うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリゲサイト「ととと☆ぷろじぇくと」作品感想

「逃がしてあげないだけでは生温い」
逃げる意志から奪っていきたい前置き。

 


えー、今回はととと☆ぷろじぇくとさんところのフリーゲーム8作品の感想をつらつら書きますね。

 

基本的に、

  • 30分以内に完全クリアできる短編ゲー
  • 探索もRPGも難易度は低め、攻略完備
  • グロ、ヤンデレ、鬱展開、不穏

な作品が多めです。

関係性がある作品も無い作品もありますが、ざくざく漁って一気にプレイしたので、記事も一つにまとめ…………
ようと思ったら意外と多くなったので、今回は探索・脱出ゲー編です。多作!

 

ノベル・RPG・シューティング編はこちら↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 絶賛したいところと合わないところ、両方を感じるゲームが多かったので、普段よりもレビューっぽいかもしれません。でもいっぱいプレイしたくなるくらい楽しかったのは確かです!

 

というわけで今回の記事で取り上げる作品一覧は以下の通り。

 

 

 

 

『欠損少年は満ち足りる完全な部屋で。』

 

[概要]
短編の探索メイン脱出ゲーム。ヤンデレに軟禁されたという導入通り、病み甘毒な乙女向け。

 

 

[ストーリー・システム]

ヤンデレといっても殺伐脅迫タイプではないので、基本的にはデレデレな病みセリフを堪能しつつお部屋を探索する展開になります。「ミラのことを見ていたい」というセリフの通り、ジン君があちこち動き回ってミラのために尽くしてくれるのが微笑ましかったですねぇ。ベッドイベントでは速度に驚いてリアルに声が出ました。

謎解き自体はとても簡単です。数字の四則計算くらいで、基本的には言われた通りの場所を探索するだけ。脱出できないということはまずありえないかと。
なので脱出ゲーとしての楽しみより、乙女ゲーとしての楽しみが重視されている作りです。

ジン君と仲良くなったら画面のハートが溜まっていくなどの特典があります。かわいい。進行度や好感度がセーブ画面で一目でわかるのも、プレイしやすかったです。
パスを知ってる2周目でも手順を辿るまで入力ができないようにされている他、重要ポイントをジン君が塞いでいるのもさりげなく上手い進行管理でした。

 

 

[グラフィック]

まず真っ先に触れたいのはマップチップ! ピンクピンクしいお部屋にハートが散らばって、そりゃもう少女趣味で夢かわいいなマップになってます。くまさんチップとクッションのチップが可愛すぎる……!
マップのスクショを見て釣られたという人も多いのではないかなー、なんて。

メニュー画面の立ち絵も二人の体格差がよくわかってよいですよね。ジン君腰の位置が高い!そしてミラちゃんほんのり肉付き良くてかわいい!

他にも、スチルの一目で「ヤバイ」とわかる雰囲気は秀逸でしたねぇ。ほのぼのスチルも病みスチルも裏が怖い! 素晴らしい!
起動画面でパチパチ瞬きしてくれるところも、さりげなく凝ってて良いなあと思います。

 


[惜しいところ]

・OPのBGM

私自身のスペックの問題でもあるんですが、歌詞有りの曲だとお話が追えなくなっちゃうんです。なので探索パートからあの曲が始まってくれると嬉しかったかなあと思いました。
といっても、BGMチョイス自体は本当に素晴らしいです! ボーカル入り曲自体は大好きですし、お洒落な雰囲気のおかげで探索も飽きませんし。何よりあの部屋がまるでリラックスルームのように錯覚してしまえるのでジン君の手腕をひしひしと感じます。


・病み具合が浮気性

前述の通りグラフィックの病み具合はかなり高いのですが、病み言動の根本が薄く表面のみのヤンデレに感じられてしまうのが残念でした。ヤンデレと聞いて思いついたことをすべてやらせている感じというか、ころころ意見が変わってしまう感じというか。
Q&Aを見る限りだとヤンデレにおいて過程が大事ってところは作者様も感じておられるようなので、あるいはジン君が「あれが駄目ならこれ」と切り替えられるタイプのヤンデレということでしょうか。しかしそれだとミラちゃんへの執着も薄まってしまう気がするので、うーんうーん。ここだけ惜しかったです。

 

 

 

[エンド感想]

ネタバレ有りなので色変え伏字で隠しますね。

 

バッドエンド
「死ぬか。」の躊躇いの無さと潔さが、本当にジン君にはミラしかいなくて欠損しているんだなあと思わされてよいです。お食事ドットの細やかさと、食べ終わるときちんとドットが変化する職人ぶりもグッド!

 

ノーマルエンド
手際が良い。
前述で「あれが駄目ならこれ」と書いたのも、この手際の良さを感じたからだったりします。
ミラちゃんの衣装も、下着はきわどいのにブラは着込んでいる感じがこう、上半身を可愛さ・下半身を男の欲で包んでいるようなアンバランスさがあって大変よろしい。
余談ですが初回プレイでは好感度ゼロで突き進んでいたので、ベッドシーンで好感度を調整するだけでこのエンドに行けたことにびっくりしました。ちょろいぞジン君!さすがの溺愛ぶりだ!

 

ハッピーエンド
「こう来たか!?」が一番です。まさかの展開に戸惑うジン君が微笑ましいし即順応するスペックが羨ましい……。動揺するってことはジンも心の中でこの生活を受け入れてもらえるわけがないってちょっとでも思ってたってことなんでしょうかねぇ。
いずれにせよ開き直る女の子は強くてよろしい! 幸せ(幼児退行)で何よりです!
ミラちゃんにしてもこう、頑張っても認められないならいっそ頑張らなくたっていいじゃない、という思考に堕ちたのかなーなんて。ジン君は本当に一貫して彼女が望む世界を作り上げたのだなあとも思います。

以上、伏字終わり。

 


[一言]
ヤンデレ好き、甘ったるい病み展開が好きな方向け。

 

 

 

『欠損少年は思い出す女神と鍵の小さな家で。』

 

[概要]
謎解き無しの一本道探索脱出ゲー。前作の関連があるため上記『欠損少年は満ち足りる~』のプレイを強く推奨。

 


[システム・グラフィック]

とりあえず、ダウンロード派なのでWindows版をプレイ。
鍵ゲーを自称する潔さが好きです。


SmileGameBuilderなるソフトのゲームを始めてやったのですが、いやあ変わった操作感で面白いですね! 一人称視点の時は酔いそうではらはらしたんですが、三人称視点に切り替えるといつものRPGっぽい平面視点になって安心でした。三人称視点だと見つけられないオブジェクトがひっそり紛れているのも探索ゲーらしくて良いですよね。
前作と比べてゆめかわいさは軽減したものの、怪しい雰囲気や謎めいた洋館の雰囲気は出ていて、これはこれで別の趣がありました。
あとドット絵の二人がかわいい。

 


[ストーリー]

ジンとミラちゃんの出会いや過去がわかるということで、どことなくファンディスク寄りなイメージの作品でした。満ち足りる~における正史が判明するのも興味深いところ。しかし、あれだけのことをされておいてまだジンを全否定しないミラちゃんはタイトル通り女神として成長している気がします。もうどうにもならないという諦念からかもしれませんが。

謎空間に対する説明として、過去作の関連らしきメモがありはしたんですが、個人的に謎や設定は世界を超えずにシリーズ内で完結して欲しいんですよね……。なので不思議パワーってことで言及が避けてあったほうが、雰囲気ゲーとしてより楽しめた気もしました。シリーズではなくもっと大きくととと様ワールドの設定として受け入れれば良いんでしょうけれどもね。

上の一点を除けば補完編ということで満足。「もうちょっと工夫を凝らした方が~」の台詞に、いや君たち似た者同士のおしどり夫婦やないかと言いかけたのも良い思い出です。

 

 

[一言]
前作が気に入ったなら併せて是非。

 

 

 

『悪夢はひっくり返らない』

 

[概要]
百合百合短編脱出ゲー。案の定不穏。

 


[見どころ]

欠損少年~と少し似た構造ではありますが、ヒントが直接的なものから婉曲的なものになっていたので自分で探索している感じが出てくれました。ストーリーは一つ目の記憶でピンと来てしまうところはありますが、わかっていても楽しいのがこの手の作品ですよね。

 

マップのかわいさも特筆すべきところ。一般家庭にありがちなものをきちんと配置したうえでこんなに可愛いミニチュア感を出せるのは本当にすごい! 探索時の反応も多く、クリア後のおまけモードはめちゃくちゃ楽しかったです。
また、立ち絵の表示が大きめなので、怪しげな彼女の傷や主人公の表情変化がわかりやすいのも素敵でした。そして何よりタイトル画面の構図が大好きです!!

 

キャラクターの行動原理が一貫しているのも好ましく、クリア後にはなるほどなあと思わされる点も多め。じわじわと変わっていく薄ら寒さが感じられるのもツボでした!

 

[一言]
甘ったるい世界観、メンヘラヤンデレ、百合が好きな方向け。

 

 

 

『コルウス・カエルレウス』

 

[概要]
探索ゲー。主従。「脱出を目指せない」が言い得て妙。

 

[感想]
片方のエンドは「いいのかそれで!?」と驚かされ、もう片方は良いダークエンドだなあとにやにや。超短編ですがスチルの気合の入りっぷりや、青冷めたお部屋なのに豪奢なデザインな辺りがとても好み。
そして何より、何よりキャラデザがめちゃくちゃ好みなんですよね!! もっと長編でもやりたかった!
さらっと鬱展開ですがエンドは不思議と爽やか味。
あと音量調節機能密やかにめちゃくちゃありがたいです。

 

[一言]
不穏な従者と無気力クール美少女はよいものだ。

 

 

 

『コルウス・ラピス』

 

[概要]
『コルウス・カエルレウス』の続編。謎解き脱出タイムアタックゲー。


[見どころ]

探索ゲーあるあるの仕掛けをぎゅっと詰めた一品。
紹介ページにあるように、これからフリゲを作りたい人や脱出ゲー慣れしていない人にも安心して“お約束”を知ってもらえるゲームだと思われます。


ゲームオーバーが石化というニッチな需要に対応してくれているのも嬉しい限り!

パスコードがどれも不穏な語呂合わせで覚えやすいので、二週目が助かりました。謎解き自体の難易度はかなりイージーですが、私のようにあちこち調べてとりあえず反応を確かめたいタイプだとタイムオーバーするかも。さりげなくアイテムの説明もゆるゆるで和むので、時間があればぜひ。

 

ストーリーはあってなき感じですが、二人の関係性がほんのりと覗けるのは前作のキャラデザを気に入っていた身としてラッキーでした。意外とデレデレラブラブな関係なのも微笑ましい。すくすくと魔界皇女に育ってほしいですね。


[一言]
タイムアタックに燃える方、石化の性癖を取得している方向け。

 

 

 

 

『良い子と悪い子』

 

[概要]
別作者様のweb小説をフリゲ化した、短編探索ホラゲ。謎解き・驚かし・追いかけっこはなく、オブジェクトを全て調べたら自動で話が進むタイプ。

 

[見どころ]


原作やスクショを見ると察せると思うので書いてしまいますが鬱展開です。
子どもらしいほんわか可愛いエピソード、を踏まえたうえで抉りにくるのがよくわかってらっしゃる展開でした。「私そこまで子どもじゃないんだけどなあ」って感じのセリフがすごく良いです。無力な幼女らしさがなお増してます、素晴らしい。


調べるオブジェクトが多く、全てに回想とスチルがついている細やかさもポイント高め。
顔グラの必死を越えて鬼気迫る感じもえげつないです。良き。
エンドに到達するとみられる、クレヨン描きみたいなエピローグが闇深くて好みでした。

 

 

[惜しかったところ]


原作小説以外のルートや過去回想がきちんと用意されているからこそ、原作通りのあのエンドではもう一声を求めたいところが出てきました。例えば、大文字表記のあの部分だけ赤字にするとか、倉庫内を逃げ回らせて無力感を演出するとか。ここだけ原作そのままなのはちょっともったいないなーと思います。

 

 

[一言]
リョナゲー寄り鬱展開。

 

 

 

『かわいそうなレイナちゃん!』

 

[概要]
金髪ツインテちゃんの死亡パターンを収集する探索ゲー。リョナエログロ。
以下の感想文もグロ寄りなので注意!

 


[見どころ]

一応謎解き脱出ゲーの形ではありますが、実際のところはリョナゲ・特殊性癖ゲというイメージでした。超嬉しい。

ホラゲの死亡パターンをついつい全制覇してしまったり、自分用に死亡集動画を作ったりしてしまう、まさに我々のためにあるような短編ゲーです。


序盤で回収できる死亡シーンが多めなので再開や見直しがしやすいのもありがたいところ。また、集めた死亡パターンは本棚で見返せる他、おまけとして死亡ドットの閲覧もできます。性癖をわかっていらっしゃる!

 

ただ死ぬだけでなく、死亡時に色々汚物が散ったり、ドットとスチルとで死に方の使い分けがされていたりしたのも好印象でした。美しい死に際もロマンですが、あんなにかわいい子がグヂュグヂュになるというのもこう、高ぶるものがあるので。
えっちな描写をチラッと挟んでくれるのもまた上手いですよねぇ。気持ち良いと見せかけて、な展開が多くてぞくぞくしました。

 

上手いと思ったのは、暖炉のスチルを使った演出。
動きがあって見返したくなったのは、火だるま。
性癖直撃したのは、人形化。
どれが好きかである程度性癖が図れそうで楽しいですね。淫魔ネタも好きです。

 

レイナちゃんが中二病脳筋寄りでチョロインっぽいところがまた、リョナ映えするんですよね。「海老で鯛が~」の台詞がとっさに出てくるセンスにちょっと吹き出しました。
歩いている時のドットもたぶん自作なのかな、デフォの歩行グラと違って足や髪がぴょこぴょこ動いてとってもかわいかったです!
他、アイテム説明文も面白いので必見。ハサミに笑いました。

 

 

[一言]
特殊性癖とリョナエログロを求めるなら何が何でもやってほしい一作です。

 

 

 

『桃娘監禁飼育』

 

[概要]
ピュアなアルビノ少女が監禁から脱出できるかもしれないゲー。カニバ、体型変化、鬱展開。

 


[ストーリー・設定]

桃娘というタイトルからてっきり中華系かと思い込んでいたのですが、意外にも現代日本な雰囲気の舞台でした。グロ的な意味だと元ネタの要素は薄めなので、期待しすぎてしまったところもあったかも。


ストーリー面ははっきり書くと好みに合わなかったです。
クリア後特典がどうも、理不尽鬱がご都合鬱になってしまったのでマイナスでした。食事代が安い等々もそうで、無茶な言い訳でシチュエーションを作ってしまわずとも、桃娘をやりたいなら潔く母親が元の逸話を知っていたという設定にしてしまえば良かっただろうになあと思います。
……ここまで語っておいてなんですが、桃娘の元ネタって出典どこなんでしょうね。H×Hで初めて見てときめいたのですが、きちんとした原典は知らないなあと。ご存知の方いたら教えてください。

 


[グラフィック・システム]

演出面は、何よりもまず立ち絵。毎朝、主人公の立ち絵を表示することで黙して語る演出が素晴らしかったです!
調べる点が光っていて、さくっと攻略できるのも短編ゲーとしてお手軽で良いところ。
エンドの文字のフォントも、さりげなく彼女の育った背景を感じさせて、じわりと刺される感じでした。よきよき。
とにかく、まさに“食べちゃいたい”な見た目で白桃っぽい彼女が可愛かったのでグラフィック面は満足です。

 


[一言]
さくっとプレイできて、日々の変化にぞくっとするタイプのホラーにピンとくる方向け。

 

 

 

 


とまあ、こんな感じで。

 

短編でも印象に残るものが多く、また豊作なこともあって長期間楽しめました。


上記の中でも特に、

まとまりがよく完成度が高い!
『悪夢はひっくり返らない』

君の性癖がここにある!
『かわいそうなレイナちゃん!』

の二つをツートップで推したいなあと思います。
いずれにせよさくっとプレイできるので、気になった方はぜひ!

 

 

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