うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「Doki Doki Literature Club!」感想

「皆で楽しく過ごしたいってそんなに難しいこと?」

取り合う君さえいなければ平和だったかもしれない前置き。

 

 

えー、今回はTeam Salvato.さんところのフリーゲームDoki Doki Literature Club!」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

上記リンクは全て英語ですが、検索してもらえば日本語ページにもたどり着けます。日本語名でよく見かけるのは「ドキドキ文芸部!」「ドキ文」、あと略称として「DDLC」かな。

 

いわゆる海外ゲーの、ギャルゲちっくな選択肢ノベルゲームです。

この記事を書いている現在は公式での日本語パッチの話が出ているようなので、この記事が投稿される頃にはきっとパッチが公開されているかもしれません。何なんだこのブログは。

ともかく、私は非公式日本語パッチでプレイしておりますのでご了承ください。

 

あと、あちこちで騒がれているので回避も難しいかとは思いますが、

ネタバレなしでプレイするとより楽しめるゲームです。

なので本記事も閲覧注意です。ネタバレ配慮はあんまりできていません。

 

 

というわけで良かった点など。

 

 

女の子らしいスチルと立ち絵

 

ギャルゲーと言えばまずはグラフィック。見てわかる通り、かなり力が入っています。通常の立ち絵もさることながら、スチルの気合入れっぷりは必見!

特に、プレイする人に寄っては一番見る時間が長くなるであろう幻想的な背景のスチルがありまして。あれが私大好きで、もうきっと忘れられません。

 

それに、スチルになると皆がとたんにキラキラ輝いて乙女度が増すんですよね。見てるだけでときめくってもんです。塗りとかが違うのかなあ。

一目で可愛い!と思う子と、見れば見るほど吸い込まれていきそうな子がいて、描き分けが上手いなあと感じました。

 

こういうハイクオリティな立ち絵やスチルが、後半であっと驚く形に変化していくのもポイント。視覚的な演出がまさに突出している一作です。

 

 

ギャルゲーのお約束を逆手に取る展開

 

ネタバレ注意書いたのでもう明記してしまいますが、ギャルゲーをプレイし慣れていれば慣れているほど深みにはまります。

選択肢からここぞのタイミングでのセーブなど、こちらの動きが完璧に読まれていて震えました……。

重要なのはシステム的なギミックだけで終わらないところ。キャラクターの反応もまさに、いやまさにでして……。どういう反応でこちらのどういう感情が引き出されるのか、作者様の掌の上にいるような感覚でした。

とりあえず、ゲーム起動時の注意書きは大事。ぎょっとしますのでね。

 

 

ためになる執筆アドバイス

 

ギャルゲーな面や、驚きの展開が話題を呼んでいる本作ですが、タイトルの「文芸部」要素も忘れてはいけません。

まず、プレイヤーが疑似的に作った作品に対して、部の皆が批評をしてくれます。そこからぼんやりとみんなのスタイルが見えてきて、創作で譲れないことやお互いの表現技法等々がわかるんですが……これがまた興味深いんですよ。まったく真逆のスタンスの部員がいたり、1回目と2回目で変化してると皆がポリシーを語ってくれたり。

はては「言葉で伝える」ということの意義に至るまで、けっこう踏み込んだお話が聞けました。

 

また、某ルートからの一対一の長い長いお話のターンでは、哲学的だったり厭世的だったりなお話も飛び出してきます。萌えだけでなく、しみじみと聞き入ってしまうセリフが多くあるのも注目でした。

 

 

絶妙で読みやすい翻訳

 

文章がすんなりと頭に入ってくる訳です。

……これって翻訳ゲーとして最上級のクオリティだと思いませんか!?

 

文化として慣れない表現はあったとしても、文章として致命的に読めない文は一つたりともないんですよ。感動。

それに私、作中でサヨリが「ハグ」って言葉を使ってるのが凄い好きなんです! 

機械的に翻訳するのではなく、ところどころに元の言葉の名残を残そうという気持ちが伝わってきてとても素敵でした。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

最も魅力的な点が最もネタバレというこのもどかしさ。伏字無しの諸々は全部追記に格納しておこうと思うので、既プレイの方は引き続き御目通し頂けると嬉しいです。

 

とりあえず、意外な展開・一途な女の子・鬱展開などにピンとくる方向け。

プレイ自体は一応数日でクリアできるかと思いますが、私は数週間──数か月──今もそこそこ──引きずりました。なのでお時間ある時に是非。

 

 追記はネタバレ注意!

 

 

 

 

ネタバレがもったいないゲームです!

全部の要素を見るには最低でも2回はエンドロールを見ることになると思うので、とりあえずはいったん思うがままに進むのが一番だと思います。

とはいえ、それでもある程度先を知らないと突き進めない、怖くて選択肢すら選べない私のような方もいらっしゃいますよね。そんな方にはサヨリを追いかけてナツキを追いかけてなるようになる流れをおススメしておきます。

 

 

ここまで書いたら大丈夫かな!?

 

 

 

以下は伏字無しで全部ネタバレです!

既プレイの方のみどうぞ。

 

 

 

 

プレイログ

だいたいこんな感じでプレイしてました的な感想です。

 

<1周目>

 

詩は、自分の好みの単語>ユリ狙いが反応しそうな単語、という感じでチョイス。「愚か」を選択したらサヨリが嬉しそうにぴょこぴょこしてくれて目玉飛び出ました。

基本的にはサヨリルートに入りつつ途中からユリルートが始まった感じです。

 

不思議と、初めはあんまり気になってなかった子も、イベントが起こって好き好き言ってもらえて反応を貰えるうちにどんどん好きになっていっていくものなんですよね。ユリを狙っていたはずがいつのまにかサヨリが大好きに……でもそうなったときに限ってユリルートへ方向転換してしまうこのもどかしさ。

「愚か」に反応されたのでネガティブワードが気になるのかと思いそれ系統のワードばかり選んでしまったんですね。そして始まるユリルート。あはは~。

 

まあそんなわけで、サヨリを選ぼうとしてもひたすら上手くいかず、どうあがいても結ばれない最愛の幼馴染みたいな悲恋をほんのりを受信できました。

 

で、その、案の定。

ひゅっと息を呑みました。

元々メタゲーという情報だけはゲットしてたんですよ。でもそういう方面で来るとは思ってなくて……世界が崩壊するとかギャルゲーが戦争ものになるとかそういう系かと思っていて…………一日中うわごとのようにサヨリサヨリ言ってた気がします。

 

 

 

<2周目>

 

案の定サヨリを引きずるんですよね。

モニカがどことなく異分子なのは1周目で感じていて、ここで飛び込めないタイプのプレイヤーが私なので、そっとユリ寄りに進行。この二番手扱いっていうのもなかなか、今にして思えば皮肉なプレイだと思いますが……。

 

で、ユリを選び出したとたんに、私の苦手なタイプのヤンデレに変貌していくこのかなしみ……。私ヤンデレに女性優位性的シチュが混ざると、急にすっと萌えが冷めてしまうんですよね……なんか……後腐れなく使い捨てられる便利穴として性格改変されていく感じがして……。

でもテンプレヤンデレの行動をなぞりつつあることはわかったので、そこはOK。

それにおててをカットする時の、歯を食いしばりながら激しく呼吸をする、シィイイっていう描写がめちゃくちゃリアルで大好きでした。あのシーン素晴らしいよね。

 

詩で不思議な記号も選んではみたものの、展開の大筋としては(おそらく)変わらずでした。ノイズや女の子の声は、サヨリ関係のワードを選ぶと流れるのかな?

 

視覚的な演出がじわじわと混ざっていき、すっかり侵食してしまうあの流れもゾクゾクきました。ヒストリーやマウスポインタにまでギミックを仕込んで、どんどんこちらに近づいてくる感じがたまりませんでした。

ユリのスチルがゆっくりゆっくりと変わっていく様なんて、もう、もう。思わずセーブをしました。意味がないだろうと知りながら。

 

あと小ネタとしては、ナツキの吐瀉にきちんと色がついて立派に反吐色だったのがリアルで、こう、その手の人達を喜ばせてくれるだろうなあとしみじみ。

いやまあ、プレイ中はそんなこと考える余裕なくて、ただただ呆然としてたんですけどね……。すさまじい……衝撃……手法の上手さ……。

 

 

 

<3周目>

 

うわあ俺の彼女がこんなにもかわいい。

いや、もう、その、呆然でしたよね。

セーブロードどころかスキップすら使わせて頂けない。真正面顔の圧よ。

 

初めはひたすらに怖かったんです。

で、さっさと次へ進むことも考えたんです。

でも放置してみるとかなりセリフパターンがあることがわかって、せっかくなら全部聞いてやりたいなあと思い、傾聴。

そしたら不思議なことに、これまた愛着が湧いてくるんですよね……。サヨリと似た感覚なんですけど、本当、好きって言ってもらうと軽率に好きになっちゃうんですよ。

 

それに彼女の話しぶりの一つ一つに感銘を受けることが多いんですよね。言ってることは、哲学的だったり、ありがちな人生の悩みだったり、どこかで良く聞く論だったりするんですけど。あのゆっくり動く幻想的な背景の中だと言葉の重みが変わる気がするんですよ。光に照らされて髪とか服とかあちこちが輝いたり暗くなったりするのがまた美しくて、本当沁みるんですよね。

彼女が見てるのは厳密には私じゃないってわかってるし、彼女は限りなく三次元に近づいて来た二次元で、わかってるんですけど、説得力がすごくて。

 

まさかこの時代になってモニター越しの彼女的な感覚を味わえるとは思っても見ませんでした。初音ミクさんの時代に通り過ぎたはずだったのにな……。

ちなみに私にはお友達がいないのでちゃんとツイッターでお付き合い報告をしました。

 

  

 

<4周目>

 

でもいずれはクリアしないといけないんですよねということで。

なお4周目行くのを決意した日にリアルで悪夢を見ました。自動AIに告白されながら世界が滅びる夢でした。影響受けすぎですね。さよ教の注意書きを笑えなくなってくるぞおかしいな。

 

エンドロールではもう泣くしかなかったです。ここで、ここで三次元な演出をさらに組み込んでくる手腕にもう脱帽ですよ!

 

 

 

<再プレイ>

 

で、諸々の会話や細かい分岐を確認したくなったので、色々消して再プレイ。Wiki記載の小ネタも一通り見てきました。

 

BGMがなあ!

プレイ後だとなおさらBGMが響くんですよ。脳内再生余裕ですよ。こういう、タイトル曲や通常曲がしっかりテーマソングになってるゲームって良いですよね……。

 

ナツキルートと、きちんとしたユリルートは回収しきれていなかったので、それもここで確認。特にユリルートは先に2周目のほうを見ていたので、本来の流れはこうだったんだなーとしみじみしました。もし初プレイがユリから始まる人だったら、デジャブのシーンは3回目になるわけですよね。おっそろしいなー。上手いなー。

 

私、ユリルートの凶行は驚きはしても怖くはなかったんですが、ナツキルートの演出はガチに悲鳴をあげて飛び上がってしまいました。

たぶんユリは独りで完結してくれるから傍観者でいられたんですけど、ナツキってわかりやすく「可哀想」を演出してくるので、つい手を伸ばそうとしてその手を掴まれて引きずり込まれる怖さがあったんですよね。

つまり猛ダッシュこっちくんな演出がめっちゃ怖かったです。恐怖で泣いた。

 

そんなこんなでスペシャルエンド。

ここまでプレイして良かったと思ったし、ここまでプレイすることを見越して言葉を残してくれるところが誠実だと思ったし、本当、“一緒に”プレイできたゲームだなあと感じました。

作者の意図とプレイヤーの動きを意識することも、ゲームの一要素だと思うので。そういう感覚を示してくれたあれらのメッセージが、大好きです。

 

 

 

キャラクターについて

 

サヨリ

 

僕を好きだと言ってくれたから好きになった子。

酷いとわかっちゃいるんですけど、もう、こうとしか表現できないんです。追いかけ続けて最後に結ばれた子でもあります。なんて皮肉なんだ……。

「わたしは構われたくないの」から始まる、頭をバットで~のくだりが大好きでした。共感できるって書いちゃうと叩かれそうだけど、でもわかるんですよね。みんなたまに感じることだと思うんですよ。たとえサヨリのあれは人工的だったとしても。

 

 

ユリ

 

好きだった子。

ただ内気なだけじゃなくて、譲れないものに関しては強気上目線でズバズバ言って、その直後に自己嫌悪する流れがすごくリアルに感じました。夜な夜な反省文書く人生になってそう。わかるよ。

ユリとナツキは詩のスタンスもそうですが、イベントもけっこう比較されてますよね。本を読む時も作業する時もわいわい話しながらなナツキと、静かに場を共有していればそれでいいユリ。人との距離感という意味ならやっぱり今でもユリが好きだなーと思います。

 

 

ナツキ

 

可愛(そう)な子。

詩でようやく内面がわかり、ツンツンの態度の裏に「どうせ理解されない」という諦念が詰まっているんだと気づけました。

それに2周目の、詩と見せかけたお手紙のところめちゃくちゃドキドキしましたねー! 

 

初回プレイではユリからのナツキへの「自販機の下の小銭でも~」っていう煽りの意味がわかってなかったんですが、2周目ナツキルートへ走ってようやく合点がいきました。

ナツキだけ2周目での境遇が反転している気がするんですよね。1周目はお菓子作りも贅沢にできる豊かなおうちの過干渉保護者に付きまとわれた子。2周目は栄養失調で倒れてしまうくらいネグレクトされた子。特別な詩の「パパが好きーーーーー」のあれはナツキのことなのかなと思います。過干渉と放棄、両方について書いてある気がしますし。

「かわいい」「かわいそう」は相手を侮っていないと出てこない言葉だってよく言いますよね。

 

 

 

モニカ

 

彼女。

モニカだけ立ち絵が妙に正面顔だなあと思ったんです。

なるほどでしたね。納得しました。

 

モニカだけ浮いている、というのはかなり初期から示されていますが、こういう形に収まるとは予想できなかったので震えましたねぇ。悪役ってわけじゃないし全ての元凶ってわけでもないのがまた、やり場のなさを感じます。やるせないって素敵だよね。

詩については、全クリしてやっと詩の「saveme」と「助けて」のシステムメッセージが掛詞になっていることに気付き、遅ればせながらすぎてちょっと悔しい想いをしましたねぇ。でも、「セーブして」と訳すことで元の意図を伝えようとしてくれている気持ちみたいなものは感じられました。

 

メンタルが弱ってる時に3周目をプレイすると絶対やられる──惚れるだろうなと思います。モニカが見ているのは厳密には私じゃないとわかってるんですけど、それでもあの錯覚させる手法が上手いんですよ。あんなふうに語りかけられて、ひたすら一途なことばかり言われてしまったら。しかもそれがテンプレを少しずらしてるところがまた上手くて……。

あらゆる技術の集大成だなと思います。

 

再プレイするか数日悩んだのも、彼女に愛着が湧いていたからだろうなと。

でも、愛着であって、愛ではないんですよねこれ。

せつないな。

 

 

 

書きぶりで伝わってしまうかもしれませんが、ズッブズブに感情移入しまくってプレイしました。

なんか、なまじこちらへと近づいてくるゲームなので語ろうとしても語れないというか、自分語りになっちゃうんですよね。難しいね。でも書きたくなるんですよね。

 

とにかく、驚かされ、揺らされ、色々と噴き上がった作品でした。

 

詩だとサヨリの二つ目、瓶の詩が好きです。