「とりあえず目を閉じておけば怖いものはなくなるよ」
開けるとあるけどねな前置き。
えー、今回はれんたかさんところのフリーゲーム「Seetate」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ジャンルは探索考察ホラーゲームかな。異空間徘徊するタイプです。謎解きや追いかけっこ要素はありません。ストーリーの鬱度は濃いめです。
電波系の文章や直接的グロ、鬱展開等々がたっぷりです。お好きな方なら涎ものかとおもいます。
なお、現在ver1.06のリメイク版が公開されていますが、この記事は前バージョン(1.04)でのプレイ感想です。ご了承ください。
というわけで、特徴的な点など。
やってわからせる不思議世界
ゲームページに堂々「よくわかんない」とあるように、プレイ序盤の正直な気持ちは確かに「なるほどわからん」でした。
ですが、このゲームのすごいところはただわからないだけで終わらせないところ!
最低限の情報を便りに手探りで進めるうち、じわじわと世界の法則やシステムがわかってきます。この気付くタイミングも多分人によって違うんじゃないかな。操作も簡単、何に急かされることもないので、じっくりと自分のペースでゲームに慣れていくことができます。
明かされていく世界の全貌にじわじわと心を奪われ、気づけば一気にプレイしてしまいました。
段階を踏んで新しい展開になっていくストーリー
上記と合わせて言っておきたいのは、ストーリー展開の秀逸さです。
クリア条件や次の目的に気づき始めたところでそれを裏付けるようなエピソードが出てくる等々、システムとお話の噛み合いがしっくりきました。フリーホラゲでたまにある、お話だけが浮いている感じが一切ないんですよね。一つの作品としてのまとまりがすごく良いゲームです。
ストーリーが断片的に明かされていくので、ある程度自分で考えたり繋げたりするのが好きな人向けになるかなー、とは思います。
ふんわり可愛いキャラグラフィックとおぞましいホラー要素
操作キャラクターからして真っ黒単眼というかなり攻めている見た目です。大好きです。
異形や奇形の化物、血染めでカオスさながらのマップなど、見ているだけで震えがくるようなグラフィックが盛りだくさん。がっつりグロテスクなところと、物想いに浸りたくなるようなところと両方あるのがまた素晴らしいです。信号機のマップが好き。
しっかり不気味に見えるホラーな造形は簡単なようで難しい……気がするのですが。この作品はスチルもマップも両方かなりのハイクオリティでした。
一方で、登場する女の子達はもう、めちゃくちゃ可愛いんです! ふりーむさんところのスクショに釣られてDLした方も多いのではないでしょうか?
なんだかんだでお気に入りはやっぱりあの操作キャラです。あのドットの足元の、わよわよしてる感じがすごい好きなんですよね。ローブ引きずってる感じというか。おめめぎゅっと閉じるのも可愛いです。
とまあ、こんな感じで。
じわじわと明かされる色々のバランス加減が上手な一作で、たとえ詰まっても続きをやりたいと思える一作、最後までうろうろしながら遊ばせて頂きました!
可愛い女の子、いじめ、電波、異空間探索、物静かなマップ、心抉られる鬱展開……等々に惹かれる方にオススメです。
現在は立ち絵がプラスされ、このうえさらに改良されているとのこと。ひとまずDLはしたので、再プレイがすごく楽しみです。にやにや。
追記ではお話について考えたことなど。ネタバレ全開です。気になる方はこのまま下記よりどうぞ。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ネタバレ注意です。
伏せ字一切無しのダイレクトネタバレでぼかすとかも一切していないので既プレイのかたのみどうぞ。
エンドやストーリーについて
自解釈やキャラ萌え妄想や考察もどきがたくさんです。
正解を探そう!というより、こういう考えも面白くない?というスタンスでがりごり好き勝手。
大前提として、
- さとしとちさとはしたての別人格(兼イマジナリーフレンド)
- あのゲームの世界はしたての心の中
- 今現実世界でしたての身体を使っているのはさとしくん
- この作品はちさとorプレイヤーがしたてを救済するタイプの壮大な友情(ニア百合)物語
という4点で書き進んでおります。
ED2
初めに辿りつきました。優しいって言ってもらえて嬉しい半面、何もできなくて申し訳なさがふつふつと。プレイ中は、あの選択肢でどうしてバッドエンドになっちゃうのかなあと少し寂しくも感じていたのですが、ED3を見て自分なりに納得しました。
ED2の段階だとしたてはちさとを受け入れられておらず、さとしのことも盲目的にしか見れていないので、したてを穏やかに救ってくれるような存在がいないわけですよね。で、このEDに行くためにはプレイヤーがしたてを慰めるような選択肢を選ぶ必要があるんですが、プレイヤーはずっとゲームを起動し続けてしたてと一生一緒にいることは当然無理で。
したてがプレイヤー世界に出てきてくれない以上、プレイヤーがちさとのためじゃなく自分のためにしたてを救おうとしたって、それは自己満足にしかならないから、その先に未来はないよってことでしたてがああなっちゃってさとし君にネチネチ言われるのかなあ……なんて。
唯一したてがしたてとして居られるエンドと考えると救いのある解釈もできそうではありますが。いやー、さとしくんの脅しっぷりにビビらされました。はっはっは。
ED3
百合系メリーバッドエンド。かな?
箱庭世界に二人きりってやつですね! 大好きです。
このルートはもう、あるがままちさとちゃんとしたてちゃんのほわほわ百合を楽しんでねって感じの印象です。なので語ることもあんまりないです。
したちさ?ちさした? いえーいいえーいかーわいーい!
ED1
ラストの一言が誰のものか、というのが未だに解決していません。後半で書くつもりの疑問点にも関わってくるのですが……。
ED4等を考えると、あれはちさとになり変わったしたての台詞かなあとも思うのですが。役交替が起きずそのままちさとの台詞だとしたら、したてが罪悪感から聞いた幻聴とも思えそうですし。さとしくんの可能性もあるけど、彼がしたてに純粋に助けを求める想像ができにくかったので、ちさとのフリをしたさとしがしたてをより壊すためにそういう演技をしたのかなあくらいしか思いつかないです。
いずれにせよ、このどちらつかずの感じがしたて達の存在の不安定さやED4の可能性を指しているのかもしれないので、むしろ答えは出さないほうがいいのかもなあとも思いました。
ED4
大前提として、さとし君はしたての心の中から離れてしまった(現実世界で表に出ている)と解釈しています。で、あの心の中の世界で用意された配役は「したて」「ちさと」「プレイヤー」の3つだけ。
したて→ちさと ちさと→プレイヤー
となれば後は
プレイヤー→したて
となるしかないわけであって。
ED2の展開がここで生きるわけですよね。ED2はしたてがしたての意思で死んだEDだったと思うのですが、このED4ではしたてがしたてを捨てて別のものになり変わることで、捨てられたしたてをプレイヤーが拾い上げれるという。
逆に言えば、したてちゃんをプレイヤーのところに引っ張りこめる唯一のエンドがこのED4とも言えそうです。したてちゃんとちゅっちゅできるよやったね!! ……というのは流石に、したてちゃんを託してくれたちさとちゃんに怒られてしまいそうですが。
そもそもプレイヤーの役はちさとちゃんに渡しちゃったから、したてちゃんといちゃこらできるという考えも厳密には違うのかなあ。誰かと完璧に分かりあうことなんてできないっていう概念の具現化がしたてちゃんで、それがプレイヤーに託されることで、現実世界も分かり合えないことばっかだねみたいなメッセージとして届く――なんてーのも今思いつきました。
誰かを救うためには相手を背負わないといけなくて、そのぶん自分の領域を相手に差し出す覚悟が必要。みたいな感じに集約されるのかなあとかも考えました。考えただけ。
疑問点
最後、気になっているのは、
・さとしくんやしたてちゃんが時々他の人のことをカタカナ表記で呼ぶのはどうして?
ということ。
二人ともおかしくなってくるとカタカナ混じりの電波な台詞が多くなるので、単純にそのまま受け取っても良いとは思いつつ。特にED4でしたてちゃんがちさとちゃんとチサトちゃん両方の呼び方を使ってたのが気になるんですよねぇ。カタカナ表記の時は敵意があるとか、何かしらの使い分け基準があるのかなあ。
まあまあ、色々と好き勝手書き散らしましたが。
いやー考察ごっこって楽しくって良いことですよね。
妄想解釈も広がるし、何よりしたてちゃん可愛いが改めてしみじみと実感できます!
もうねー、「日記を書くぞぉお」の台詞が大好きなんですよ。元々メカクレ好きというのもありはしたんですが、それ以上に、あの台詞で惚れました。なんてかわいいんだ。
ちょっとキャラ萌えに偏った感想にはなりますが、さとしくんとしたてちゃんの関係も、ピュアかわいいひとりぼっちの女の子をゲス男の子が俺好みに洗脳する感じで興奮しました。
バージョンアップでよりキュート電波になったであろうしたてちゃんにわくわくしながらZIP解凍してきます。