うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「SPIEGEL EI(シュピーゲルアイ)」感想考察

「鏡の裏側に映るあなたは虚像?」
表裏の隙間にある見えないものを大切にしたい前置き。

 

えー、今回はTEPEMOKさんところのフリーゲームSPIEGEL EI(シュピーゲルアイ)」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

複数エンドありの探索考察ゲー。サイコアドベンチャー、とありますが、個人的にはホラーと感じる場面もしばしば。

何よりも真っ先に言いたいのは、「頼むから実際にプレイしてみてくれ!」ということです。特にこの作品は自分がプレイするかどうかで味わいが本当倍は異なるのではないかなと感じました。

あと、かなりの推しゲーです。このブログで推すからには闇と幻想的な意味で推しです。十本指に入る気がしています。好きすぎて考察が5千字を越えましたがまだ考えたいことがいっぱいです。

 あ、考察目当ての方は下部の追記までスクロールしてくださいませ。

 

 

と、長い前置きはこれくらいにして、良かった点など。
とにかくネタバレがもったいないゲームだと思うので、この時点で少しでも興味を持って下さっている方はDLしに行くのをオススメします。

 

 

 

 

 

鏡と現実を行き来する、ギミックとストーリーの絡み合い

上手いと思ったのはギミックとストーリーの絡み合いです。鍵ゲーになりがちな探索ゲーにおいて、こうやって通行禁止の状態や謎解きがきちんとストーリーに絡んでくれるのは本当に嬉しい!
ただのギミックに終わらず、それ自体が物語の本筋の暗喩になっているところにもぞくぞくします。深読みって楽しいですよね…!
マップの独特な色合いや世界観にも惚れ惚れです。現実側のクラシックな寮と、鏡側の幻想的な世界、両者の対比がこだわり抜かれているなあと感じました。スクショ一つで心を掴める一作だと思います。

 

 

適度な難易度ときちんと置かれるヒント

 

謎解きについてもう少し深めて、良いなあと思ったのがヒントの出し方です。
本編中に答えへ辿りつくためのヒントがきちんと提示されてるんですよね。これ、当たり前のようでいて、意外とフリゲでは少ない気がします。例えば青は英語でブルーってことだって、一般常識ではあるし見なくたって解けるだろうけれど、作中に探せばあるのとそもそも無いのとじゃ作品に対する好感度は大違いです。
あくまで“探せば”見つかるところにあるのも良ポイント。文章で提示するヒントと見てわからせるヒントの二種類があったのも、常に新鮮で楽しかったです。

 

 

メタで突き刺してくる構造

システムだけでなくストーリーについても。
OPの彼女の台詞にまず、心を刺されました。キャラではなくプレイヤーの名前を入力するタイプのゲーム、好きなんですよねぇ。これから何が起こるのか、ぞくりとした予感が脇起こるOPです。
そして、勿論刺さるのはここだけではありません。
与えられている選択肢は「はい」「いいえ」――だけでなく、「選ばない」。この発想にはやられました!
プレイヤーの動きを見透かすかのような言動、知らずと罪悪感がわき起こる構造、これだから良質なメタゲーは良いものです。

もうね、END:Aへの行き方が私大好きなんですよ!!
あちこちでザクリと刺してくるような言動があるのも良いですし、それらを乗り超えて辿りつく先がああいう結末なのも素敵です。

 

 

ゆるく怖く優しいキャラ達と小ネタ

登場するキャラクター、特に主人公の周りを取り巻くキャラ達は皆親切で優しい子ばかりです。静かで幻想的な世界の中だからこそ沁みるところもあり、時々交える会話にほのぼのとさせられることも。
一方で、時に鋭すぎるほどこちらの心を穿ってくる台詞を言ってくれるのもまた、魅力の一つです。
もうここは語り過ぎると全てがネタバレなのでここまでにするとして。
加えて驚かされたのが小ネタの数々です。同行者の違いや時期の違い、入力した選択肢の違いなどなど、「こんなところにまで!?」と喜びの悲鳴をあげたくなるほどボリュームたっぷりな小ネタ会話でした。会話分岐が大好きな自分にとっては最高の一言です。

 

 

 


とまあ、こんな感じで。
語りたいけど語り過ぎるともったいない、そんな不思議な一作です。

ルールオブローズっぽいという意見を別所で見かけましたが、暗くても陰湿ではない点と、自己との対話がメインになる気がするのとを考えると、少し毛色は違うかも?

 

ともあれ、比喩やダブルミーニングなどに長け、考察もギミックも楽しい一作でした。
新鮮なシステムや意外性をお求めの方や、幻想世界観に惹かれる方に強くオススメします。

 

 

 

 

以下はネタバレどっさりの考察もどきな考察です。

 

 

 

 

 

ネタバレ注意。

真相までずらっと全て余すところなく書いてる、むしろ知ってるのが前提で書くので、未プレイの方は是非プレイしてからどうぞ。

 

先んじてふせったーで呟いてたののほぼコピペです。

 小ネタ紹介→本筋と真相について→エンド考察→用語考察

と進みますね。

 

 

 

<小ネタメモ>

PM覚え違いしてたら教えて下さい
あと抜けてる会話も教えて下さい切実に

  • ゲームスタート時に「アイ」「ティル」と入力 
  • PM1、トルソ同行中にギャラリーのイラストを調べるとコメントしてくれる 
  • PM1、天使と悪魔と人間、それぞれの部屋によって死亡パターンが変わるので全部屋でゲームオーバーすると楽しいかもしれない 
  • PM2、書庫の本棚を調べるとたくさんお喋りしてくれる。以降、PMが変わるごとに内容も変わり、PM2の時から合わせて3冊の本を読み聞かせしてもらえる 
  • PM2、インクを削った後に現実世界の絵を調べにいくとこっち見られたり胎児?が割れたり 
  • PM3、同行者によってテューマとトルソの台詞が変わる。台詞の優先度はウィルのほうが高いようなので、先にようせいを連れて書庫行って会話を見てからウィルの部屋の鍵を開けると、ようせい版→ウィル版の会話が見れるはず 
  • ティーカップを割らないようにする(=許可を得てカップを持っていく)と、PM3~PM-辺りで一人行動の時にもう一回お茶してもらえる 
  • ・M4、現実世界の張り紙の内容が全部変わっており、食堂の鍋の中身も変化。ついでに現実世界を歩いていると特定のポイントで野次が飛ぶ 
  • PM4の目と木の部屋で指示とは逆方向(=右)の壁にぶつかってエンター押すとメッセージ 
  • PM-、最後のラジオで何度も間違えるとその度にエスの台詞が変わる。5回くらいまで?OPと同じ台詞が入ったらおしまい

 

 

 

____ここから本格的なネタバレと考察解釈____

 

<考察解釈の前提>

 

便宜上、

茶髪のアイ(操作できるアイ)=アイ

ゲームスタート時のピンク髪アイ(一人称私)=エス

回想時の青服のアイ(一人称あたし)=過去アイ

1キャラクターとしてのアイ=アイとします。

【】書きは本編での出典やシーンの根拠を示します。

キャラの台詞引用はわりとうろ覚えごめんなさい。

 


<時系列>

オイレンシュピーゲル家の一人息子ティルがピストルに興味を持つ

父が部屋の鍵をかけ忘れる【「全部、あなたのせいでしょ」】
ティルが部屋に忍び込みピストルで死亡(事故的な暴発?自殺ではないはず)。 

母は精神衰弱。

父は環境を変えるため新たな家族としてアイを連れてくる【PM3過去アイ、お父さんもお母さんもいたことない】【PM5父の独白】

母はアイを拒絶。ティルの代用はどこにもいない。

父は母にアイを家族として受け入れてほしい。

両親の喧嘩が続く。【過去アイ、扉前で聞き耳を立てる】

母がアイを認識できなくなる(見ないフリを続けていたことと精神衰弱が原因?)【おかあさんあたしのこと見えない】

なお、【母「どこにもいないの…?」】は「アイがいなくなってくれた」ではなく、いつまでもティルを探している表現(母の行動原理は幾何学鳥の動きをみるに「ティルを探す>アイを消す」だと思うため)。 

精神的に疲労した父が心中のためアイをボートに連れ出す

アイは生き残り、父は死ぬ(父が良心の呵責で助けた?)【墓場と人達の噂】

アイは積極的には喋れなくなる

(父が心中を考えていたということを言い触らさないようにするため?)

(父がいなくなってアイに喋りかけてくれる人がいなくなったため?)

【アイが喋ろうとすると必ずどもる・「はい・いいえで答えられるように~」】

アイは自分の意思表明が希薄になり、自我が空洞のお人形化していく

(と同時にこのままだとエスが死ぬ)

【殺されるためにうまれたんじゃない~】

お人形化したアイの中にプレイヤーが入り込み、操作、ゲームスタート。

 

と、いうのがざっくりとした時系列と流れだと思います。

 

 

 

<ゲームの最終目的>

ずばり書くと、アイの自我・意思決定権を取り戻すことが本作の目的であり、本作はアイのための物語だと信じています。もっと言えば、アイはこの世界に必要な子であり生きてて良いんだとアイ自身に信じてもらうためのお話!

プレイヤーはアイの精神的な死=エスの死を阻止するため、過去アイから呼ばれたのだと言い換えてもいいかもしれません。【ゲームスタート時や合間に挟まれる“あたし”からの呼びかけ】

 

このゲームの全貌を理解するために過去アイの話は必要不可欠です。

そこから論を飛ばせば、プレイヤーにとって過去アイの人生は必要です。

アイの物語は誰かにとって必要なもの=アイという個人は誰かに必要とされている

と伝えることで、アイを生かす道を作っていくのが目的だと思っています。

 

ちなみに、私自身が混乱したので書き添えておくのですが、プレイヤーを読んだのはエスではありません。【エス「連れてきてくれてありがとう」】のせいで惑わされがちですが、プレイヤーはエスの呼びかけではなく過去アイの呼びかけに従って、アイと共に湖と鳥の浮かぶ奥へ奥へと進んでいるはずです。

だからエスに従うとバッドな展開に行くわけですよね。

 

 

 

<エンディングについて>


 まず前提の私の考えとして、「現在のアイの精神は空洞」「アイの意志を決められる(アイとして生きることができる)(アイを操作できる)のは最終的に一人だけしか残らない」です。この書き方で伝わるかなあ。

 

 アイの意志を決められる存在は3つ。

 アイ本人・エス・プレイヤーです。

 ただし繰り返す通り、目的はアイの自己決定権を取り戻すこと。逆に言えばゲーム開始時のアイは白紙で、何も自分で決めたがらない状態です。この時点でアイ本人は消滅しかかっているとも言えます。でも、初めからアイ本人がいないのならそもそもゲームの始まる意味が無い。そのため、アイ本人が消失するのをギリギリで留めるために過去アイが存在していると考えています。

 過去アイは自己決定権を有していないけれど、アイ本人が生き延びるために必要、という感じ。なので、主要人物はやはり意思決定ができる3人ですね。

 

 で、ここで思い出したいのが「エス・エゴ・スーパーエゴ」の概念です。ここはエスエスを名乗った時点でなんとなくピンときた人もいるはず。

  •  エス=ざっくり書くと本能、挑発的で攻撃的な性格なのもこのせい?
  •  エゴ=ざっくり書くとバランサー =アイ 
  •  スーパーエゴ=ざっくり書くと理性 =プレイヤー 

 みたいな役割が描けました。

 

 これを前提として話を進めましょう!

 アイの中で生き残れるのは三人のうちの一人だけです。

 

 


 ED:E(プレイヤーエンド)

 まず、このエンドはプレイヤーが好き放題して悪いことをしまくったエンドだと思っています。そして上記3つの役割から考えると、プレイヤーは理性役として良い子らしい選択肢を選び、アイを導いてあげるべきでした。
 その役割を放棄した=アイを悪い子にしたため、エスとプレイヤーの役割が被ってしまいます。だからエスは退場させられ【「同じ人間はふたりもいらないもんね」】、エスと化したプレイヤーに支配されたアイは、過去アイを罰しに行きます。

 この過去アイを罰する行程を通して、間接的にアイ本人を消滅させているわけです。過去アイを殺すことでアイは自らの生を否定し、誰からも必要とされない人になってしまいます(上記ゲームの目的参照)。エスを殺し、アイを殺せば、もう一個人としてのアイの意思決定をする人はプレイヤーしかいません。しかし、プレイヤーの最終目的はこの時点で達成ができなくなりました。よってゲームは終了します。

 こんな流れで、アイの自己決定権をプレイヤーが悪い意味で有したエンドだと感じました。

 

 なお所感ですが間接的にプレイヤーも罰されてるこの構図が痺れました。泣きました。ごめんなさい。最後に見たエンディングだったのでなおさらごめんなさい。

 

 

 

 ED:D (エスエンド)
 今度はプレイヤーがアイの意思決定権をエスに譲渡した形です。ED:Eと逆で、プレイヤーが役割上は死に、プレイヤーが過去アイのもとへ行くのを諦めた時点で過去アイの物語を観測する人間がいなくなるため、アイ本人も誰からも必要とされなくなり消滅します。結果、残ったエスが自由に活動できるようになります。
 【「あたし、かえったよ」】は過去アイがお父さんのところに帰った=アイ本人の意識が死んだの意ではないかなあと。

 

 

 ED:C (エスVSプレイヤーエンド)
 Eと似ていて、プレイヤーが意思決定をしようとしたんだけどエスにもぎ取られたような印象です。プレイヤーとエスの役割が被ったのでエスが生き残った形ですね。

 ある意味で、エスがアイという個人を無理やり生かそうとしていると考えてもいいのかも。アイ本人は消えるにせよアイの肉体と意志は表面上残る、みたいな。

 エスがきっとうまくやれると言ったのは、ここに来るまでの選択肢がエスに近いものだったからでしょう。 でも、「逃げたって何もかわらない」という台詞が全てですよね……。

 

 
 ED:B (誰も残らないエンド)
 これまたエスを拒否してプレイヤーが意思決定をしようとしたんだけど、それは現状の先延ばしでしか無かったパターン。プレイヤーが永遠にゲームを起動し続けてアイの自己決定権もとい人生を背負うことは不可能です。さらにプレイヤーはこの選択肢だとアイ本人の意志に耳を傾けているわけではないので、過去アイとも会えません。

 

 ここで過去アイの時系列を振り返りたいんですが、

 ・ゲーム開始時の過去アイは幻想世界のボートの上【「あたしはここから降りれない」「こっちに来て」、Aエンドの一枚絵】

 ・ただしアイ本人が自己を否定しているので過去アイもすでに沈みかかっている危険な状態【「ずいぶん待った~」みたいなエスの台詞】

 ・先延ばしにしすぎるとタイムアップになってボートが沈んでしまう【水の中を歩き続けるアイ、「早くしないと~」急かすエスの台詞】

 

 という状態かなと思います。そして、このエンドは幻想世界の過去アイがタイプアップで沈んでしまったエンドです。エスやプレイヤーの手で殺されることは無かったにせよ、プレイヤーは過去アイを見ていないので助けられませんし、以前は助けてくれた父親もいません。結果、過去アイは沈んで誰にも観測されなくなり、アイ本人も連動して精神的に死んでしまいます。

 しかし、空いたアイの中にエスを入れようにも、もうエスはプレイヤーによって拒絶されてしまいました。よって入れるのはプレイヤーだけ。それでも前述の通り、プレイヤーがアイの一生を操作することはできず、最終目的の達成は不可能になりました。

 結果、アイの自己決定権を有する人は誰もいなくなり、アイは動かなくなってしまう、というオチです。 
 ヴィヴィアンは確か湖の乙女とかいう神話の何かしらだったような。
 

 


 ED:A (アイエンド)
 そしてここでようやく!

 アイが自己決定権を手に入れたエンドが来るわけですよね!!

 アイが一瞬はっとした表情をするのは、プレイヤーの操作なしでも動けるようになったからでしょう。


 【「必要としてくれてありがとう」】は、初めプレイヤーに向けての言葉かなと思ったのですが、アイの視線の先にティルとトルソ(過去の記憶の象徴?)がいたことと、そもそもアイにプレイヤーは必要ないと言われていたことから、あれは“現実世界でアイが必要だと言ってくれる人にはまだ出会えてないけれど鏡世界に必要だと言ってくれる人がいるからもう大丈夫”という感じのニュアンスなのかなあと思っています。
 
 宝箱に鍵をかける行為は何だったのかなあ。「目を見えなくしないと真実は見つからない~」【エスが教室で赤矢を飛ばしたところ】みたいなことを考えると、鏡世界と決別するというのがあの行為の意味だったのかも。
 とはいえ、エンドロール後にきちんと、鏡世界の皆も物語やプレイヤー(というかわたし)にとっては必要不可欠で、たとえ見えなくたってずっとここにいてくれると言ってくれたので、寂しい別れではないはず。

 

 

 

各エンドをまとめて


これまでの流れを踏まえると、エスはアイになり代わりたがっていてプレイヤーの敵みたいな書き方をしてしまっているんですが、そういうわけではない気もしています。

 

アイが自己決定権を放棄したから、せめてアイの身体だけでも表面上生き伸びさせたいのと自分が死ぬのは嫌というだけで【「殺されるためにうまれたわけじゃない」】、何が何でも自分がアイになるんだという気持ちはなかったはず。エンドAを見てもそんな感じ。むしろ、本能的な生存欲の象徴がエスだと思うんですよね。

 

ゲーム開始時点のままだとアイが自分の意思決定権を失い、エスが消えてプレイヤーの思い通りになって、プレイヤーがいなくなれば動かなくなる人形になるから、アイという一個人の精神的な死を阻止するために本能が叫んでいるということかなと。

だからアイがきちんと意思決定をすれば、もう彼女は引き留められない。そう考えるとちょっと寂しいですが、ED:Aのエンドロール一枚絵を見るとエスもまた皆に迎えられているので、大丈夫な気はします。

 

加えて書くと、プレイヤーってあくまでアイのスーパーエゴの“代役”をしていただけなので、アイがこれから自分の意思をもって進んでいくなら3つの役割はアイに収束するはず。となるとエスはどうなるのか心配なのだけど、例えばテューマやフロイが鏡世界にもいるように、ここからはエスではなく鏡世界のアイとしてあの世界に留まり続けるのではないかなと信じたいです。 

 

 

まあ、結局のところ、 
誰にも必要とされてないと思われていた子だって必要とする奴がここにいるんだぜ!!
みたいな優しい話に帰結するんじゃないかなあと思いました。

 

 

 

 

<鏡世界について>

そうそう、この作品では「誰かが必要としている」=「自分の意志を持って生きられる」だと思っていまして。その象徴が二つに分かれた世界と、その境界を動ける消滅しかけのアイ本人の存在にかかっていると思います。


鏡世界は「必要とされないもの」「忘れられたもの」が集まるところ。
アイだけの精神世界というわけではないはず【トルソが呼んでくれる共同幻覚みたいな本】。あらゆるものやあらゆる人に共通してある世界っていう認識なんじゃないのかな。鏡世界が見えたり意識したりできる人とできない人がいるだけ【フロイはマーガレットがまずいって言ってたから意識できない=誰かに必要とされてる人】。


PM-で復活したティルが言っていた、「思い出せないことは別にいい」みたいな台詞の意図は、アイがでティルを忌まわしい過去ではなく覚えておくべき友人だと認めたから【PM-のスペードの鍵もらう会話】。

あるいはプレイヤー【キミ】が介入したことで、前回のティルとアイの思い出を知っている人(プレイヤー)が生まれたから大丈夫ということかもしれません【“この”僕との思い出を忘れないで】。


あとテューマに関しては、彼が賢いままだとフロイが一緒に居づらいから、フロイに必要とされるためにテューマは賢い自分をあの世界に捨てたんじゃないかなあと妄想したり。

 

あと、普通は正気=目にハイライト入れるってイメージがあるけど、この作品の目にハイライトがある人は鏡世界の住人ってことだと思っています【PM-の正面顔フロイ、ティルなど】 。


テューマやアイはあっちこっちを行き来出来るからまだハイライト入ってなくて、逆に鏡世界のエスも現実世界に出て来れるからハイライト入ってないんじゃないかなあ。

 

 

 

 

 

さて、もう十分長いですが、以降はぱらぱらと解釈しきれていない固有名詞などを羅列しますね。メモ書きなので乱文失礼。

 

 

 

 

<作中出てきた単語考察や外国語の元ネタ>


・フロイ部屋のレコード 

 dendrite=樹状突起、樹枝状結晶
 樹枝状結晶はフラクタル、いわゆる幾何学模様に関係しているっぽいのでこっちの意味だと思う
 PM4でこのレコードが鳴り続けているのは、アイの知覚認識上では現実世界が鏡世界に浸食されていることの表現かなあ

・マーガレット 

 花言葉が西洋だと「秘密の恋」 花の種類自体はあまり関係ない気はするよ

・ティルオイレンシュピーゲル 

 民話?実在? 詳しくはこっち
 ざっと読んだ限りだと「ここにいる」と「立つ」が気になるかなと。存在を強調していて、かつ皆の意識に残り続けているという関係で名前の由来になったのかもしれない。ウィリアムテルやリチャード3世の話が出てくる辺り、実在人物のメタファは好きそう。
 なお、ティルが鏡文字を読んでくれる墓石に書いてある「死を想え」はペスト流行と関係があり、かつこのティルオイレンシュピーゲルもペストが死因とされている。

・ウィリアムテルの射手と林檎 

 内容と出典は本編にあるので割愛
 弓矢≒銃という間接武器の連想や、親の子殺しなど、ティルの生前の伏線になっているのかもしれない。 墓穴【はしごが落ちてたところ】とか父親の自殺【墓石のあるマップ右端の首つり死体】とか。

・魚
 ED:Eのエンドロールの一枚絵で魚が人の目に変わっていくような描き方がされているので、魚がいる場所=アイが人の視線を感じて緊張しているところではないだろうか。アイは他人の声や目に敏感になっているし【父の葬式での噂話や両親のけんか、聞き耳を立てる、PM-のお手伝いさん達、あなたは監視されている】、悪いことができる場面には魚がいるのも監視の暗喩かもしれない【黒い矢を使って進む路地にたくさんの魚が吊るされている】。

・ブルネット=黒髪、焦げ茶髪
 PM-だとようせいはアイのことをきちんとアイと呼ぶので、ようせいの見ているアイの姿はプレイヤーの見ているアイの姿と逆転しているのではと思った。つまりようせいにはピンク髪アイが焦げ茶髪アイに見えていたのではという。
 また、わざわざ髪色で呼ぶのは、アイは母とも父とも髪色が違う=血が繋がっていないという暗喩かもしれない
 けどようせいさんはそんな嫌味な子じゃないと思うんだよなー!!
 焦げ茶髪アイこそが本当のアイであり、エスはあくまでアイではないということを強調するために、エスの姿をしているアイについてはアイと呼ばせないような作りをしているのかもしれない

・ずた
 棺桶の代わりにずた袋に入れて埋葬されたりしてるよね

・りーべ、いっひ、まいて、がお
 ドイツ語だとは思うんだけど「まいて」と「がお」がわかりません!

・かにーちゃん
 蟹で海洋生物の繋がり……? でもうさぎ……

・ゾエア→十脚目(エビ・カニ)のようせい 
 ノープリウス→甲殻類のようせい 
 プラヌラ→刺胞動物(クラゲ等)のようせい
 とりあえずようせいは何かしら海洋生物の幼生だということだろう
 けど「ごえんりょ」してるから少なくともこれらではない生き物だという意味かもしれないし、現実のものには当てはまらない生き物だという意味かもしれない

・ED:Eの白い英字 

 ハンプティダンプティの引用
 割れた卵=ティルはもう孵らない・復活しないし、やったことは覆らないし、目玉焼きは作れない。間接的なプレイヤーへの戒め?

 


<その他気になることやモチーフ論などメモ書き>

トルソ
 鳥足、髪型の分け目、PM-の「また来てね」という台詞、SAN値減らしてくる【PM1の食事、PM4のヒントに逆らう】
 トルソって鏡世界でのオイレンシュピーゲル奥様ではないかと思った時もありました。絵本もミスシュレーゲルからミセスシュレーゲルになるしミセス=奥様=ティルアイの母親みたいな……。でもそもそも奥様は幾何学模様の鳥だし、あのSAN値ガリガリ削れるイベントもトルソのせいというよりは、PM4の現実世界やティルの手を断った時のイベントみたいに、そこにない敵意を感じてしまうアイの幻覚な気もする。
 鏡世界のものが全て現実世界のキャラと関連しているわけではないので【お茶に誘う影女性】、深読みしなくてよいサブキャラなような気もする。が気になる。

白いドレス
 アイが来た時点でほこりを被っていたということは、アイが来る前の部屋の住人が来ていたもの?  となるとますますトルソは本編のキャラ達には直接的に縁があるわけではないと思う

ギャラリーの金髪の女性
 トルソの元?はむしろこちらかなあという気もしている【懐かしいという台詞】
 トルソの顔半分が隠れている理由がギャラリーの女性の火傷痕に関連してるんじゃないかなあとか。 鏡世界のあの模様が何だったのかはわからない。

ギャラリーのスペードトランプの絵
 現実世界のあの絵は胎児か耳を表している気がする  ぐじゃっと潰れた後に出てくるあの絵は合わせ鏡?

フロイ
 鏡世界では記録係のお花ちゃん。PM4で記録できるようになるのはやっぱり境界が混じり合ってる表現だと思う。 気遣い屋で話を振るのに疲れたから鏡世界では何も気を遣わず喋らず聞き役に徹してるとか?
 ようせいとの繋がりがわからないが、性格も話し方も違うし少なくとも=ようせいではないんじゃないかなあ。【テューマ「ようせいはえらそうで寂しがり屋」みたいな台詞】

ようせい
 光らないと死ぬ なぜ 蛍石
 ようせいがちゃんと名前で呼ぶのは現実世界の人だけ【トルソはばか・とりあし、アイはぶるねっと、ティルはずた、テューマはテューマ、焦げ茶髪アイはアイ】
 わからなすぎてもうようせいはフロイの部屋のレコードということでいいんじゃないかと思えてきた。 とりあえず海洋生物らしいので【ゾエア他】、死に関係してるんだろうなあとは考えている

ダニエラ
 ほんっとうにわからん。
 絵本にいたダニエル【犬にかまれた】は関係がある? それなら1頁目の子もいるはずなので違う…… 
 本編には出てこないけど他の棟にいるはずの人達の姿とか
 言葉が通じない

ティル関係
 なぜ初対面時にトルソを知っていた? 
 なぜ幾何学模様の鳥と対峙して銃を持っていたのに死んだ? ED:Eを見るに、幾何学模様の鳥を殺そうとすると自分に跳ね返ってくる。でもあれは誰にでも反射するわけでは無いんじゃないかなあ。幾何学模様の鳥を殺す→親殺し→自分のルーツの否定→自殺と同義、ということなのかもしれない。
 手を断ると緑目になる→緑目は過去アイを連想するので、過去の拒絶をした=アイの死に近づいたから怖いことを言われた?

テューマ
 どうして書庫の向こうに行ったのか、プレイヤーおよび過去アイの間接的な手助けをしている?  アイが自力で喋るとちょっと驚くと言うか意味深な間のあくシーンがある【……うん】

硝子の駒
 ボクっていう水面上のあの子。
 あれは特定のキャラと言うより、ゲームという世界における操作キャラというメタ的な何かかもしれない。【初めから“君たち””キミ”とプレイヤーを認識している】

私は私、私はあなた、ボクはボク
 操作キャラはプレイヤーによって操作されるがプレイヤー=操作キャラではないという強い主張を感じる

現実世界のティルの部屋で噂話をしている人
 あれは幻覚で本当は声なんて聞こえていない?

現実世界の部屋の鍵開け
 鏡世界で鍵を手に入れたから現実世界のアイの部屋や書庫の扉が開いたように見えるけど、実際はフロイが開けている【PM1の鍵見つかった発言や、書庫の扉ガチャガチャ】。

鏡世界のアイの部屋
 海の深さを測る、蜘蛛と蝶、ティルの過去など、自分と死に関わるものが多い気がする。水槽にいる魚たちもそう。

天使と悪魔と人間の部屋
 屋上当番は何の番だった?
 人間が悪魔召喚しまくってたんだと思う
 あの人はかげが動いてたけど何してた?
 天使の部屋に目玉が背景だったのは監視人ってこと? 物が増えた? 引越しとは??
 この部屋本当にわからない