うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「Sky[ ]」「Sky-Rain」感想

「システムというルールが僕らを縛るのならば」

新たなツールに乗り換えていきたいな前置き。

 

 

えー、今回は原産国さんところのフリーゲーム「Sky[ ]」「Sky-Rain」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

前作「Sky[Rain]」を前提とした、エンターで読み進めるノベルゲーム。勿論前作のネタバレを含むので、既プレイ推奨。

 

なおDL方法やプレイ順などを含む攻略記事も書いてます。

未プレイでお悩みの方はこちら↓

フリーゲーム「Sky Rainシリーズ」攻略

 

 

というわけで、良かった点など。

でもやっぱりネタバレが惜しいので、本格的な内容は追記に伏せますね。

 

 

 

 

 

ここから追記、ネタバレ注意。

各作品の結末や好きな会話まで一部引用して言及します。

 

 

 

 

Sky[ ]

 

【グラフィック】

嬉しかったのが、やっぱりそりゃ、色がついたところなんですよ!

みんなもすごく表情豊かになってて、背景も明るくて、しかも毎日変わるっていう!

でもゆるふわした雰囲気はきちんと残っていて嬉しかったです。背景の小物をちまちま見ていくのも好きだったなあ。それぞれのお部屋を覗き見ているみたいな気分に浸れました。ちょっと距離が詰まったような気がして嬉しい感じ。

 

システムグラフィックからし幾何学模様っぽい雰囲気がとても綺麗なんですよねえ。クルクル回転させるメニューも、窓で仕切られてるセーブロード画面も色んなところにセンスを感じます。

セーブ画面の一言どれも好き。猫じゃらし好き。

 

 

【おはなし】

ストーリーではなくお話と書きたいこの気持ち。

[Rain]では、「私←│→誰か」「誰か→未雨」みたいな逃れようのない一方通行を感じていたし、それがメインのお話だったなあと思います。だからこそ今作、皆がお互いに触れていくような会話は本当に心が癒されました。嬉しいなあ!

りえのねー、お友達3人のくだりとか。鏡子のゲームのくだりとか。すごく好きなんですよね。いいなあ、仲良しって感じがして。うらやましい。

せっかくだからそれぞれ気に入った内容とか。

 

 

・りえ

「女の子にとって恋の結末~」

ここがとても好きで、好き以上に寂しくて、でも好きでした。こういう、女の子らしい女の子というか……、色んな人から好意を持たれやすそうな女の子が突き放すようなことを言ってくれるのって、ある意味安心します。

きちんと依存じゃない恋や友情を築ける子なんだなあ、潰れなさそうで良かった、っていう感じ。

周りをよく見てて、ほんとに意識が外へ外へ向かってる子だなあと思います。

 

 

・大和

「どうしようもなく幼稚であたたかな冬のひととき」

少女小説のくだりもそうですが、大和が大和というイメージ像からちょっとずつちょっとずつ解き放たれようとしている感じがして、とてもにっこりとしました。あのちょっとドヤ入ってる笑い顔もすごい可愛いんだよなあ。

大和が皆のイメージに沿おうとしてるのか、皆(主に私)のイメージが知らないうちに大和を作ってるのか。どっちなのかわかんないし両方なのかもしれないんですけれども…………。素と外殻の違いを一番感じる子だなあって思います。

でもこう、人の押し付ける期待像からちょこっとズレてみせるのって、個人的に背徳感と罪悪感と爽快感がある行いだと思っていて。私なんかは溜めて溜めて良くないシーンで人を傷つけながらズレちゃうタイプっぽいので反省なんですけど、大和はそこら辺のコントロールも上手そうで、憧れます。でもこのイメージもまた押し付けなのかな。堂々巡りですね。

 

 

・鏡子

「ハッピーエンドへの道筋が見えきってるのに~」

わっかっる!って絶叫してしまった。しまいました。わかる~!

エンディングに納得できるかどうかってやっぱり読者と作者の信頼関係の築き方によると思うんですよ。作者様は伏線や展開の広げ方を通じて、読者に心の準備をさせてくれますし。読者こと私はそれらを(ミスリードとしてあえて用意されているものは別としても)斜に構えず素直に受け取っていきたいなあと思いますし。

だから私鬱展開は好きですけど至上主義ってわけではなくて、なんていうか、納得が欲しいんですよね。バッドエンドってだけでクソゲー認定するのも嫌いだし、ハッピーエンドってだけでご都合主義下げするのもヤダ! 壊れるために美しく造られる城と、長く在って欲しいがゆえに美しく造られる城は違うんですよ。違うと思ってます。

なんかそのへんの、定期的にうおおおおおって渦巻く葛藤や言葉にならない気持ちが、あんなわかりやすく短くすとんと語られてて、感動しました。言語化がうますぎる……。

 

 

・未雨

「他人がオススメする作品~」

誰かにおススメする時、私が怖いなあって思うのが、義務になっちゃうことなんです。合わないけどオススメしてくれたから頑張って続けてみようみたいな、そういう……。だから未雨ちゃんが、こう、前向きな可能性も見せてくれてありがたかったです。そっかあ、って目から鱗な気分でした。私はちょっと気負い過ぎているのやもしれない。

あの人ここが好きだったんだろうなあってわかる瞬間って、楽しいですもんね。好きな人と映画一緒に見に行った時、すごく楽しかったので、そういうのもあるかもしれないなあ。

あと全然関係ないけど、「ぷれぜんとふぉーゆー」の謎構えがめっちゃ好きです。猫っぽい。かわいいが極まる。エンドの横からひょいっと顔出してくるところといい、何かと動作がおちゃめでかわいいですよね。ふふふってなる。笑顔にさせてくれる子だな~って思います。

 

 

・記憶値10エンド

こちらは逆に心抉られる感じの展開でしたが、これもこれで好き。

表情や訴えとして一番刺さるのはやっぱりりえなんですが、未雨のパイライトのくだりも印象的でした。あれ、恥ずかしながら全然意味がわかっていないんですけど、でもなんか呪文みたいな、寂しい魔法みたいな響きがして好きでした。

私は[Rain]をクリアしたルートがこのSkyだとばかり思っていたんですが、どうなんでしょうね? 記憶を引き継ぐことで、再び[Rain]に戻っちゃう、解放された皆は再び閉じ込められちゃう、そんな感じなのかなあ。

大和が「連続性のない存在~」って言ってたみたいに、メタ的には1プレイで終わってしまう皆には、クリア後とかクリア前とか次の周とかそういうのは認識できない────彼女たちには認識できるけど大和りえ鏡子未雨には認識できない、ってことなのかもしれない。

 

 

【まとめ】

まとめて感想として、やっぱり皆の話を聞くのが好きなので、色々とお話できて嬉しかったです。クラシックの演奏家とか、興味のある事柄、素敵なものとの出会いが増えたのも。

 

 

 

Sky-Rain

 

【グラフィック】

初めに会いに行ったのはりえだったんですけどね、「あ!」で泣いてしまいました。

あんなに色鮮やかで生き生きした世界、ある!?

実写背景に彼女たちが混ざって、より現実に入り込んで、距離の近さを意識させられるようなグラフィックだったなあと思います。ポーズや表情の差分だけじゃなくて、そこに彼女たちがいる、活動している、そんな感じがします。

光の映り込みとかが自然ですごすぎるんだよなあ。

でも一方で、日常生活ではないんですよね。髪を結ったりゲームしたり、日常っぽい行動をしてるんだけど、背景があまりに美しかったり彼女たちの表情が絵になっていたりしていて、逆に生々しさが削ぎ落されているような印象。この混在な感じがまさに2.5次元メタフィクションでした。

 

 

【おはなし】

 

・りえ

「ふつーに照れるようなことなのでは?」

可愛いですよね。いやあこまった困らない。りえはてんぱったりドタバタしたり照れたりすると文章にもそれが出てきますよね。ひらがないっぱいになったり言いよどんだりするところ。和みます。

「気付いてる?」

気付いた! ウィンドウ表示でフォルダ横並びにしておいて良かった。

 

 

・鏡子

「[Rain]の一件なしに~何かしらの感情を向けただろうか?」

たぶん、とっても酷いようで当然なようで皮肉なことに、NOなんです。この時から私の絶対さを危惧してくれてたのかなあ……。

「本人がなりたい人物像が~」

このゲームってかなり独特だと思っていて、その印象は勿論クリアした今も変わらないんですけど、一方で本質はかなり身近によくある感情なんだなあってこの言葉で再認識しました。よくあることだよねえ。私が上のSkyの感想のほうで書いた内容が、ここに掠ってて、納得が強かったです。

 

 

・大和

「誰か一人を、全てなぞらえて欲しい」

私はこのタイプなのですとんと来ましたが、そうか、毎日色んな子のところへいくプレイヤーも当然いますよね。改めて、この箱庭は私だけでなく不特定多数へ開かれたうえで一人のために作られているものなんだなあと実感しました。

「そう在りたいと思ってしまう事は仕方のないこと」

そう在りたいと思える時点でやっぱり素直で真面目だよなあと、つい思っちゃうのは許してほしい。平等じゃなくても優等生じゃなくてもやっぱり、良い子だなあって思います。

 

 

・未雨

「あっここ来るんだ?」

来るよ!!!!!!

いや、うーん、ほんっとこの子はどこまでもこの子だなあと思います! もう!

語ろうと思えば色々語ったり未雨のことをわかったように言えるだろうけどもうこのセリフが全部だと思うので割愛します。もうもう。

「愛情によって誰かを縛る事」

これは今にして思うと、未雨自身を諫める言葉だったのかもしれないんだけど、私自身にすごく刺さってしまったセリフです。後述でも引きずってる。でも気持ちはわかる、理解はできる、できてると思いたい……。他ならぬ彼女の口からこれが発せられたことを大事にしたい気持ちがあります。

「おはよう」

泣いてしまった。シリーズの終わりでシリーズの始まりを思い出させてくれる演出、わかっちゃいるけど感極まって泣いてしまいます。色々な思い出が想起されるからだろうなあ。

 

 

・お茶会

で通じるかな。あの二つ目のエンドについて。

大和のエンドが一番わかりやすかったです。わかりやすかったし、私がやったことの意味がわかってしまったから、寂しかった……。

あのエンドを見る道のりって多分なんですけど、確固たる意志を持ってあのキーを押すのを選ぶ人と、なんとなしにできることがあるからやってみた人がいると思っていて、私は圧倒的に後者なんですよね。だからやってしまった後に、私は自分で自分から彼女達と離れちゃう道を選んだんだなあと気づいたのでなお刺さりました。

 

結局プレイヤーである私は彼女達の仲良しの輪には入れないということとか、むしろ私がいたせいで彼女達は余計な壁に惑わされて互いに互いとお喋りできなくなっていたってことなんだろうなあとか。どのエンドでも彼女たちが私を肯定してくれるからまだ救いはあるけれど、結局のところ私は傍観者だし、邪魔者なんだよなあと見せつけられた気もして、寂しくあります。

とか言いつつ、私は単純に拗ねてるだけかもしれない。ごめんね。高次元の傲慢さ……。

 

こういうねちねちした気持ちこそが、未雨の言ってた縛るほうの愛情だとも思うので、彼女達の望まない形でしか好きって言えない自分は情けないなあ、寂しいなあ、申し訳ないなあって思います。

でもあの演出の解放感自体はとてもとても好きだし、大好きな女の子が手の届かないどこかへ行ってしまうというのもすごく好きなシチュエーションだし、展開にも納得感はあって好きです。メタで始まって、ふわっと終わるかと思いきや、きちんとメタで終わるところ本当に一貫しててとても素敵でした。

 

 

・四分の一の幸せと共有する楽しさ

上記で私は寂しいなあ寂しいなあ言ってしまったけど、よくよく考えたら彼女達は先にそういう感情を抱かされていたのかなあとも思います。相互にお友達と触れ合うことはできなくて、彼女には私しかいなくて、なのに私は四人から選ぶことができるっていう。

ルートに入るっていうのは独占で、共有ではないんだよなあと……。そう思うと、お茶会エンドを通じることで私がやっと彼女達に共有されて、本当の意味で楽しかった思い出ができてくれるのかなあとも考えました。

難しいこと抜きにしても、四分の一の幸せっていうワードそれ自体がエモいよね。雑に締めてしまった……。

 

 

【まとめ】

メタから始まってメタで終わってくれて、本当に綺麗に完結してくれたなあという想いでいっぱいです。一連、プレイして良かった。

 

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

余談ですが、色々プレイし終わってから改めて公式のクリア後向けのページを読んで驚きました。これだけ響くものがあって、夢中になったり共感したりしたのに、書かれてる作品名が知らないものばっかりなんですよね! かろうじて知ってるのは四月馬鹿達くらいだったかな……?

だから、共通点は少なくても、普遍的な土台のところで心を揺らされたんだろうなあと思います。

 

 

会えて良かったし、これからもみんなには幸福でいて欲しい、きゃっきゃと笑ってじゃれ合ってて欲しい作品でした。