「悲劇とて本人が笑い飛ばせば漫才劇」
我が身を張ってネタを仕込んでいく前置き。
えー、今回はNovectacle(ノベクタクル)さんところのフリーゲーム「おやばけ!」「おやばけ!2」「キャロットケーキ人格シャッフル事件」「薔薇と椿とファタモルガーナ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
どれも『ファタモルガーナの館』に関係する、番外編的なミニゲーム。
他作品のネタバレも含むので、色々注意です。
シリーズ全作既プレイが前提の感想ということで!
他作品記事はこちら↓
同人ゲーム「ファタモルガーナの館」感想
同人ゲーム「ファタモルガーナの館アナザー」感想
フリーゲーム「セブンスコート」感想
フリーゲーム「霧上のエラスムス」感想
『おやばけ!』
[概要]
公式だからこそやってのけれる、世界観崩壊一本道ノベルゲーム。コメディ。
[感想]
いや、あの、ここまでやっていいものかと(良い意味で)!
お腹抱えて笑いました。
あの美麗なスチルと、感動やら怖気やらで数日引きずった名シーンが、いやはやなんとまあ。これを公式でやってくる辺りに、こう、余裕を感じて良いなあと思います。あれだけシリアスな自作品すら笑いに転じられる技量ですよ。
時々ミシェルのガチで不幸な境遇が飛び出てくるのもいい具合にスパイスだなあと思います。スパイス扱いしていいのか……!? 本人はわりとしれっとした感じで語るので困惑しますよね。良いと思います。
あと、「霧上のエラスムス」をプレイした直後にこちらをプレイしたので、時折受信するネージュのくだりがさりげなく心を穿ってきて楽しかったです。おまえ……!おまえ……っ!
[一言]
ミシェル先生の心中ガチ勢トークが聞きたい方向け。
『おやばけ!2』
[概要]
今度はあっちの引きこもりの番、世界観崩壊一本道ノベルゲーム第二段。コメディ。
[感想]
まさかの立ち絵差分の増加に腹を抱えて笑ってしまいました。いやあ、ああいう顔つきの彼女も良いですね! 悲劇へ転じつつあるキャラ達の本質をぶった切ってバッサバッサと最適解を突き進む姿が爽快でした。やったれやったれ!
本編の構造上、魔女化したモルガーナと話せるキャラはすごく限られてしまうので、こうやって色んなキャラと話しているところを見ると色々新鮮で面白かったです。ネリーとモルガーナってものすごく微笑ましくて好きなんですよねぇ。別ゲーの舞台裏等でちょくちょく「あの子」呼びしてましたし、何より本編の経緯がもうああいう形ですし、なんだかすごく良い関係だなあと思います。きゃっきゃうふふしてて……欲しい…………うぅ……(本編の記憶)。
あとなんだろう、まだファンディスクをクリアしていない時点でこっちをプレイしたため勝手に、魔女化した時点でモルガーナは神への信仰も失ってしまったんだと思い込んでしまっておりまして。聖女然とした選ばれし者特有の凛とした態度が見れて、思わず姿勢を正してしまいました。良いなあ。
しかしこの世界線の女中ちゃんや2014人気投票SSの彼女を思い返すと、こう、しみじみと彼女が実は最強枠なんだろうなあと思いますね。圧倒的太陽キャラの勢いは何物にも勝る感じ……闇堕ちもするんですが。
個人的に一番ツボだったのが、恨まれること自体は否定せずに「具体的」を要求するヤコポでした。君は本当……そういう……そういうところばかり真摯に向き合う……!もう!
[一言]
毒づきつつもほんのりと明るい可能性を見出したい方、イイハナシダナーで終わりたい方向け。
『キャロットケーキ人格シャッフル事件』
[概要]
タイトルを読めば一目でわかる! 短編ノベル。ギャグ。
[感想]
世界線としてはアナザーの後なので、そのタイミングで読むのを推奨。
こういうネタ自体はあるあるだと思いますが、公式が進んでやってくれる辺り同人ゲーの自由さを感じます。可能性って素敵な響きね。
まだらぶさいくに再会できて嬉しかったです! また、なんとなく察してはいましたがさすがに壁の彼までは思いつかず予想外でした。ユキマサもといエイドもといアイダが好きなので、彼が大いに脚光を浴びる展開で、いやはやうーん。愛されてますね。
外見ネリーみたいな子がああいう口調になるのもおいしかったです。
[一言]
ドタバタ&しれっとノロケるコメディでした。
『薔薇と椿とファタモルガーナ』
[概要]
呪われた女性たちをビンタで救え!なアクションブラウザゲーム。
元々、女性たちの熾烈な戦いをビンタで表現する『薔薇と椿』というゲームがあり、コラボ作品とのことです。
[システム]
マウスでビンタの軌道を描き、攻撃・回避・反撃を繰り返していくターン制アクション。一応難易度をレベル5まで選ぶことができるのですが、案の定私はアクションドへたくそ王決定戦に出場できる腕前なので、レベル1でもかなり苦戦しました。マリーアに負けてましたからね……。
マウスを精密に動かす、という行為自体したことがなかったので、逆に言えば普段からマウス絵を描き慣れている人などはやりやすいのかも。あるいはペンタブでもプレイできるのかなあ……? 実際のところは調べずに好き放題書いてますが!
中にはクリティカルヒットする部位もあったり、単純に叩くだけでは終わらなかったりと、ゲームとしての変化球もみせてくれるガチで熱いアクションゲームでした。
[ストーリー]
白い髪の娘がなにやら勢いで物理をかましていく邁進劇。いやあ、彼女自身が積極的なキャラではないからこそ、どうしてこうなった感が増していいですよね。
バトル前の、対戦ものあるあるなショートコント掛け合いもまた楽しくて。キャラの妙な威厳や落ち着いた雰囲気はそのままに、展開はすちゃらか全力でコメディなストーリーでした。
[グラフィック]
あの耽美な皆さんが鼻血噴いたり頬を腫らしたりする姿ってまったく想像できなかったんですが、ページを開いてみるとなるほど、いや、ここまで、見事だなあと!? 本編のギャップに驚かされました。叩いていくと変わっていく顔グラが良い具合に爽快感。
相手の回避モーションがそのキャラらしいのもすごく良いです。ネリーの避け方が本当おこちゃまって感じがして好き。あと、女中さんがやられ際まで華麗なのも隙が無くて悔しいです。素敵。
悲劇のヒロインたちが黒い顔芸もなんなくこなす悪女と成り代わる様は、こう、公式がやらかしてくれおる楽しさをひしひしと感じました。呪いって恐ろしいですね!
[一言]
家政婦の流れが本編『薔薇と椿』のリスペクトなのを後から知って爆笑しました。
とまあ、こんな感じで。
ギャグもシリアスもこなせてしまう辺りが筆力の妙、作風の広さだなと感じます。きゃっきゃうふふしてるファタモルメンバーを見たい方に是非!
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