぬぼっとした表情でビル前に立ってる絵が一番好きです。
メタメタぶっとびギャグストーリー
言ってしまえば何でもありです。思いっきりメタな警告が飛び出てくることもあれば、連想ゲームのようにキャラが次元を超えたり超展開に突入したりすることもあります。カオスです。
しかしながら一方でこの作品をまとめるとするなら、企業スパイ・アサルの成長の物語、と一言で片づけられるのも凄いところ。そう、あれだけ、あれだけカオスなごった煮状態なのに、本筋はしっかりまとまってるんです。あのドタバタ劇がここまでまとまるとは思ってもみませんでした。
多少、この世界はこういうもんなんだ!の勢いで片付けられてしまい消化不良なところはありますが、それが許されるだけの世界観が作れているのも確か。キャラ設定に関する複線も凄まじく、ちょっとしたこぼれ話や一発ネタが終盤に絡んでくることもあるからびっくりです。
ギャグセンスと崩壊上等のノリが最後まで冴え渡るストーリーでした。
絶妙なタイミングのSEと盛り上がるBGM
何より有難かったのがSE! アクションパートに入る直前は大抵の場合、デデンッと警告用のSEが鳴ってくれるので、事前セーブが捗りました。話の要所でSEが入るのは、ロンパや逆裁などを彷彿とさせてくれます。こういう音の面での演出ができるのもゲームらしくて良いですよね。
それぞれのキャラに専用のBGMが当て嵌めてある、ような?
曲を聞いて「来た!」と感じられるのも盛り上がりました!
怪しまれないよう切り抜ける、かんたんアクションシステム
基本のノベルパートの他、潜入先でイドウやハッキングを試みる選択式の探索要素もあり、ゲーム性もしっかりしています。失敗してもちょっとした会話イベントがあったり伏線が詰まっていたりして、ただで転ばずに済むのが良いところ。
何よりのアクション要素は、オリジナルシステム「キンキュウイベイジョン」です。
潜入先の警備員などに見つかると起こるこのシステム。指示されたキーを時間内に打ち込むだけの簡単操作ではありますが、こういった要素があるのと無いのとでは緊張感がやっぱり大違いだなーと感じました。
ただ一か所、“連打”だけはややこしかったかなと。実質2・3クリックで十分なので、連続入力の際にうっかりかちかちしすぎて別キーの判定を失敗することが多かったです……。
さらにもう一つのアクション要素として挙げられるのが「アサルスロット」。これまた敵と出くわした際に起こるシステムで、スロットで選ばれた3つの選択肢のうちどれかを使って相手をやりすごします。選択肢の幅や反応パターンが多く、キャラや遭遇する相手によって対応が変わるのも面白かったです!
他にも、収集アイテムのコインやギャラリー、自分で設定できる決め台詞など、細かな遊び心が満載の一作でした。ただ読むだけに留まらない、コアで笑えるゲームをお探しの方にオススメです!